2022年9月25日日曜日

プロジェクト "山神社"(86) 須倍神社

遠州近辺にある大山くん(大山祇命)を祀る神社はすべて行き尽くしたと思っとった。
ワシは、行ったことがあるところはもちろん、いろんなソースを通じて存在が確認できた大山くん物件については全国津々浦々すべてプロジェクト ”山神社”MapというGoogle My Mapsに記録しておるんじゃが、ワシの近辺にある物件のステータスはすべて「参拝済み」となっておる。
ここ数ヶ月、その山神社Mapの情報を再確認・再整理する作業を進めておったんじゃけども、その過程ですぐ近くにある有名な郷社が実は未参拝じゃったということが判明した。
それは、須倍神社(すべじんじゃ:静岡県浜松市北区都田町6284:053-428-2097:駐車場潤沢)じゃ。
ある程度の規模(無格社で大きめ以上)を持つ神社については「静岡県神社志」を見てすべてリストアップしてるんじゃが、この須部神社は篦棒な数の合祀社を持っておる旨記載されとるので、当然ながらそんな派手な神社には行っとるに決まっとると思いこんどったんじゃ。
これはいかんと、本日参拝してきた。

荘厳な拝殿じゃ
拝殿の裏手は内宮外宮を備えた更に荘厳な空間じゃ
© ill-health(ruephas) 2022

神社は最近「勘四郎」なる店号で有閑マダム(死語)どもで混み合っとる豆腐料理店の近くにある。
で、その店をやっとるのは須倍商店という豆腐屋。
もしかしてこの須部神社は豆腐屋のパーソナル神社かと思ったがまあそんなことはないじゃろう。
むしろ豆腐屋のほうが神社の名前を貰ったんじゃろう。
参道入口の鳥居を一旦通り過ぎて少し登ったところに広い駐車場がある。
駐車場には1台軽トラが停まっとる。
横にはおっさん(どう見ても神職には見えん)が立っとったので、こんにちはと挨拶して拝殿に向かった。
拝殿の方を見上げると別のおっさん(どう見ても神職には見えん)がおって軽トラおっさん(どう見ても神職には見えん)となにか喋っとる。
傍らには少し古いオーディオセットが置いてあるところを見ると、どうやら秋祭りの下準備をしとるようじゃな。
まずは参拝すべきなんで、小銭入れを探っとるとなんと、賽銭箱の手前にPayPayのQRコードがあるではないか!

この写真さえあれば何時でも何処でもお賽銭可能じゃよ
便利な世の中じゃなあ
© ill-health(ruephas) 2022

試しにやってみると、きちんと反応し無事お賽銭を支払うことが出来た(色んな理由があって180円じゃよ)。
少し前のニュースで、どっか都会の方の神社でキャッシュレス賽銭が導入されたと報じられとったが、いかに郷社とは云えこんな片田舎の神社にまでキャッシュレスの波が到達しておることにワシは思わず瞠目した。
しかし、多少のイニシャルコストと手数料がかかるかもしれんが、これならば神社としては賽銭ドロボーのことを気に病むこともなく、ワシら参拝者にとっても小銭の心配は不要じゃからお互い実に都合が良い。
ちなみに数年前、ワシが勤務する会社に経費精算システムが入ったが、ジジイを中心にして未だに反感が強い(現金寄越さんか〜い!的な)。
今度「古の神様でさえ最早キャッシュレスじゃ」と言い放ってやろう。
そうだこうだで参拝し終わると、全く知らぬうちにワシの傍らに音もなく一人のおっさん(既に登場したおっさん達とは別人で、やはりどう見ても神職には見えん)が忍び寄ってきておった。
そしてそのおっさん(どう見ても神職には見えん)はワシを見て藪から棒に、
「あんた。悪いけどさ」
「はっ?…はい?」
このおっさん(どう見ても神職には見えん)、一体なんじゃろうか。
ワシは俄に緊張した。
あんたみたいなよそもんはここでお参りすんじゃねえよ。
見かけねえツラだなあんた、賽銭ドロボーだろ。
どっから来たんだよ、怪しいなあんた。
等と謂れのない誰何(すいか)詰問されるのではないかと怯えておると、おっさん(どう見ても神職には見えん)はワシに向かってぐいと腕を差し出した。
みかんのようなものを2つ手にしとる。
「あんた、かぼす食うか、好きか」
「へ?か、かぼすですか…?は、はい食べます好きです」
ワシの出自は実は大分じゃから、かぼすは無論大好物じゃ。
「これ家で採れたかぼすなんだけど、見てみろ。傷が入っとる。バイクのかごに入れて走ってたらこうなったんだ。味は変わらんが」

傷っていったってこんなもん
こんなの傷のうちに入らん
© ill-health(ruephas) 2022

「は、あ、ありがとうございます。いただきます」
「ワシも昨日、これで秋刀魚食ったんだよね。うまかったなあ」
と言いつつ、おっちゃん(どう見ても神職には見えん)はスクーターに華麗にさっと跨り、どっかに走り去ってしもうた。
ああ吃驚した。
想像じゃが「悪いけどさ」というのは「こんな傷もんだけど構わないかい?」というおっちゃん(どう見ても神職には見えん)なりの謙譲した表現じゃったんじゃろう。
かぼすは有り難く貰い受けてスヌーピーのサコッシュにしまい込み、例のごとく境内をうろついてみた。
日清戦争戦捷記念の石碑や宮司さんが神職として昇進なさった由が刻まれている石碑がある。

