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2018年12月2日日曜日

倉真赤石温泉(13)

先週に引き続き、今週またもや行ってしもうた。
先週赴いた時にワシ自身も結果として「どんぐりコーヒー」開発陣の一員となったわけじゃが、こんなワシでも一応法人務めにより稼ぐサラリーで糊口を凌いでいるわけじゃので平日に開発作業は罷りならん。
その分、(多分会長の娘さんかなと思われる)女性が力強く、
「私が来週までになんとかしますから次の週末には必ず来てください!」
なる誠に力強い宣言をなすったので、その(多分会長の娘さんかなと思われる)女性にその開発のすべてを任せ、今日までの平日はリーマンとしての職務にあたっとった。
で本日早速に倉真赤石温泉に赴くと、普段は殆ど停まっとらん客のクルマが3台も停まっとる。
珍しくも千客万来の様子。
取り急ぎあの素晴らしいお湯に入り、狭い浴槽に先客2名とともに入り、彼らとともに静岡は瀬名の平山温泉の件や、ワシとしては最高難度の超秘湯と認定しとる名神一宮インターのところにあるラブホの湯などについて暫く語らい、その後着衣をして満を持して休憩所に向かったのじゃった。
その間にも別口の客が訪れておって、いつもはワシと会長しかおらんその部屋は結構な込具合であったがそれには関与せず、(多分会長の娘さんかなと思われる)女性が淹れてくれとるはずのどんぐりコーヒーの仕上がりを待っておった。

そして10分位あとのことじゃ。
遂に出てきたよ。

もうどっから見てもコーヒー
© ill-health(ruephas) 2018
先週より明らかに、色がコーヒー側に近寄ってきとる。
早速一口啜る。

おを!
これは先週とは違う。
何段も進化しとる。
既に麦茶ではなく、はっきりとコーヒー方面の味に変わっとる!
味も濃く、それなのにエグみや苦味は殆ど感じられぬ。
どのような開発を進めたかについて(多分会長の娘さんかなと思われる)女性に問うと、
「どんぐりの実を源泉に漬けて灰汁抜きする時間を長くして、焙煎(と言ってもフライパンで炒るだけじゃけど)も長くしました」
なるほどね〜。
しかしじゃ、全て飲み干した後に思ったのは、もう少しだけ濃ければ完璧なんじゃがなあ、ということじゃった。
なので(多分会長の娘さんかなと思われる)女性にその旨伝え、
「もうほんの少しだけどんぐりの粉の量を多くしてもう一杯だけ淹れて貰えますか」
とお願いしてみたところ、快い承諾を得られた。

その直後、なんと7人組のハイカーが新規客として登場し、もう休憩所も満員浴槽内も満員という、ここ倉真赤石温泉としては異常事態と云うべき状況になってしもうたが、そのような中(多分会長の娘さんかなと思われる)女性は落ち着き払って客を捌きつつ、ちょっと濃い目のコーヒーを淹れてくれた。
それがこれじゃ。

違いがわかる男の、倉真どんぐりコーヒー
だばだ〜、だ〜だばだ〜、だばだ〜
© ill-health(ruephas) 2018
わかるかなあ。
前のに比べてコーヒーに照りのようなものが感じられるじゃろう。
もう殆ど完成したと見た。
で、ドキドキ胸熱状態で一口。

よし!
これでヨシ!

