2025年4月29日火曜日

プロジェクト "山神社"(102) 桜井駅近の大山くん(4) 忍坂山口坐神社

次に目指す忍坂山口坐神社(おしさかやまぐちにますじんじゃ:奈良県桜井市赤尾42)は等彌神社のさらに東、直線距離にして1.6kmじゃけど、それこそ鳥見山霊畤がある鳥見山が間に挟まっとるのでぐるっと廻る必要があり、道過距離にして2.4kmある。
そっち方面に行くバスもあるようなので、運がよかったら途中から乗ってしまうかと思いつつ一旦北に向かって国道165号線に出て、東に歩き始めた。
国道に出るとすぐに薬師町という奈良交通のバス停があったので時刻表を見てみると何と、休日は1日にたった3本、9時28分・11時59分・16時38分発のみ…。
まあ基本は学生さん用なんだろうなあ。
これでバスの可能性はゼロと判明したため歩くしかない。
しかし本当につまらん道だなあ。


あまりのつまらなさに写真を撮る気も失せていたため、Googleのストビューを貼り付けてみたが見ての通りの無機質な道。
街道名は「伊勢本街道」という風雅なものなんじゃけど、実際歩いてみれば何の特徴もない単なる地方3桁国道であり、面白そうなものもないし面白そうなことが起きそうな雰囲気もない。
この道を30分以上も歩くのは本当につまらんかった。
こんなつまらん道を時間かけて歩くのはしんどいので可能な限り早足で歩き、忍坂山口坐神社入口とも言うべき「忍坂」交差点に通常より早く達した。
神社はここからもう目と鼻の先じゃ。
境内へは粟原川の逆っ側(西側)から入ることになる。
境内手前には恐らく参拝者用と思われる駐車スペースがあり、3~4台は停められそうじゃ。
因みに今回クルマを使わなかった理由の1つに「駐車スペースの有無が心配」というのがあったんじゃけど、結果的には3ヵ所とも駐車できる環境じゃった。
駐車スペースと境内の境目辺りには竹が2本立っていて、細い注連縄が張られとる。
それをくぐって境内に入ると右手に案内板が立っとる。

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内容はこうじゃ。
忍坂山口坐神社
忍坂街道・キーワード
金閣寺

延喜式内社・山口神社は全部で十四社で、
うち十三社まで県内にあります。 
そのうち飛島・石寸・長谷・畝傍・耳成・忍坂の
山口神社が最も大切に祀られてきました。 
ここの二代目楠の木は巨樹として有名ですが、
初代楠の木は室町時代に京都の金閣寺を建立する時、
天井板として利用されたと言い伝えられ、
その時倒れた先が隣村の忍坂まで届いたので、
今も「木の下」という地名が残っています。
大和の古道紀行
一般社団法人 桜井市観光協会
ははあ。
まさかの金閣寺の天井板か。
もったいないことするなあ。
いや、この金閣寺天井板話も勿論大事じゃけど、やはり御祭神のこととか由緒歴史にも触れてほしいなあ。
そういやあこの辺の神社には、静岡とかでよくあるような神社説明板がないなあと改めて思う。

浜松市にある熊野三神社の案内板
市か県の教育委員会あたりが作ってる気がする
こういうやつがどんな神社にもあると助かるんだけどなあ
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ここも石寸山口神社と同様、規模的には決して大きくはない(いや、まあむしろ狭い部類じゃろう)が、木立に囲まれているのにお陽さまの光が境内によく届き爽やかな雰囲気なのがとても良い。
木立の間を風が通り抜けて行くし、気分が落ち着く。

ほら、なかなか爽やかでしょ
夏に良さそう
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ワシは社殿(拝殿)の方に歩いていって早速参拝した。

質素だけど荒れた様子なし
氏子さんたちのおかげじゃろう
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見ての通り、拝殿と本殿兼用の簡素な社殿(中見たけど本殿内に普通にある鏡とか太鼓とか何もないので、もしかしたら拝殿のみの本殿なし?)で、ワシのタイプ分けでは「ブリキロボット顔面タイプ」に属する(わかるでしょ)。
各種情報を見ると、さっき行った石寸山口神社にしてもここ忍坂山口坐神社にしても、長い歴史と重要な役割を持つ神社だと思うんじゃけど、社殿や境内の風景や表情はそんな感じは全く見せていなくて、ほんとに村の中にある質素で小さなお社であって偉ぶったところが全然ないのがいいぞ。
四国の荒ぶり系大山くんとも、静岡県東部の山の神・酒の神系大山くんともすこし違ったタイプ大山くんだなあと思った。

書き加えておくと、忍坂山口坐神社の御祭神は当然大山祇命で創建年代は不詳。
旧社格は村社。
人によっては寂しいと感じるかもしれんが、ワシにとってはいい空間の神社じゃった。

さて参拝も済んだし、そろそろ戻ろう。
あの無味乾燥な国道165号線を桜井まで歩いて戻すのは真っ平御免なのでワシは一計を案じ、神社から北方向にある朝倉台という住宅地に向かって歩き出した。
それを抜けるとすぐに近鉄大阪線 大和朝倉駅があり電車が頻発しとる。
下りは勿論桜井に行くし、その先大阪上本町まで区間準急や急行が5~10分ヘッドで出とる。
本日はこれに乗り、桜井を通り越して大和八木まで出向き、駅前にある焼肉屋でビール片手に焼肉をつつくことにしよう。
それからアパートに帰っても、14時開始の中日阪神戦のテレビ中継開始には十分間に合うじゃろう。

大和八木駅から徒歩数分にある回転焼肉屋で昼飯
カルビの定食とホルモンなど美味しく頂いた
勿論ビールと麦焼酎のロックも美味しく頂いて完食
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プロジェクト "山神社"(101) 桜井駅近の大山くん(3) 番外編:鳥見山霊畤 遥拝所

