2023年10月23日月曜日

温泉に行かない日(525) 4日断酒明けのお酒

今日10時に退院。
渇酒状態では全然ないけれど、入院中はやはりお酒が飲みたい気分じゃった。
実際入院してわかったんじゃが最近の入院食は暖かくて旨いので、ここにビールやワインがあれば豪勢なディナーなんじゃけどなあと思ったもんじゃ。
なので退院したらその日の昼飯はビールとともに、なんて思ってたんじゃけど、入院中に体質が少し変わってしまったのか、実際には昼飯を前にしても「ビール飲みたい!」という気持ちには全然ならなかった。
変だなあ。

そういうことでアルコール抜きで昼飯を済ませ、散歩に出掛け帰宅して少しイネムリし、夕方起きて買い物に行った。
ワシここ数ヶ月、体重増加その他を抑えるために大好きな日本酒をやめてたんじゃけど、今日は少し気温が低いし、入院食では絶対に提供されることはないお造りをアテにぬる燗の純米酒を味わおうと思ったんでそれらを買いに行ったわけじゃ。
夕刻過ぎて暗くなり始めた頃合いを待ち、ワシは購入した花の舞純米酒4合瓶から一合徳利に酒を注ぎ入れ電子レンジで燗をつけ、早速口にしてみた。
入院前じゃとだとそうじゃなあ、2〜3合飲んでも「ちょっと酔ったかな〜」位な感じしかなかったが、1合の半分(5勺:約90ml)ほど飲んだところで体がふんわりしてきて、1合飲み終わる頃にはいい塩梅に酔っ払ってしまった。

これは驚きじゃ。
やはり4日間の断酒(と言っても自らの意志ではなく已む無く断酒したんじゃけど)によって体質が変わってしまったんじゃろか?
ワシ、酒が好きじゃけど何かの目的(例えば憂さ晴らしとか、寝るための睡眠薬代わりとか、ですな)を果たすために飲んでいるわけではなくて、ただ単に酒が好きじゃから飲んでいるので、少量で気持ちよくなれるんならそれに越したことはない。
日本酒を1合飲んだあと、ビールに合いそうなツマミがあったので順番は逆じゃがビールも飲んでみたけれども、350mlのプレモル飲むのが結構たいへんじゃった。
ぐ〜っと飲めないし、途中で「こりゃ全部飲めんなあ」という感じになってきちゃった。
まあもったいないから全部飲んだけど、これなら超ミニ缶(135ml)とかミニ缶(250ml)で充分かもしれない。
ただ超ミニ缶やミニ缶はワシの嫌いなアサヒスーパードライ(個人的にはこれ飲むならサイダーのほうがマシと思っとる)しか目にしたことがないのと、あともう1つは単価が高いことが残念ポイントじゃけど、単価の方は仕方ない。
調べてみたら、スーパードライ以外にも一番搾りやプレモルもミニ缶を出しているみたいなので、売っているところを見つけてそれにしようと思う。

日本酒に変えて最近メインに飲んどるのはキンミヤ焼酎という四日市の酒で、この焼酎は角のない柔らかいお酒で、ロックでもお茶割りでもソーダ割りでもなんでも合うし、体に残らない。
でも今日は日本酒1合と缶ビール1本で充分に酔ってしまい、とても飲めなかったので明日以降に試してみようと思う。

まあ酒は「適量に、程々に」が良いとされているのでこの状態が続けはいいなあと思うは思うけど、その一方で「いやあ、ひと月も経てばきっと元の木阿弥なんじゃろな」という予感もするけどね。
まあせいぜい量を抑えて、高くても美味しいお酒を嗜むように心がけようと思う、今のところは。

2023年10月22日日曜日

温泉に行かない日(524) PSVT(12)

2023年10月22日 入院4日目で本日退院
即ち禁酒実質4日目。

いつも通り6時前に起床。
昨日から急に寒くなってきているのがよおくわかるなあ。
昨日夕方に病棟看護師が病室にやってきて「明日の退院時刻は10時です」と教えてくれた。
退院まで4時間、朝飯まであと1時間30分ある。
朝飯以降はいろいろバタバタするだろうから、朝飯までにウォーキングを済ませておこう。
カテ実施した一昨日の10月20日は一応歩いたものの流石に普段どおりとは行かず3500歩、消費カロリーも159kcalで、これで目標の200kcal消費の連続記録は前日の10月19日で207日で途絶えた。
残念じゃが、こればっかりはまあ仕方がない。
ただし昨日の10月21日は、抜歯前のカテ入り口の傷口を広げないよう気をつけながら院内の外来周りと院外周辺をゆっくり歩いて10000歩、380kcalを達成できた。
今朝は昨日までのようなパジャマ姿ではなくきちんと着替えたので、少し遠くまで歩くことが出来たのは嬉しかった。

今回の入院について。
今回は正直、誹りを恐れず掛けば面白半分で入院した感じじゃった。
もちろんPSVTという大変な不整脈・頻脈を経験しERに担ぎ込まれ、その後に医師と相談した上でアブレーションを受けることに決めとるんじゃが、PSVT自体は死に至る病でないし、投薬である程度病状を制御出来るので受けるのが必須というわけではない。
ただし流石にあの7月末の症状は幾ら死なないと言っても恐ろしかったし、なんとかしたいという気持ちではあった。
またカテ(アブレーション)が比較的侵襲性が低い術式であるということもあって、寿命で死ぬ前にそういった体験をしておくのも有意義ではないかという(もっと素直に書けば「面白そうじゃんか」という)厚生労働省が聞いたら怒るようなやや不純な動機で受けた部分もある。
もちろん医療的には確定診断が出ていて、医師もアブレーションすることを推奨しとるわけじゃから今回の入院はな〜んにも問題はないわけじゃけど、これがもしカテではなくて切った貼ったの外科的オペじゃったら、ワシ多分見送っていたと思うなあ。
アブレーションの効果については今後暫く観察しないとわからんけども、アブレーションの前後で心拍数が大きく変化したかといえば全然そんなことはないのが残念なところじゃ。


例えばこのキャプチャはワシの心拍数のデータじゃけども、20日を境に心拍数が抑えられとるという感じは見られん。
しかしまだ1日しか経っとらんからもう暫く様子を見よう。
日常的に脈拍数が結構簡単に140とか160とかになっちゃうのが、これを気に治ったら嬉しいなあと願っとったがその効果は余りないようで、あくまで200以上とか異常すぎる不整脈を防止するための処置なのかも知れない。
とにかく循環器の医師が3人がかりでやっつけてくれたんで、それについては今後暫くは大丈夫じゃろう。
カテーテルを挿入したのは鼠径部右側と首の付根の右側じゃけど、鼠径部の方は結構な範囲で紫色の内出血が広がっておる。
かつ傷口も痛い。
昨日までは傷口を縫っていたので歩く度に引き攣れるような痛みがあり、抜糸後は傷そのものの痛みに変わった。
痛みについては今朝はだいぶ収まったけれども、広範囲な内出血は暫くは続きそうじゃ。
一応写真に収めたが、これは流石に公開不可能じゃろう。
これじゃあ暫くは温泉銭湯には行けないなあ。
まあ我慢じゃ。

本日退院して、次回の循環器科外来は12月の予定じゃ。

別の心配事として「4日間も禁酒できるか」があった。
実は入院前には全く自信がなく、入院する病院のすぐ近くにある地元では旨いと評判の餃子屋に飛び込んで、餃子にビールという理想的飲酒をしてしまうのではないかと我ながら心配じゃった。
こんな事すれば若干状況は違うものの、中島らもの「今夜、すべてのバーで」状態になっちゃうし、ワシ果たして大丈夫かなぁと結構ガチで心配しとった。
しかしそんな仕儀には至らず退院できた。
入院期間は足掛け4日じゃけども、実質的にはカテ日を除くと2日程度。
何もしてない状態で病院内で過ごした時間はえ〜っと、

・10月19日 約6時間
・10月20日 約3時間
・10月21日 約8時間
・10月22日 約4時間

合計で21時間程度で1日にも満たない。
それだけの時間を我慢すればいいだけなので何とかなったのかもしれん。
実際の所、ワシが帰宅後に最初にしたいのは兎に角が〜っとビールを飲むことであり、次にしたいのは最近お気に入りになったキンミヤ焼酎のお茶割りを飲むことであり、3番目は花の舞の純米吟醸を軽く燗にして刺し身とともにやることじゃ
つまり飲酒については当面どうしようもない。
しかしながら僅かな時間とはいえ今回の入院期間中、「飲酒禁止」の状況に苦もなく対応できたのは予想外じゃった。
自分で自分を褒めたい。
とはいえ兎に角帰ったらまず飲むぞ。

禁煙については、まあまあ平常運転。
いつも通りで、吸いたい気持ちは常時消えることはなかった一方で、かと言って歩いて10分もかからないコンビニに飛び込んで煙草を買って吸いたいという気持ちにもならなかった。
今回、ニコチネルパッチを忘れてしまったため正直やばいかと思ったが、これまた意外にも何の苦もなく(吸いたい気持ちはもちろんあるがそれを苦もなく)耐えられたというのはまあまあ上出来な話じゃとは思うな。

