2023年10月23日月曜日

温泉に行かない日(525) 4日断酒明けのお酒

今日10時に退院。
渇酒状態では全然ないけれど、入院中はやはりお酒が飲みたい気分じゃった。
実際入院してわかったんじゃが最近の入院食は暖かくて旨いので、ここにビールやワインがあれば豪勢なディナーなんじゃけどなあと思ったもんじゃ。
なので退院したらその日の昼飯はビールとともに、なんて思ってたんじゃけど、入院中に体質が少し変わってしまったのか、実際には昼飯を前にしても「ビール飲みたい!」という気持ちには全然ならなかった。
変だなあ。

そういうことでアルコール抜きで昼飯を済ませ、散歩に出掛け帰宅して少しイネムリし、夕方起きて買い物に行った。
ワシここ数ヶ月、体重増加その他を抑えるために大好きな日本酒をやめてたんじゃけど、今日は少し気温が低いし、入院食では絶対に提供されることはないお造りをアテにぬる燗の純米酒を味わおうと思ったんでそれらを買いに行ったわけじゃ。
夕刻過ぎて暗くなり始めた頃合いを待ち、ワシは購入した花の舞純米酒4合瓶から一合徳利に酒を注ぎ入れ電子レンジで燗をつけ、早速口にしてみた。
入院前じゃとだとそうじゃなあ、2〜3合飲んでも「ちょっと酔ったかな〜」位な感じしかなかったが、1合の半分(5勺:約90ml)ほど飲んだところで体がふんわりしてきて、1合飲み終わる頃にはいい塩梅に酔っ払ってしまった。

これは驚きじゃ。
やはり4日間の断酒(と言っても自らの意志ではなく已む無く断酒したんじゃけど)によって体質が変わってしまったんじゃろか?
ワシ、酒が好きじゃけど何かの目的(例えば憂さ晴らしとか、寝るための睡眠薬代わりとか、ですな)を果たすために飲んでいるわけではなくて、ただ単に酒が好きじゃから飲んでいるので、少量で気持ちよくなれるんならそれに越したことはない。
日本酒を1合飲んだあと、ビールに合いそうなツマミがあったので順番は逆じゃがビールも飲んでみたけれども、350mlのプレモル飲むのが結構たいへんじゃった。
ぐ〜っと飲めないし、途中で「こりゃ全部飲めんなあ」という感じになってきちゃった。
まあもったいないから全部飲んだけど、これなら超ミニ缶(135ml)とかミニ缶(250ml)で充分かもしれない。
ただ超ミニ缶やミニ缶はワシの嫌いなアサヒスーパードライ(個人的にはこれ飲むならサイダーのほうがマシと思っとる)しか目にしたことがないのと、あともう1つは単価が高いことが残念ポイントじゃけど、単価の方は仕方ない。
調べてみたら、スーパードライ以外にも一番搾りやプレモルもミニ缶を出しているみたいなので、売っているところを見つけてそれにしようと思う。

日本酒に変えて最近メインに飲んどるのはキンミヤ焼酎という四日市の酒で、この焼酎は角のない柔らかいお酒で、ロックでもお茶割りでもソーダ割りでもなんでも合うし、体に残らない。
でも今日は日本酒1合と缶ビール1本で充分に酔ってしまい、とても飲めなかったので明日以降に試してみようと思う。

まあ酒は「適量に、程々に」が良いとされているのでこの状態が続けはいいなあと思うは思うけど、その一方で「いやあ、ひと月も経てばきっと元の木阿弥なんじゃろな」という予感もするけどね。
まあせいぜい量を抑えて、高くても美味しいお酒を嗜むように心がけようと思う、今のところは。

2023年10月22日日曜日

温泉に行かない日(524) PSVT(12)