ワシは遥拝所が好きというか、気になる存在じゃ。
今回やっとる「桜井駅近の大山くん」ツアーのついでに1ヶ所遥拝所にも寄ろうと思っとった。
石寸山口神社から東に1kmくらいのところに等彌神社(とみじんじゃ:奈良県桜井市桜井1176)がある。
結構大きな神社じゃが全然知らんかった。
ワシのような県外出身者的な知識だと、奈良県中部にある有名神社といえばギリギリ大神神社(おおみわじんじゃ:三輪明神とも:奈良県桜井市三輪1422)くらい。
旧日本海軍好きな人なら大和神社(おおやまとじんじゃ:奈良県天理市新泉町306)、伊勢神宮の歴史に興味がある人じゃったら檜原神社(ひばらじんじゃ:奈良県桜井市三輪1422)の社号が出るかどうかくらいで、
「ああ、大神神社もいいけどさあ、等彌神社はまた違った風情でオレはそっちが好きだな」
なんて言うやつは多分いない。
無論ワシも同様じゃ。
今回だって鳥見山霊畤 遥拝所(とみやまれいじようはいしょ:奈良県桜井市桜井1176)の方が先で、それがあるのがたまたま等彌神社という神社にあるという感じじゃ。
因みにワシなりの遥拝所感についてはこれを読んだらわかるが、宗教的な意味はまったくなくただ面白がっておるだけじゃ。
奈良には遥拝所が多くあり、伊勢神宮遥拝所とか橿原神宮遙拝所などよくあるパターンのやつの他、この辺にたくさんある古墳には大抵その古墳に葬られている天皇への遙拝所(拝所)が古墳のすぐ脇に設けられておったりする。
今回遥拝する鳥見山霊畤 遥拝所はそれらとはちょっと異なる雰囲気を感じる。
鳥見山霊畤の「鳥見山」は神社東にある山の名称で間違いない。
その山に遥拝対象があり、その名が霊畤ということまではわかる。
日本人は「霊」という字面からはどうしても幽霊のイメージを抱いてしまい、なんか怖いところかなあと感じる。
怖い遥拝対象なんじゃろうか。
うらめしや〜とか言いながら毎晩山頂に出てくる幽霊を慰めるために遥拝するみたいな。
いや、これはないな。
忘れてくれ。
一方「とみやまれいじ」という音だけ聞くと「松本零士」を連想するので人の名前にも思える。
しかしすまん、そう思えるだけで遥拝とは関係ないなこの件は。
これも忘れてくれ。
そもそもじゃが、ワシゃ「霊畤」のことを「霊時」と思い込んどった。
今朝まで。
今朝行き先を検討しとるときにGoogle Mapsで場所を確認しよくよく見ると「時」ではなく「畤」ではないか。
田へん(なんて部首あったかなあ)に寺じゃ。
こんな漢字はいっかな知らんかった。
どんな意味なんじゃろか。[1]
この程度のことはWebで調べりゃすぐわかるけどそれでは面白くない。
現場にも説明が書かれた案内板が絶対ある筈と思い調べることなく出立した次第じゃ。

石寸山口神社からは薦池(読み不明)の北側を通るような感じでGoogle Mapsには載っていない小道が東に伸びとるのでそれを歩く(後日Google Mapsへ登録申請して承認済み)。
途中、道端に石碑があり刻まれた文字を読むと「鳥見山霊畤 参道記念碑」とある。
ふうむ、ここが参道なのか。
知らずに歩いてきたがなかなか幸先が良い。
更に歩くと右手に桜井市立図書館の立派な建物が見えてきて、そこにある交差点を右に折れると等彌神社がある。
道端には紫色の幟旗が林立していて、宵宮祭等お祭りの日取りが書かれている。
境内の前まで行くと、テントがたくさん設営されていて人もたくさんいる。

どうでもいいけどこの自転車、宙に浮いて見えない?
ワシだけかな
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もしかして縁日なのかな。

むう、一番人が少ない瞬間を捉えてしまった
もっとたくさんおったんじゃ
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その中を奥に向かって進んでいくと、境内はかなり広いことがわかる。
道が何本もあってどの道を行けば目的の遥拝所につけるかわからない。
とは言っても、いかに広い境内とはいえ迷って遭難することもないじゃろうから適当に進んでいくと鳥見山稲荷神社という境内社の鳥居が見えてきて、その前に陶磁器で出来たテーブルと椅子、更には灰皿まで完備されとる。
よし一旦ここで休憩して行き先を確認しようと腰掛けて加熱式喫煙道具を取り出し一服付けながら周りを見渡すと、鳥居の脇に白い案内板が見えた。
その横には大きな文字で「鳥見山霊畤」「霊畤從是東」と刻まれた石柱が立っとる。

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ワシは案内板を読んでみた。

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鳥見山観光散策路(往復約2km)
鳥見山は標高245m、面積約50ha余のなだらかな山容で、登るにつれ北に三輪山・南に音羽山系・東に外鎌山や初瀬谷などを眺めながら頂上へと至ります。途中、霊畤拝所(是より160m)、庭殿(同650m)、白庭(同890m)等を通り、山頂(同1,000m)に至ります。
古より多くの方々が登下山された道で、広葉樹林では春の新緑や秋の紅葉など四季折々の自然を満喫していただくことができる散策路です。
また、万葉歌碑などを楽しみながら、古代のロマンを味わっていただけます。
植林された中を通過しますので、火の用心・ごみの持ち帰りなど、入山者は十分に気をつけてください。
鳥見山中霊畤顕彰会
うむ、この先を登っていけば目的の遥拝所があることは確認できた。
しかし「霊畤」がなにかについての記載はない。
兎に角行ってみよう。

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このような爽やかな感じの林の中の道を暫く登ると目的の遥拝所は直ぐあった。