というわけで以上じゃ。
還暦が近づくといろいろガタが出てくることを身にしみて感じた今回の入院じゃった。
しかしまあ、PSVTについては暫くは心配不要になったし、今回をきっかけにして禁煙できそうだし、悪いことばかりではない。
せいぜいご自愛しますわ。
ではさようなら。

2023年10月21日土曜日

温泉に行かない日(523) PSVT(11)

目が醒めたら既に夕刻近くで、寝ている間は口を開けとったせいかやたらに喉が乾いとる。
看護師に起こされたのか、起きたらたまたま看護師がいたのかよくわからないが、兎に角目が醒めて横には看護師がいた。
テレビや小説のセリフではないが、起きた時どこにいるかが本当に分からなかったが、周りを見回して自分の病室にいるのが何分か掛けてやっと理解できた。
朝9時に麻酔されて今16時じゃからええっと、ざっと7時間も寝入っとったわけか。
カテに要した時間はよくわからんが、病室においてあった胸部の写真(多分、炙られとる瞬間ではないかと思う)の撮影時刻を見ると11時34分となっとる。

PC画面のキャプチャを印刷してそれを写真にしたので画質が悪い
すまんのう謝るワイ
© ill-health(ruephas) 2011-2021

じゃから、其の後の後始末も含めてカテ室を出たのが13時前後、そのまま病室に担ぎ込まれて3時間ほども前後不覚でがあがあ寝とったわけか。
酒好きは麻酔が効かないと言うが、ワシは大変良く効く。
毎日してほしいくらいじゃ。

ということで、カテ中の記憶は本当に全く何もない。
顔に被せられるようにCアームが近づいて来た以降の記憶は全く無く、実際は血管に穴あけられて痛かったのかも知れんし、心の臓にあるバグった神経を炙られたときには熱かったのかも知れんし、役目を終えたカテを抜くときは痛かったかも知れんし、色々なことの実際はわからんが、兎に角何らの痛痒を感じることはなく、全て終わった。
血管に管を入れて心臓まで届け、神経焼いたり血管を繋ぐ小さなパイプを入れたりするなんて怖いし痛そうと思う人が大多数じゃろうけど、カテ自体に苦痛はまったくない(いや、正確にはあるんじゃろうが、全麻なのでそれを感じることはない)。
いろんな技術が進んで意図せぬ結果に終わることも殆どない。
切った貼ったのオペではないので侵襲性も極めて低い。
既に書いた通り、今回の入院で最も侵襲性が強かったのは尿道カテーテルの挿入と抜去、及び抜去後における排尿時の痛み。
それさえ我慢できる人で、心臓に問題を抱えている人であれば、積極的に検討するべきだと思う。
尿道カテさえ我慢できるんならな。

病室に帰ってからすぐに軽い昼飯(食パン2枚)食って、すぐさま再度睡眠体制に突入した。
18時少し前に目を醒まして、やってきた夕飯食いながら虎テレ見て熱く阪神を応援しとったら「失礼します」と言って、カテをやってくれた医師(M2先生とは別の先生)が入ってきた。
何時くらいだったかなあ、19時前後かな。
先生はワシに向かって次のようなことを説明してくれた。
カテについては術前に想定していたプロトコル(規定とか手順みたいな意味)通り事を進められました。
患者さん(ワシのこと)は、偶にいるタイプの患者さんで、どういうことかと言うと、最初見定めた神経を一旦焼いてその後チェックすると、別の神経がおかしいことが判明したので次にそれをやっつける。
それ終わったらまた別の神経で異常が見つかったのでそれもやっつける、と言う感じのカテでした。
そういう患者さんは別に珍しくもないですし、通常の範囲内での対応をしたということですね。
今回こんな感じで3本の神経をやっつけてましたが、実はもう1本ちょっと怪しいのがあったんです。
で、その神経は傷をつけてはならない正常な神経のすぐ脇にあるという事と、異常の度合いが小さくて刺激を与えても変な挙動が長続きしないので、立ち会った医師3人で話して、リスクはかなり小さいので暫く様子を見ようとなりました。
ワシ如きのために、多忙な医師が3人も立ち会ってくれとったとはほんとに申し訳ないと言うかもったいない話じゃなあと思ったんじゃが、ありがたいことじゃ。
術後にこのような丁寧で十分な説明を受けられたのは大変に安心できる。
数カ月後に循環器外来で経過チェックするとのことじゃった。

このような説明にワシは満足し、21時の消灯後もMacの画面に映る阪神タイガースの選手を応援し続け、そして22時前には阪神の日本シリーズ進出が決定した。
ワシのカテも恙無く終わり、我が阪神タイガースも日本一を争う(おそらく)オリックスと関西ダービーで激突することが決定し、2023年10月20日は大変良い日になった。
ありがたいことじゃ。

温泉に行かない日(522) PSVT(10)

2023年10月21日 入院3日目
即ち、禁酒3日目。
はっきり言ってこの数年酒を絶やした日はほぼ皆無なので、入院前に抱いた不安は「酒無しで4日間も耐えられるか」というものじゃったが、今んとこなんとかなっとる。
とはいっても1日目は15時入院で実質夜しか過ごしてないし、昨日は朝からいきなりアブレーションじゃったから酒どころの話ではなかったし。
麻酔から覚めたのは夕方だし、その後夕飯食ってすぐ寝ちゃったし。
従って禁酒については今日明日が本番だけど、なんとなく大丈夫なような気がする。
今はむしろ煙草への欲求が強いが当然のことながら吸うことはできんし、幸い「万難を排してでも的」にまで吸いたいとは感じない。
ちなみに禁煙外来で処方されたニコチネルパッチは家に忘れて入院後は貼っていないが、イライラとかは不思議に感じない。
吸いたいのはもちろん吸いたいが我慢は出来る。
禁煙についてはこのまま行けそうな気がする。

病棟ってのは当たり前だけど夜通しなんかしらの活動していて、ワシが入っとるのはいわゆる救急病棟なので余計にそうなんじゃろうが、ナースステーションや各病室から常にぴいとかふぃんふぃんふぃんとかぶーとか音がしとるし、看護師さんじゃろうけど急ぎ足でサッサッサッと歩く足音なんかが途絶えることがない。
そのせいか昨夜はよく眠れず。
ただ、午前9時過ぎから夕方まで麻酔で寝ていたせいか、夜に寝不足でもそんなにしんどい感じはしない。
朝食は意外にも、まあまあ美味かった。
メインディッシュの「白身魚のワイン蒸し」は上々だったし、甘い芋系が嫌いなワシじゃが、レモンをたっぷり使ったさつまいものサラダも美味しく食えた。
お麩のお味噌汁もお代わりが欲しいくらいだったし、白飯も上手に炊けとった。

さあ、昨日やったアブレーションについてじゃ。
カテ当日の昨日は禁酒禁煙どころかカテ室から出て目が覚めるまでは飯も水分も禁止。
従って朝飯抜き。
喉が非常に乾いておるのでだいぶつらいが仕方ない。
少しウォーキングして病室に帰って待っとると8時すぎに看護師さんがやってきてバイタルをチェックし、そのあと何気なくしなやかに流れるように、
「おしっこの管を入れますね〜」
と爆弾発言を投下して優しくワシに微笑む。
何食わぬ顔して悪魔の微笑み。
尿道カテーテルを入れられるのは人生始めてなんじゃが、自分の勝手な想像では入れられるのはせいぜいほれ、ボールペンの芯くらいの太さの管じゃろうと考えておった。
だって尿道じゃよ。
まあボールペンの芯くらいならなんとか耐えられると諦めておったが、その看護師が手にしとるのはそうだな〜どうだろう、外径5〜6mmはあろうかという邪悪な色をした管。
それこそ鉛筆くらいの太さがありそう。
今までのワシの人生では色々な出来事があり「嗚呼こりゃもうダメだ」と思ったことは何度かあるが、今この邪悪な色をした太い管を見たのに比べりゃあすべて何て事はない、ゆる〜いカジュアルな出来事にしか過ぎない。
今、この管からは「完璧なる絶望」しか感じることができん。
微笑みを浮かべながらその看護師は有無も言わさずワシのパンツをスルッと脱がし、「消毒しますねー」と明るく声を掛けてからデカい綿棒のようなもので消毒をした。
これはいかん、いかんぞ。
本当にやるつもりらしい。
ワシとしてはダメ元で、
「すみませんあのう、やはりその尿道カテってのは必須なんですかねえ?何て言うんですかね、こう何とかそれはやらない方向での検討は出来ないもんでしょうか」
と交渉を持ちかけたが、
「ははははっ、出来ませんねえ♡」
と、消毒作業を手際よくこなしながら看護師は即答し、
「じゃ、入れますね〜」
「あ、少し待ってください。おいちょっと待て。痛いですかぁ?」
「はい、痛いみたいですね。私はやったことないのでわかんないんですけど。えっと男の人だと3回痛いらしいです」
「へ?3回だ?3回もですってあうっ!
やられた。
なんだろ、針をさされたような痛みではなくて痺れが最高度の痛みになったようなこれはもう二度と嫌だと感じるような邪悪な痛み。
結果として、この尿道カテーテル挿入時の痛みが今回入院時における最大最高の痛みじゃった。
いや挿入時だけではなく、翌日抜去後も排尿時における痺れたような痛みが暫く続き苦しんだ。
本当にもう二度と体験したくはないなあ。

