2025年5月6日火曜日

温泉に行かない日(557) 角打ち放浪記

今回も前段が無駄に長くて核心部分は少しだけという内容の薄さじゃから覚悟してくれ。

ワシは小学校に上る前まで岐阜市の真砂町というところに住んどった。
このへんじゃな。


いやあ、当時は全く意識してなかったがなんかやたらに細長い区画じゃなあ。
まあそれはいいとして、その真砂町に親父が勤めとった㈱西濃運輸 岐阜支店の建物があって、ワシら親子はその中にあった社宅に住んどった(今はない)。
親父はもう既にあっちの世界に行っちゃったから、勤めていた会社の名前を出しても別に構わんじゃろう。
もう55年近くも前のことじゃからあまり鮮明な記憶はないけれど、近くにあった銭湯に行ったり、やっぱり近くにあった山勝百貨店(ここはなんとあの岐阜パルコの前身である地方デパート。どうでもいいがワシは後年その岐阜パルコで偶然鳥山明に出会って直筆サインを貰った事あり)に母親と行って地下にあったラーメン屋でラーメン食べたり、その山勝百貨店に行く途中で迷子になって警察を交えた大騒ぎになったり(ワシが成人してから母親から聞いた。結局泣きもせず自力で社宅まで戻ってきたとのこと)、両親に連れられてパチ屋にいって床に転がっていたパチンコ玉を拾い集めたり、通っていたこばと幼稚園の通園バスに乗ったり(今調べてみたらまだあるぞ!〒500-8323 岐阜県岐阜市鹿島町4-15)というような断片的な記憶は残っとる。
この辺のことについては既に書いとる通りじゃ。
他にも記憶はあって、それは親父に連れられて呑み屋さんに行ったこと。
呑み屋と言っても居酒屋とかではなくて、酒屋の店内で呑むというスタイル。
酒屋なので店の中にはいろんな酒が基本小売目的で並んでおり、店の一部のスペースを利用して買った酒をその場で呑めるという感じ。
いわゆる「角打ち(かくうち)」というやつじゃな。
親父の勤務先の人とか近所の人が寄り集まって皆で楽しそうに呑んどったなあ。

この角打ちという言葉自体は2〜30年前に知ったと思うんじゃけど、改めて意味を確認するとこんな具合じゃ。
角打ちの由来については諸説ありますが、「四角い形をした升の角から直接酒を飲んだことが由来」という説が有力です。
日本酒は今でこそ瓶や紙パックで販売されていることがほとんどですが、以前は樽に入った日本酒を、升を用いて量り売りしていました。そんな中、買った酒をその場で飲みたい人々が買った酒を升から飲むように。
そういった背景から、最初は「升の角から日本酒を飲む」という意味であった言葉が、いつしか酒屋で酒を飲むことそのものを指す言葉へと変化していったのです。
このスタイルは最近減ってきたように思う。
食品衛生法関係の規制が強化されたかららしい。
1990年代後半頃じゃったけど、転職して京都から浜松に移り住んで暫く経った頃、どうにもこうにも果てしなく仕事がつまんなくなってきて、落ち着くために浜松市天竜区にある「くんま水車の里(静岡県浜松市天竜区熊1976-1)の近くの宿泊施設(施設名忘れた:現 熊ふれあいセンター:静岡県浜松市天竜区熊1977-2)に1人で泊まりに行ったことがある。
だけど流石に夕方になって酒呑みたくなったんで、近くに呑み屋とか最悪酒屋がないか探してみたら1軒酒屋っぽいのがあったんで入ってみた。
声を掛けるとおばあさんが出てきたので話を聞いてみたらここは既に廃業しているとのこと。
店内の一角がなんかカウンターっぽくなっていたのでワシは、
「もしかしてここ昔は角打ちしてたんじゃないですか」
って聞いたらやっぱりやってたそうで、当時は大変繁盛してたらしい。
なんでやめたか聞いたら、住む人が減ってきたのと、やはり保健所の指導が厳しくなったからとのことじゃった。
全く馬鹿な話じゃ。
衛生的に管理されているはずの飲食店で食中毒になったりとかのニュースは普通に聞くし、挙句の果てには最近じゃネズミが味噌汁に入っていたなんてこともあるが、角打ちで食中毒にかかったなんてついぞ聞いたことないのに。

話を戻す。
その真砂町近くの角打ちでは店内でモツ味噌煮の串にさしたやつが売っとって、それをつまみに皆楽しそうに呑んどった。
もちろん他にも乾き物や缶詰などもあった。
ワシも串にさしたモツを親父から一切れ貰ったりして美味しく食べたものじゃ。
それ以来、ガチな角打ちには多分行ったことはない。

先日5月4日の日曜日、ワシは思い立って兵庫県尼崎市にある尼崎中央三丁目商店街というところに行ってきた。
目的は勿論、あの例の日本一早い阪神のマジックナンバーを見物するためじゃ。
これは阪神甲子園球場、今年鳴尾浜から移転した阪神二軍新拠点であるゼロカーボンベースボールパーク、JR北陸本線虎姫駅と並んで阪神ファンならばかならず訪れるべき聖地じゃ。
甲子園はもちろん虎姫駅にも随分前に訪問したが尼崎の方にはまだ参っておらん。
いかねばならんから行ってみた。
阪神の尼崎駅は近鉄と相互乗り入れしとるから近鉄奈良からは乗り換え無しで行けて便利じゃ。
駅について電車を降り、北口にある(尼崎のイメージからすると随分)お洒落な中央公園を西に抜けてすぐに商店街の入口はある。
商店街左右に並んどる店を眺めながら歩くと、前方上方に「114」と光り輝くものが見えてきた。
ああ、あれじゃろう。