征清戰捷紀念碑
戦捷っていうのは「戦に勝った」っていう意味じゃよ、若いの
© ill-health(ruephas) 2022

宮司明階二級須部釧 五十年記念
© ill-health(ruephas) 2022


境内左手に回ってみると、正面からは見えぬ神殿が見える。
大層立派じゃ。

何が立派って、廊下通路があるのがすごいなあ
© ill-health(ruephas) 2022

本殿右手には3つの祠がある。
立派な祠が2つと、朽ちかけた小さな祠が1つ。
既に書いたがこの神社には極めて多くの神社が合祀されとるが、それとは別に境内社として秋葉神社があることは静岡県神社志に書いてあった。
実際にはもう2社あるようじゃ。

ワシ的には一番左のが一番好き(しかし抜け殻)
© ill-health(ruephas) 2022

立派な方の祠にはどちらにも表札(神様の名前が書かれた木札。正式名称を知らんのだすまんのう謝るワイ)があり、右側の方には「秋葉神社」、左側の方の右端には「津嶋神社」左側には「姥神社」とある。

秋葉神社
今で言うBCP初期対応担当(つまり防火)
© ill-health(ruephas) 2022


戦ならワシに任せとかんかい担当
しかし境内社ではなにかとね
© ill-health(ruephas) 2022


姥神社
あれかなあ、高貴な方におちちだけ
あげてましたみたいな人かな
© ill-health(ruephas) 2022


朽ちかけた小さな祠には何もなかったので、もしかして抜け殻かもしれぬ。


右隣のやつとはあからさまな待遇差
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さてここの御祭神は、
【内宮】天照皇大神
 (内宮相殿)天手力男命・拷幡千々比売命
【外宮】豊受姫大神
 (外宮相殿)皇孫邇々藝命・天児屋根命・天太玉主命
じゃが、やはり注目すべきは冒頭書いたとおり、外宮に合祀されている神様の多さじゃ。
ワシは静岡県神社志から書き写した数は67柱(うち、大山くんは16柱)じゃった。
参道入口にある石碑には69柱とあり、本殿右側にある案内板には75柱とある。
それぞれの作成年度は恐らく古い順で、
 静岡県神社志 → 参道入口の石碑 → 案内板
じゃろうから、年代を経るごとに合祀数が増えていったのかもしれん。
いろいろ複雑な気分になるなあ。
合祀、境内社っていろんな事情があってそうなってると思うけど、ホントはみんなそんなことされずに、今のままの小さい祠でいいからずっと地元にあって欲しいって思ってたんじゃないかなあ。
畑仕事の道すがら、普通な感じで軽くお参りする神社やお寺、そんなのが大切なのに無理やり村社郷社とかいって集めちゃっておかしくね?
とは言ってもワシは神社は好きじゃけど、学者じゃないからよくわからん。
今となっては小さな神社を懐に入れてくれて大事にしてくれとるおっきな神社はありがたいけれども、ね。
須部神社におかれましては、今の通り、主祭神と同じように、合祀社境内社を大事にお祀りしてくだされよう。
お願いしますよう。

以下、ワシが本から書き写した合祀社一覧。
刮目してとくと読みなされい。

七社神社(経津主神・武甕槌神・大己貴命・神武天皇・宇麻志麻沿命・道命・日本武命)
八幡神社(息長帯比売命・品陀和気命・玉依比売神)
天神社(思兼命・菅原神)・立岩神社(磐之媛命)・白髭神社(猿田毘古神)・山神社(大山津見神)・天白神社(大地主神)・稲荷神社(保食神)・八幡神社(品陀和気命)・若宮神社(大雀命)・山神社(大山津見神)・若宮神社(大雀命)・向山神社(菊理比売神)・若宮神社(大雀命)・小神明社(伊勢御両宮御同神)・山神社(大山津見神)・津島神社(須佐之男命)・白山神社(伊邪那美命)・山神社(大山津見神)・熊野神社(出雲熊野大社同神)・稲荷神社(保食神)・弐拾寺社神社(祭神未詳)・津島神社(愛知県津島市津島神社同神)・金山神社(金山比古神)・八剱神社(熱田神宮同神)・八剱社(熱田神宮同神)・八柱社(湍津島姫命・市杵嶋姫命・田心姫命(三女)・天忍穂耳命(長男)・天穂日命(次男)・天津彦根命(三男)・活津彦根命(四男)・熊野クス日命(五男))・天白社(大地主神)・山神社(大山祇命)・天神社(菅原神)・天神社(思兼神)・金山社(金山彦命)・山神社(大山祇命)・諏訪社(健御名方神)・社宮神社(船戸神)・力神社(天手力男命)・雷社(大雷命)・山神社(大山祇命)・白山社(菊理姫神)・稲荷社(宇迦之御魂神・佐田彦大神・大宮能売大神・田中大神・四大神)・天白社(大己貴命)・社宮神社(麓山祇命)・白山社(菊理姫命)・山神社(大山祇命)・諏訪社(御穂須々美神)・水神社(水波純女神)・西宮社(蛭子命)・木船社(高靈神)・水神社(水波純女神)・井神社(御井神)・山神社(大山祇命)・地神社(地主神)・水神社(水波純女神)・金山社(金山彦命)・稲荷社(伊邪那美神)・白山社(伊邪那美神)・津島神社(津島同神)・六社大明神社(稲田姫命)・三社神社(御祭神未詳)・秋葉社(迦具土神)・天神社(忌部神)


