2025年3月7日金曜日

温泉に行かない日(554) 温泉銭湯データDB化に伴って思うこと(廃業が多いなあ)

今回は短文。
先日書いたように、温/泉/週/記Mapに登録している800ヵ所弱の温泉銭湯データをGoogleスプレッドシートに再集計するというような作業を進めておる。
初期に登録しているのは14年くらい前の2011年のことじゃから、今あらためて見るといろんな変化があるのがわかる。
変化というと聞こえがいいが、ズバッと書くならば結構廃業してしまっている温泉銭湯が非常に多いということじゃ。
ワシが地元の静岡県西部にはかつて知る限りでは6ヶ所の銭湯(昔ながらの銭湯。堅苦しく言うと公衆浴場法で規定する「一般公衆浴場」)があったが、現時点ではみよし湯みどり湯だけになってしまった。
そんな傾向が当たり前じゃが全国的に見られると言うことじゃろう。
本日時点でリストに移し終えた361ヶ所の温泉銭湯のうち、1回でも入ったことがあるのが119ヶ所、その中で残念ながら潰れてしまっているのは41ヵ所。
公開している温/泉/週/記Mapリストで、適当にフィルタをかけてみてくれたら確認できる(ちなみにこういうときにDB化しておくと便利は便利じゃな)。
それで、119ヶ所に対する廃業割合は実に34.5%。
意外に高いという印象じゃ。

調べる前は銭湯の廃業率が高いじゃろうと思ったがそうでもなく、スーパー銭湯など(堅苦しく言うと公衆浴場法で規定する「その他の公衆浴場」)や宿泊施設で日帰り入浴OKなところが施設ごと廃業している件数が意外に多い。
当然ながら、燃料などの物価や修繕費など施設維持費の高騰、後継者不足などが原因じゃろうけどその他各施設の個別的な事情や地域状況もあるかと思う。
逆にしっかり生き残っている施設もあり、その違いは何か、温泉銭湯の専門家や大学の地域学あたりの先生は是非調べてほしい。

ワシが現在住んでいる奈良近辺には、調べた範囲では昔ながらの銭湯が4ヵ所あるが、そのうち近鉄奈良駅からほど近いところにあった「大西湯」というところが最近廃業してしまって残りは3ヵ所。
また、市内にはかつてそこそこの共同浴場があったみたいじゃけどほぼ全滅したようじゃ。

時代の流れとかのせいかもしれないけど、温泉銭湯施設の廃業は新規参入数より多分多くて、全体ではすこしづつ減っていくものと思う。
奈良での勤務は期間限定なので、その間に行けるところには行っとかないとだめだなあと感じた。

京都駅八条口からすぐにあった九重湯が解体されている
2016年3月4日
九重湯(2) *廃業*
photo © y/ill-health 2016 / 2025

かつての九重湯
2013年3月20日
九重湯(1)
© ill-health(ruephas) 2013 / 2025

2025年3月2日日曜日

入之波温泉 山鳩湯(1)

先週は吉野温泉元湯(奈良県吉野郡吉野町吉野山902-1:0746-32-3061:¥800:11:00〜15:00:駐車場4台くらい)に行ったんじゃが、その後暫くの間、お肌の調子がちょっと良いことが実感できとる。
温泉にもよるじゃろうが効能が実感できる温泉はやはり存在するなあ。
これに味をしめたワシは、この週末にも別の温泉に行こうと決めた。
奈良に引っ越してきてすぐに温泉銭湯事情を調べたんじゃが、今回はその中でちょっと気になっとったとこにしよう。
かつその温泉は勤め先の上司が激推ししとって、先日も「行くならもうここしかないで。すごいでここ」(嘘くさい関西弁ですまん謝るわい)と熱く語ってくれた温泉でもある。
ということで昨日訪れたのは    入之波温泉 山鳩湯(奈良県吉野郡川上村入之波391:0746-54-0262:¥900:10:00〜17:00:店の前に4台・少し離れたところに7〜8台)じゃ。
「なあA君。ここな、入るに之に波って書くけどどう読むか知っとるか」
「はあ、そりゃ『いりのは』でしょ」
「ちゃうんや。これで『しおのは』(Shionoha)って読むんや。すげえだろ」
「ははあ。しおのは、ですか?そりゃ読めないですね。マジですか」
「当たり前じゃ」
と、まるで我が所有する温泉かの如く自慢げに喋った通り、ここは「しおのはおんせんやまばとそう」と読む、まあ偶にある難読温泉名が冠された温泉。
ちなみに入之波は地名由来じゃ。