タイガータイガー、めでタイガー!
随分陽気じゃ
© ill-health(ruephas) 2025

関西エリアニュースなどで「尼崎商店街名物の阪神マジックボードの表示がアナログからデジタル電光式に改良された」という情報は得ておったがまさにその通りじゃ。
その上、何とあろうことかそれは商店街アーケード屋根に設置されたレールみたいなやつにぶら下がっていて、阪神タイガースの歌(通称「六甲おろし」じゃが正式名は違うからね)をBGMにして電気仕掛けで往復しとるではないか(もしかして以前からそうじゃったかもしれんが、実物を見るまでは通路においてあるという先入観しかなかった)。


更に驚いたことに、このオブジェクトを面白がって見とるのはワシだけであって、他の地元民の皆さんは全員、残らず全員じゃよ、天井の10mくらいの距離をただ往復し続けるそのオブジェクトになんの興味もないらしく歯牙にもかけとらん。
もうすっかり商店街の日常で、そんなの見てもなんの興味もないようにお見受けした。
これ例えば奈良の東向商店街あたりでやったら外人客中心に結構な騒ぎになること必定なんじゃがなあ。

で、無事マジックボード参りを済ませたワシは腹が減っとることに気づいた。
時間は11時前じゃが、どうせ尼崎に来たのなら尼崎らしい場所で食べたい。
可能なら酒も呑みたい。
この時間からやっている酒も呑める場所はないか探索した結果、下山酒店(兵庫県尼崎市神田南通1-3:06-6411-2362:10:00〜20:00:定休月曜)を発見した。
屋号の通り、ここは基本酒屋じゃ。
酒屋じゃがしかし、その場で呑める。
つまり、角打ちじゃ。
実質的に人生始めての角打ちじゃ。

店先の様子
白く清潔そうな暖簾が印象的
早く呑みたかったのでガチャの内容は未確認
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白いサッポロビールの暖簾の下から店内を覗くと、既に何組かの客がカウンターの前に立って呑んだり食ったりしとるのがわかる。
店員さんは3人で、いずれもその表情は穏やかそうじゃ。
中に入り、早速ビールを注文する。
ビールはサッポロの赤星大瓶、いいじゃないか。
つまみはカウンターの前にある冷蔵ケース(寿司屋みたいなやつね)の中とかその上に乗せてあるものから選べる。
ワシはマグロのお作り、マグロのねぎま、ハムカツ、厚切りのローストビーフみたいなやつを注文してビールを呑み、ビールがなくなると日本酒を頼み、周りの客の会話を聞きながら、店員さんの様子を眺めながらゆっくり呑んだ。

厚切りのローストビーフみたいなやつ
この料理の名前何だっけな〜
すごく日本っぽい名前だったけど、う〜ん
ポン酢を掛けてさっぱりいただきます
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食べ物は全て安い。
酒も酒屋直営じゃから安い。
そして、地元の人が通う店によくあるアウェー感はほぼない。
店員さんたちの対応が柔らかいのと、いい意味でお客さんが他のお客のことを変に構わないというか、そんな感じで放っておいてくれる雰囲気じゃからじゃろう。
いい店じゃ。

うーん、しかしここはなんだろ、酒屋自体は同じ建物の隣のスペースにあるが、呑めるスペースは酒屋スペースからは独立しとる。
そういう意味では正式な角打ちではないかもしれないんだけど、そんなこたぁどうでもいい。
物理的に酒屋とつながっとるから角打ちでいいんじゃここは。
酒も安いし。
時間が経過し昼近くになるとお客さんが増えて、カウンターはほぼ満席になってきた。
ワシはこのへんで御暇することにしてお金を払って店を出た。
2000円しなかったような記憶じゃ。