で、本番カテの前の尿道カテ挿入も終わり、ワシは病室ベッドからストレッチャーに載せ替えられてカテ室に向かった。
看護師が誰かに「オペ出し行ってきま〜す」と声を掛け、「お願いしま〜す」という返事が聞こえた。
正確には「カテ出し」ではないかとの疑念がちらと過ぎったがどうでもいいことじゃろう。
朝の病棟廊下はワゴンやら何やらがたくさん置かれていて、それを避けるようにして看護師は巧みにストレッチャーを転がしていく。
まるで上級者によるジムカーナのような巧みなストレッチャー捌きにワシは感心した。
エレベータに乗り、上に登ったのか下に降りたのか覚えとらんが停まってドアが開きまた廊下をごろごろ転がされて、デカい自動ドアの前でピタリと停止し、看護師がインターフォン向かって「オペ患者さんお連れしました」と言うと、中から「患者さんの名前お願いします」。
ワシの名前が告げられ、すぐにデカい自動ドアが開け放たれ、中にいたカテ室ナースの「頭から入れて下さ〜い」の指示に従いワシは頭からカテ室に進入した。
一般的なオペ室と違うのは、大きな無影灯とかはなく、壁際には大きな本棚が設えてあって其の中には本とか資料とかがぎっしり詰め込んである。
正直「雑然」とした感じ。
侵襲的な手技を行う空間ではなく、医局と外来の中間的な雑然さで構成された空間。
3人位の看護師?臨床工学士?医師?放射線技師?検査技師?がわらわらと寄ってきて体の表や裏や横にいろんなものをベタベタ貼り付け始めた。
貼り付けながら「いや〜、実は今朝ERが何か立て混んでまして先生がそっちに行ってますので開始が少し遅くなると思います。ごめんなさいね」と伝えてくれた。
救急に関わる医師はほんとに大変じゃと思う、ご苦労さまなことよ。
で少し待つと医師も到着したようで、術前のタイムアウトを行っておる様子。
そのあとその医師(マスク姿でよくわからんがおそらくM2先生)が横に立って、全麻で行うこと、術中に体が動くと危険なので手足を拘束すること、あと何だったかな、あといくつか何かを伝えてくれたが緊張して覚えとらん。
ただ兎に角、
「麻酔掛けてやります。殆どの患者さん全員『寝てる間に終わってた』っておっしゃってくれますよ」
という言葉が本当にありがたかった。
ワシもそうであってほしい。
「アーム持ってきますね」と誰かの声がかかり、顔の前にC型をした機械が設置され、で、その後の記憶がいきなり消失している。
その時点で腕につけられた点滴用のルートから麻酔薬が注入されたのじゃろう。
あとの記憶は、術後目を覚ますまでの記憶は一切ない。

2023年10月20日金曜日

温泉に行かない日(521) PSVT(9)

2023年10月20日 入院2日目。
昨夜は病棟スタッフにバレぬよう気をつけながら消灯後もゲームを見続け、木浪のサヨナラ安打を見届けて心のなかで大きく「やち!」と叫んでから満足して寝た。
これでアドバンテージ含め3勝。
王手じゃ。

今朝は普段通り5時45分過ぎに起床。
昨夜就寝前に担当の医師が病室まできてカテの内容について少し説明してくれたんじゃけど、カテは3〜4本入り多いと5本。
鼠径部だけでなく、首のあたりからも入れる。
カテーテルの太さは「そうですね〜、う〜ん。鉛筆くらいの太さかなあ」。
おいおい、わしゃせいぜい針金くらいかと思っとったんじゃがそんなに太いんかい。
そんな太いのが血管を通って行って大丈夫なんかい。
しかもなんだ、多くて5本だと?
一人の人に対して同時に5本もの管を挿入するってのはどうなんだ。
人道的にどうなんだ!?
つまり、ワシは今回始めて少し怯えた。
やはり何事も実際に体験せんと本当のことはわからんもんじゃ。

昨夜の医師の言葉を思い出し怯えつつも、少し眠いが最低限のウォーキングはしたいので、スリッパからコンバースに履き替え、Apple Watchを腕につけ、iPhoneをスヌーピーの小さなサコッシュに入れて病室を抜け出した。
病棟内や病院付近を30分ちょっと散歩し、歩数的には3000ちょっと。
これまで続けてきたフィットネス系のいくつかの連続記録が今日と明日で途絶えてしまうがまあ仕方ない。
ちなみに今朝起床後は、朝飯はおろか水分摂取も不可。
それなのに、後でカマされる尿道カテがうまく装着できてるかチェックするために少しおしっこ残しとけとか無理難題を求められておる。

さて阪神じゃが今夜勝てば念願の日本シリーズ進出となるが、その試合は何とか楽しめるものと思われる。
っていうか、逆にそれくらいしかできない感じじゃ。
本日は午前アブレーション実施予定であり、渡された「入院から退院までの予定表」に記載された治療当日(治療後)の安静のところには、
足の管を抜いた後、3時間は絶対安静です。3時間後、30度頭を上げることができます。
6時間後に足の付け根の固定を医師が外します。
要するに、朝イチでアブレーション開始するんじゃが、その所要時間はだいたい3〜4時間と聞いておる。
術後病棟に戻るのが午後イチくらい。
それから絶対安静じゃから3時間はベッドに横たわって天井を見上げているだけ。
そのあと「頭を30度あげる」自由をやっと得られるというわけじゃ。
むう…
頭を30度上げることができるのはそうじゃな、カテ時間にもよるがまあ16時とか17時くらいじゃろう。
18時の試合開始には十分間に合うが、しかし問題は「30度頭を上げた状態で果たしてMacを見ることはできるか」じゃ。
よくわからん。
わからん原因は30度のイメージが正確には把握できんからじゃ。
ですので30度という角度が視覚的にわかるイラストを探してみたらあった。

建築学生が学ぶ構造力学 より

まあまあな十分な角度であるような気もするが、意外に寝そべり状態のような気もする。
イマイチ実感がわかない。
そこでベッドで30度というイメージが分かる絵はないかと探してみたら、このようなものを見つけた。
〜リハ辞典+〜 より

ふふん、なるほど。
これなら何とかイメージできる。
ベッド30度にして頭に枕をカマし、オーバーベッドの上にMacを置けば何とか虎戦士たちの勇姿を眺めることができそうじゃ。
ただしタイピングは無理そうなので、やろうと思っていた浜松番街区プレート写真データのGoogle Mapへの落とし込みは明日以降になりそう。

今7時になった。
看護師が来て、8時すぎに尿道カテーテルを入れに来ると宣言していった。
痛そうじゃ、いやだなあ。
そしてそれまでには例のT時帯(褌みたいなやつじゃな)にしておかねばならん。
むうん…
術前での記載は、とりあえずここまでで終わり。
術後については今日は多分書けないだろうなあ。
続きは明日以降になるじゃろう。

2023年10月19日木曜日

温泉に行かない日(520) PSVT(8)

2023年10月19日、ワシは普通通り起床して少し歩いてからコンビニでコーヒー買って近所の神社に行き、本日の阪神勝利を神に祈ってから一旦帰宅した。
シャワーを浴びてベッドでダラダラしてからカバンにTシャツやらT字帯やらMac Bookやら何やらいろいろな物を詰め、帽子を被って家を出た。
今日はクルマを使えないのでバス停まで行き、まず向かったのは行きつけのたこ焼き屋さん。
暫くはこの手の食事ができないので、昼めしはたこ焼き・焼きそばと決めていたのじゃった。
やや不健康な昼飯をしたためたワシは再びバスに乗りもう一回一旦帰宅。
持ち物の最終確認をして三たびバスに乗り、20分ほどの距離にある某総合病院に向かった。
そう、ワシが7月末、ERに担ぎ込まれたあの病院じゃ。
本日から4日間入院する。
まず入院受付に行って事務的な手続きを済ませ、職員にアテンドされて病棟に向かった。
一般病棟ではなく救急病棟で、まあ循環器だからそういうことにんるんじゃろう。
ナースステーションの前に腰掛けて待っとると、小柄な落ち着いた看護師さんが来て病室に連れて行ってもらう。
個室。
高っかいんだろうなあ。