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デカい石板に「霊畤拝所」と刻まれておる。
その周辺に霊畤とはなにかについて書かれているものがないか見渡したが、石碑の隣に立っておる歌碑の説明はあるものの、霊畤そのものに関するものは見当たらん。
これはいかん。
今から遥拝する対象によっては礼拝流儀が異なる。
礼拝対象は神なのか仏なのか幽霊なのか、はたまた松本零士なのか、それらとはまた別物なのか。
ワシは観念し、遥拝する前にiPhoneを取り出して霊畤についてその場で調べてみた。
以下は殆どWikipediaからのコピペじゃすまんな謝るワイ。
霊畤とは「まつりのにわ」という意味で具体的には大嘗会(日本の天皇が皇位継承に際して行う最初の特別な新嘗祭のこと)で、ここ鳥見山では初代天皇である神武天皇が、即位後の神武天皇4年の春2月に皇祖神及び天津神を祀った場所である霊畤(まつりにわ)と伝えられる 。又即位後初めて皇祖天神を祀ったという日本書紀の記述から大嘗会の起源であり、初の舞台ともされる。
ふうんそうか。
難しくて全然わからんが、新嘗祭ということはまあ神様系統ということじゃろう。
ワシは脱帽し、「霊畤拝所」と刻まれた石碑を通して神式儀礼で持って850mほど先にある筈の霊畤を遥拝した。
しかし、日本史上初めての大嘗会が行われた場所というと結構すげえ場所のように思えるけどそんな話は聞いたこともないし、神社境内にも特にその様なことを書いた案内もない。
もっとじゃんじゃん宣伝すればじゃんじゃん人も来てお賽銭も各種初穂料も稼げていいのにとか、俗っぽいことを考えてしまう俗っぽいワシじゃった。
この遥拝所から霊畤現場までは僅か850mくらいなので全然余裕で行ける筈じゃが、今回の目的はあくまで遥拝。
現場を参拝しては意味がないと言うそれこそ全く意味のない理由を無理やりひねり出し自分に言い聞かせてワシはそのまま下っていった。
正直な理由としては、これ以上山道を登りたくないのと、ここであまり時間をかけると昼呑み時間が確保できないためと言うことは秘密じゃ。
ワシはてくてく山道を下って神社本殿に行き、神社分と霊畤分合わせて200円をば賽銭箱に投入して参拝し、次の目的地である忍坂山口坐神社に向かった。

石寸山口神社から等彌神社に向かう途中にあった
鳥見山霊畤参道記念碑
Google Mapsに未記載だったので登録申請したら
何故か拒否られてしまった
なんでだろう
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オリジナルだと暗くて字が見えんので
明るさ補正したのがこちら
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[1]
畤という漢字そのものは、
部首は田部に属し、画数は11画、漢字検定の級は1級の漢字です。読み方には、シ / ジ / まつりのにわなどがあります。(漢字辞典オンライン
もろ「まつりのにわ」って読むんだ、へえ。
意味としては、
1. まつりのにわ、天帝を祀るところ。
2. さかい、土封を設けて区画する。
3. たくわえる、食糧をたくわえる。
4. 沚と通じ、ほとり。
5. 蒔と通じ、うえる。(コトバンク

プロジェクト "山神社"(100) 桜井駅近の大山くん(2) 石寸山口神社

大山くん参りをする場合、ワシは今まで徒歩圏内の場合を除きすべてクルマを使っとる。
しかし今回は電車で行くことにした。
いずれの神社もクルマが停められる環境にあるかどうかがわからん事が主な理由で、特に最初に行こうと思っとる石寸山口神社はいかにもなさげじゃ。
あとこれは個人的には大きな理由じゃが、帰りに桜井とか大和八木あたりで昼呑みしてから帰ろうという素敵かつ邪悪な計画によるものじゃ。

ワシは身支度して部屋を出て、桜井線の最寄り駅である京終駅(きょうばてえき)まで歩いて行った。
基本的には1時間に2本しか走ってないが、運良くすぐに桜井方面行の電車が来たので飛び乗り、約30分で桜井に着いた。
目指す石寸山口神社(いわれやまぐちじんじゃ:奈良県桜井市谷502)は桜井駅南口ロータリから1km足らずの至近距離にある。
距離は近いが桜井は奈良市同様戦争による被害を被っていないので、道は昔のままで区画整理されておらず、ちょっと迷いそうな感じもある。
ワシはGoogle Mapsを見ながら歩き神社まで到達した。

静謐という言葉がふさわしい境内周辺
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この神社は祈年祭山口社6社の1社で格式は高いと思うのじゃが、実際来てみると偉ぶった感じが全く無い、小さくて慎ましやかで質素で清潔感のある神社じゃ。
鳥居の左手には石板で出来た立派な由緒書きがある。

木材協同組合なんだから木製にすればいいのに…
って一瞬思ったけど、石のほうが耐久性あるからこれでいいか
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式内石寸山口神社
御祭神 大山祇神
大山祇神は伊弉冉尊(いざなみのみこと)の生み給うた山の神にして磐余の大地を守護せらる山の神水の神として御祭祀になり上古より朝野の崇敬厚く中にも当社は大和の六山口神社の一社に数えられ延喜式内の大社に列せられた
近代以来桜井木材業界繁栄の守護神としてその崇敬を高めている
桜井木材協同組合
奉賛会
なるほど確かに山口神の定義通りここ桜井、すなわち高見山地あるいは紀伊山地という「山の端」で木材関係業務守護の役割を立派に果たしていることが記されておる。
ちなみに桜井市は奈良県の中程に位置している人口5万2000人位の市で、主な産業は製材。
なーるほど。
と言うことは大山くんは大きく言えば桜井市全体を支える守護神ということになるなあ。
誠に立派じゃあ。
桜井市長・桜井市役所及び桜井市民は是を以て肝に命ずべし。
ちなみに参考情報じゃが、桜井市の他の産業としては、蜂蜜と三輪素麺。
蜂蜜はちょっとイメージないけど、三輪素麺はあんなにか細いのに普通の素麺と比べるとしっかりとした腰があって誠にうまい。
桜井ではその三輪素麺づくりの技を活かして細麺パスタなども作っていてこれまた美味い
で、三輪素麺といえば大神神社。
大神神社は桜井市内にある式内社じゃ。

さて石寸山口神社じゃ。
鳥居をくぐって石階段の参道を上がると本坪鈴以外には何も無い拝殿があり、その柱には「石寸山口山神社参拝方法」という掲示がある。
神社にはよくこのような「神社の参拝方法」というやつが貼ってあるが、どこのやつも神社庁かどっかから配布されていると思われる標準的な内容じゃ。
しかしここではわざわざ自分とこの社号を冠した表題にしとるということは、なにか特殊な参拝方法なのかもしれん。
確かに、以前どこだったかの神社で、正確な内容は忘れてしもうたが「三拝三拍手一拝」みたいな結構アクロバティックな参拝が必要なとこがあった。
これを間違えては、大山くんが中でムッとしてワシに軽く神罰を噛ましてくる可能性があるので慎重にその内容を確認した。