いいなあ尼崎。
いいなあ尼崎の角打ち。
甲子園にも神戸にも大阪にも近いし、安いスーパーや美味しくて手頃な呑み屋も多いし。
ちょっと住みたいと思ってしまったなあ。

2025年5月5日月曜日

温泉に行かない日(557) Google Mapsに道を追加する

今回はいつも通り長い割にいつもにも増して意味がない投稿じゃ。

昨年6月から7月にかけて、ワシはふと思い立って山の辺の道を北から南に向かって歩いて踏破した
この場合、日本語的には「歩いて」は余分かもしれんが兎に角踏破した。
まあ踏破と言っても「南極大陸を踏破した」「サハラ砂漠を踏破した」とか言うのと比べりゃ全然レベルが違って(勿論低い方なので)楽ちんなもんで、比較的平坦で歩きやすい道をトコトコ歩いただけじゃから誰でもできることじゃ。
山の辺の道は一部を除いて道標がしっかり設置されとるので、地図なしでも基本踏破できるとは思うが、何ヶ所か道標がない分かれ道があってどっちに進めばいいか迷うことがあった。
また、道標通りに進んで確かに小道は存在してるんじゃけど暫く次の道標がなく、「ほんとにこの道でいいんじゃろか?」と不安を感じる時はある。
そんな時はiPhoneをケツポケットから引っ張り出して現在地と道の確認をしようとするんじゃが、(同じ言葉が繰り返しになって誠に恐縮じゃが)そんな時に限ってGoogle Maps上に道が存在しないんじゃなあ。
なんでそんなことになるかというと、随分前に(多分2019年くらい)Google Mapsが地図ソースとして使っていたゼンリン地図を使わなくなってしまったからだと思われる。
以前はベースがゼンリンじゃったから道路のカバー率が高くて便利じゃったけど、Googleがゼンリンを捨てた以降は地図情報の量と質がストンと落ちてしまったのは実感としてある。
例えば、奈良県奈良市虚空蔵町46にある弘仁寺のあたりからワシは道に迷ったというか間違えたんじゃが、そこのあたりの地図はこんな感じじゃ。

[1]

ワシは下の方にある上下逆の丁字路のあたりに向けて歩いて行ったんじゃが道が記載されていない[1]
更にその途中分かれ道があったりしてそこでも間違えて墓地に至って行き止まりになったりした。
一方、ゼンリンが運営しとるいつもNAVIではどうかというとこうじゃ。

Copyright(C) 2003-2025 ZENRIN DataCom CO.,LTD.
All Rights Reserved.

いつもNAVIにはGoogle Mapsのような地図の埋め込み機能が提供されとらんので、すまんが著作権表示したうえでキャプチャを載せた。
両者を比較すれば一目瞭然。
Google Mapsには存在しない弘仁寺付近から南に伸びる道がちゃんと表示されとるし、それだけではなくワシが間違えて入った墓地に至るかなり細い道(途中から「へ」の字状に南東方向に伸びて行き止まりになっとる道)さえ表示されとる。
また更に良く見ると、道路の物理的は太さ(幅員)もほぼ現状通りに再現されとることがわかる。
このように道路情報はゼンリンのほうが圧倒的じゃ。

また、地図をクリックするとどんな仕組みかはわからんがその地点の住所を表示するという便利機能も備わっとる(これ意外に便利)。
ルート検索もGoogle Mapsに比べれば、徒歩ルートにしてもクルマのルートにしても正確というか現実性のある結果という印象もある。
これは恐らく、上記の通り道路幅員とか施設の出入口情報などかなり詳細なためだと思われる。
スマートデバイス版のGoogle Mapsをカーナビとして使うととんでもない道を案内されるという話があるが、Google Mapsは詳細情報を持っていないためじゃろうと思う。
ただ、道路情報が詳しかったり住所を表示してくれるのはいいんじゃが、ポイントの検索能力とか住所表示以外の便利機能は、これはもう圧倒的にGoogle Mapsの方が強い。
例えば「弘仁寺」を検索するとGoogle Mapsでは現在位置とか過去の履歴なんかを参考にしとるんじゃろうけど最寄りの奈良のやつが一発でヒットするが、いつもNAVIの方は検索すると全国の弘仁寺が何ヶ所も表示されてその中から更に探す必要がある。
これ地味に不便。
マイナーなポイントじゃと検索さえできないことも普通にある。

地図にあるのに検索できない一例
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All Rights Reserved.



ナビゲーション機能について言うと、いつもNAVIのルーティングそのものはGoogle Mapsより正確かもしれんが、ナビゲーションの利用は有償サービスじゃ。

その他Google MapsではMy Mapsサービス(自分で自由にポイントやルート、図形などを登録して自分専用の地図を作るサービスで、公開非公開も選択できる)やhtmlを使った地図の埋め込み機能などの便利機能が充実しとるし、My MapsではなくてGoogle Mapsそのものに未記載のポイントや道を追加したりできる。
いつもNAVIの方はポイントや道路の登録は現実的にはかなり難しい仕様じゃ[2]
ちなみにGoogle MapsのナビゲーションやMy Mapsなど殆どのサービスは広告を見ることもなくすべて無料で使用できる(が、まあ一定の量の個人情報は犠牲にしとるんじゃろうけど)。

こういったことなので、山の辺の道踏破以降はポイントはGoogle Mapsで検索して、更に詳しい道を確認したい場合にはいつもNAVIを使うというように使い分けをしとる。

まあ何だかんだとうだうだ書いたが最終的に何が言いたいかというと、最近の趣味は「Google Mapsに記載のない道を追加することです」ということじゃ。
Google Mapsの正確性を向上させようとか、ワシと同じように道に迷う子羊たちを減らそうとかそんな高尚な思惑なんぞは一切なく、ただ単純に楽しい時間つぶしじゃからということじゃ。
今のところ3本の道を登録済みじゃが、例えばこれじゃ。


右上の奈良射場から左下の山の辺の道 道標というあたりまで緑色の破線が伸びとるが、これはワシが登録した道じゃ。
ついでに言えば、その「山の辺の道 道標」というのもワシが登録したポイントじゃ。
このように、こういっちゃなんじゃが地図情報(特に道路情報)が貧弱なGoogle Mapsに道を登録したりポイントを登録したり、登録された情報の誤りを訂正したりというのはまあまあいい趣味じゃと思うんじゃがどうかなあ。
まあ、冒頭書いた通りどうでもいい話じゃった。
すまんな謝るワイ。