アパートからクルマで約1時間30分。
吉野から大台ケ原方面に向かう方面にある。
途中、大山くんが祀られとる十二所神社(奈良県吉野郡川上村寺尾110)と丹生川上神社上社(奈良県吉野郡川上村迫869‐1:大山くんは本体におる他、筆頭摂社にもおる)に寄ってお参りしてから、営業開始の10時ぴったりに現地着。
お店の前にある駐車場はすでに4台停められとって満車。
ワシは少し離れたところにある第2駐車場に停めた。
橋を渡って建屋に向かい階段を降りると受付があり、そこで料金を支払い、更に階段を結構降りていったところに温泉入口がある。
暖簾くぐって脱衣室に入るとコインリターン式のロッカー完備でありがたい。
タオルを持って浴室に入ると、こりゃすごい。
浴槽に温泉成分がびっしりがっしり付着しとって、もとの浴槽地肌が見えん。
元々は木製の浴槽らしいんじゃが、石製の浴槽にしか見えん。
温泉は濃い茶色で、まだ誰も入っとらんせいかお湯にはカルシウム分?炭酸の泡?のような白いものが浮いとる(一人入るとやがて消えてしまった)。
シャワーで体を軽く洗ってから温泉でかかり湯をすると、ワシにとっては極めて適温。
つまりだいぶぬるめのお湯でこれは嬉しい。
ワシは内湯に入る前にまず外湯に入ることにした。
内湯にあるドアを開けて外湯の浴槽に行くと、いやあこっちもすごい浴槽。
曲線デザインの変わった形の浴槽で温泉成分がびっしり。
温泉は外湯より少し高い場所に位置しとる内湯のオーバーフローを使って供給されとる。
内湯から外湯への温泉流れ込みのところには、その飛沫により温泉成分トンネルのようなものが自然形成されちゃっとる。
これはちょっと形状を説明しづらいので、実物をぜひ見てほしい。
そして外湯浴槽からは内湯から供給されとる温泉と同じ量がそのままザバザバ外に流れ出とる。
完全かけ流し。
加温はしとるようじゃが加水はしてないらしいのでつまり源泉かけ流し。
この濃い温泉がそのままだばだば吉野川に捨てられとるわけじゃ。
捨てた温泉を流している辺りはやはり茶色に染まっとる。
すげえなあ。
外湯は内湯のオーバーフローをそのまま利用しとるから内湯より若干温度が低く、これは本当にワシにとって好都合。
これなら途中浴槽から出て体を冷ます必要はなく、ずっと入り続けられる。
外湯の浴槽は決して広いわけではなく、そうだなあ最大5人ベスト2人位。
先客が1人いたため最初はベスト人数での入浴じゃったが、しばらくすると3人ほど来たので最大人数の入浴状態になったが、いずれも寡黙なおっさんやジジイだったので静かに入浴できた。
外湯に30分浸かりっぱなしで温泉を味わい、その後広い内湯に移った。
温泉の色が濃いため浴槽内の段差などの様子が全く見えん。
恐る恐る足を差し入れゆっくり浴槽に入った。
そこで更に30分。
内湯の浴槽は深めで浴槽の底に直接尻を下ろすことは出来んが、窓側ではなく洗い場側には尻を引っ掛けられるようになっとるので寛げる。
温まる泉質のようで、内湯外湯合わせて1時間経つとぬる湯好きなワシでも流石に汗が少し流れるようになってきた。

もっと入っていたいが、その手前で出るのが肝要じゃ。
そうしておけば再訪しやすい。
最初から完全に堪能してしまうと足が遠ざかってしまう気がする。
再訪するためにワシは浴槽から出て、温泉限定ラベルを貼った日本酒を1本買い求めてから帰宅の途についた。

オリジナルラベルの日本酒
デザインから分かる通り中身は八咫烏
吉野の地酒です
© ill-health(ruephas) 2025

ここは基本は宿泊施設じゃから泊まることもできる。
また食事処もあってメニューも充実しとる。
どうやら釜飯が有名らしいので次回はそれも楽しむかな。
それとも泊まってお酒も楽しむかな。