バイタルチェックのあと、点滴(棒にぶら下げるのではなくてちっちゃいやつ)カマされ、所謂剃毛ってやつをされ(もうオッサンなので何の恥じらいもない)、退院までのパスを説明してもらった。
あとは夕食まで無罪放免。
しかしやることはたくさんある。
まず「虎テレ」ペイパービューの申し込みをせねばならん。
今日日の病棟は無料のWi-Fiが整備されとるので便利なことこの上ない。
今夜阪神が勝てば、日本シリーズへの王手がかかる。
あと、本日は歩数が8000歩しかいってないので、病院内を少し歩く必要がある。
先程剃毛ってのを生まれて初めてやられたが、局部だけではなく脛毛など意外に広範囲にそられちゃったのでシャワーを浴びて洗い流したい。
もちろんこれも書かねばならんし、ここ1〜2週間会社についてから朝歩き始めたのに伴って再開した「浜松番街区プレート収集」の情報をGoogle My Mapsに登録したい。
何ならむしろ、普通の仕事よりも忙しいくらいじゃ。
で、今は17時35分。
院内散歩を終え、これを書きながら虎テレの1試合プランを申し込もうとしているのじゃが月額プランしか出てこん。
まあ日本シリーズの前半3試合は10月中に行われるので、そこまで見て解約すりゃあいいかと腹を決め、今思い切って申し込んだところじゃ。
シャワーについて看護師さんに聞いたところ、もうすぐ夕食が来ちゃうのでできればその後にしてほしいとのこと。
くそ、CS第2戦は18時開始。
夕食も18時開始。
できるだけ迅速にシャワーを浴びるしかあるまい。

ということで、カテ前日の別荘生活はかくも優雅なのであった。
明日は朝イチでカテ室に行ってアブレーションされるみたい。
尿道カテーテルもされるらしいし、これって痛いらしいし。
だから明日の朝まではせいぜい優雅な生活を送るとしよう。
明日から明後日の午前くらいまでは極めて制限が多い時間を過ごさねばならん。
さて、あと10分でCS第2戦が始まる。
阪神が勝つに決まっとるが、ドキドキしながら画面を眺めることにしよう。

2023年10月9日月曜日

プロジェクト "山神社"(90) 富士市の山神社を再訪(1)

清水区由比の西山神社と東山神社の参拝を終えたワシは、国道1号線を経由して富士に向かった。
本日夕刻富士単身赴任時代に時間があれば参加していたゴミ拾いCO-DOに誘われていたのと、翌日は友人とスイフトスポーツミーティングをやることにしとったからじゃが、CO-DO開始は17時、今はまだ14時前。
今から行っても早すぎるんじゃが、ワシとしてはやりたいことがある。
すなわち、富士市で参拝しこねている山神社を初参拝するのと、参拝済みじゃが記憶が薄くなっている山神社を再参拝することじゃ。
まずワシは田子の浦にあるふじのくに田子の浦みなと公園(静岡県富士市前田地先:054-533-0496:電話番号は静岡県田子の浦港管理事務所:8:00~17:00じゃが散策とかは多分いつでもできる)の近くにある山神社(やまじんじゃ:静岡県富士市前田886)に行くことにした。
調べてみると初参拝は2014年3月15日、いやあもう10年近く前にもなるのか。
参拝したら基本的にはプロジェクト ”山神社”MapというGoogle My Mapsに記録しとるんじゃが、そこには感想などは書かれておらず、どんな印象だったのかもすこし思い出せない。
アプローチのルートも思い出せないが、まあおそらく今回と同じく公園の駐車場までクルマで行ったと思う。


で、実際に現場に行ってみると流石に思い出した。
敷地的にレイアウトがちょっと厳しい感じ。
そうそうこんな感じだったなあ。

2014年3月15日当時の写真
ちなみに機材はiPhone 5s
© ill-health(ruephas) 2023

今回撮った写真
iPhone13になって広角が使えるので全体が撮れた
画質も画角の広さも隔世の感あり
© ill-health(ruephas) 2023

本殿(拝殿兼用)に参拝したあと、確か境内に小さな石祠の境内社があったはずだと思い横を見たら本殿右手に鎮座されとった。
記憶と違ったのは、石祠だけでなく左側にこれなんだろなあ、石碑なのか自然石なのかよくわからないものが祀られとったこと。

© ill-health(ruephas) 2023

榊を入れるコンクリ製の器に「大竹??」と彫られているが詳細はわからん。

© ill-health(ruephas) 2023

石碑も石祠もいわれなどは今もわからない。
石碑?にも石祠にもきちんと参拝してワシは次の大山くんに向かった。

2023年10月5日木曜日

プロジェクト "山神社"(89) 西山神社と東山神社(2)

西山神社の参拝を終え、陣笠山公園駐車場まで戻ってクルマに乗り、カーナビを設定してワシは次なる東山神社(静岡県静岡市清水区由比東山寺933)に向かった。


東山神社と西山神社は直線距離で約1.8km、道程距離は約4kmで車だと10分程度。


駐車場についてはGoogle Mapsで事前に調べた結果問題ないことが確認出来とる。


静岡県道396号富士由比線を東進し、由比川に架かる橋を過ぎた直ぐの交差点を左折、暫く道なりに進んで室野調整池の手前を斜め右、次のT字交差点を左、次のY字交差点を右方向という感じで進むと左手が東山神社じゃ。

© ill-health(ruephas) 2023

境内には社務所兼集会所の様な赤い建物があり、駐車スペースは潤沢。
とはいってもワシは部外者、出来るだけ端っこの方に停めてまずは周りを探索してみた。
目的は勿論、何か書いてある案内や由緒書きを探すためじゃ。
目に入ったのは神社やお寺でしばしば見られる力石の現物と説明書き。
申し訳ないことに、ワシ自身は今んとここの手のアトラクションにはあまり興味がないのでさっと目を通して更に探してみたが、その他には何か書かれたものは特段何もない。
残念じゃ。
鳥居右手にある忠魂碑にお参りして参道を上ると、正面にでえんと茶色い建物がある。
通常この位置じゃと舞殿があるがそういう感じではなくて倉庫のように見える。

© ill-health(ruephas) 2023

平時は倉庫として使用し、秋祭りなどの際には正面及び側面の扉をあけ放ちステージとして使用する感じやもしれぬ。
それともこれが拝殿なんじゃろうか。
で、その倉庫兼舞殿兼拝殿の様な後ろに本殿がある。
本殿正面の階段はほぼ垂直で「これ登るのか…」と思ったが、右手に緩やかな階段が別にあるのでそっちを使った。

© ill-health(ruephas) 2023

本殿改築記念碑と刻まれた石碑の前を通って、本殿に参拝。
情報では御祭神は大山積見神との事なので、普段以上に真剣にお参りした。

で、本殿の左右には境内社アパートがある。
すごく大事にされとる雰囲気じゃ。

本殿左手
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津島神社
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富士山本宮浅間神社
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阿夫利神社
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本殿右手
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成田山新勝寺不動尊
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橿原神社
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熊野本宮大社
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何かあれだ、境内社にしてはメジャーどころが揃っとると云うか押し出しが強いと云うか本殿内にいらっしゃる大山くんより有名どころが揃っとる。
調べてみないとわからんが、この境内社たちは明治時代に一村一社で村内から合祀させられたと云うか、八十八か所巡りをここだけで出来ますよ的な感じで祀られとるような気もする。
しかしとにかく大事に祀られとることは間違いない。
ワシは一つ一つの祠にお参りした。
特に個人的に注目は阿夫利神社じゃろう。
ワシが住む静岡県西部にも阿夫利系列の山神社がわずかながらに存在するが、東部にもこのような境内社があるんじゃなあ。
一通りお参りを済ませ、再度境内を探索したが由緒書のようなものは見つけることが出来なかった。
まあ仕方がない、よくあることじゃ。
ワシはクルマに乗り込み、富士方面に向かった。

で、帰宅後、何か情報はないかといろいろシツコク調べとったら、力石に魅せられて 姫は今日も石探しという個人系ブログに「ありました」というページがあり、そこにここ東山神社に関するそこそこ詳しい情報が書かれておるのを見つけた。
ここにはかつてやはり「東山寺」という立派なお寺があったが、今では薬師堂しか残っていないことがこのブログで分かった。
最初に、力石なんて興味ないと書いたが、この力石がキーワードになってここまで判明することができた。
すまんかった、反省しとる。
この様にブログには色々興味深い記載があるが、主さんの興味は力石のためどうしてもそちらに向いた内容になっとる。
ただその記載の一部が「東山寺の歴史」という書籍から引用されておるので、地元の図書館を当たったらもしかしてその本があるかも知れない。
そこには東山神社に関する記載もあろうと思う。
大物神社オールスターズが境内社として祀られとる経緯も記載されとるかも知れん。
次回、清水富士方面に行くことがあれば探してみようと思う。

(追記)
静岡市立図書館のサイトで蔵書検索してみたら、あったあった。

© Shizuoka City Library. 2018.All rights reserved.