うまい具合に濃くなって、しかし不思議なことにエグみや変な苦味は増えとらん。
なんて言えばいいんじゃろう。
味だけが濃くなって、その他の不快な味は全然増えん。
不思議なことじゃよ。
コーヒーに添えてくれたチョコ食べながら頂けばいいバランスじゃし、あと、ワシは普段コーヒーはブラックしか飲まんのじゃけど、このどんぐりコーヒーに関してだけはミルク(コーヒーフレッシュ)が絶対に合うと思う。
残念ながら温泉にもワシ自身にもその用意がなかったため試せなかったんじゃが、次回はそれを懐に忍ばせて行こうと思う。

で、ワシとしては商品化OKと思う。
倉真赤石温泉のメニューに載せてよしと断言する。
値付けは最初300円かと思ったが、温泉のメニューには既に普通のコーヒーが300円として載っておる。
どんぐりコーヒーは確かに原価はかかっとらんものの、人件費相当額を考えると普通のコーヒー以上の値付けが必要じゃろう。
したがって、コーヒーフレッシュを一個付けた上で最低でも400円、可能であれば500円取ってもよろしかろうと判断するところじゃ。
しかもこれは恐らくは季節限定メニューじゃろう。
毎年この時期だけじゃ。
更に恐らくは、そう沢山は淹れられん。
1日限定10杯といったところが妥当なとこと思われる。
そういうような事を(多分会長の娘さんかなと思われる)女性に申し述べたところ、
「1日10人も客こないから」
というお返事じゃった。

いやいや、今日の商売繁盛っぷりを目の当たりにするとそうとも限らんとは思うんじゃけどね。

兎に角是非、売り出してもらいたいものじゃと思う。

倉真赤石温泉って、会長が暇でいろいろ「悪戯ばかりしている」(本人談)のでほんとに面白くて飽きないんじゃよなあ。
そして(多分会長の娘さんかなと思われる)女性という新キャラも相まって、ますます目が離せない場所になってきとる。

ちなみに帰りしなに会長が、
「最近はあの娘に怒られてばかりおる」
とボヤいておったので、(多分会長の娘さんかなと思われる)女性ではなく、今後「会長の娘」とします。
酋長の娘のようで、誠にいいではないか。
わはははは。

2018年11月25日日曜日

倉真赤石温泉(12)

もうここには軟便も、
ん??
大丈夫かGoogle日本語入力、何遍も来てて沢山書いててもう飽きるんじゃないか書くことがないんじゃないかと思ったりするけど、温泉の主(ぬし)たる鈴木会長(本名は知らない)の個性的な性格や行動様式もあって全く飽きることがない。
今日地元では航空自衛隊浜松基地で航空祭をやっておって大変にウルサイため、避難のために倉真赤石温泉に行ってきた。
山林のところどころが段々に秋の表情が見え始めとる。

会長曰く「来週には山じゅうもっといい色になるよ」
© ill-health(ruephas) 2018
ここの泉質の素晴らしさに関してはもうくだくだしいんで省きます。
源泉は炭酸泉で、残念ながら加温のため浴槽では目に見える形での炭酸成分は感じることは出来んのじゃけど、先日行った磐田ななつぼしという人工炭酸泉がウリのスーパー銭湯の壁に書いてあることによれば、目に見えないお湯の中に溶け込んだ成分こそが大事ということなので、この倉真赤石温泉も多分効能あらかたじゃろうと思う。
その代り、夏場になれば屋上の源泉浴槽を楽しめるし、加温した内湯の浴槽にはもう嫌になるほどの湯の華が舞い踊っとる。
暫く前までは浴槽内に石鹸シャンプーの備えがあったんじゃが今はなくその代り、

お湯だけを、泉質だけをただ楽しむべし
© ill-health(ruephas) 2018
という掲示が新たにされておる。
なかなかいいことでありますので、皆様ここに来るときには家でシャワー済ませてからのほうが宜しい。

で、鈴木会長はもう既に80歳をとっくに超えた爺様なんじゃけどまだまだ意気貢献としており、大きなことから小さなことまでいろんなことに挑戦しておる。
でじゃな、これじゃ。