2023年10月22日 入院4日目で本日退院
即ち禁酒実質4日目。

いつも通り6時前に起床。
昨日から急に寒くなってきているのがよおくわかるなあ。
昨日夕方に病棟看護師が病室にやってきて「明日の退院時刻は10時です」と教えてくれた。
退院まで4時間、朝飯まであと1時間30分ある。
朝飯以降はいろいろバタバタするだろうから、朝飯までにウォーキングを済ませておこう。
カテ実施した一昨日の10月20日は一応歩いたものの流石に普段どおりとは行かず3500歩、消費カロリーも159kcalで、これで目標の200kcal消費の連続記録は前日の10月19日で207日で途絶えた。
残念じゃが、こればっかりはまあ仕方がない。
ただし昨日の10月21日は、抜歯前のカテ入り口の傷口を広げないよう気をつけながら院内の外来周りと院外周辺をゆっくり歩いて10000歩、380kcalを達成できた。
今朝は昨日までのようなパジャマ姿ではなくきちんと着替えたので、少し遠くまで歩くことが出来たのは嬉しかった。

今回の入院について。
今回は正直、誹りを恐れず掛けば面白半分で入院した感じじゃった。
もちろんPSVTという大変な不整脈・頻脈を経験しERに担ぎ込まれ、その後に医師と相談した上でアブレーションを受けることに決めとるんじゃが、PSVT自体は死に至る病でないし、投薬である程度病状を制御出来るので受けるのが必須というわけではない。
ただし流石にあの7月末の症状は幾ら死なないと言っても恐ろしかったし、なんとかしたいという気持ちではあった。
またカテ(アブレーション)が比較的侵襲性が低い術式であるということもあって、寿命で死ぬ前にそういった体験をしておくのも有意義ではないかという(もっと素直に書けば「面白そうじゃんか」という)厚生労働省が聞いたら怒るようなやや不純な動機で受けた部分もある。
もちろん医療的には確定診断が出ていて、医師もアブレーションすることを推奨しとるわけじゃから今回の入院はな〜んにも問題はないわけじゃけど、これがもしカテではなくて切った貼ったの外科的オペじゃったら、ワシ多分見送っていたと思うなあ。
アブレーションの効果については今後暫く観察しないとわからんけども、アブレーションの前後で心拍数が大きく変化したかといえば全然そんなことはないのが残念なところじゃ。


例えばこのキャプチャはワシの心拍数のデータじゃけども、20日を境に心拍数が抑えられとるという感じは見られん。
しかしまだ1日しか経っとらんからもう暫く様子を見よう。
日常的に脈拍数が結構簡単に140とか160とかになっちゃうのが、これを気に治ったら嬉しいなあと願っとったがその効果は余りないようで、あくまで200以上とか異常すぎる不整脈を防止するための処置なのかも知れない。
とにかく循環器の医師が3人がかりでやっつけてくれたんで、それについては今後暫くは大丈夫じゃろう。
カテーテルを挿入したのは鼠径部右側と首の付根の右側じゃけど、鼠径部の方は結構な範囲で紫色の内出血が広がっておる。
かつ傷口も痛い。
昨日までは傷口を縫っていたので歩く度に引き攣れるような痛みがあり、抜糸後は傷そのものの痛みに変わった。
痛みについては今朝はだいぶ収まったけれども、広範囲な内出血は暫くは続きそうじゃ。
一応写真に収めたが、これは流石に公開不可能じゃろう。
これじゃあ暫くは温泉銭湯には行けないなあ。
まあ我慢じゃ。

本日退院して、次回の循環器科外来は12月の予定じゃ。

別の心配事として「4日間も禁酒できるか」があった。
実は入院前には全く自信がなく、入院する病院のすぐ近くにある地元では旨いと評判の餃子屋に飛び込んで、餃子にビールという理想的飲酒をしてしまうのではないかと我ながら心配じゃった。
こんな事すれば若干状況は違うものの、中島らもの「今夜、すべてのバーで」状態になっちゃうし、ワシ果たして大丈夫かなぁと結構ガチで心配しとった。
しかしそんな仕儀には至らず退院できた。
入院期間は足掛け4日じゃけども、実質的にはカテ日を除くと2日程度。
何もしてない状態で病院内で過ごした時間はえ〜っと、