[1]
2025年5月6日追記。
このポストは2025年5月5日にしていますが、その時点ではこの地図に緑色の破線(私が登録した道ですね)はありませんでした。
その後、申請していた道路の登録が終わったため現在はその道が表示されています。

[2]
いつもNAVIのヘルプページを読むと、ポイントの新規登録や上方修正についてはまずゼンリンの地図表記ページ経由で申請を行い、ゼンリンでの現地調査でその申請情報の正確性を確認し、正しいと判明したらそれがまずゼンリン住宅地図に記載され、それがいつもNAVIに反映されるというかなり厳格な手続きになっているので、ポイントなどの新規登録や修正は現実的にはかなり難しいということみたいです。
承認されたとしてもいつもNAVIに掲載されるまではかなりの時間がかかるものと思われます。
しかしこれは正確な地図を提供するというゼンリングループのコンセプトを考えれば当然のことかもしれません。

一方、Google Mapsへの申請は、ポイントの場合は早くてほぼ即時(経験的には、申請時に写真を添付すると100%とは言いませんがかなりの高確率で承認されます)、道路の場合でもわずか数日程度で承認・不承認が判定され、承認後遅くとも24時間程度で実際の地図に反映しますが、その具体的判定基準はどこにも書いてません(AIとかWEB上の情報を総合的に使っていると想像しますが。もしかして中にいる生身の人間がゼンリン地図と突合してたりして。まあそれはないか)。
新規道路申請後にGoogleから来るメールには「Google では、公開に先立ち、自社の管理システムを使って編集内容の正確性を確認しています。」と記載されています。

ですので、正確性はゼンリンに、検索能力や簡便性、登録の即時性はGoogle Mapsに軍配が上がることになり、それらの特性をうまく使い分けるのが吉だと思われます。

2025年5月3日土曜日

温泉に行かない日(556) ネコが来た!

ワシは2013年6月末から数年間、静岡県東部にある富士市というところに単身赴任しとった。
新幹線新富士駅から徒歩10分ほどのところにある富士山が望める安アパートに住んどって、温泉行ったり山神社めぐりしたり近くにあった角山 新富士店(静岡県富士市水戸島164-1:現在は廃業)という居酒屋で昼酒を呑んだりと一人暮らしを満喫しとった。
何だ、1mmも進歩してないな。
まるで今と同じじゃないか。


場所的にはまあこのへんじゃけど、周りには何もなくて静かでなかなかいい住環境じゃった。
で、そこへ引っ越してきてから1ヶ月ほど経った7月末の日曜日、暑いので窓もドアも全開にしてうだうだしとったら、部屋の中にネコが来とった
ワシはやぎさんが大好きじゃけども他の色んな動物も大好きで、ねこさんも勿論好きじゃ。
じゃから部屋に入ってきたねこさんと仲良くなろうとおびき寄せようとしたが失敗し、逃げられてしまった。
その後もそのねこさんについてはアパート敷地内で何回か見かけたので近くに住んどったんじゃろう。

さて今はその頃から12年も経過していて、住んどる場所は300km以上も離れた奈良。
先日4月6日日曜日の昼過ぎ、ワシは讀賣・阪神戦をラジオで応援するべくアパートにいた。
前日まではまだちょっと寒かったけど、その日は前日に比べて一気に5℃も気温が上がったまさに春爛漫だったので窓を開け、ドアも開け、ビールの缶も開けてラジオの準備をしながらふとベランダを見ると、ねこさんがおってじっとこっちを見とった
結構整った顔つきをした三毛ねこさんで、普通にねこさん座りしてこっちを伺っとる。
ワシはこのねこさんとは初見じゃし、向こうさんも同様じゃと思うが逃げる様子はまったくない。
富士のねこさんに首輪がついとったかどうかは記憶にないが(あった気がする)、このねこさんには首輪はなく、つまり野良ねこさん。
しかし繰り返し書くが、端正な顔をした毛並みの良いねこさんで野良ねこさんの雰囲気はない。
餌をあげて懐かせようかとも思ったが、如何にねこさん好きなワシとて野良ねこさんに餌をあげるのはご法度と心得てはおるのでそれはやめた。
しかし何とか仲良くなりたい。
ワシは椅子から立ち上がり、そ〜っとジリジリねこさん方面ににじり寄ってみたら、流石にねこさん座りの態勢を崩して隣の部屋方面にゆっくり退避した。
が、それでも仕切り板の下の隙間から顔を出してこっちを見とる。
ワシが椅子に戻って座ると隣からこっちに戻ってきてねこさん座りをしてワシを眺めとる。
ワシが寄ってくる雰囲気がないと判断すると、仰向きに寝そべって腹を出して毛づくろいを始めた。
完全に寛ぎきっとる。
うーん、野良ねこさんのくせに不思議なやつじゃ。
その日は知らんうちにどっかに行っていなくなったが、後日の4月19日、27日と出現してベランダで寛いだり網戸を引っ掻いてワシを呼んだりしとった。
なんでか知らんが、ワシのことかワシの部屋のベランダという空間が気に入ったんじゃろう。
不思議なねこさんじゃ。
今後は、こいつのことは「たま」と呼ぶことにしようと決めた。