礼拝できるそのもの、その事自体にも感謝しようね、
って感じかな
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ふんふんなるほど。
基本的には標準フォーマット通りじゃが、前後に「軽く一例」というのが明記されとるのがちょっとした違いじゃな。
フォーマットと言うよりは気持ちの問題じゃろう。
さて礼拝の前にお賽銭を差し上げたいんじゃが、賽銭箱がない。
拝殿にはないし、塀の中にある本殿前にも見当たらん。
強いていうと、その塀に何故かポストが備わっとる。

本殿祠を囲む塀にある謎の住宅用ポスト
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人間の個人のお宅じゃあるまいし、なんでポストなんかあるんじゃろ?
まあ大山くん宛に郵便物が届くことが絶対ないかといえばそうとも言い切れんのでアレじゃけど、兎に角ポストが備えられとる。

母からの教えの1つに、
人んちのポストを勝手に開けてはいけない
ってのがあったようななかったような…
あとはピンポンダッシュもダメだとも
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もしかしてこれが賽銭箱としての機能を併せ持っとるのかと思って塀の中に入ってポストの裏蓋を開けてみようとしたが、なんか蓋がひしゃげとってうまく開かん。
これだと折角投入したお賽銭が日の目を見ん可能性も否定できんので、ワシは本殿(といっても祠オンリータイプの小さなものじゃ)前に直接100円お供えして、ここでのフォーマットどおりの流儀で無事参拝を済ませた。

祠オンリータイプの小さな社殿じゃけど
ちゃんとした作りで立派なものじゃなあ
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木材の神様だけあって周りは木に囲まれとる。
境内の広さ自体はそんなでもないが、それなりに立派な鎮守の森じゃ。
夏などは涼しくてここで過ごせば爽やかそうじゃ。


よし、では次の場所である等彌神社に移動じゃ。

プロジェクト "山神社"(99) 桜井駅近の大山くん(1)

職場の人間に昨日指摘されるまで今日が休みということを全く認識していなかった。
危ないところじゃった。
休みならば、休みなりの行動を取らねばならん。
地図を眺め、天気予報を見て観天望気をし、今の気分も含めて暫く考えた結果、ワシは大山くん(大山祇命)巡りをすることにした。
ワシが今住んどる奈良は流石に古都で、古墳を始め格式ある神社やお寺がそれこそ馬に食わすくらいうじゃうじゃ存在しとる。
しかし神社に関して言うと、奈良という悠久の歴史のためか歴代天皇の地元のためか何だろ、その御祭神はかなりの割合で最初の頃のメジャーな神様や天皇であり、地の神様とかがあまりいない印象じゃ。
メジャーな神様とか天皇、あるいは地の神様というのはワシが勝手に考えた根拠のないカテゴライズじゃが言いたいことはわかるじゃろう。
従って、大山くんの数は非常に少ない。
その中にあって、大山くん業界(なんてないけど、まあいいじゃないか)では間違いなく耳目を引く存在なのが社号に「山口」がつく幾つかの神社じゃ。
一般的には「大和国十四所山口神」と呼ばれとるようじゃ。
山口ってのは山の端っことか入口という意味らしく、山口が付いた神社の多くは山の麓にあるらしい。
何目的の神社(神様)かというと、神社を作るには木材が必要で、その木材そのものとか木材を育てる山を守るためということじゃ。
大和国十四所山口神については以前非常にかる~く調べて書いとるが、そこでは奈良県立図書情報館にあった神社台帳から拾った、
  • 生駒山口神社(生駒郡平群村:奈良県生駒郡平群町檪原5-1)
  • 都祁山口神社(山辺郡杣之内村:奈良県奈良市都祁小山戸町640)
  • 耳成山口神社(磯城郡耳成村:奈良県橿原市木原町490)
  • 石寸山口神社(磯城郡桜井町:奈良県桜井市谷502)
  • 長谷山口神社(磯城郡初瀬町:奈良県桜井市初瀬4593)
  • 忍坂山口神社(磯城郡桜井村:奈良県桜井市赤尾42)
  • 畝火山口神社(古市郡真菅村:奈良県橿原市大谷町157-1)
  • 當麻山口神社(北葛城郡當麻村:奈良県葛城市當麻1081)
  • 大坂山口神社(北葛城郡二上村:奈良県香芝市穴虫3140)
  • 大坂山口神社(北葛城郡下田村:奈良県香芝市逢坂5-831)
  • 巨勢山口神社(南葛城郡葛村: 奈良県御所市古瀬303)
  • 鴨山口神社(南葛城郡大?村:奈良県御所市櫛羅2428)
  • 吉野山口神社(吉野郡竜門村:奈良県吉野郡吉野町山口634)
を記載しとるが、Webの世界に存在する資料によってはカテゴライズと言うか数え方にちょっと違いがあったりする。
その中でも今んとこ「これがわかりやすいなあ」というのが、天地悠久というペンネームの人が書いとるかむながらのみちというブログの大和国の山口社 (改定2)というページの資料じゃ。
そこには、
【祈年祭山口社6社】
飛鳥山口坐神社
石寸山口神社(石寸山口神社・高田山口神社)
畝火山口神社
忍坂山口坐神社
長谷山口坐神社
耳成山口神社
【その他山口社8社】
夜支布山口神社
生駒山口神社
巨勢山口神社
鴨山口神社
當麻山口神社
逢坂山口神社(穴虫・逢坂)
吉野山口神社
都祁山口神社(天理市杣之内町・都祁小山戸町)
と記載されておる。
祈年祭とか延喜式内社とか詳しいことはワシにはわからんが、まあちょっと格式が高めな6社と、そこまでじゃないけどしかし立派みたいな8社ということかなあと思う。
この中でワシは既に都祁山口神社(2024年7月14日:杣之内町のほう)と耳成山口神社(2024年7月20日)に参拝してきた。
本日は、石寸山口神社(いわれやまぐちじんじゃ:奈良県桜井市谷502)と忍坂山口坐神社(おしさかやまぐちにますじんじゃ:奈良県桜井市赤尾42)に行き、ついでに遙拝所評論家の立場から、等彌神社(とみじんじゃ:奈良県桜井市桜井1176)の境内にある鳥見山霊畤 遥拝所(とみやまれいじようはいしょ)にも行って遥拝しようと思う。
遥拝対象がイマイチわからんが、現場に行けばなんかわかるじゃろう。