温泉銭湯コスパ算出表
泉質ポイント
5.0
風情ポイント
4.5
やぎさんポイント
0.0
入浴料
900
温泉コスパ
1.1

2025年2月28日金曜日

温泉に行かない日(553) 温/泉/週/記Mapから温泉銭湯データを手作業でDB化中

このブログは2011年に開始して以来約14年、途中飽きたり今年のようにサボってポスト数が僅少になる時もあるけど何とか続けられておる。
ポストした温泉銭湯を地図化したら便利かなあと思い、ブログの開始と同じタイミングで温/泉/週/記Mapというのも並行して作っている。
タイトルの通り、行った温泉銭湯や行きたい温泉銭湯、残念ながら廃業してしまった温泉銭湯などを落とし込んだGoogle My Maps(以後 My Maps)じゃ。
本日現在768ポイントを登録しておる。
始めた当時はMy Mapsの詳しい仕様がわからないまま(というか知ろうともせず、かな)とにかく作成を始めてしまったため、数量的なもの、例えば今まで行った事がある場所は何箇所か、都道府県別の数はどれくらいか、などをあとからカウントするには厳しい状態になっておる。


例えばこんな具合でテキストでダラダラと書いているため、項目別の統計情報をあとから集計するのはまず不可能。
更に、ポイントによっては必ず入れようと思っている項目を書き忘れたりしていて、これらについては何年も前からなんとかせにゃいかんのうと思案しとった。
実はあとから知ったんじゃが、My Mapsにはインポート機能があって、CSVファイルのデータを取り込める。
しかしそれを知った時点ではもうかなりのポイントを登録してしまっていたため、
「まっいっか。行ったことあるポイントの数とか知って人生上の意味あるか?いやない」
などと無理やり理由を見つけて対応せずまま放置を決め込んだわけじゃ。
800近くもある地図データをCSVに移行するのは要するに手間だしめんどくさい。
ポイントによって記載項目が異なるため、機械的にデータを整形する事もできん。
更に、My MapsとCSVをダブルメンテする必要があるのも面倒ポイントの一つ。

で、つい最近のことじゃ。
ふとしたきっかけで、Googleスプレッドシート(無料で使えるExcelのような表計算ツール。Chrome上で稼働する)にMy Mapsのポイントデータを登録しておき、更にChromeにそれ用の拡張機能を入れておけば、Googleスプレッドシート側のメンテ内容が何もしなくとも瞬時にMy Maps側に反映されることを知った。
こりゃ便利じゃ。
だったら多少面倒じゃけども、CSV化しておく意味もあるかと思い、先月ぐらいからコツコツとその作業を始めた。
これがそうじゃ。


現段階で246箇所をGoogleスプレッドシートに移行済みで、率にすると32%。
始めてしまえばまあまあの進捗率。
とりあえずこのまま移行を進め、すべて完了した時点でこのデータを地図に落とし直す予定じゃ。
しかし問題が2つ。
  1. アイコンの問題
    Googleスプレッドシートにアイコンデータを登録する方法がわからない。
    多分出来ないと思われる。
    特にワシはカスタムアイコンを使っとるので、出来たとしても標準アイコンよりもハードルが高いかもしれない。

  2. 写真の問題
    一部のポイントには写真を登録しとる。
    GoogleフォトとかにリンクするURLを貼っているのではなく、My Mapsの機能を使って写真を直接登録しとる。
    これも出来ないような気がする。
これらの問題がうまく解決できれば最高なんじゃが、出来ないとしても1.については手作業するにしてもそう手間ではなさそうだし、2.についてはそれこそGoogleフォトへのリンクを貼っておけば代替手段となる。
もともと写真については、とても小さくて拡大も出来ないし画質も悪かったのでリンクのほうがむしろいいかもしれない。

あと出来れば欲しい情報としては自宅アパートから温泉銭湯ポイントまでの距離。
道程距離が理想じゃが難しそうなので、最低限では直線距離でもいい[1]
それが分かれば概ねの移動時間が表の上でわかるので(ここから40kmでこっち方面だったら下道ばかりだから1.5時間から2時間位かな、みたいに)、今からどこへ行こうかという絞り込みができるようになるからじゃ。