今度ヒマ見つけて読みに行こう。

2023年10月3日火曜日

プロジェクト "山神社"(88) 西山神社と東山神社(1)

2023年9月29日から30日にかけて、以前単身赴任しとった時の富士市の友人とゴミ拾い CO-DOに参加した後、市役所近くの居酒屋で旧交を温め、翌日はスイフトスポーツミーティングを挙行するという、非活動的なワシとしてはすごく活動的な時間を過ごした。
ゴミ拾い CO-DOは29日金曜日の夕刻開始じゃけどワシは思い切って一日まるまる休みを取って、早めに富士方面に向かうことにした。
何が目的かというと、富士にいた頃、山神社参りを始めたんじゃがまだ未参拝の山神社がいくつか残されており、それに参拝したいというものじゃ。
特に気になっていたのは、富士市の神社ではないが静岡市清水区由比にある2つの神社で、西山神社(静岡県静岡市清水区由比西山寺174)と東山神社(静岡県静岡市清水区由比東山寺933)。
何れも浜石岳(標高707m:静岡県静岡市清水区由比阿僧935)の東に位置するが、西山神社は由比川の西、東山神社は由比川の東にある。
2社の位置関係は東西というよりは南北という感じじゃけど、由比川の東西をそれぞれ守り固めとるようにも見える。
鎮座地も妙に共通項があり、字名は西山寺と東山寺という字で、Google Mapsではわからないがその字通り、西山神社のすぐ横には西山寺が、東山神社のすぐ横には薬師堂がある(残念なことに「東山寺」という寺院は見つけられなかった)。
これはなんだろ、2つの神社にはなにかつながりと云うか2社セットでになっている地域での役割と云うかそんなものがあるのではないかと思っていて、ならば実際現場に行って確かめてみようと思った。
まずは西山神社に行ってみた。


由比は海っぺりの方は観光要素がそこそこあるので駐車場などもあるが少し山の方に行くと昔ながらの細い路地が多く、駐車スペースは期待できない。
なのでちょっと気は引けるが陣笠山公園 駐車場(静岡県静岡市清水区由比町屋原354)にクルマを停めて歩いて行った。


この駐車場は5~6台は停められるけど平日ということもあってがら空き。
ここから西山神社までは距離500m程度、歩いて10分もかからない。


Google Mapsのルートだとはまいしという蕎麦屋さんの方から西に向かっていくようになっとるが、実際には稲葉ブロイラーの方に行って北に上っていくのが正解。
駐車場ポートの下にベンチが置いてあるバス停の様な所が神社参道の入り口になっとる。
見ると鳥居の先は短いながらも相当な勾配の階段。

© ill-health(ruephas) 2023

上っていくとそこには白壁の拝殿がある。
なんかお寺っぽく見える。

© ill-health(ruephas) 2023

まずは拝殿に向かって参拝したのち、わしの通例に従い周辺、特に裏手を見てみるとそこから更に上に登る階段があり小さいながら何とした本殿がある。
直接参拝できるようじゃ。

© ill-health(ruephas) 2023

この様なレイアウトは他にもあるにはあるがそうはないのでワシは喜んでそちらにも参拝した。
参拝を終えて周りを見てみると、これがなかなかの眺望。
本殿があるこの場所からは足元にある拝殿の屋根越しに由比の町並みが見下ろせる。

© ill-health(ruephas) 2023 


© ill-health(ruephas) 2023

そして更には本殿の横手に上に登る通路があり、登ってみると携帯基地アンテナと三角点があるちょっとした広場があり、そこからは由比の町と太平洋が見渡せる大変素晴らしい眺望。
いやあ、ワシはあまり風景を眺めるタイプではないが思わず見とれてしまって写真撮り忘れた。
一見の価値ありです。
代わりと云ってはなんじゃけど、クルマを停めた陣笠山公園からの眺望写真を上げておく。

© ill-health(ruephas) 2023

西山神社は駐車場より山手にあるので海は遠くなるが、その代わり標高があるのでこれとはまた違った良い眺望を堪能できますよ。

なお残念ながら、現地に西山神社そのものの由緒書きや東山神社との関連性を書いた案内などは無く、いろいろ謎のままじゃった。
仕方ない、東山神社に行ってみよう。
何かわかるかも知れん。

2023年10月1日日曜日

プロジェクト "山神社"(87) 山神社

数年前に単身赴任しとった頃に知り合った友達と、スイフトスポーツミーティングをぶちかましてきた。
そのことについては別途書くとして、今回はその際偶然見つけた山神社のことじゃ。
富士市を出発して最初の目的地は雲上かき氷(静岡県富士宮市山宮3362-1:0544-58-7898:10:00〜17:00:日曜定休:かき氷屋さんなんだけど冬もやってる!)。
ふわっふわで美味しいすだちのかき氷を味わってから、次の目的地を確認するためにGoogle Mapsを見てたら、かき氷屋さんから徒歩数分の距離にある山神社を発見した。


ホントならかき氷屋さんにクルマを停めさせて頂いて歩いていきたいところじゃけど、この店は超人気スポットであり(ハイシーズンだと平気で3時間待ちらしい)もうすでにお客さんが結構来ている。
というわけでクルマを置いとく訳にはいかん。
どうすべいか地図とにらめっこしとったが、見ると山神社の反対側へのびとる道がある。
道幅的には、短時間であればクルマを停めて良さそうに見える。


よしなんとかなるじゃろ。
うまいかき氷を食べ終わったわしらは早速クルマを数秒走らせて、現地に着き計画通り素早くクルマを道端に停めた。
しかし迷惑であることは間違いないことなので、素早く参拝せねばならん。

赤い鳥居をくぐり、結構荒れた参道を小走りに上がっていく。

© ill-health(ruephas) 2023

蜘蛛の巣が行く手を阻むので、落ちていた木の枝を振り回しながら進んでいくと簡易な建物がある。
注連縄レス、かつ賽銭箱レス。

© ill-health(ruephas) 2023

かわりに富士山爆発時に飛んできた石(なんていうんだっけ?噴石?溶岩かな?)を積み上げたオブジェのようなものが設置されている。

© ill-health(ruephas) 2023

お賽銭を入れる賽銭箱がないので正面の引き戸を開くと中はガランとしていて、一番奥に噴石が積み上がってていてその天辺にちいさな石祠が祀られておる。

© ill-health(ruephas) 2023

どうやら元々は完全な「祠オンリータイプ」だったんだけど、その後小屋を建ててその中に移したんじゃろう。
わしは財布から小銭を取り出し、小屋の床に転がしてから二礼二拍手一礼を以ってお参りした。
友人はおそらく「なんでこんな荒れ果てて小さな神社にお参りするんだろ?」と思っているに違いないが、山神社を見つけたならば万難を排してお参りする。
それがワシの生きる道。
まあ説明してもわかってくれることはないじゃろうが。

ちなみにこの山神社のすぐ近くには、純粋な富士山信仰で有名な山宮浅間神社があるが、ワシ個人的にはこのような小さな山神社のほうが好きだなあ。

2023年9月6日水曜日

温泉に行かない日(520) ニコチネルTTS日記(1)

7月30日のウォーキング中、発作性上室頻拍(PSVT)の症状が出て心拍数が200前後という状態が数時間続いたため自ら救急車を呼び、総合病院のERに御厄介になった。
この件についてはPSVTというタグをつけて経過を書いとるところじゃ。
で、その7月30日から怖くなって完全ではないもののタバコ(加熱式のみでクラシカルな紙巻きたばこは嗜んどらん)を基本的に控えるようにした。
後日医師に訊くと、喫煙自体はPSVTそのものの原因ではないが、喫煙をきっかけにして発症することはあるとの事じゃった。
医師から聞いたりWEBとかの情報じゃと、PSVTは死に至る病では決してないがあの苦しさと異常に速い心拍数のへ恐怖感は半端なかったため、この際タバコは止めてしまった方がいいのかなあと考えた。
実は2011年頃、ワシはチャンピックスという内服薬を使って5年ほど禁煙に成功しとるが、その後いろいろあって喫煙者に舞い戻ってしもうたという経験を持っとる。
何ならワシは、喫煙に対してネガティブな感情を今も持っとらん。
喫煙は飲酒と同様、人生を彩ったり生活にちょっとしたゆとりをもたらしてくれると思うとる。
とはいえ、あのPSVT発症のきっかけになるとなれば話は別。
あれは出来れば二度と経験したくない。

取り敢えず暫く少しタバコから遠ざかるかなぁと思って、発症から数日後に会社の健保組合の事務長に連絡してみた。
何でかというと、健保ではニコチンガムをお試しで無料配布しとると聞いたからじゃ。
止めたいは止めたいけれども、さっきも書いたがたばこそれ自体は(中毒なのでかな)嫌いではない、むしろ好きなので取り敢えずニコチンガムで急場を凌ぎ、もしうまく行きそうだったら本格的に始めればいいや、程度の浅い考えじゃ。
「ああわかった。まあいいことだよ。取り敢えず後で健保に来てよ」
早速ワシは職場と同じ建物の中にある健保に行った。
するとそこには、電話をした事務長ではなく健保所属の保健師が仁王立ちしており、飛んで火にいる夏の虫とばかりにワシに素早く近づいてきて不吉な笑みを浮かべながら、
「ああ、やっと禁煙する気になったんですね」
と一発かましてきた。
ワシの喫煙は相当に知れ渡っとる様子じゃ。
いやいやそうじゃないんです、取り敢えずお試しでニコチンガムさえ頂ければ今はもうそれだけで十分なんです。
等と切り出せる雰囲気では全くなく、タバコは人類最大の害悪であると固く信じている保健師はワシを絡めとり、別室に連れ込んでいったのじゃった。