・10月19日 約6時間
・10月20日 約3時間
・10月21日 約8時間
・10月22日 約4時間

合計で21時間程度で1日にも満たない。
それだけの時間を我慢すればいいだけなので何とかなったのかもしれん。
実際の所、ワシが帰宅後に最初にしたいのは兎に角が〜っとビールを飲むことであり、次にしたいのは最近お気に入りになったキンミヤ焼酎のお茶割りを飲むことであり、3番目は花の舞の純米吟醸を軽く燗にして刺し身とともにやることじゃ
つまり飲酒については当面どうしようもない。
しかしながら僅かな時間とはいえ今回の入院期間中、「飲酒禁止」の状況に苦もなく対応できたのは予想外じゃった。
自分で自分を褒めたい。
とはいえ兎に角帰ったらまず飲むぞ。

禁煙については、まあまあ平常運転。
いつも通りで、吸いたい気持ちは常時消えることはなかった一方で、かと言って歩いて10分もかからないコンビニに飛び込んで煙草を買って吸いたいという気持ちにもならなかった。
今回、ニコチネルパッチを忘れてしまったため正直やばいかと思ったが、これまた意外にも何の苦もなく(吸いたい気持ちはもちろんあるがそれを苦もなく)耐えられたというのはまあまあ上出来な話じゃとは思うな。

というわけで以上じゃ。
還暦が近づくといろいろガタが出てくることを身にしみて感じた今回の入院じゃった。
しかしまあ、PSVTについては暫くは心配不要になったし、今回をきっかけにして禁煙できそうだし、悪いことばかりではない。
せいぜいご自愛しますわ。
ではさようなら。

2023年10月21日土曜日

温泉に行かない日(523) PSVT(11)

目が醒めたら既に夕刻近くで、寝ている間は口を開けとったせいかやたらに喉が乾いとる。
看護師に起こされたのか、起きたらたまたま看護師がいたのかよくわからないが、兎に角目が醒めて横には看護師がいた。
テレビや小説のセリフではないが、起きた時どこにいるかが本当に分からなかったが、周りを見回して自分の病室にいるのが何分か掛けてやっと理解できた。
朝9時に麻酔されて今16時じゃからええっと、ざっと7時間も寝入っとったわけか。
カテに要した時間はよくわからんが、病室においてあった胸部の写真(多分、炙られとる瞬間ではないかと思う)の撮影時刻を見ると11時34分となっとる。

PC画面のキャプチャを印刷してそれを写真にしたので画質が悪い
すまんのう謝るワイ
© ill-health(ruephas) 2011-2021

じゃから、其の後の後始末も含めてカテ室を出たのが13時前後、そのまま病室に担ぎ込まれて3時間ほども前後不覚でがあがあ寝とったわけか。
酒好きは麻酔が効かないと言うが、ワシは大変良く効く。
毎日してほしいくらいじゃ。

ということで、カテ中の記憶は本当に全く何もない。
顔に被せられるようにCアームが近づいて来た以降の記憶は全く無く、実際は血管に穴あけられて痛かったのかも知れんし、心の臓にあるバグった神経を炙られたときには熱かったのかも知れんし、役目を終えたカテを抜くときは痛かったかも知れんし、色々なことの実際はわからんが、兎に角何らの痛痒を感じることはなく、全て終わった。
血管に管を入れて心臓まで届け、神経焼いたり血管を繋ぐ小さなパイプを入れたりするなんて怖いし痛そうと思う人が大多数じゃろうけど、カテ自体に苦痛はまったくない(いや、正確にはあるんじゃろうが、全麻なのでそれを感じることはない)。
いろんな技術が進んで意図せぬ結果に終わることも殆どない。
切った貼ったのオペではないので侵襲性も極めて低い。
既に書いた通り、今回の入院で最も侵襲性が強かったのは尿道カテーテルの挿入と抜去、及び抜去後における排尿時の痛み。
それさえ我慢できる人で、心臓に問題を抱えている人であれば、積極的に検討するべきだと思う。
尿道カテさえ我慢できるんならな。

