2024年12月8日日曜日

湯泉地温泉 滝の湯(1)

いやあ、奈良初の温泉がこことは自分でも思いもよらなんだ。

本日、2024年12月8日は奈良マラソンとかいう近所迷惑なイベントがあり、ワシのアパートの東西を通っとる国道県道が朝から午後まで封鎖されるなる情報は予め知っとった。
主要な道路が封鎖され、この日は雁字搦めにされていごけん。
然らばこの日曜どうすべきかを考えとったんじゃが、1つは引きこもる、1つは封鎖される前に出かけて封鎖が解除された頃に帰る、まあどっちかじゃ。
ワシはもう還暦なのであまり行動的ではないが、どうせなら今回はここは一発久しぶりに遠出をしてみようと思い立った。
加えて決して万全ではないがここ数週間お肌の調子もそうだなぁ、7割位に戻してきておる。
つまり温泉に行きたい。
奈良に来てから入ったといえば水道局源泉の「自宅の湯」だけじゃ。
ここらで一発温泉に行っとくのもいいじゃろう。
どうせ行くなら、多少遠方であったとしても風情に浸れてあまり人がいない温泉がいい。
人がゴミのように蝟集している大規模スーパー銭湯は避けたい。

少し前のポストでも書いた通りワシは20年と少し前に宝塚に住んでおってその頃、奈良県の十津川村にある温泉に何回か行ったことがある。
当時宝塚からじゃと片道4時間以上、一日がかりでまあ大変じゃったがなかなかいい温泉じゃったというイメージが残っとる。
よし、十津川村がよさそうじゃ。
距離的にもちょっとした小旅行の雰囲気も味わえるかもしれない。
そう決めたワシは今朝早く、即ち7時頃奈良市街のアパートを出立した。
20年前の記憶では道がまあ大変という感じじゃったけど、今回は道でストレスを感じることは一部区間を除きあまりなかった。
今は奈良市内から御所のあたりまでは準高速道路である国道24号線バイパスが通っとってそこまでは楽に行ける。
昔は宝塚から御所までどうやって行ったんだろうなあ、まあいいけど。
御所から先の十津川村までの一部区間はまあまあシビアじゃけど、あの頃に比べれば道は随分良くなっとると思った。
山道山道林道林道がトンネルトンネル橋トンネルに変わっとる。

2時間走って着いたのは湯泉地温泉 滝の湯(奈良県吉野郡十津川村小原373-1:0746-62-0400:¥800:8:30~20:00:定休木曜)じゃ。
当時はもっと安かったと思う。
400円とかだったはずじゃけどこればっかりは仕方ないじゃろう。
着いた時「ああ!はいはい、ここここ」的な記憶が蘇ることはなく、初めて来た鄙びた日帰り温泉という感想。
う〜ん、おかしいなあ全く覚えていない。
こんな感じだったかなあここ。
クルマを降りて引き戸を開けて、受付にいるおばちゃんにおはようございますと挨拶し、券売機に800円を投入し奥に進む。
廊下を歩いていくと男湯女湯の暖簾がある。
当然男湯の暖簾をくぐり、脱衣場に入る。
ここまで来てもまだ記憶は復活しない。
脱衣場と内湯を隔てる戸はガラスで浴室がよく見える。
誰もいない。
貸し切り。
思わず北叟笑むワシ。
素早く脱衣し、誰もいないので前を隠す必要もなく(おっても別に隠さんけど)、少し調子の良くない肌を隠す必要もなくそのまんま、すっかんかん(いま思いついた造語。意味は文脈でわかるじゃろ)のまま内湯の浴室に入った。
内湯なので外湯ではなく内湯じゃ。
ワシの唯一残っとるこの温泉の記憶は外湯で、浴槽から立って横を見やると斜めになった川はだを落ちていく滝があったことじゃ。
ああ、だから滝の湯なんじゃなと思った風景じゃ。
しかし今は内湯。
外湯にはどう行けばいいんじゃろう?
まずは内湯に入る。
やや熱めの湯温で、熱すぎる場合は蛇口から水を出してうめていいと言われていたんじゃがその必要はぎりぎりなかった。
しっかりとした硫黄の香りがする。
贅沢にも完全源泉かけ流し。
湯口から浴槽に結構な量の源泉が注がれていて、常に浴槽の縁から流れ出ておる。
浴槽に入るとワシの体の体積分のお湯がもったいないくらいざばざば流されていく。
そしてややぬめぬめローション系のお湯。
う〜ん、ここでもワシは首を捻る。
この泉質はかなりいいぞ、すごくいい。
なら何でその良さの記憶がないのか…

内湯の収容人数は最大8人、ベスト3人くらいな感じ。
砂岩系の岩で設えられている浴槽で、窓側は斜めになってて(わかる?リクライニング的というか)寛げる。
一番寛いだ状態で肩までお湯が浸かり、かつ足先が浴槽の向こうっ側にとっつくから体が安定する(こういうの言葉での表現難しいよなあ)。
ガタイのデカさにもよるだろうけど、ワシ(162cmの小人じゃよ)にはベストじゃった。
ゆっくり温まりながら周りを見ると、お、あった。
露天風呂へのドアがある。

ドアの脇には「外湯へは70段くらいの階段があります」とある。
「マムシに気をつけてください」という掲示にやや怯えながらドアを開けて、落ちてきた紅葉の葉とどんぐりに敷き詰められた下り階段を降りていく。
降りきると、ここでやっと記憶が蘇ってきた。
何を見て蘇ったかというと、階段降りきったすぐ左手にある2つのシャワー。
これあったよこれうんうん、これあった。
ここでやっと「ああはいはいここここ」が来た。
人の記憶は変なもんじゃ。
温泉でとても大事な泉質とかじゃなく、特徴的な階段でもなくそれよりシャワーの記憶が強い。
随分馬鹿だね俺も。

さらに、浴槽。
浴槽の先に流れる小さな川と、少し背伸びすれば右の方に見える柔らかな滝。
これらは完全にワシの記憶に完全一致。
内湯と同様にジャストフィットな深さと広さの浴槽にゆっくりと身を沈めて柔らかなお湯と、柔らかな滝の音と、柔らかな自然の音に包まれた。

ここには今、ワシ以外に誰一人もいない。

温泉タオルのThen and Now
青がNowで黄色がThen
© ill-health(ruephas) 2024

途中、大塔の風景
道の駅 吉野路大塔の少し北あたり
雪で気温は2℃じゃった
ちなみに同時刻の奈良市街は12℃
© ill-health(ruephas) 2024



温泉銭湯コスパ算出表
泉質ポイント
4.0
風情ポイント
5.0
やぎさんポイント
0.0
入浴料
800
温泉コスパ
4.6