© ill-health(ruephas) 2025

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© ill-health(ruephas) 2025

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このたまの他に近所には別のねこさんもおる。
これはヒジョーに目付きの悪い猫じゃが、すげえビビリじゃ。

© ill-health(ruephas) 2025

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またこれは、アパートから5分ほど歩いたとこにある家の2階から外界を見つめ、人が通るとにゃあにゃあ鳴いて気を引く飼いねこさんじゃ。


いろいろおって楽しい環境じゃ。

2025年4月29日火曜日

プロジェクト "山神社"(102) 桜井駅近の大山くん(4) 忍坂山口坐神社

次に目指す忍坂山口坐神社(おしさかやまぐちにますじんじゃ:奈良県桜井市赤尾42)は等彌神社のさらに東、直線距離にして1.6kmじゃけど、それこそ鳥見山霊畤がある鳥見山が間に挟まっとるのでぐるっと廻る必要があり、道過距離にして2.4kmある。
そっち方面に行くバスもあるようなので、運がよかったら途中から乗ってしまうかと思いつつ一旦北に向かって国道165号線に出て、東に歩き始めた。
国道に出るとすぐに薬師町という奈良交通のバス停があったので時刻表を見てみると何と、休日は1日にたった3本、9時28分・11時59分・16時38分発のみ…。
まあ基本は学生さん用なんだろうなあ。
これでバスの可能性はゼロと判明したため歩くしかない。
しかし本当につまらん道だなあ。


あまりのつまらなさに写真を撮る気も失せていたため、Googleのストビューを貼り付けてみたが見ての通りの無機質な道。
街道名は「伊勢本街道」という風雅なものなんじゃけど、実際歩いてみれば何の特徴もない単なる地方3桁国道であり、面白そうなものもないし面白そうなことが起きそうな雰囲気もない。
この道を30分以上も歩くのは本当につまらんかった。
こんなつまらん道を時間かけて歩くのはしんどいので可能な限り早足で歩き、忍坂山口坐神社入口とも言うべき「忍坂」交差点に通常より早く達した。
神社はここからもう目と鼻の先じゃ。
境内へは粟原川の逆っ側(西側)から入ることになる。
境内手前には恐らく参拝者用と思われる駐車スペースがあり、3~4台は停められそうじゃ。
因みに今回クルマを使わなかった理由の1つに「駐車スペースの有無が心配」というのがあったんじゃけど、結果的には3ヵ所とも駐車できる環境じゃった。
駐車スペースと境内の境目辺りには竹が2本立っていて、細い注連縄が張られとる。
それをくぐって境内に入ると右手に案内板が立っとる。

© ill-health(ruephas) 2025

内容はこうじゃ。
忍坂山口坐神社
忍坂街道・キーワード
金閣寺

延喜式内社・山口神社は全部で十四社で、
うち十三社まで県内にあります。 
そのうち飛島・石寸・長谷・畝傍・耳成・忍坂の
山口神社が最も大切に祀られてきました。 
ここの二代目楠の木は巨樹として有名ですが、
初代楠の木は室町時代に京都の金閣寺を建立する時、
天井板として利用されたと言い伝えられ、
その時倒れた先が隣村の忍坂まで届いたので、
今も「木の下」という地名が残っています。
大和の古道紀行
一般社団法人 桜井市観光協会
ははあ。
まさかの金閣寺の天井板か。
もったいないことするなあ。
いや、この金閣寺天井板話も勿論大事じゃけど、やはり御祭神のこととか由緒歴史にも触れてほしいなあ。
そういやあこの辺の神社には、静岡とかでよくあるような神社説明板がないなあと改めて思う。

浜松市にある熊野三神社の案内板
市か県の教育委員会あたりが作ってる気がする
こういうやつがどんな神社にもあると助かるんだけどなあ
© ill-health(ruephas) 2025

ここも石寸山口神社と同様、規模的には決して大きくはない(いや、まあむしろ狭い部類じゃろう)が、木立に囲まれているのにお陽さまの光が境内によく届き爽やかな雰囲気なのがとても良い。
木立の間を風が通り抜けて行くし、気分が落ち着く。

ほら、なかなか爽やかでしょ
夏に良さそう
© ill-health(ruephas) 2025

ワシは社殿(拝殿)の方に歩いていって早速参拝した。

質素だけど荒れた様子なし
氏子さんたちのおかげじゃろう
© ill-health(ruephas) 2025

見ての通り、拝殿と本殿兼用の簡素な社殿(中見たけど本殿内に普通にある鏡とか太鼓とか何もないので、もしかしたら拝殿のみの本殿なし?)で、ワシのタイプ分けでは「ブリキロボット顔面タイプ」に属する(わかるでしょ)。
各種情報を見ると、さっき行った石寸山口神社にしてもここ忍坂山口坐神社にしても、長い歴史と重要な役割を持つ神社だと思うんじゃけど、社殿や境内の風景や表情はそんな感じは全く見せていなくて、ほんとに村の中にある質素で小さなお社であって偉ぶったところが全然ないのがいいぞ。
四国の荒ぶり系大山くんとも、静岡県東部の山の神・酒の神系大山くんともすこし違ったタイプ大山くんだなあと思った。

書き加えておくと、忍坂山口坐神社の御祭神は当然大山祇命で創建年代は不詳。
旧社格は村社。
人によっては寂しいと感じるかもしれんが、ワシにとってはいい空間の神社じゃった。