もう還暦だし時間もある。
来月中くらいまでにデータを移行し、並行して上記2点の問題の解決策をWEBの世界で探してみようと思うとる。

[1]
(2025年3月3日追記)
「エクセルを使った緯度・経度情報からの距離の求め方(簡易版)」というのを発見。
言っとくけど、怖いもの見たさでとりあえず読読み始めたが最初の数行で諦めた。
理屈は全然簡易じゃない。
複雑な理論をもとにExcelに実装されている一般的な関数を駆使して、2点それぞれの緯度経度から直線距離を算出しているようだが、数学万年赤点のワシには全く理解できないため(いや、ある程度の数学者も特に2つ目のサイトに書かれていることに腹落ちできる人は絶対いない)、試しに書かれていた数式をそのままコピペして使ってみた。
その数式は次の通り。
=6371 * ACOS(COS(A地点緯度*PI()/180) * COS(B地点緯度*PI()/180) * COS(B地点経度*PI()/180-A地点経度*PI()/180) + SIN(A地点緯度*PI()/180) * SIN(B地点緯度*PI()/180) )
6371[2]とか180っていうのは変動値ではなくこれをそのまま数式で使う(もちろん意味はわからない)。
もうなにがなんだかさっぱりわからん(あんた、わかるか?)
どことなくサイン・コサイン・タンジェント的なニオイを感じるので、三角関数を駆使した数式かと思われる。
結果を見るとまあまあいい数字になってるので意味不明なまま、これを使おうと思う。

[2]
6371ってのは地球の半径らしいです。
今度飲み会で使おう。
「お前さあ、地球の半径知ってるか?ワシゃ知っとるぞ6371じゃ。どうじゃまいったか」
以上じゃ。

[3]
更に、住所から緯度経度を割り出す方法も発見。
元ネタが住所じゃから当然精度は悪くなるが、厳密な答えを探しているわけではないのでこれでも十分かなあ。
理屈や仕組みは全くわからんけど実際に試してみたらまあまあの精度でしたが、番地を抜かしたりすると(例えば「奈良県奈良市」みたいな感じだと)当然使えません。
ちなみにその「奈良県奈良市」での結果は135.804993,34.685116でこれは奈良市役所、更に「奈良県」だけだと135.804993,34.685116とほぼ同じでこれも奈良市役所でした。

2025年2月24日月曜日

吉野温泉元湯(1)