2023年9月5日火曜日

温泉に行かない日(519) PSVT(7)

前回の循環器外来の時にとった不整脈外来の予約日がだいぶ離れていて、8月31日。
午前10時に循環器科に行った。
待っとると声がかかり、診察室に入ると緑色のユニフォームを着たクルクルパーマのドクターが椅子に腰かけて待っておった。
マスクはしとるが鼻は覆っていない。
一見すると吉本芸人、見方によってはムロツヨシに似た人じゃ。
これは軽いノリで来るかなと少し身構えたが実際にはそんなことは無く、非常に腰が低く患者に対してへりくだった言葉でしゃべる人じゃった。
因みにそのドクターもイニシャルにすると前回のドクターと同じMなので、M2として区別しよう。
ウルトラマンに出てくる星雲の名前のようじゃが勘弁してくれろ。
自己紹介も実に丁寧で「循環器科の責任を持ってる医者」とのことじゃった。
「発症後調子はどうですか」
「自覚的な症状はないんですけど、数字はこんな感じです」
Apple watchが自動的に記録してくれている心拍数を見せた。
通常は70~80なんじゃが、毎日必ず120~140程度をたたき出しているのが分かる。
「この141とか、何か運動とかしてたんですか」
「いえいえ。だってこれ平日の14時とかです。普通に仕事してるだけです。まあ上司から理不尽なパワハラを受けてたかもしれませんけどね。冗談ですよ」
「あはは。でもこれ見ると日常的に頻脈になってますねえ」
その後、このドクターも矢張り前回のドクターと同様、カラー版の高そうな病気の説明本のようなものを用いてワシにいろいろ詳しく説明してくれた。
そのドクターM2の説明を凄くサマって書いてしまうと、こんな感じじゃ。
病名はやはりPSVTで疑い病名ではなく確定。
その後、どうしてPSVTが起きちゃうかのの説明もあった(ワシとしては「心臓を動かす神経がバグって、めちゃくちゃな信号を送り出す病気」というような理解の仕方をした)。
程度に依るけど薬で様子を見るというのもあり。
ただワシの場合はアブレーションをして根治してしまった方がいいだろう。
やる場合は私(M2)がやるけど、これまで何百例もやってきたが問題があったのは1件だけで、それも胸腔内の出血であって手技自体の失敗ではない。
ここの部分、別に自慢げな感じでは全然なく自然で普通な感じでしゃべっておった。
ただ一般的にみると、焼きたい部分の近くに正常な神経が通っておったりした時、間違えて正常な方を焼いちゃってペースメーカーになっちゃったとかいう例は少し前にはほんのわずかだがあった。
しかし現在は可成り技術面でも進歩があって、例えば心臓を3D画像にしてみることが出来たり、造影も少し前と比べて格段に良くなっとるのでそのような事例は殆ど見られない。
要するにメリットとリスクを時間かけて丁寧に説明してくれたわけじゃな。
「どうします?やります?」
「そうですね~、う~ん…」
等と悩んだふりをしたが、実はもう前回受診の時からやることを決めていた。
「うーん、発症した時はもう死ぬかと思ったし、まあ先生のご説明で死に至る病ではないとは理解したんですけどやっぱりあれはもうイヤですし。リスクも理解できましたしベネフィットもわかりましたし、ここは思い切って一発お願いできますか」
「あ、そうですかやりますかそうですか。うんそれがいいと思います」
「はい、お願いします」
「じゃあさっそくカテ枠の確認しましょう」
この病院は電子カルテを使っとるから、そこから枠を押さえるのかなと思ってPCの画面を見ていたらそうではなく、意外にも画面に映ったのは普通にExcel。
案外古典的な枠管理をしとるなあ。
「そーですね。開いてるのはえっと直近だと10月の16くらいかな」
その時期はワシの仕事にだいぶん差しさわりがあるので、次だといつになるかを問うと、
「次だと20日ですね。19に入院して翌20にカテ。その後1~2日入院続けて様子を見て退院という感じですね」
それならば日程的に問題ない。
「それでお願いします」
「はいわかりました。ではこれで行きましょう。私が責任もってしっかり務めます。よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
見かけによらず(失礼)若くていい先生に巡り合えたものじゃと感謝した次第じゃ。
「あ、そうだ先生。私来週、禁煙外来を受けようと思ってまして、ニコチンパッチのやつなんですが、事務所にいる保健師から『ニコチン使うので心臓に負担がかかるかも知れないから、やっていいか先生に聞いておいて』って言われてるんです。大丈夫でしょうか」
「あ、そうなんですね。いやいや是非やって欲しいです。喫煙は循環器にとってもよろしくないですから、そっちも頑張ってください」
「はいわかりました」
実はワシ、発症した日から怖くなって基本的にタバコをやめてしまった。
完全ではなく、数本吸ってしまっているもののやめてしまおうと思って保健師に相談したわけじゃ。
前回、2011年ごろチャンピックスを使って一旦禁煙に成功しとるがその後再開してしまい、今までだらだらと吸い続けておる。
こっちはこっちで別途書いていこうと思う。
診察室を出て、入院受付によって手続きを済ませ、帰宅した。

2023年8月5日土曜日

温泉に行かない日(518) PSVT(6)

これを書いているのが外来受診日から1週間弱経過した8月5日なので、先生との会話の細かい内容はきちんと覚えておらんスミマセン。
氏名誕生日で本人確認してから先生は、今日行った検査の結果は特に問題なかったことを最初に云って、その後カラー版の医学書のようなものを広げてワシに見せてくれた。
「Aさんの場合は、これですね」
そのページには不整脈が10パターンくらいのグラフで書いてあって、その中で脈の頻度が一番激しいやつを指し示した。
極めて短い周期で脈がどくどくしとる様子がよく分かるグラフじゃ。
「これ、発作性上室頻拍っていいましてね」
ほっさせいじょうしつひんみゃくぅ?
知らん、聞いたこともない。
「はい、発作性上室頻拍。突然脈拍数が上昇する病気です」
「突然、ですか?」
「そうですね。心臓そのものっていうよりは、心臓を動かしてる電気信号がおかしくなるような感じですね。心臓は神経から送り出される電気信号で動いているんですが、その信号がおかしくなる」
「ははあ」
心臓は電気の信号で動いとるのか。
知らんかった。
ただ、人間ドックのときに意味も分からず心電図というのを受けていて、昨日も受けたかな。
考えてみりゃああれはその信号に異常がないかどうかを見とったんだな。
その電気の信号が何らかの理由で早い周期で送り出されるという様な話なのかね。
「きっかけとしては、運動、飲酒、喫煙などがあると言われてます」
すべて当てはまっとるじゃないか笑。
まあその時は酒は呑んどらんかったが、ウォーキングしとったし、合間に数本加熱式のタバコも吸ったし。
あといろいろ説明を受けたが、まあ病気としては死に至るようなものではないのはなんとなくわかった。
実はワシ、発作の時に胸に違和感、痛みまでは行かないけど違和感というかそんな感じがしておったため、狭心症なのではないかと怯えておった。
そのような心臓血管的な病気ではなさそうなのはとりあえず一安心だと思った。
「それでですね、発作へのとりあえずの対応としては、もしかして昨日もやったと思うんですが、トイレでの排便時のような感じで息む、ってのがあります」
「ああ、はいやりました。あっという間に心拍数が下がって驚きました」
へえ、あれは民間療法じゃなくて正式な治療というか手技なんだ。
「あと、氷水に顔をつけるってのも有効です」
「はあ?そうなんですか」
氷水に顔面をつけるだぁ?
なんか、怪しい対応法ばっかりじゃないか。
ホントなのかなあ。
でも実際昨日は息んで収まったし、先生がヘンな嘘をつく意味もないからホントなんじゃろう。
聞くと、顔面氷漬け法やトイレ式息み法をすると迷走神経を刺激するそうで、それにより症状を収めることができるらしい。
「しかしですね、息むことは置いといて氷水なんていつもあるわけではないですし、遠方にでかけたときとか周りに人がいないときとかにそれらの処置をしても症状が治まらないと困りますよね。発作はいつ起こるかわかんないですからね」
その通り。
今朝もバスで行こうかクルマで行こうか悩んだのは、運転中に症状が出てどうしようもなくなったらやばいなあと思ったからじゃ。
「そうなると、しばらく様子を見るとかいうのはやめて、もう根治しちゃったほうがいいと思うんですよ」
「はい、根治ですね。どんな治療をするんですか」
「おかしな信号を送る神経を焼いちゃう治療です」
ああ、それは聞いたことがある。
「アブレーションってやつですか」
「ああ、そう。そのアブレーションです。よくご存知ですね」
アブレーションという言葉とその処置内容は耳学問程度には知っとったが、どのような病気に対してそれをするのかということまでは知らんかった。
頻脈に対してやるのか。
しかしですな、いきなり正面切ってズバッと「あなた、ご自身の心臓の神経を焼きませんか」って勧められると、そりゃそれなりにビビります。
「え!ちょ、ちょっと待ってください」
カテーテルじゃ。
確か造影剤入れて鼠径部のあたりからほっそい管を入れて行ってじわじわと心臓に近づいて行き、ちっちゃなパイプを血管にはめたり神経を焼いたりするやつじゃ。
今まで他人事と思っとったが、如何にほっそいとは云え、いざ自分の心臓にそんなものが侵入してくるとなるとやっぱり怖い。
「そうですよね。しばらく様子を見てさっきの対症療法で凌いで、でも何回も起こるようだったらアブレーションするって云う手もあるんですけど。でもまあやっちゃったほうがいいと思いますね」
うーん、そうか。
まあ信頼できそうな先生じゃし、その先生がそう云うならやってもいいか。
よし。
「わかりました。お願いします」
「うん、それがいいと思います。ではその方針で行きますけけどその前に一回不整脈外来にかかりましょうか」
M先生とは別の不整脈専門の先生がいて、その先生に診てもらってその結果で最終的にやるかどうかを決めるということになった。
受診日は8月末。
それまで発作が起こったら困るので、ワソランという頓服薬を5錠処方してもらった。
あ、そうだ。
「先生。この病気の略語みたいなのはあるんですか?Pで始まる4文字くらいの」
「はい、PSVTって言いますね」
これだ。
帰宅後調べてみると、paroxysmal supraventricular tachycardiaの略だそうだ。
もちろん発音できない。
あんたもできんじゃろう。