病室に帰ってからすぐに軽い昼飯(食パン2枚)食って、すぐさま再度睡眠体制に突入した。
18時少し前に目を醒まして、やってきた夕飯食いながら虎テレ見て熱く阪神を応援しとったら「失礼します」と言って、カテをやってくれた医師(M2先生とは別の先生)が入ってきた。
何時くらいだったかなあ、19時前後かな。
先生はワシに向かって次のようなことを説明してくれた。
カテについては術前に想定していたプロトコル(規定とか手順みたいな意味)通り事を進められました。
患者さん(ワシのこと)は、偶にいるタイプの患者さんで、どういうことかと言うと、最初見定めた神経を一旦焼いてその後チェックすると、別の神経がおかしいことが判明したので次にそれをやっつける。
それ終わったらまた別の神経で異常が見つかったのでそれもやっつける、と言う感じのカテでした。
そういう患者さんは別に珍しくもないですし、通常の範囲内での対応をしたということですね。
今回こんな感じで3本の神経をやっつけてましたが、実はもう1本ちょっと怪しいのがあったんです。
で、その神経は傷をつけてはならない正常な神経のすぐ脇にあるという事と、異常の度合いが小さくて刺激を与えても変な挙動が長続きしないので、立ち会った医師3人で話して、リスクはかなり小さいので暫く様子を見ようとなりました。
ワシ如きのために、多忙な医師が3人も立ち会ってくれとったとはほんとに申し訳ないと言うかもったいない話じゃなあと思ったんじゃが、ありがたいことじゃ。
術後にこのような丁寧で十分な説明を受けられたのは大変に安心できる。
数カ月後に循環器外来で経過チェックするとのことじゃった。

このような説明にワシは満足し、21時の消灯後もMacの画面に映る阪神タイガースの選手を応援し続け、そして22時前には阪神の日本シリーズ進出が決定した。
ワシのカテも恙無く終わり、我が阪神タイガースも日本一を争う(おそらく)オリックスと関西ダービーで激突することが決定し、2023年10月20日は大変良い日になった。
ありがたいことじゃ。

温泉に行かない日(522) PSVT(10)

2023年10月21日 入院3日目
即ち、禁酒3日目。
はっきり言ってこの数年酒を絶やした日はほぼ皆無なので、入院前に抱いた不安は「酒無しで4日間も耐えられるか」というものじゃったが、今んとこなんとかなっとる。
とはいっても1日目は15時入院で実質夜しか過ごしてないし、昨日は朝からいきなりアブレーションじゃったから酒どころの話ではなかったし。
麻酔から覚めたのは夕方だし、その後夕飯食ってすぐ寝ちゃったし。
従って禁酒については今日明日が本番だけど、なんとなく大丈夫なような気がする。
今はむしろ煙草への欲求が強いが当然のことながら吸うことはできんし、幸い「万難を排してでも的」にまで吸いたいとは感じない。
ちなみに禁煙外来で処方されたニコチネルパッチは家に忘れて入院後は貼っていないが、イライラとかは不思議に感じない。
吸いたいのはもちろん吸いたいが我慢は出来る。
禁煙についてはこのまま行けそうな気がする。

病棟ってのは当たり前だけど夜通しなんかしらの活動していて、ワシが入っとるのはいわゆる救急病棟なので余計にそうなんじゃろうが、ナースステーションや各病室から常にぴいとかふぃんふぃんふぃんとかぶーとか音がしとるし、看護師さんじゃろうけど急ぎ足でサッサッサッと歩く足音なんかが途絶えることがない。
そのせいか昨夜はよく眠れず。
ただ、午前9時過ぎから夕方まで麻酔で寝ていたせいか、夜に寝不足でもそんなにしんどい感じはしない。
朝食は意外にも、まあまあ美味かった。
メインディッシュの「白身魚のワイン蒸し」は上々だったし、甘い芋系が嫌いなワシじゃが、レモンをたっぷり使ったさつまいものサラダも美味しく食えた。
お麩のお味噌汁もお代わりが欲しいくらいだったし、白飯も上手に炊けとった。