2025年4月27日日曜日

温泉に行かない日(555) 謎の竜王社と神作神社

この間の日曜、4月27日の早朝にワシはふと思い立って早朝メルくん(ワシの持ってる大事なロードバイク。Eddy Merckx EMX-3)を引いて出かけた。
以前から気になっていた神社が目的地じゃ。
その神社は竜王社(奈良県奈良市藤原町830)。
鎮座地の説明はテキストでは難しいので地図を見てくれろ。


奈良市街の東南側に広がる奈良盆地を形成する丘陵地の縁にある、神社というよりは祠という感じらしい。
甚兵衛池という池というか沼のほとりに建立されとる模様。
Google Mapsでのクチコミは今から6年前(2019年位?)の1件のみ。
引用すると、
鉢伏峠から奈良方面の鹿野園下る途中、宅布世神社辺りで峠道を外れ山中に通称甚兵衛池と呼ばれる池があり、池の北畔に小祠があって竜神を祀っている。瓦葺きの覆いが設けられ、正面に格子戸がついている。場所が場所だけにかろうじて神社というか祠の形態は保っているが、かなり古くなっている。
これ以降のクチコミは皆無。
どうってことない小さくて古びた祠があるだけらしいが、前から何か妙に気になっていて今日思い切って出かけてみたわけじゃ。
目的地は奈良県護国神社から一貫して上っていく舗装路を兎に角東にまっすぐ進んだところにあるんじゃが、メルくんを引いていったのはその結構な坂道を踏破(というか登破か)してやろうという野心によるものではまったくなく、行きの上りは引いていって帰りは下りをしゃ~っと降りていって気持ちよさを体感しつつ行程全体の時間短縮を狙うためじゃ。
膝が痛いので上りは無理じゃ。

奈良県護国神社をスタート地点として、鹿野園町まで歩く。
この道は山の辺の道を楽しむため何回も歩いとるので慣れたものじゃ。
普段山の辺の道を歩きに行くときは、鹿野園町集会所の少し先の四ツ角で左か右に曲がるんじゃが本日は直進。
此処から先は初めて進む道になる。
このまま兎に角どんどんまっすぐ山の方に進めば良くて、迷いようのない道じゃ。
途中に道路改修記念碑という古びた石碑があり、その周りにちょっと枯れかけてはいるけどまだきれいな藤の花が咲いていたので立ち止まって眺めていると、近くで何か作業していたおっちゃんがワシに声をかけてきた。
「どこまで行くんじゃ」
「えっと、ここからちょっと先に宅布世神社という神社があってそのへんまで」
宅布世神社(たくぶせじんじゃ:奈良県奈良市鉢伏町62)は春日系の神社じゃが、本日の目的地はその手前を南に入ったところにある。
「へえそうか。ここから宅布世神社まではちょうどいい距離なんで、ワシ毎朝散歩しとる。で、その後は?」
「はい、実はその宅布世神社のちょっと手前に南に入る道があって、その先に竜王社っていう祠があるんでそこに行ってみようかなと。ご存知ですか?」
「ん~、ああ、あるな。名前は竜王社かどうかはわからんが池のとこに確か祠がある。でも多分行けんと思うよ。道荒れてるから」
「そうなんですか。あと、その南に折れる道がある辺りにカミサクジンジャ?カミツクリジンジャ?って呼ぶんですかね、神が作る神社と書く神社があるみたいで、そこにも参拝したいんですが」
これはGoogle Mapsには乗っていなかった神社で(帰宅後申請して現在は表示されてます)、これまた正確な道が載っていないGoogle Maps情報を補完するために使っているゼンリンのいつもNAVIという地図サイトで見つけた神社じゃ。
「そんなのあったかなあ。うーん、ああ何かあったような…。だけど多分見えないと思うよ」


うーんそうか。
地元の人がそう言うくらいなら今日はちょっとダメかもしれんなあ。
「いい自転車に乗ってるな。電動かい?」
電動な訳が無い(が、電動だったらいいなあとは思うことはある)。
「いや。普通の自転車です」
「この道はクルマが殆ど走らんから、競輪選手が良く練習に来るんじゃ」
「へえ、そうなんですね」
「で、ちょっと先にあるすごくきつい坂は流石に降りるじゃろ、って聞いたら、いや、僕らはどんな坂でも絶対足つかないようにしてるんです、って言ってたな。あんたはどうだ」
そのような変態行為をワシがするわけがない。
「見ての通り、上り坂は自転車引いて進む主義なんです」
その返事を聞くとおっちゃんはワシを少しケーベツしたような眼差しで一瞥し、
「まあ気をつけて行ってな」
と声をかけて作業に戻っていった。

その先は神作神社まで特にイベント性のある出来事があったり、興味深い人物が登場することもなかった。

オレは乗るためにあるんだようと
少し悲しげに見えるメルくん
すまん、帰りはしゃ~っと行くからね
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ずんずん歩いていくと道の左手に白っぽい建物が出てきて、これは青蛾窯(奈良県奈良市鉢伏町58)というやってるか廃業してるかよくわからん陶芸関係かなにかの建物。
この青蛾窯の斜向かいに神作神社があるはず。
しかしどうせここまで来たのならと、少し先にある宅布世神社に参拝することにした。
赤い祠のみの神社で、境内の灯籠などには春日社と刻まれとるから春日系の神社で、もしかしたら春日大社と関係あるかもしれない。

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山の中にあるのにきれいに維持されとる神社じゃった。

参拝を終えていよいよ神作神社の探索じゃ。
探索と言っても、神社のある辺りには竹藪に囲まれた人家があってクルマも停まっており、踏み込むのも憚れる。
踏み込むどころか写真を撮るのも憚れる雰囲気じゃ。
写真を撮るどころか、目視でジロジロ観察するのもちょっとやばいかも知れん。
従って充分な探索は出来ず、結果としては発見できなんだ。
ワシを一瞥したおっちゃんの1つ目の予言は的中した。