やぎさんが好き!(64) 仮称:やぎさん広場

もう本当に、週記どころか半年周期に迫りつつある。
最近は今まで集積してきた山神社関係のデータをGoogle My Mapsで纏める事に注力しとる有り様でこっちまで手が回らんのじゃ。
すまんことじゃ。
そんな中、新たなやぎさんポイントを見つけたので本日行ってきた。
場所は磐田市寺谷というところで、天竜川のすぐ東じゃ。
このあたりは畑がたくさんあるエリアで、やぎさんを育てやすい土地がたくさんある。
現地につくと、とても広い敷地に金網がぐるりと回されていて、その中の小高くなっとるところのてっぺんにしろやぎさんがすくっと立っとって、ばりぼり草を食べながら同時にべへへいとないておる。
やあいたなあ、と思ってクルマを降りてさらに先を見ると、しろやぎさんが4〜5頭おってやはり草を食べとって、囲いの中に入ってベンチにしわっとる一人のおっちゃんがそのやぎさんたちを愛おしそうに眺めたり頭をなでなでしとるのも見える。
わしはその手のおっちゃんとしゃべるのは全く頓着ないもんじゃから、ずかずか近寄っていった。
「このやぎ、ザーネンって種のやぎなんだ」
「へえ、ザーネンですか」
「そう。おとなしくて可愛いんだよねえ」
確かにおとなしい。
作の中には入れんかったが、近くまで寄ってきたやぎさんに草を差し出すと素直に食べるし、お腹や背中を擦っても、口をむぎゅってしても、耳をパタパタさせても全くの無抵抗。
「こいつはね、生まれてまだ3ヶ月くらい。長野の売木村で買ってきたんだ」
「ああ、やぎ市場が立ちますね」
「その時売ってた一番いいやぎ」
「いくらしたんですか」
「ナントカ万円だね」
もちろんおっちゃんは具体的な金額を教えてくれたんじゃけど、公開していいものかどうかわからんので一応伏せとく次第じゃ。
「昔はもう少し高かったんだけどね」
「おとなしいですよね」
「うん。飼い主に似ておとなしいんだ」
といってガハハハと笑う気のいいおっちゃんじゃ。
このおっちゃんじゃったら大丈夫じゃろうと思い、ワシはやぎさんに汗が浮かんだ腕を差し出して「ほーれ、塩分じゃよ」。
すると一匹のやぎさんがペロペロしてくれたんじゃが、これは普通の人にはわからんじゃろうな。
気持ちいいんじゃ。
するとおっちゃん、
「おい、お腹壊すなよ。ガハハハ」
小高いところにすっくと立っとったのは「シロ」というおすやぎさんで、今んとこそのシロと黒いひつじさん2頭が一緒に住まわっとる。
「考えるの面倒でさあ、シロってつけたんだ」
こっちにいるのは全部めすやぎさんで名前は、
さち(幸)・ゆき(幸)・ふじ(「峰不二子のふじじゃ、がっはっは」)・さくら。
ゆきというやぎさんの名前は普遍的で、もちろんあの有名なアニメの影響じゃろう。
「みんな健康そうですよねえ」
「うん。月に1回獣医師が往診してくれるんでね」
「あ、もしかして女医さんじゃないですか」
「そう。何だあんた知ってるの?詳しいね」
以前、山羊の友で見たことあるので存在だけは知っておったんじゃ。
「ほら、今の子はアレルギー持ちだから、このやぎのお乳を近くの保育園で飲ませてるんだよ」
「へええ。いいですね」
「牛のミルクにはナントカ菌(失念)が混じってるけど、やぎにはそれはないから安心なんだよ」
「そうなんですね」
「保育園の子供達はここまで来て、中に入ってやぎと遊ぶんだ。やぎに乗ったりするんだよ」
ワシも冗談半分でやぎさんに跨ったことはあるけど、本格的に乗ったことはない。
「あのおおきいやぎ、体重100kg位あるけど、ワシあれに乗るよ」
おいおい、ワシにも乗らせてくれ。
他にもたくさんお話してたけど、脇の小路に停めたクルマの中で待っていたおっちゃんの奥さんらしい人がおっちゃんに「もう帰るよ」と呼ばわった。
おっちゃんはクルマに乗り込んで、
「何時でもいいから又遊びに来てね」
やあ、それはありがたい。
もちろん、また来ることにしよう。
今回は写真をたくさん載せるよ。

© ill-health(ruephas) 2022


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