奈良盆地のため池に関して予て質問を投げかけていた奈良県立図書情報館より回答が寄せられた。
【質問事項】奈良地方には何故こんなに多くの農業用ため池があるのですか。単位面積あたりのため池の数が他の盆地より突出しています。その理由がわかる書籍や資料があれば紹介してください。浜松から単身赴任で引っ越してきて、奈良に大量のため池があることに驚きました。自分なりに調べて、奈良盆地は水を沢山必要とする稲作がそこそこ盛んな割に河川があまり流れておらず降水量も少なく、湧水もあまり見られないのが理由ではないかと推察はしています。ただ、不正確ではあるものの自分の調査では、奈良盆地における1km2当たりのため池数は9.5で、他の盆地が多くて2前後であることを考えるとかなりの突出ぶりです。この突出ぶりの理由が知りたいです。よろしくお願いします。
回答は以下の通りじゃ。
短文で要領よくまとめられたわかりやすい回答じゃ。
〇〇様お尋ねの件にお答えいたします。奈良県立図書情報館の〇〇と申します。奈良盆地のため池に関する文献はそこそこあり、例えば森滝健一郎「奈良盆地における水利用の動向」(『奈良大学紀要』31、2003)では、「2吉野川分水実現以前における近い水の徹底的利用」の冒頭で
- 奈良盆地は年間降水量1400mm程度の寡雨地帯
- 全域は大和川水系流域だが、その山地部分が少ない。
- 古くから農業開発が進んでいるため、直接灌漑が可能な土地はすでに水利権が確立しており、新しく水田開発をしようとすると、ため池など間接水灌漑に頼らざるを得ない
等の理由から、盛んにため池が築造された、としています。また、宮本誠『奈良盆地の水土史』(農文協、1994)は、第二章を「溜池の築造と田畑転換の成立」にあてています。これによれば、ため池の多くは、近世初頭と明治期に作られたもので、これはともに新しい農法の定着による水需要増加に対応したものだとしています。
なるほど。
寡雨地帯(降水量が少ない地域)や河川の問題についてはやはりそのとおりじゃったが、水利権に縛られて農家が新規参入出来ないであるとか、新しい農法の広がりに伴う新規水需要に対応するためであるとか、表面的ではない部分での事情があるんじゃなあ。
このあたりはGeminiくんもわからんかったようじゃ。
回答内で紹介されとる2冊の資料・書籍については、奈良県図書情報館に収蔵されとることが確認できたので、今度の休みの日にでも情報館に出かけて閲覧することにしよう。