さて参拝も済んだし、そろそろ戻ろう。
あの無味乾燥な国道165号線を桜井まで歩いて戻すのは真っ平御免なのでワシは一計を案じ、神社から北方向にある朝倉台という住宅地に向かって歩き出した。
それを抜けるとすぐに近鉄大阪線 大和朝倉駅があり電車が頻発しとる。
下りは勿論桜井に行くし、その先大阪上本町まで区間準急や急行が5~10分ヘッドで出とる。
本日はこれに乗り、桜井を通り越して大和八木まで出向き、駅前にある焼肉屋でビール片手に焼肉をつつくことにしよう。
それからアパートに帰っても、14時開始の中日阪神戦のテレビ中継開始には十分間に合うじゃろう。

大和八木駅から徒歩数分にある回転焼肉屋で昼飯
カルビの定食とホルモンなど美味しく頂いた
勿論ビールと麦焼酎のロックも美味しく頂いて完食
© ill-health(ruephas) 2025


プロジェクト "山神社"(101) 桜井駅近の大山くん(3) 番外編:鳥見山霊畤 遥拝所

ワシは遥拝所が好きというか、気になる存在じゃ。
今回やっとる「桜井駅近の大山くん」ツアーのついでに1ヶ所遥拝所にも寄ろうと思っとった。
石寸山口神社から東に1kmくらいのところに等彌神社(とみじんじゃ:奈良県桜井市桜井1176)がある。
結構大きな神社じゃが全然知らんかった。
ワシのような県外出身者的な知識だと、奈良県中部にある有名神社といえばギリギリ大神神社(おおみわじんじゃ:三輪明神とも:奈良県桜井市三輪1422)くらい。
旧日本海軍好きな人なら大和神社(おおやまとじんじゃ:奈良県天理市新泉町306)、伊勢神宮の歴史に興味がある人じゃったら檜原神社(ひばらじんじゃ:奈良県桜井市三輪1422)の社号が出るかどうかくらいで、
「ああ、大神神社もいいけどさあ、等彌神社はまた違った風情でオレはそっちが好きだな」
なんて言うやつは多分いない。
無論ワシも同様じゃ。
今回だって鳥見山霊畤 遥拝所(とみやまれいじようはいしょ:奈良県桜井市桜井1176)の方が先で、それがあるのがたまたま等彌神社という神社にあるという感じじゃ。
因みにワシなりの遥拝所感についてはこれを読んだらわかるが、宗教的な意味はまったくなくただ面白がっておるだけじゃ。
奈良には遥拝所が多くあり、伊勢神宮遥拝所とか橿原神宮遙拝所などよくあるパターンのやつの他、この辺にたくさんある古墳には大抵その古墳に葬られている天皇への遙拝所(拝所)が古墳のすぐ脇に設けられておったりする。
今回遥拝する鳥見山霊畤 遥拝所はそれらとはちょっと異なる雰囲気を感じる。
鳥見山霊畤の「鳥見山」は神社東にある山の名称で間違いない。
その山に遥拝対象があり、その名が霊畤ということまではわかる。
日本人は「霊」という字面からはどうしても幽霊のイメージを抱いてしまい、なんか怖いところかなあと感じる。
怖い遥拝対象なんじゃろうか。
うらめしや〜とか言いながら毎晩山頂に出てくる幽霊を慰めるために遥拝するみたいな。
いや、これはないな。
忘れてくれ。
一方「とみやまれいじ」という音だけ聞くと「松本零士」を連想するので人の名前にも思える。
しかしすまん、そう思えるだけで遥拝とは関係ないなこの件は。
これも忘れてくれ。
そもそもじゃが、ワシゃ「霊畤」のことを「霊時」と思い込んどった。
今朝まで。
今朝行き先を検討しとるときにGoogle Mapsで場所を確認しよくよく見ると「時」ではなく「畤」ではないか。
田へん(なんて部首あったかなあ)に寺じゃ。
こんな漢字はいっかな知らんかった。
どんな意味なんじゃろか。[1]
この程度のことはWebで調べりゃすぐわかるけどそれでは面白くない。
現場にも説明が書かれた案内板が絶対ある筈と思い調べることなく出立した次第じゃ。

石寸山口神社からは薦池(読み不明)の北側を通るような感じでGoogle Mapsには載っていない小道が東に伸びとるのでそれを歩く(後日Google Mapsへ登録申請して承認済み)。
途中、道端に石碑があり刻まれた文字を読むと「鳥見山霊畤 参道記念碑」とある。
ふうむ、ここが参道なのか。
知らずに歩いてきたがなかなか幸先が良い。
更に歩くと右手に桜井市立図書館の立派な建物が見えてきて、そこにある交差点を右に折れると等彌神社がある。
道端には紫色の幟旗が林立していて、宵宮祭等お祭りの日取りが書かれている。
境内の前まで行くと、テントがたくさん設営されていて人もたくさんいる。