しかし、アブレーションかあ。
まさか自分が受けるとはなあ。

2023年8月4日金曜日

温泉に行かない日(517) PSVT(5)

翌7月31日の月曜日、ワシは普段通り起床してクルマに乗ってB病院に出かけた。
バスで行こうかとちょっと悩んだが、昨夜はよく眠れたし念のためつけておいたApple Watchで記録しておいた心拍数を見ると昨日の様なトンデモ心拍数は出現してなくて概ね70~100くらいで推移しておったのでクルマにした。
外来受付は8時開始じゃが、それよりだいぶ早く7時くらいに到着した。
早めについて条件のいい駐車スペースを確保するのと(ドアパンチされにくいスペースがいい)、もう一つは病院周辺をウォーキングしてみて体調を確認したかったからじゃ。
病院周辺ならばその時間通勤する職員がたくさんおるので、万が一体調がおかしくなって動けなくなっても比較的安心じゃろう。
病院から数百メートルの距離にあるコンビニを目当てにてくてく歩き始めたが、幸い体調の悪化は感じない。
日陰を選びながらゆっくり歩いてコンビニに到達し、建物の陰でアイスコーヒーを飲んで汗を引かせ、またゆっくり歩いて病院に戻った。

丁度8時少し前になっていたので院内に入り、受付の列に並んで循環器科の受付を済ませ外来ロビーで腰かけて待っておった。
すると白衣の看護師さんがきて事前の問診をしてくれた。
まあ概ね昨日の受診内容の確認とかその他もろもろの質問を受けたくらい。
「今日はいろいろ検査することがあって、また担当の医師が救急を掛け持ちしていますのでだいぶ時間がかかると思います。まあ15時くらいまではかかる見込みです」
二次救急を受けているくらいの総合病院じゃからそれは覚悟の上じゃ。
「ですので、お昼ご飯を院内か病院の周辺で食べることになりますが、その前に一声かけてください。検査に差し障るものがあるといけないのでその時に確認しますので」
「はい、わかりました」
長期戦を覚悟してボディバックの中にはモバイルバッテリを忍ばせてある。
スマホで遊びながらゆっくり待つことにしよう。
「あと以後は、コーヒーとかは飲まないでください。お茶か水にしてください」
「あ、さっきコンビニでコーヒー飲んじゃったんですけど」
「それは構いません。以後、診察が終わるまではダメです」
「わかりました」
「じゃあ、早速検査に回ってください。この紙に書かれた順番に回ってください。全部終わったら循環器の受付にお声掛けしてください」
どんな検査したかな、書いとる今は8月4日じゃから思い出しとるが、
・採血
・胸部一般撮影
・心電図
・心エコー
くらいだったように思う。
全て終わり、循環器に戻って受付前で待つこと1時間。
ようやくワシの名前が呼ばれた。
時刻にして11時くらいで、ことは予想よりだいぶんに早く進んどる様子じゃ。
診察室に入ると、えんじ色の服を着た若い先生と看護師がおる。
「Aさんこんにちは」
「はい、先生よろしくお願いします」
診察が始まった。
どのような結果になるんじゃろうか。

2023年8月3日木曜日

温泉に行かない日(516) PSVT(4)

「大きく息を吸っておなかに力を入れてください。で、おなかを私がぐーっと押すのでそれに逆らっておなかがへっこまないように我慢してください」
という処置のあとは200以上という心拍数が急激に収まって(それでも)100前後で落ち着いた。
胸骨真ん中あたりの違和感と云うか痛いのの寸前的な感覚も同じように収まった気がする。
そのままストレッチャーの上で寝転んでぼ~っと天井を眺めていたら、
「確認のためにもう一回採血と、あと心エコーします」
と声を掛けられ注射針をぷすりと刺され、心臓の周りにプローブをグルグル当てられいろいろ調べられた。
それも終わり、ERに担ぎ込まれてから2時間ほどたった概ね14時ごろに看護師さんが来て、

「本日はこれで終わりです。入院は必要なくてご帰宅できます」
「ただ、心拍200以上の状態が4時間以上続いていますので心臓に可成り負担がかかっていて、血液検査でもそれが分かる結果になっています」
「ですので、明日の月曜日、循環器科にかかっていただいてもう少し詳しく検査して今後の対応について決める方が良いと思います」
「受診はここでも、開業医さんでもいいんですがどこか行きつけのクリニックとかありますか」

行きつけの医療機関と云えば、今いるこのB病院の皮膚科にかかっているくらいで他にはない。
行き帰りを考えたら外来受診するとなればここB病院か、最初に救急お断りされたA病院がいい。
あとここには当然今日のカルテもあるし、だいぶ待ち時間があるとは思うがここにかかるのが合理的と考えて、そう伝えた。

「わかりました。では明日この用紙を持って循環器科の受付をしてください。救急からの予約は出来ませんのでかなりお待ちいただくことにはなりますがご了承ください」
「今日受け入れてから検査や処置の相談をしてくれたM医師の外来になります」

ああ、そうか。
そうするともしかしてあの「大きく息を吸っておなかに力を入れてください。で、おなかを私がぐーっと押すのでそれに逆らっておなかがへっこまないように我慢してください」というのは、そのM先生の遠隔指示だったのかもしれんなあ。
「はい、じゃあ荷物を確認して頂いてお帰り下さい」
ありがとうございました、と感謝を述べて荷物を確認しているとその看護師さんが、
「Snoopyとやぎさんが好きなんですね」
と云った。
ワシのボディバッグには、阪神タイガース×Snoopyの缶バッジ、やぎの諭吉の缶バッジ、やぎのマサオが飼い主のレギンスを噛んでいる写真キーホルダーなどがついていて、それに対する感想じゃろう。
TシャツもSnoopyだしなあ。
ちょっと恥ずかしかった。

今回の診療費は自己負担3割で9,790円、総額で32,620円。
自己負担としては決して高くない。
今から4時間前、おひさまでクソ暑い路上で歩けずに座り込んで、自宅まであと数百メートルの距離も歩けないかもと絶望感にさいなまれていたことを考えるとありがたい話だと本当に思った。
会計を済ませて明日休む事を上司に連絡し、帰宅してベッドに転がり込んた。
当然、酒は飲まなかった。

2023年8月2日水曜日

温泉に行かない日(515) PSVT(3)

ERに入れられると看護師さんからヘンな質問を受けた。
「Aさん。今どこにいるかわかります?」
「へ?B病院のERですけど、違うとこですかね」
「いえ、大丈夫。その通りです」
その時はなんじゃいこの質問は、と思ったが、今思うと意識の明瞭さを確認したのかもしれん。

その後、えんじ色の服を着たお医者さんやら看護師さんやら、他の色(白だったかなあ)の服を着た検査技師っぽい人やらが何人もわらわらと寄ってきて、指先に小さな機械をカパリと嵌めたり、二の腕に血圧を測る機械を巻き付けたり、胸に何かを測るセンサーのようなものをぺたぺた貼り付けたりされ、その後右腕に注射器をぶすりと刺されて採血され、逆の腕に点滴の針を刺されて何かの液体を注入し始めたりと、救急で良く見るようなことを忙しく自分にされた。
救急は初めてなんじゃが、ああイメージ通りだなあと思った。
そのうちその中の1人がモニターを見て「いやあ、脈、めっちゃ速いなあ」とか「血圧低いなあ」とか、さっき救急車の中で救命救急士が云っておったのと同じようなことを云っておる。
「これやっぱP〇〇〇じゃないかなあ」
やあ、また英語4文字略語が出たな。
Pで始まる4文字略語。