まあ仕方ない。
では本日のメインである竜王社を目指そう。
神作神社があるはずの竹藪を左に眺めながら簡易コンクリ舗装の道をほんの少し下るとこんな様子になっとる。

© ill-health(ruephas) 2025

あー、こりゃダメだ。
倒れた竹が折り重なるように道を塞いどる。
でもまだ諦めてはダメじゃ。
諦めたら試合終了じゃ。
遠目に見てダメに見えても、近くに行って良く観察すれば突破口が見いだせるかもしれん。

© ill-health(ruephas) 2025

あかん。
これはあかん。
無理じゃ。
撃沈。
やめとこう。

いや実は、頑張ればもしかして行けたかもしれん。
しかし、本日はメルくんがお供じゃ。
メルくんをこの辺に放置して進めばもしかしたら行けたかもしれんが、やはりそれは出来ん。
盗難に合う確率は殆どないとは思うが万が一ということもある。
今日はやめとこう。
ワシは竜王社をあっさり諦めてメルくんに跨がり、下り坂をしゃ~っと気持ちよく下って行ったのじゃった。
途中、奈良盆地を見渡せるビューポイントを見つけた。
その風景がこれじゃ。
本日はまあ、これが一番の収穫かなあ。

© ill-health(ruephas) 2025

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2025年4月20日日曜日

ゆららの湯 奈良店(1)

昨日の日曜日はメルくん(EDDY MERCKX)に乗って南に下って大和川まで行き、その後返す刀で平城京まで走って帰宅した。
まるで初夏のような、もっと言えばワシが小学生の頃の盛夏の気温で28℃。
運動して汗みずくになったのは今年初めてじゃが、まあまあ良いポタリング日和じゃった。
翌日の今日は天気予報によればもしかして弱い雨が降るかもということじゃったので、自転車とかウォーキングはやめておいて温泉銭湯に行こうと鼻から決めとった。
午後は現在広島に2連敗中の阪神をABCテレビ越しに応援せねばいかんので(結果は快勝。伊原よくやった)、先週のように例えば十津川とかみたいな遠出は出来ん。
風呂も含めて午前中にすべて終わらせんといかんので、選んだのは早朝7時からやっとるゆららの湯 奈良店(ゆららのゆ ならてん:奈良県奈良市八条5-351-1:0742-30-1126:¥850:電話番号いいふろじゃよ:7:00~0:00:駐車場潤沢)じゃ。

基本的にワシはこのような類のスーパー銭湯は好きではない。
以前から人があまりいない温泉旅館の日帰り可能な温泉や、街なかにある銭湯が好きで、トシを食うに従いその傾向が強くなってきとる。
じゃから片道100km以上もある距離を走って十津川まで出かけるわけじゃけど、だからといってスーパー銭湯は完全にお断り、ということでは決してなく、地元浜松だと例えば和合の湯(静岡県浜松市中区和合町1146:053-482-8888)とかはまあまあ好きで何回も通ったものじゃ。

今朝7時過ぎ、ワシはまっ黄っ黄のスイスポくんに乗り込んでゆららの湯に向かい、早朝のためもあって20分もかからず到着。
営業開始時刻から30分も経っとらんのに250台入る駐車場は既に7割方は埋まっとる。
それを見たワシは正直げんなりした。
かなり前じゃが、静岡県島田市にある伊太和里の湯というスーパー銭湯に行った時はほぼ満車になっとる駐車場の様子をひと目見ただけで嫌になり、そのまま踵を返して帰ってしまったこともある。
愛知県にある本宮の湯(愛知県豊川市上長山町本宮下1番地1685:0533-92-1880:¥610:10:00~22:00:定休水曜:馬鹿でかい駐車場完備)に行った時はその馬鹿でかい駐車場がもういっぱいでクルマを止めるまでちょっと時間がかかるくらいじゃった。
意を決めて中に入ってみたが浴室内も非常に込み合っておりノーギミックな浴槽もいっぱいでやんなったこともある。
だがしかし今回はまだ7割じゃ。
まだマシじゃ。
よし入ろう。
まだ新しい施設なのか非常に清潔感があって、高級感とまでは言わんけど全体にシックな感じの色調で貧乏くさい雰囲気は皆無。
下駄箱に靴を入れ、券売機で入浴券910円(休日料金)を購入し受付に渡して脱衣室に入る。
ロッカーはノーコイン式で、駐車場と違ってこっちはぱっとみた感じ半分も埋まっとらん。
脱衣して広い浴室に入るとなかなか広く、入浴客も結構いたが広さにも助けられてか込み合っとるという印象は薄い。
これならば大丈夫じゃろう。
出入り口のあたりにちゃんとかけ湯のコーナーが有る。
かけ湯をしながら感じたのは浴室内にこもる結構強めの塩素臭じゃが、これはまあ仕方ない。
レジオネラでお☆さまになってしまうことを思えば我慢できる。
残念ながら全くギミックのない浴槽は内湯にはなく、ワシはまず最初にバブル浴槽のバブルが出ていないところに入った。
浴槽の底にお尻をつけるのではなく、浴槽の中にある腰掛け部分に腰を下ろす方式でやや深め。
それぞれ一長一短あり、その日の気分に寄るところもあるが、今回の場合はお尻をベタッと底につけて足を投げ出したい気分じゃった。
お湯に浸かりながら浴室内を眺めると結構多様な浴槽が用意されていてこれはまさにスーパー銭湯の醍醐味じゃろう。
ジェット浴・電気風呂・ジャグジー・ミストサウナ・麦飯石や遠赤外線のサウナ・炭酸泉など一通り揃っとる。
中でも人気なのは炭酸泉で、ここだけは常に人がいっぱい入っとる。
オイルサーディン状態にすれば15〜6人は入れそうな大きさの浴槽に常時10人くらいは入っとる。
あからさまな泡は見えず、炭酸をお湯にしっかり溶け込ませるタイプなようで効き目がありそうじゃ。