さあ、昨日やったアブレーションについてじゃ。
カテ当日の昨日は禁酒禁煙どころかカテ室から出て目が覚めるまでは飯も水分も禁止。
従って朝飯抜き。
喉が非常に乾いておるのでだいぶつらいが仕方ない。
少しウォーキングして病室に帰って待っとると8時すぎに看護師さんがやってきてバイタルをチェックし、そのあと何気なくしなやかに流れるように、
「おしっこの管を入れますね〜」
と爆弾発言を投下して優しくワシに微笑む。
何食わぬ顔して悪魔の微笑み。
尿道カテーテルを入れられるのは人生始めてなんじゃが、自分の勝手な想像では入れられるのはせいぜいほれ、ボールペンの芯くらいの太さの管じゃろうと考えておった。
だって尿道じゃよ。
まあボールペンの芯くらいならなんとか耐えられると諦めておったが、その看護師が手にしとるのはそうだな〜どうだろう、外径5〜6mmはあろうかという邪悪な色をした管。
それこそ鉛筆くらいの太さがありそう。
今までのワシの人生では色々な出来事があり「嗚呼こりゃもうダメだ」と思ったことは何度かあるが、今この邪悪な色をした太い管を見たのに比べりゃあすべて何て事はない、ゆる〜いカジュアルな出来事にしか過ぎない。
今、この管からは「完璧なる絶望」しか感じることができん。
微笑みを浮かべながらその看護師は有無も言わさずワシのパンツをスルッと脱がし、「消毒しますねー」と明るく声を掛けてからデカい綿棒のようなもので消毒をした。
これはいかん、いかんぞ。
本当にやるつもりらしい。
ワシとしてはダメ元で、
「すみませんあのう、やはりその尿道カテってのは必須なんですかねえ?何て言うんですかね、こう何とかそれはやらない方向での検討は出来ないもんでしょうか」
と交渉を持ちかけたが、
「ははははっ、出来ませんねえ♡」
と、消毒作業を手際よくこなしながら看護師は即答し、
「じゃ、入れますね〜」
「あ、少し待ってください。おいちょっと待て。痛いですかぁ?」
「はい、痛いみたいですね。私はやったことないのでわかんないんですけど。えっと男の人だと3回痛いらしいです」
「へ?3回だ?3回もですってあうっ!
やられた。
なんだろ、針をさされたような痛みではなくて痺れが最高度の痛みになったようなこれはもう二度と嫌だと感じるような邪悪な痛み。
結果として、この尿道カテーテル挿入時の痛みが今回入院時における最大最高の痛みじゃった。
いや挿入時だけではなく、翌日抜去後も排尿時における痺れたような痛みが暫く続き苦しんだ。
本当にもう二度と体験したくはないなあ。

で、本番カテの前の尿道カテ挿入も終わり、ワシは病室ベッドからストレッチャーに載せ替えられてカテ室に向かった。
看護師が誰かに「オペ出し行ってきま〜す」と声を掛け、「お願いしま〜す」という返事が聞こえた。
正確には「カテ出し」ではないかとの疑念がちらと過ぎったがどうでもいいことじゃろう。
朝の病棟廊下はワゴンやら何やらがたくさん置かれていて、それを避けるようにして看護師は巧みにストレッチャーを転がしていく。
まるで上級者によるジムカーナのような巧みなストレッチャー捌きにワシは感心した。
エレベータに乗り、上に登ったのか下に降りたのか覚えとらんが停まってドアが開きまた廊下をごろごろ転がされて、デカい自動ドアの前でピタリと停止し、看護師がインターフォン向かって「オペ患者さんお連れしました」と言うと、中から「患者さんの名前お願いします」。
ワシの名前が告げられ、すぐにデカい自動ドアが開け放たれ、中にいたカテ室ナースの「頭から入れて下さ〜い」の指示に従いワシは頭からカテ室に進入した。
一般的なオペ室と違うのは、大きな無影灯とかはなく、壁際には大きな本棚が設えてあって其の中には本とか資料とかがぎっしり詰め込んである。
正直「雑然」とした感じ。
侵襲的な手技を行う空間ではなく、医局と外来の中間的な雑然さで構成された空間。
3人位の看護師?臨床工学士?医師?放射線技師?検査技師?がわらわらと寄ってきて体の表や裏や横にいろんなものをベタベタ貼り付け始めた。
貼り付けながら「いや〜、実は今朝ERが何か立て混んでまして先生がそっちに行ってますので開始が少し遅くなると思います。ごめんなさいね」と伝えてくれた。
救急に関わる医師はほんとに大変じゃと思う、ご苦労さまなことよ。
で少し待つと医師も到着したようで、術前のタイムアウトを行っておる様子。
そのあとその医師(マスク姿でよくわからんがおそらくM2先生)が横に立って、全麻で行うこと、術中に体が動くと危険なので手足を拘束すること、あと何だったかな、あといくつか何かを伝えてくれたが緊張して覚えとらん。
ただ兎に角、
「麻酔掛けてやります。殆どの患者さん全員『寝てる間に終わってた』っておっしゃってくれますよ」
という言葉が本当にありがたかった。
ワシもそうであってほしい。
「アーム持ってきますね」と誰かの声がかかり、顔の前にC型をした機械が設置され、で、その後の記憶がいきなり消失している。
その時点で腕につけられた点滴用のルートから麻酔薬が注入されたのじゃろう。
あとの記憶は、術後目を覚ますまでの記憶は一切ない。