どうでもいいけどこの自転車、宙に浮いて見えない?
ワシだけかな
© ill-health(ruephas) 2025

もしかして縁日なのかな。

むう、一番人が少ない瞬間を捉えてしまった
もっとたくさんおったんじゃ
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その中を奥に向かって進んでいくと、境内はかなり広いことがわかる。
道が何本もあってどの道を行けば目的の遥拝所につけるかわからない。
とは言っても、いかに広い境内とはいえ迷って遭難することもないじゃろうから適当に進んでいくと鳥見山稲荷神社という境内社の鳥居が見えてきて、その前に陶磁器で出来たテーブルと椅子、更には灰皿まで完備されとる。
よし一旦ここで休憩して行き先を確認しようと腰掛けて加熱式喫煙道具を取り出し一服付けながら周りを見渡すと、鳥居の脇に白い案内板が見えた。
その横には大きな文字で「鳥見山霊畤」「霊畤從是東」と刻まれた石柱が立っとる。

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ワシは案内板を読んでみた。

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鳥見山観光散策路(往復約2km)
鳥見山は標高245m、面積約50ha余のなだらかな山容で、登るにつれ北に三輪山・南に音羽山系・東に外鎌山や初瀬谷などを眺めながら頂上へと至ります。途中、霊畤拝所(是より160m)、庭殿(同650m)、白庭(同890m)等を通り、山頂(同1,000m)に至ります。
古より多くの方々が登下山された道で、広葉樹林では春の新緑や秋の紅葉など四季折々の自然を満喫していただくことができる散策路です。
また、万葉歌碑などを楽しみながら、古代のロマンを味わっていただけます。
植林された中を通過しますので、火の用心・ごみの持ち帰りなど、入山者は十分に気をつけてください。
鳥見山中霊畤顕彰会
うむ、この先を登っていけば目的の遥拝所があることは確認できた。
しかし「霊畤」がなにかについての記載はない。
兎に角行ってみよう。

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このような爽やかな感じの林の中の道を暫く登ると目的の遥拝所は直ぐあった。

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デカい石板に「霊畤拝所」と刻まれておる。
その周辺に霊畤とはなにかについて書かれているものがないか見渡したが、石碑の隣に立っておる歌碑の説明はあるものの、霊畤そのものに関するものは見当たらん。
これはいかん。
今から遥拝する対象によっては礼拝流儀が異なる。
礼拝対象は神なのか仏なのか幽霊なのか、はたまた松本零士なのか、それらとはまた別物なのか。
ワシは観念し、遥拝する前にiPhoneを取り出して霊畤についてその場で調べてみた。
以下は殆どWikipediaからのコピペじゃすまんな謝るワイ。
霊畤とは「まつりのにわ」という意味で具体的には大嘗会(日本の天皇が皇位継承に際して行う最初の特別な新嘗祭のこと)で、ここ鳥見山では初代天皇である神武天皇が、即位後の神武天皇4年の春2月に皇祖神及び天津神を祀った場所である霊畤(まつりにわ)と伝えられる 。又即位後初めて皇祖天神を祀ったという日本書紀の記述から大嘗会の起源であり、初の舞台ともされる。
ふうんそうか。
難しくて全然わからんが、新嘗祭ということはまあ神様系統ということじゃろう。
ワシは脱帽し、「霊畤拝所」と刻まれた石碑を通して神式儀礼で持って850mほど先にある筈の霊畤を遥拝した。
しかし、日本史上初めての大嘗会が行われた場所というと結構すげえ場所のように思えるけどそんな話は聞いたこともないし、神社境内にも特にその様なことを書いた案内もない。
もっとじゃんじゃん宣伝すればじゃんじゃん人も来てお賽銭も各種初穂料も稼げていいのにとか、俗っぽいことを考えてしまう俗っぽいワシじゃった。
この遥拝所から霊畤現場までは僅か850mくらいなので全然余裕で行ける筈じゃが、今回の目的はあくまで遥拝。
現場を参拝しては意味がないと言うそれこそ全く意味のない理由を無理やりひねり出し自分に言い聞かせてワシはそのまま下っていった。
正直な理由としては、これ以上山道を登りたくないのと、ここであまり時間をかけると昼呑み時間が確保できないためと言うことは秘密じゃ。
ワシはてくてく山道を下って神社本殿に行き、神社分と霊畤分合わせて200円をば賽銭箱に投入して参拝し、次の目的地である忍坂山口坐神社に向かった。

石寸山口神社から等彌神社に向かう途中にあった
鳥見山霊畤参道記念碑
Google Mapsに未記載だったので登録申請したら
何故か拒否られてしまった
なんでだろう
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オリジナルだと暗くて字が見えんので
明るさ補正したのがこちら
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[1]
畤という漢字そのものは、
部首は田部に属し、画数は11画、漢字検定の級は1級の漢字です。読み方には、シ / ジ / まつりのにわなどがあります。(漢字辞典オンライン
もろ「まつりのにわ」って読むんだ、へえ。
意味としては、
1. まつりのにわ、天帝を祀るところ。
2. さかい、土封を設けて区画する。
3. たくわえる、食糧をたくわえる。
4. 沚と通じ、ほとり。
5. 蒔と通じ、うえる。(コトバンク

プロジェクト "山神社"(100) 桜井駅近の大山くん(2) 石寸山口神社

大山くん参りをする場合、ワシは今まで徒歩圏内の場合を除きすべてクルマを使っとる。
しかし今回は電車で行くことにした。
いずれの神社もクルマが停められる環境にあるかどうかがわからん事が主な理由で、特に最初に行こうと思っとる石寸山口神社はいかにもなさげじゃ。
あとこれは個人的には大きな理由じゃが、帰りに桜井とか大和八木あたりで昼呑みしてから帰ろうという素敵かつ邪悪な計画によるものじゃ。