こちらはちょっと付け入る隙がないので次回に回すことにしてワシは外に出てみた。
ここには街なかのスーパー銭湯では珍しく天然温泉があるとの情報を事前に得ておってそれが目的じゃ。
天然温泉なのは露天風呂で、見ればその色目は確かに薄い黄土色で、浴槽の底が見えない程度。
当然掛け流しではなくて循環じゃろうが屋外ということもあってか塩素臭は皆無。
これはいい。
浴槽の場所を選べばお尻を底にベタッとつけて肩までお湯に浸かることが出来る。
何故だかわからぬがこの露天温泉浴槽(天然湧出温泉 朱雀の湯、と称している)は人気がなく、まあまあ大きめの岩風呂に数人しか入っとらん。
しかしワシにとってはそれは好都合じゃ。
温度はそうだな~、43~4℃位でワシ的にはやや熱いが屋外なのでゆだってくれば浴槽を出て涼むことが出来るのがありがたい。
ここのスーパー銭湯はもうこの温泉だけを目的にしてもいいと思う。
系列店のゆららの湯 押熊店(ゆららのゆ おしくまてん:奈良県奈良市押熊町2147-1:0742-40-1126:¥850:電話番号いいふろじゃよ:9:00~0:00:駐車場潤沢)も天然湧出温泉を売りにしているようじゃが、奈良の郊外でこんなにじゃんじゃか温泉が湧出することはないと思うのでまあ多分どっかからのローリーだとは思うけど、輸送費を払ってでも温泉を味合わせようという気持ちはありがたいと思う。

基本はやはり冒頭書いた通り、鄙びた温泉旅館の日帰り入浴を楽しんだり街なかの銭湯に入ったりということにはなるが、今日のように時間が限られているとか、遠くまで出かける元気がない時などはうまく使ってみようと思えたスーパー銭湯じゃ。
あともう少し安ければとは思うが、この物価高だし温泉を運んでくれとることを思えばまあこれくらいは致し方ないじゃろうなあ。
ちなみに結局、他の浴槽には一切入らないまま今日は帰ったが、次回は電気風呂以外の浴槽はすべて入ってみようと思う。
あ、あと、温泉の販売もしとるようじゃったから、自宅の浴槽事情が許せば買って帰るのも一興かもしれんな。



温泉銭湯コスパ算出表
泉質ポイント
2.0
風情ポイント
1.5
やぎさんポイント
0.0
入浴料
910
温泉コスパ
0.4

2025年4月13日日曜日

十津川温泉 庵の湯(1)

この週末は土曜が晴れ、日曜が雨という予報じゃったから、土曜はウォーキングで日曜は引き篭もるか温泉銭湯に行こうと金曜の夜から決めとった。
いつも歩くのは山の辺の道ばかりじゃけど、昨日の土曜日は少し趣向を変えてアパートからJR郡山駅まで気分良く歩いてきた。
大変よい天気で、もう今シーズン最後だと思われる桜を眺めながら岩井川の辺をてくてく歩いた。
で、本日の日曜は朝早く起きれたら遠方の温泉、寝坊したら引き篭もろうと決めておったがうまいこと6時過ぎに起床したので、ワシは素早く歯を磨き素早く顔を洗い素早く準備をして素早くまっ黄っ黄のスイスポくんに乗り込み、雨の中素早く発車させた。
目標は、十津川温泉 庵の湯(とつかわおんせんいおりのゆ:奈良県吉野郡十津川村平谷:0746-64-1100:¥600:8:30~20:00:駐車場は道挟んで向かい側の町営駐車場でデフォルトで30分無料+温泉利用者は1時間の無料券あり)じゃ。
十津川方面は、昨年12月に久方ぶりに湯泉地温泉 滝の湯に行ってそのお湯を堪能してきたがそれ以来。
今日狙う十津川温泉 庵の湯は、湯泉地温泉 滝の湯より更に10km程先にある。
アパートを出て100km以上、時間にして2時間30分とまあまあの遠方。
温泉建屋の道挟んで向かい側にある村営駐車場に車を停めて、温泉建屋に入ろうとするとなんと、今日日とても珍しい飲泉場があるではないか。
これは泉質と衛生管理にかなり自信がないと出来ない技じゃ。
よし、飲泉は後にしてまずは兎に角入浴じゃ。
温泉は階段を降りていった十津川(地名ではなく川の名称じゃよ)の畔にある。
階段を降りきると券売機と、ここにもまた飲泉場がある。
この温泉は体に良いから兎に角飲め、いいから飲めという姿勢が鮮明じゃ。
しかし飲むのは後じゃ。
券売機で入浴券を購入し、係員さん(というか多分町民ボランティアさん?)に渡すと、
「男湯は左側です。リターン式のコインロッカーがあるのでお使いください」
とご丁寧な説明を頂いた。
脱衣室に入って下駄箱を見ると、を!
靴がない!
よおし、こりゃいいぞ。
貸し切りだ。
ワシは極めて素早く脱衣を済ませるとiPhoneを持って一通り浴室の写真を撮り、カバンとiPhoneとApple Watchをロッカーに仕舞って改めて正式に浴室に入った。
内湯のみで四角くて大きな浴槽。
最大15人ベスト4人という感じ。
端から滔々と源泉が注ぎ込まれており、反対側から同じ量のお湯が掛け流されておる。
浴室の十津川側はこれまたとても大きい窓になっていて、たいへんいい景色じゃ。
まだ散りきっていない桜も眺めることができる。
充分にかかり湯をして早速浴槽に入る。
ワシ的には僅かに熱く感じるお湯で43℃くらいかな。
ちょっと熱いけど幸いなことに窓はフィックスではなく開けられるので、涼しい風を浴室に入れながら入浴できる。
そのへん、他に入浴客がいると遠慮してなかなか出来ないが貸し切りならば遠慮は無用。
肩までしっかり浸かり耳を澄ますと聞こえるのは、浴槽に流れ込む源泉の音と、鶯の鳴き声のみで他の音は皆無。
誠に素晴らしい。
浴槽は木製で、深さはちゃんと座ると肩に届くか届かないかくらいのちょうどよい深さ。
泉質は無色だけど仄かに温泉の香りが感じられる。
源泉掛け流しじゃから、当然塩素臭は皆無。
ぬるつるのローション的美人の湯系統。
ぬるつる度は前回行った湯泉地温泉 滝の湯のほうが強かったがそれでも全く充分で、この手の泉質の温泉に初めて入った女子なら「いや〜ん!もう全身ローション♡♪」とヒイヒイ言うのは間違いないと思われるレベルじゃ。
デカい浴槽を独占する時間を30分堪能し、満足してワシは浴室を出た。