救急車を呼ぶ電話から今まで、確かに意識は明瞭で、救命救急士さんやお医者さんとか看護師さんからのその場での質問には的確に答えられておった記憶じゃが、なんじゃろ、全体的には薄ぼんやりした感じで、今遡って何を聞かれてどう答えたのかは詳しくは覚えとらん。
ERでは、胸はまだ痛いかどうかとか、既往歴とか服薬の状況とか連絡先とかを聞かれたと思う。
で、取り敢えずやるべき一通りのことが終わったと見えて皆さんの姿は消え、ワシは暫くストレッチャーの上で一人で横になっとった。
ワシについてはどうやら命に係わる状態ではないと見極めがついたようで、奥の方から草野球の話とか(ピッチャーがなんとかとかショートがどうとか)、駿東郡というのはどのあたりで三島とか沼津の東というか伊豆半島の北なんだ(がんセンターってあっちの方だよね、とか)、みたいな世間話をしとったのを妙に覚えとる。
それで寧ろ安心した気分になった。
モニターからはかなり速いスピードでぴっぴぴっぴ音が続いてはおるが、ワシも何だか安心したようで少し眠くなってきてうつらうつらしとると、えんじ色の服を着た女医さん(はっきり書くが若くて美人じゃった)が来て、
「ちょっと試したいことがあるんですが大丈夫ですか」
と云った。
なにされるんじゃろと少しビビりつつも、
「はい何でしょう」
と云うと、
「大きく息を吸っておなかに力を入れてください。で、おなかを私がぐーっと押すのでそれに逆らっておなかがへっこまないように我慢してください」
はあ?なんじゃ?と思ったが、言われた通りやってみた。
するとどうじゃ、あれだけ煩くぴっぴぴっぴ云っとったモニターの音の間隔がじゃんじゃん開いてきた。
心なしか胸の違和感も和らいできたような気もする。
「ははあ、これやっぱり効きますね」
何だか民間療法の様な感じだけど、大丈夫かなあと思った。
思ったが実際に脈の回数が半分くらいになり、楽になった。
ふしぎなもんじゃなあと思った。

2023年8月1日火曜日

温泉に行かない日(514) PSVT(2)

「ええと、救急です」
「どんな症状ですか」
「ウォーキングからの帰りに、急に胸がドキドキしてちょっと苦しくなって歩くのがしんどくなりまして」
「はい」
「なんとか帰宅して横になってたんですが治まらないので、総務省のQ助っていうアプリで判定して電話しました。そのアプリ通りですと、激しい動悸が30分以上、実際には数時間続いてます」
スマホを持ってヘルスケアを開け、心拍数を見ると心拍数は200前後で推移しているのがわかった。
「症状はご家族ですか」
「いえ、本人です。住所は(日本の何処かです ※当然実際にはちゃんと伝えている)」
「今はどうですか?」
「まだドキドキしていて、胸のあたりが変な感じで、部屋で横になってます」
「わかりました。もう救急車手配しましたので、一歩も動かずそのままでいてください」
「はい、わかりました」
そのような電話をしているうちに、電話の外から救急車のサイレンの音が聞こえてきた。
そして電話が切れた。
しかしワシは一歩も動くなという命令に背き、入院に備えて昔葉山のゲンベイで買った帆布製の袋に下着とか常用薬とか詰め込み、あと心配だったのは診察券と保険証。
保険証は普段は車に保管している。
したがって車まで取りに行く必要があるが、救急の電話の人からは一歩も動くなと厳命されている。
部屋の中をちょこまか動いて入院に向けての身支度をする程度であれば許されるが、自宅から少し離れた駐車場まで行くのは流石に憚れるじゃろうと、ドキドキする胸を抱えながらワシは思った。
まあ、救急隊の人に車まで行ってもらえばよいじゃろう。
そうこうしながら玄関先で待っとると、いよいよ救急車のサイレンが実際に近づいてきた。
サイレンの音が止まり、インターフォンがピンポンとなった。
すぐに解錠し、それと同時に救急隊の方が3名、玄関になだれ込んできた。

実はその先はあまり覚えていない(疲れていたのかしんどかったのか…)。
玄関先から拉致された犯人の如く両脇を支えられ、救急車まで連れて行かれ、ストレッチャーに載せられた。
救急車に載せられ、あっと言う間に色々なセンサーを躰に付けられ、その結果、
「いやあ、脈早いです」
「血圧測って」
「ええっと、最高80ですね」
「ひくいなあ、これより下がるとちょっと…ちょっといかんね。心拍は?」
「220」
「こっちは下がらんな。こりゃあ(なんとかかんとか英語を云ったが聞き取れなかった。英字4文字の略語っぽい感じ)だなあ。酸素、マスクつけて酸素酸素。なんとかリットル(何倍とか言うのも聞こえた)流して」
「これ、Pナントカかも知れないなあ」(またしても聞き取れなかったが、最初がPの4文字略語なのはわかった)
ワシの肺に酸素を送り込むための透明なマスクが口に嵌められた。
「取り敢えずまずA病院連絡してみて」
この病院は市街地近くにある二次救急を受けている総合病院じゃ。
「わかりました」
「Aさん(私のこと)、緊急連絡先は?家族、奥さんの連絡先は?」
「電話もってないんですよ」
「どこにいるんですか今」
「遠方(実際には具体的な出先を伝えている)にいます」
「他に連絡先は?」
「子供は◯◯(関東)と△△(関西)にいます」
「スマホ貸してください。電話します」
「A病院断られました」
「もっと酸素かな。もっと濃くして5倍(だったかな。そんな記憶)」
「うーん、じゃあB病院に電話して。だめだったらCに」
「はい」
脈拍数220、最高血圧80という状況であるのにも関わらず、ワシは(いやあ、Cだけは困るなあ。遠いもんなあ、不便だもんなあ。なんとかBにならんかなあ)
などと誠に身勝手なことを考えてことは正直に告白しておく。
「お子さんの◯◯さんの方にかけたけど圏外だね。どうするかな。他にいないの」
へ?
親族への連絡にそんなに拘るの?
なんで?
死ぬんですかもしかして、と思いワシはかなりビビった。
「B病院、受けてくれました」
「よかった。OK。酸素もっと濃く」
とかなんとか。
他にもワシのバイタルについて車内でやり取りしたり、B病院が受けてくれたのでワシの状態をそのB病院に報告したりいろいろやっとったみたいじゃが、少し苦しくてあんまり覚えておらん。
そのうちサイレンの音が止まり救急車も止まり、つまりB病院に到着した(みたい。外が見えないのでわからない)。
実はワシ、そのB病院はよく知っているし、救急(ER:高度救命救急センター)の入り口もよおく知っとるが、ぐんなりしとるせいかどこに着いてどこからどうやってERに搬入されたのかは全く分からなかった。
ストレッチャーが救急車から降ろされ、ゴロゴロと転がされ、テレビで時々見るような救命救急センター内に担ぎ込まれた。
センターの看護師っぽい人が救急隊員に、
「そこの真ん中のとこに入れてください」
と指示し、ワシはそこで救急車のストレッチャーからERのストレッチャーに移された。

ワシは生まれて初めてERに担ぎ込まれた。

2023年7月31日月曜日

温泉に行かない日(513) PSVT(1)

加齢による体力筋力の低下や、ロードバイクに乗ると80km持たずに膝が痛くなるなどの症状があるため、ここ1年程は毎日最低5000歩、週末には10000歩若しくは10kmは歩くようにしとる。
夏場は暑いから早朝歩くことにしとるので、2023年7月30日の日曜日も7時前に自宅を出立し、歩いて10分ちょっとのところにあるちょっとした森林公園の様な所に行った。
そこにある遊歩道は殆ど木陰なので安心して歩ける。
1時間ほど歩いて8時前くらいに帰途につき道を歩いとると、急に心の臓がドキドキし始めたような気がした。
何じゃろなと思いつつ気にせず歩いておったが、胸の真ん中あたりにヘンな違和感を思えたので立ち止まり、iPhoneのヘルスケアで心拍数を見てみたら8時12分ごろから急激に上昇していて200以上にもなっとる。

なんじゃいこれは!?
とは思ったが、まあすぐに収まるじゃろうと思い、少し頑張って再び歩き出したが段々息苦しさが増してきて歩くのがちょっとしんどい。
しかも8時を過ぎて暑さが厳しさを増して来とる。
小さな日陰を探しながら歩き、その日陰に来ると座り込んでゆっくり深呼吸をし、10分ぐらい休んではまた次の小さな日陰に向かって歩き…、ということを繰り返して500mほどの距離を小1時間かけて家に戻った。
部屋に入ってエアコンをかけ、すぐにベッドに横たわって心拍数を暫く観察したがいっかな下がらん。
「これ、もしかしてヤバいのかな」
と思い、スマホに入れていたQ助というアプリで調べてみたら、どの質問にどう答えても、
「今すぐ救急車を呼びましょう。緊急度が高いと思われます。今すぐ119番に電話してください」
と出る。

「いやあ、ははは。そこまでは必要ないじゃろうよ」
思う一方、どの質問に答えても兎に角「今すぐ救急車を呼べ」という返事の一点張りなのを見ると流石に不安になり、勇気を持って119番に電話してみた。

「はい、119番消防です。 火事ですか?救急ですか?」

ははあ成程、この問いかけって噂通りホントにするんだ、と妙に感心した。