2023年10月20日金曜日

温泉に行かない日(521) PSVT(9)

2023年10月20日 入院2日目。
昨夜は病棟スタッフにバレぬよう気をつけながら消灯後もゲームを見続け、木浪のサヨナラ安打を見届けて心のなかで大きく「やち!」と叫んでから満足して寝た。
これでアドバンテージ含め3勝。
王手じゃ。

今朝は普段通り5時45分過ぎに起床。
昨夜就寝前に担当の医師が病室まできてカテの内容について少し説明してくれたんじゃけど、カテは3〜4本入り多いと5本。
鼠径部だけでなく、首のあたりからも入れる。
カテーテルの太さは「そうですね〜、う〜ん。鉛筆くらいの太さかなあ」。
おいおい、わしゃせいぜい針金くらいかと思っとったんじゃがそんなに太いんかい。
そんな太いのが血管を通って行って大丈夫なんかい。
しかもなんだ、多くて5本だと?
一人の人に対して同時に5本もの管を挿入するってのはどうなんだ。
人道的にどうなんだ!?
つまり、ワシは今回始めて少し怯えた。
やはり何事も実際に体験せんと本当のことはわからんもんじゃ。

昨夜の医師の言葉を思い出し怯えつつも、少し眠いが最低限のウォーキングはしたいので、スリッパからコンバースに履き替え、Apple Watchを腕につけ、iPhoneをスヌーピーの小さなサコッシュに入れて病室を抜け出した。
病棟内や病院付近を30分ちょっと散歩し、歩数的には3000ちょっと。
これまで続けてきたフィットネス系のいくつかの連続記録が今日と明日で途絶えてしまうがまあ仕方ない。
ちなみに今朝起床後は、朝飯はおろか水分摂取も不可。
それなのに、後でカマされる尿道カテがうまく装着できてるかチェックするために少しおしっこ残しとけとか無理難題を求められておる。

さて阪神じゃが今夜勝てば念願の日本シリーズ進出となるが、その試合は何とか楽しめるものと思われる。
っていうか、逆にそれくらいしかできない感じじゃ。
本日は午前アブレーション実施予定であり、渡された「入院から退院までの予定表」に記載された治療当日(治療後)の安静のところには、
足の管を抜いた後、3時間は絶対安静です。3時間後、30度頭を上げることができます。
6時間後に足の付け根の固定を医師が外します。
要するに、朝イチでアブレーション開始するんじゃが、その所要時間はだいたい3〜4時間と聞いておる。
術後病棟に戻るのが午後イチくらい。
それから絶対安静じゃから3時間はベッドに横たわって天井を見上げているだけ。
そのあと「頭を30度あげる」自由をやっと得られるというわけじゃ。
むう…
頭を30度上げることができるのはそうじゃな、カテ時間にもよるがまあ16時とか17時くらいじゃろう。
18時の試合開始には十分間に合うが、しかし問題は「30度頭を上げた状態で果たしてMacを見ることはできるか」じゃ。
よくわからん。
わからん原因は30度のイメージが正確には把握できんからじゃ。
ですので30度という角度が視覚的にわかるイラストを探してみたらあった。

建築学生が学ぶ構造力学 より

まあまあな十分な角度であるような気もするが、意外に寝そべり状態のような気もする。
イマイチ実感がわかない。
そこでベッドで30度というイメージが分かる絵はないかと探してみたら、このようなものを見つけた。
〜リハ辞典+〜 より