ワシは身支度して部屋を出て、桜井線の最寄り駅である京終駅(きょうばてえき)まで歩いて行った。
基本的には1時間に2本しか走ってないが、運良くすぐに桜井方面行の電車が来たので飛び乗り、約30分で桜井に着いた。
目指す石寸山口神社(いわれやまぐちじんじゃ:奈良県桜井市谷502)は桜井駅南口ロータリから1km足らずの至近距離にある。
距離は近いが桜井は奈良市同様戦争による被害を被っていないので、道は昔のままで区画整理されておらず、ちょっと迷いそうな感じもある。
ワシはGoogle Mapsを見ながら歩き神社まで到達した。

静謐という言葉がふさわしい境内周辺
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この神社は祈年祭山口社6社の1社で格式は高いと思うのじゃが、実際来てみると偉ぶった感じが全く無い、小さくて慎ましやかで質素で清潔感のある神社じゃ。
鳥居の左手には石板で出来た立派な由緒書きがある。

木材協同組合なんだから木製にすればいいのに…
って一瞬思ったけど、石のほうが耐久性あるからこれでいいか
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式内石寸山口神社
御祭神 大山祇神
大山祇神は伊弉冉尊(いざなみのみこと)の生み給うた山の神にして磐余の大地を守護せらる山の神水の神として御祭祀になり上古より朝野の崇敬厚く中にも当社は大和の六山口神社の一社に数えられ延喜式内の大社に列せられた
近代以来桜井木材業界繁栄の守護神としてその崇敬を高めている
桜井木材協同組合
奉賛会
なるほど確かに山口神の定義通りここ桜井、すなわち高見山地あるいは紀伊山地という「山の端」で木材関係業務守護の役割を立派に果たしていることが記されておる。
ちなみに桜井市は奈良県の中程に位置している人口5万2000人位の市で、主な産業は製材。
なーるほど。
と言うことは大山くんは大きく言えば桜井市全体を支える守護神ということになるなあ。
誠に立派じゃあ。
桜井市長・桜井市役所及び桜井市民は是を以て肝に命ずべし。
ちなみに参考情報じゃが、桜井市の他の産業としては、蜂蜜と三輪素麺。
蜂蜜はちょっとイメージないけど、三輪素麺はあんなにか細いのに普通の素麺と比べるとしっかりとした腰があって誠にうまい。
桜井ではその三輪素麺づくりの技を活かして細麺パスタなども作っていてこれまた美味い
で、三輪素麺といえば大神神社。
大神神社は桜井市内にある式内社じゃ。

さて石寸山口神社じゃ。
鳥居をくぐって石階段の参道を上がると本坪鈴以外には何も無い拝殿があり、その柱には「石寸山口山神社参拝方法」という掲示がある。
神社にはよくこのような「神社の参拝方法」というやつが貼ってあるが、どこのやつも神社庁かどっかから配布されていると思われる標準的な内容じゃ。
しかしここではわざわざ自分とこの社号を冠した表題にしとるということは、なにか特殊な参拝方法なのかもしれん。
確かに、以前どこだったかの神社で、正確な内容は忘れてしもうたが「三拝三拍手一拝」みたいな結構アクロバティックな参拝が必要なとこがあった。
これを間違えては、大山くんが中でムッとしてワシに軽く神罰を噛ましてくる可能性があるので慎重にその内容を確認した。

礼拝できるそのもの、その事自体にも感謝しようね、
って感じかな
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ふんふんなるほど。
基本的には標準フォーマット通りじゃが、前後に「軽く一例」というのが明記されとるのがちょっとした違いじゃな。
フォーマットと言うよりは気持ちの問題じゃろう。
さて礼拝の前にお賽銭を差し上げたいんじゃが、賽銭箱がない。
拝殿にはないし、塀の中にある本殿前にも見当たらん。
強いていうと、その塀に何故かポストが備わっとる。

本殿祠を囲む塀にある謎の住宅用ポスト
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人間の個人のお宅じゃあるまいし、なんでポストなんかあるんじゃろ?
まあ大山くん宛に郵便物が届くことが絶対ないかといえばそうとも言い切れんのでアレじゃけど、兎に角ポストが備えられとる。

母からの教えの1つに、
人んちのポストを勝手に開けてはいけない
ってのがあったようななかったような…
あとはピンポンダッシュもダメだとも
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もしかしてこれが賽銭箱としての機能を併せ持っとるのかと思って塀の中に入ってポストの裏蓋を開けてみようとしたが、なんか蓋がひしゃげとってうまく開かん。
これだと折角投入したお賽銭が日の目を見ん可能性も否定できんので、ワシは本殿(といっても祠オンリータイプの小さなものじゃ)前に直接100円お供えして、ここでのフォーマットどおりの流儀で無事参拝を済ませた。

祠オンリータイプの小さな社殿じゃけど
ちゃんとした作りで立派なものじゃなあ
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木材の神様だけあって周りは木に囲まれとる。
境内の広さ自体はそんなでもないが、それなりに立派な鎮守の森じゃ。
夏などは涼しくてここで過ごせば爽やかそうじゃ。


よし、では次の場所である等彌神社に移動じゃ。