もう3月目前ですがあけましておめでとうございます。
なんと、昨年12月以来の投稿で、何やってたんだろ。
本日は3連休最後の2月24日じゃが連休初日から全国的に雪に見舞われており、雪はあんまり降ったり積もったりしないと言われている奈良市内でも積雪が見られておる。
ワシは元々大分の出で幼少期から高校卒業までは岐阜に住んどった。
岐阜住みじゃから多少の雪(小学生の頃は積雪20〜30cmくらいは普通じゃった)には慣れておるが就職してからの殆どは温暖な静岡県某エリアで過ごしてきたから、このトシになっても雪が降るとワクワクを禁じ得ない。
雪で大変なご苦労をされておる日本海側等の人には大変申し訳無いが、気持ちとしては「もっと降れもっと降れ」じゃごめんなさい。
こんな雪がちらつく日にはやはり温泉じゃろうと決めて昨日23日、吉野温泉元湯(奈良県吉野郡吉野町吉野山902-1:0746-32-3061:¥800:11:00〜15:00:駐車場4台くらい)に行ってきた。
本当は前回行った湯泉地温泉 滝の湯の泉質が大変に好ましかったので再訪しようかなとも思ったんじゃが、雪が心配だったのと(前回書かなかったが、十津川村の道路の一部が結構積もってた)どうせだったら行ったことがないところのほうがいいじゃろうと思い直し、十津川村よりも雪の心配が少なそうで且つ、アパートから適度な距離感なところ且つ、あまり人がいなさそうで且つ、風情がありそうなところで探した結果、吉野温泉元湯にしたわけじゃ。
奈良市内から国道24号線を南下し、御所から吉野方面に入るわけじゃが時間にして1.5時間程度。
小旅行より小規模、そうだなあ言うならマイクロ旅行って感じで丁度良い距離。
心配してた雪もなく(道端にうっすら積もっていた程度)無事温泉に到着。
建物は大変に風情が感じられる雰囲気で、駐車場から少し登ったところにある。
引き戸を開けて声をかけ、料金を払うとフェイスタオルを貸してくれた。
受付フロントの横にある白木の階段を降りていくと男湯と女湯の暖簾がかかった浴室入口がある。
中に入ると先客が入浴している気配あり。
そういや他府県ナンバーの車が停まってたからその人じゃろう。
脱衣して浴室に入り、先客さんにこんにちはとご挨拶したが、その先客さんは至って真っ当な人そうで一安心。
たまに最悪な客がいたりすることもあって、そんな時は何もかもぶち壊しになるんじゃが今回はその心配はなさそうじゃ。
お湯は赤茶けた感じの色でこれは鉄のお湯じゃろう。
公式サイトによれば含鉄炭酸泉(温泉分析表では「単純二酸化炭素冷鉱泉(低張性、中性)」)とのこと。
まあワシゃ温泉のプロでもなんでもないので、どんな成分が含まれておる温泉なのか具体的に知りたいとははあまり思っておらず「ああ、赤いなあ。ああ、ぬるつるじゃなあ。こりゃいいや」という感じで雰囲気で満足できればそれで充分じゃ。
洗面器に汲んだお湯にタオルを浸すとうっすら色が移るくらいの濃さの色。
最大6人ベスト2人くらいの大きさで、腰を下ろすと顎にお湯がつくかつかないかくらいなちょうどいい深さの四角い浴槽。
赤や白の湯の花がお湯の中にちらほら舞っているのもよろしい。
浴槽の縁には温泉成分が付着していて、歴史とまでは言わないけれど時間の経過を感じさせる。
ここの温泉は内湯のみじゃが、男湯は全面的にガラスになっていて外にあるちょっとした日本庭園を眺めながら入浴できる。
温度は一般人なら多分ちょうどよく、しかしあつがりのワシ的にはやや熱い感じなので出来れば窓を少し開けて外気を入れたかったんじゃが、まあセキュリティ上の理由と思うが開けることはできなかったのがやや残念。
入浴を始めて暫くするとすぐに先客さんが「お先に」とワシに声をかけて出ていった。
以降は貸切状態。
浴槽でゆっくり手足を伸ばし、あつくてたまらんようになって来たら洗い場の椅子に腰掛けて体を冷ましまた入り…、という感じで赤銅色のお湯をゆっくり楽しめた。

休憩スペースにあった歴史を読むと、この温泉はいわゆる「秘湯」ということになるようじゃ。
クルマで気軽に来れる場所にあるので、まあ今は「秘湯」とまでは言えないのかもしれないけど、それでも「秘湯感」は充分に感じられる風情に溢れたよい温泉じゃと思える。
気軽に行けて楽しめる穴場じゃろう。

公式サイトによれば、宿泊客が多くなる秋などのハイシーズンは日帰り入浴をお休みすることもあるようじゃ。
吉野は桜の名所なので、3〜4月も日帰りは難しいかもしれん。
なので、電話確認してから行くのが吉かと思う。

ここからは余談じゃが、温泉を出たあと昼飯のために寄った来来飯店 吉野店(奈良県吉野郡吉野町丹治207‐1:0746‐32‐1387:11:00〜15:00・17:00〜21:00:定休木曜)がすごく良かった。
安くてうまくて、ちゃんと熱い料理を出してくれる。
今どき普通のラーメンが600円とか大丈夫か?
ワシはカレーちゃんぽん食ったが価格は800円(すまん、850円だったかな)。
味とあの野菜の量からすれば格安。
おそらく地元の評判がいいんじゃろう、まあまあ混んでいて少し待つ必要はあるけど行って得をする店じゃ。
ただ、初老のワシにとってはとんでもない量だったのだけが弱点(まあ弱点じゃないかこれは)。
その日の夕飯は不要じゃ。
とにかくここはオススメじゃ。



温泉銭湯コスパ算出表
泉質ポイント
4.0
風情ポイント
4.5
やぎさんポイント
0.0
入浴料
800
温泉コスパ
1.1

2024年12月8日日曜日

湯泉地温泉 滝の湯(1)