ふふん、なるほど。
これなら何とかイメージできる。
ベッド30度にして頭に枕をカマし、オーバーベッドの上にMacを置けば何とか虎戦士たちの勇姿を眺めることができそうじゃ。
ただしタイピングは無理そうなので、やろうと思っていた浜松番街区プレート写真データのGoogle Mapへの落とし込みは明日以降になりそう。

今7時になった。
看護師が来て、8時すぎに尿道カテーテルを入れに来ると宣言していった。
痛そうじゃ、いやだなあ。
そしてそれまでには例のT時帯(褌みたいなやつじゃな)にしておかねばならん。
むうん…
術前での記載は、とりあえずここまでで終わり。
術後については今日は多分書けないだろうなあ。
続きは明日以降になるじゃろう。

2023年10月19日木曜日

温泉に行かない日(520) PSVT(8)

2023年10月19日、ワシは普通通り起床して少し歩いてからコンビニでコーヒー買って近所の神社に行き、本日の阪神勝利を神に祈ってから一旦帰宅した。
シャワーを浴びてベッドでダラダラしてからカバンにTシャツやらT字帯やらMac Bookやら何やらいろいろな物を詰め、帽子を被って家を出た。
今日はクルマを使えないのでバス停まで行き、まず向かったのは行きつけのたこ焼き屋さん。
暫くはこの手の食事ができないので、昼めしはたこ焼き・焼きそばと決めていたのじゃった。
やや不健康な昼飯をしたためたワシは再びバスに乗りもう一回一旦帰宅。
持ち物の最終確認をして三たびバスに乗り、20分ほどの距離にある某総合病院に向かった。
そう、ワシが7月末、ERに担ぎ込まれたあの病院じゃ。
本日から4日間入院する。
まず入院受付に行って事務的な手続きを済ませ、職員にアテンドされて病棟に向かった。
一般病棟ではなく救急病棟で、まあ循環器だからそういうことにんるんじゃろう。
ナースステーションの前に腰掛けて待っとると、小柄な落ち着いた看護師さんが来て病室に連れて行ってもらう。
個室。
高っかいんだろうなあ。

バイタルチェックのあと、点滴(棒にぶら下げるのではなくてちっちゃいやつ)カマされ、所謂剃毛ってやつをされ(もうオッサンなので何の恥じらいもない)、退院までのパスを説明してもらった。
あとは夕食まで無罪放免。
しかしやることはたくさんある。
まず「虎テレ」ペイパービューの申し込みをせねばならん。
今日日の病棟は無料のWi-Fiが整備されとるので便利なことこの上ない。
今夜阪神が勝てば、日本シリーズへの王手がかかる。
あと、本日は歩数が8000歩しかいってないので、病院内を少し歩く必要がある。
先程剃毛ってのを生まれて初めてやられたが、局部だけではなく脛毛など意外に広範囲にそられちゃったのでシャワーを浴びて洗い流したい。
もちろんこれも書かねばならんし、ここ1〜2週間会社についてから朝歩き始めたのに伴って再開した「浜松番街区プレート収集」の情報をGoogle My Mapsに登録したい。
何ならむしろ、普通の仕事よりも忙しいくらいじゃ。
で、今は17時35分。
院内散歩を終え、これを書きながら虎テレの1試合プランを申し込もうとしているのじゃが月額プランしか出てこん。
まあ日本シリーズの前半3試合は10月中に行われるので、そこまで見て解約すりゃあいいかと腹を決め、今思い切って申し込んだところじゃ。
シャワーについて看護師さんに聞いたところ、もうすぐ夕食が来ちゃうのでできればその後にしてほしいとのこと。
くそ、CS第2戦は18時開始。
夕食も18時開始。
できるだけ迅速にシャワーを浴びるしかあるまい。

ということで、カテ前日の別荘生活はかくも優雅なのであった。
明日は朝イチでカテ室に行ってアブレーションされるみたい。
尿道カテーテルもされるらしいし、これって痛いらしいし。
だから明日の朝まではせいぜい優雅な生活を送るとしよう。
明日から明後日の午前くらいまでは極めて制限が多い時間を過ごさねばならん。
さて、あと10分でCS第2戦が始まる。
阪神が勝つに決まっとるが、ドキドキしながら画面を眺めることにしよう。