なかなか引かない汗を手ぬぐいで拭いながら建屋を出てワシは飲泉場に行き、コップにたっぷり温泉を満たして一気飲みした。
味はすまん、温泉の味としか言いようがないが、不味いとか飲めんと言うことはまったくなく、丸い味。
この温泉でおかゆを炊きたいなと思わせるような滋味に溢れる味と言っておこう。

誇らしげに「元祖 源泉かけ流し温泉」
と標榜するサイン
へえ、元祖なんだ
しかしさすが元祖と思わせる掛け流しっぷりじゃ
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温泉銭湯コスパ算出表
泉質ポイント
3.0
風情ポイント
3.0
やぎさんポイント
0.0
入浴料
600
温泉コスパ
1.0

2025年4月6日日曜日

薬師湯殿(1)

今朝起床した時から理由はわからんが今日こそは温泉銭湯に行きたい気分で、コーヒー淹れて歯を磨いて、奈良近辺の温泉銭湯を調べとった。
吉野方面にある宿泊施設系の日帰り温泉に行きたい気分が結構強かったけど、今は桜の時期。
吉野といえば桜。
桜の名所といえば人が多い。
人が多い場所はワシは嫌い。
吉野は来週以降にすると決めて、近場でいいところはないかとしつこく探した結果、目星をつけたのは薬師湯殿(やくしゆどの:奈良県奈良市中町3879:0742-48-3077:¥600:10:30~19:00:ポイントカードあり♪:駐車場潤沢)じゃった。
奈良の名刹、霊山寺境内にある日帰り施設じゃ。
お寺の境内にある風呂の知識はあまりなくて、知っている限りでは一畑山薬師寺 御霊泉(いちはたさんやくしじごれいせん:愛知県岡崎市藤川町王子ケ入12-44:0564-48-7112:ご祈祷付きで¥1500:平日10:15~16:15・土日祝10:00~16:15:駐車場あり)ぐらいしかなく、寺の風呂ってどうしてもイメージとして辛気臭そうというのがあって行ったことはなかった。
実は今回ここに決めたのポイントは風呂そのものではなくて、神社探索してるときに腰抜け地蔵という非常に興味が惹かれる名前の地蔵があって、その近くにある風呂だったということ。
腰抜け地蔵参りのついでに薬師湯殿でひとっ風呂浴びるかという程度。
奈良市内なので近いといえば近い。
ワシはスイスポくんに乗り込んでカーナビにポイントを設定し走り始めた。
場所的には奈良の人に言わせれば富雄というエリアで、生駒山の少し東側。
ワシのアパートからは30分くらい。
渋滞もなく、お風呂が始まる10時30分ちょっと過ぎに到着。
非常に立派なお寺だけど時間がまだ早いせいか広い駐車場には数台しかクルマがなく、あまり混雑はしていなさそうでありがたい。
駐車場の受付で入浴料を払うとロッカーキーが渡される。
それを手に薬師湯殿の建物へ入る。
予想通り人はおらず、お風呂の建物自体は辛気臭い雰囲気はゼロ。
靴を脱いで脱衣室に入ると、その辺の下手なスー銭より清潔感あふれるスペースでやはり辛気臭さはゼロ。
浴室に入ると先客は1人だけ。
黙って身動ぎもしないでお湯に浸かっとる。
浴槽は狭くはないけどとても広いというわけでもなく、最大12人、ベスト4人という感じ。
敢えて、じゃと思うけど浴室内の照明は仄暗く設定されていて落ち着いた雰囲気。
シャワーは7基で、ワシはその1つを使って体を清め、手桶で浴槽のお湯にかかってから浴槽に入った。
浴槽のへりの下に腰掛けられる段差があるのでそこに足をかけて入ろうとしたらちょっと滑りかけた。
ここは温泉ではないが名前の通り薬草風呂で、お湯には漢方の薬草が入った袋がプカプカ浮かんどる。

こういった薬草たちが入っています
漢方かな?
© ill-health(ruephas) 2025

その成分のせいで滑りそうになったんじゃろう。
入った時はちょっと熱いかなと思ったが、肩まで浸かるとそうでもなくまあまあ適温。
浴槽の深さはちょうどよくて、完全にお尻を下ろすと顎にお湯が浸かるくらい。
水が良いのか薬草成分が効いているのかお湯は柔らかい感じになっていて、もちろん薬草の香りもほのかに感じられる。
浴槽の奥は大きな窓ガラスになっていてその借景は竹林。
開放感があるかと言われればまあないけど、言葉はわからんけど静謐感というか、そんな感じがあって、仄暗い雰囲気とあいまって気持ちが落ち着く。
ワシが入ってすぐに先客は出ていき、その後はワシの貸し切り。
素直に嬉しい。
4〜50分ほど薬湯を楽しんでワシは満足した。
一言だけ言うとすれば、塩素がちょっと強すぎるかな。
せっかくの薬草の香りが打ち消されてしまう。
いろんな基準とか、運営側のビビリとかは理解できるけどもう少し研究して、もう少し塩素を抑えてくれればもっといい浴室になるのになあ。
それ以外は満足。
ここ穴場ですぜ。

あ、あと、そもそもの目的であった腰抜け地蔵、霊山寺の拝観料が必要とのことで今回はパス。
話を伺った霊山寺受付の人は「いやあ、行ったことないなあ腰抜けさん。なんか境内でも切り離された感じなんですよねえ」などとおっしゃっていた。
冷遇されているのかもしれん。
すまん、腰抜けさん。
近い内にいってお参りするからそれまで待っていてくれろ。



温泉銭湯コスパ算出表
泉質ポイント
2.5
風情ポイント
2.5
やぎさんポイント
0.0
入浴料
600
温泉コスパ
0.4