いやあ、奈良初の温泉がこことは自分でも思いもよらなんだ。

本日、2024年12月8日は奈良マラソンとかいう近所迷惑なイベントがあり、ワシのアパートの東西を通っとる国道県道が朝から午後まで封鎖されるなる情報は予め知っとった。
主要な道路が封鎖され、この日は雁字搦めにされていごけん。
然らばこの日曜どうすべきかを考えとったんじゃが、1つは引きこもる、1つは封鎖される前に出かけて封鎖が解除された頃に帰る、まあどっちかじゃ。
ワシはもう還暦なのであまり行動的ではないが、どうせなら今回はここは一発久しぶりに遠出をしてみようと思い立った。
加えて決して万全ではないがここ数週間お肌の調子もそうだなぁ、7割位に戻してきておる。
つまり温泉に行きたい。
奈良に来てから入ったといえば水道局源泉の「自宅の湯」だけじゃ。
ここらで一発温泉に行っとくのもいいじゃろう。
どうせ行くなら、多少遠方であったとしても風情に浸れてあまり人がいない温泉がいい。
人がゴミのように蝟集している大規模スーパー銭湯は避けたい。

少し前のポストでも書いた通りワシは20年と少し前に宝塚に住んでおってその頃、奈良県の十津川村にある温泉に何回か行ったことがある。
当時宝塚からじゃと片道4時間以上、一日がかりでまあ大変じゃったがなかなかいい温泉じゃったというイメージが残っとる。
よし、十津川村がよさそうじゃ。
距離的にもちょっとした小旅行の雰囲気も味わえるかもしれない。
そう決めたワシは今朝早く、即ち7時頃奈良市街のアパートを出立した。
20年前の記憶では道がまあ大変という感じじゃったけど、今回は道でストレスを感じることは一部区間を除きあまりなかった。
今は奈良市内から御所のあたりまでは準高速道路である国道24号線バイパスが通っとってそこまでは楽に行ける。
昔は宝塚から御所までどうやって行ったんだろうなあ、まあいいけど。
御所から先の十津川村までの一部区間はまあまあシビアじゃけど、あの頃に比べれば道は随分良くなっとると思った。
山道山道林道林道がトンネルトンネル橋トンネルに変わっとる。

2時間走って着いたのは湯泉地温泉 滝の湯(奈良県吉野郡十津川村小原373-1:0746-62-0400:¥800:8:30~20:00:定休木曜)じゃ。
当時はもっと安かったと思う。
400円とかだったはずじゃけどこればっかりは仕方ないじゃろう。
着いた時「ああ!はいはい、ここここ」的な記憶が蘇ることはなく、初めて来た鄙びた日帰り温泉という感想。
う〜ん、おかしいなあ全く覚えていない。
こんな感じだったかなあここ。
クルマを降りて引き戸を開けて、受付にいるおばちゃんにおはようございますと挨拶し、券売機に800円を投入し奥に進む。
廊下を歩いていくと男湯女湯の暖簾がある。
当然男湯の暖簾をくぐり、脱衣場に入る。
ここまで来てもまだ記憶は復活しない。
脱衣場と内湯を隔てる戸はガラスで浴室がよく見える。
誰もいない。
貸し切り。
思わず北叟笑むワシ。
素早く脱衣し、誰もいないので前を隠す必要もなく(おっても別に隠さんけど)、少し調子の良くない肌を隠す必要もなくそのまんま、すっかんかん(いま思いついた造語。意味は文脈でわかるじゃろ)のまま内湯の浴室に入った。
内湯なので外湯ではなく内湯じゃ。
ワシの唯一残っとるこの温泉の記憶は外湯で、浴槽から立って横を見やると斜めになった川はだを落ちていく滝があったことじゃ。
ああ、だから滝の湯なんじゃなと思った風景じゃ。
しかし今は内湯。
外湯にはどう行けばいいんじゃろう?
まずは内湯に入る。
やや熱めの湯温で、熱すぎる場合は蛇口から水を出してうめていいと言われていたんじゃがその必要はぎりぎりなかった。
しっかりとした硫黄の香りがする。
贅沢にも完全源泉かけ流し。
湯口から浴槽に結構な量の源泉が注がれていて、常に浴槽の縁から流れ出ておる。
浴槽に入るとワシの体の体積分のお湯がもったいないくらいざばざば流されていく。
そしてややぬめぬめローション系のお湯。
う〜ん、ここでもワシは首を捻る。
この泉質はかなりいいぞ、すごくいい。
なら何でその良さの記憶がないのか…

内湯の収容人数は最大8人、ベスト3人くらいな感じ。
砂岩系の岩で設えられている浴槽で、窓側は斜めになってて(わかる?リクライニング的というか)寛げる。
一番寛いだ状態で肩までお湯が浸かり、かつ足先が浴槽の向こうっ側にとっつくから体が安定する(こういうの言葉での表現難しいよなあ)。
ガタイのデカさにもよるだろうけど、ワシ(162cmの小人じゃよ)にはベストじゃった。
ゆっくり温まりながら周りを見ると、お、あった。
露天風呂へのドアがある。

ドアの脇には「外湯へは70段くらいの階段があります」とある。
「マムシに気をつけてください」という掲示にやや怯えながらドアを開けて、落ちてきた紅葉の葉とどんぐりに敷き詰められた下り階段を降りていく。
降りきると、ここでやっと記憶が蘇ってきた。
何を見て蘇ったかというと、階段降りきったすぐ左手にある2つのシャワー。
これあったよこれうんうん、これあった。
ここでやっと「ああはいはいここここ」が来た。
人の記憶は変なもんじゃ。
温泉でとても大事な泉質とかじゃなく、特徴的な階段でもなくそれよりシャワーの記憶が強い。
随分馬鹿だね俺も。

さらに、浴槽。
浴槽の先に流れる小さな川と、少し背伸びすれば右の方に見える柔らかな滝。
これらは完全にワシの記憶に完全一致。
内湯と同様にジャストフィットな深さと広さの浴槽にゆっくりと身を沈めて柔らかなお湯と、柔らかな滝の音と、柔らかな自然の音に包まれた。

ここには今、ワシ以外に誰一人もいない。

温泉タオルのThen and Now
青がNowで黄色がThen
© ill-health(ruephas) 2024

途中、大塔の風景
道の駅 吉野路大塔の少し北あたり
雪で気温は2℃じゃった
ちなみに同時刻の奈良市街は12℃
© ill-health(ruephas) 2024



温泉銭湯コスパ算出表
泉質ポイント
4.0
風情ポイント
5.0
やぎさんポイント
0.0
入浴料
800
温泉コスパ
4.6

2024年11月26日火曜日

温泉に行かない日(552) 遥拝所について

貴兄は遥拝所ってのをご存知か?
神社仏閣、まあ神社のほうが多いけれどもその境内に石柱とか石碑があって、そこには例えば「伊勢神宮遙拝所」とか「神武天皇遙拝所」とか刻まれておるのを見た人も多いじゃろう。
あれのことじゃ。
ワシは大山祇命という神様が好きで大山くんについてはここでも100個くらい書いとるくらい大山くんの神社に結構な頻度で出かけとるが、最初のうちは遥拝所については歯牙にもかけとらなんだ。
兎に角目的は大山くんじゃから。
しかし何時のころからか忘れたが、遥拝というのが気になってきた。
遥拝の意味は字面でなんとなくわかる。
遥は「はるか」で拝は「おがむ」じゃから、遠くの神社の方角に向かってその神社を拝むという意味だと思う。
念のため調べてみたんじゃが、
[名](スル)遠くへだたった所から拝むこと。「東方に向かって—する」
(Weblio辞書・goo辞書・コトバンク)

遥拝とは、はるか遠く離れた場所から神仏に向かって拝むことを意味する。
(ホームメートリサーチ)

(「参拝」を説明する文中で)祈願した神社や寺院に参詣せずその方角に向って参拝することは遥拝(ようはい)という。
(Wikipedia)
ということになる。
そこでワシはいつものクセで、数年前からGoogle Mapsで確認できる遥拝所を片っ端からリストアップして可能であれば実際に遥拝するという作業に取り掛かった。
そのリストこそすなわち長距離短距離遙拝所GRAND-PRIXというGoogle Mapsのリストじゃ。
最初の頃は、
「遥拝というからには距離が重要。遥拝距離(ワシの勝手な造語で、遥拝所から遥拝対象神社までの直線距離のこと)が一番長いのはどこかを調べてやろう」
と思っていたので「長距離遥拝所GRAND-PRIX」としておったんじゃが、調べているうちに遥拝距離がゼロと思われるヘンな遥拝所があるのがわかったため、途中で「短距離」を追加した。
ちなみにそれは防府天満宮 貞宮遥拝所(山口県防府市松崎町14)で、なぜ遥拝距離がゼロかもしれないのかはご自身でGoogle Mapsでご確認くだされ。
さて遥拝所への思いについてはリスト冒頭に記している通りじゃが、ここにも再掲しておこう。
神社に参拝に行きたいけど遠すぎて行けない、近くにある神社だけど山の上にあって自分の足ではとても行けない。
そんなあなたの悩みを一掃してくれるのが「遙拝所」です。
遙拝所さえあれば、たとえそれが千里の距離でもあっという間にゼロにしてくれる。
どんな断崖絶壁があろうがそんなの関係ない。
残念なのは神社を実際に見れないことぐらいですが、「心眼」で見ればそれでよし。
全国各所にある遥拝所でどのくらい先の距離にあるどの神社を遥拝できるのかリスト化してみました。
遥拝距離は単純に直線距離です(Google Mapsの「距離を測定」利用)。
参拝距離は徒歩による道程距離です。
要するに遥拝所を数値の面で見える化したもので、我ながら斬新なアイデアだと思うのじゃが他人にとっては暇人の暇つぶしとしか思えないのは重々承知じゃ。
道程距離については基本はGoogleMapsの経路検索を使用して、徒歩で参拝した場合の距離・所要時間・アップダウンについて記載している。
兎に角、数位化することを心掛けておるわけじゃ。
例えばこんな具合じゃ。
北海道函館市青柳町17にある「宮城遙拝之所」はこんな感じじゃ。
遥拝対象神社:皇居(東京都千代田区千代田1-1)
遥拝距離:680.73km
参拝距離:814km(179時間:↑4047m↓4007m)函館ー大間間はフェリー利用
ここなどは津軽海峡のせいで昔だったらもう参拝など望めず遥拝するしかないので、天皇に思いを馳せる人にとっては大事な場所かもしれん。

遥拝対象神社(まあこの場合は皇居じゃけど)の下にあるURLは遥拝対象神社のGoogleMapsの所在地を示すもので、参拝距離の下にあるURLは参拝経路のデータじゃ。
このように記載すると遥拝所のありがたみがわかる。
直線にして680km先、実際に歩いて参拝するとなると814kmの距離を179時間、つまり1週間と11時間もかかる皇居をその場にいながらにして一瞬にして拝むことができるというこれはまさにSFの瞬間移動に勝るとも劣らない状況が簡単に体験できるわけじゃ。
どうだすごいだろう。

ちなみにワシが初めて意識的に遥拝したのは浜松にある東三方神社というところで、2022年11月5日の早朝のことじゃ。
ここには「奥山半蔵坊赤松遥拝所」というのがある。
遥拝対象神社:奥山半僧坊大権現(静岡県浜松市北区引佐町奥山1577-1)
遥拝距離:13.50km
参拝距離:16.5km(3時間29分:↑128m↓69m)
奥山半僧坊というのは浜松市の北のほうにある方広寺の中にあって、鼻高天狗という天狗さんを本尊とするお寺?かなあ。
奥山半僧坊にはいったことがないし、遥拝所へは散歩距離としてはちょうど良いのでまずはここから遥拝生活を開始したんじゃが、時刻が早朝という事も相まってなかなか清々しい遥拝ができた次第じゃ。

© ill-health(ruephas) 2024 / 2022

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遥拝所は意外にそこかしこに存在する。
近所の神社やお寺の中を少し探せば存在する確率が高い。
暇なときには探してみて、遠くにある伊勢神宮や三島大社、皇居なんかの姿を心眼で見つめながら遥拝してみてはいかがじゃろうか。
「いやいや近所に遥拝所なんてないよ」とお嘆きの貴兄。
いい方法がある。
玄関とか庭、あるいは居間でもいいが「なんとか神社遙拝所」と書いた札を作ってそこに置けばその瞬間いきなりその場所は遥拝所と変化する。
そうすれば自宅にいながらにしてもう遥拝し放題状態じゃから。
ああ、そうだ。
一つ貴兄に助言をしておこう。
遥拝札設置の際には、言うまでもないが札を見ればちゃんと遥拝対象神社に向かうような角度にするのが肝要じゃよ。