何かの工業製品の原料にも見えるがどんぐりです
© ill-health(ruephas) 2018
何か茶色い粉状のものが水の中に入っておる。
これは現在鈴木会長が新たに取り組んどるどんぐりコーヒーの原料じゃ。
最近温泉の周りの山林を散歩しとる時に、あまりに大量のどんぐりが落ちておることに改めて感銘を受け、ならばこのどんぐりを何とかすればコーヒーになるんじゃなかろうかと思いたったらしい。
そこで今朝どんぐりを拾い集め硬い殻を剥き実を取り出し、詳しいことは聞いとらんが兎に角何かの下処理をしてコーヒーのようにして濾して飲んでみたらしい。
結果としては余りに渋く余りに不味かったため一口飲んだのも吐き出し、全部捨ててしまったと。
そういう話をしてくれたからワシもちょっとばかし興味が出てきて、
「だったらほれ、ここの温泉、炭酸泉だし、粉にしたどんぐりの実を源泉に漬けといたら、渋みとか灰汁とか抜けないですかね」
と提案してみた。
何となくだけど、普通の水より炭酸成分が入ったやつのほうがその手の苦味とかうまく抜けそうな気がしない?
すると、
「うん。ワシもそう云われると思って既に温泉でアク抜きしとる」
おかしい。
今日ワシがここ来ることは事前には連絡しとらんかったんじゃが、まあ良いわ。
先程の写真の通り、温泉に浸かったどんぐりの粉を木べらでかき回しながら、
「朝からしとるから、もうかれこれ半日かな」
「へえ、じゃあ適当なとこで水分切って天日干しして少し火を通せば飲めるかもですね」
「でもなあ、あの苦味がいい具合に抜けんと」
「じゃあ今どんな具合かちょっと味見してみてくださいよ」
とお願いしてみると、今朝の苦味が相当応えている様子で明らかにヤだという表情を浮かべたため、
「じゃあちょっと僕が味見してみますね」
と云って、指先に粉を取って口に入れてみた。
「ん?あれ、全然苦味ないですよ。あれ、オレ舌バカになったかな。全然大丈夫な感じですよ」
「へ?本当かい?じゃああんた、ちょっとやってみるか?飲んでみたいか?よし作ってみよう」
実は適当なところで切りをつけて帰ろうと思っとったんじゃけど、何か目に見えない未知のフォース(つまり理力じゃね)のようなものに突き動かされつつある鈴木会長の勢いに巻き込まれた形になってしまった。
「とりあえずフライパンで水分飛ばして少し炒った感じにすればなんとかなるんじゃないかね」
会長は厨房から小さな網を持ってきて適量をそこに移し、厨房に戻っていった。

現段階では口にすべきものとは思えないがどんぐりです
© ill-health(ruephas) 2018
ワシも何か目に見えない未知のフォース(つまり理力じゃね)のようなものに突き動かされつつあるようで、許可も得ないまま会長の後ろについていって薄暗い厨房に入った。
会長はデカい五徳に火を入れ、フライパンを乗せてそこにどんぐりの粉を躊躇わず投入。

味噌ではなくどんぐりです
© ill-health(ruephas) 2018
菜箸を巧みに操りながら着実に乾燥作業を進める。

何か良くないものに見えるかもしれんがどんぐりです
© ill-health(ruephas) 2018
序盤、フライパンに少し焦げ付きかけるような挙動を見せたものの、会長は構わず乾燥焙煎作業を進め、その形状も段々と変化を見せ始める。

こら誰だヤギのなんとかって云ったヤツは
どんぐりです
© ill-health(ruephas) 2018
このあたりになると僅かにじゃけど香ばしいいい匂いがしてきたんで、少し食べてみることにした。
「あちあちあち、あちっ。あぢあぢ。ぱくっ。ん。あ!これ普通に食べれますよ。え〜っと、噛むと僅かに渋みはあるけど全然食べれますよ」
ほんとにそうで、旨味はないけど苦味とか渋みとかは結構いい感じで抜けている。
思ったのは、この状態のどんぐりをもう少し砕いて、クッキーの生地に混ぜ込んで焼いたら少し苦味のある大人のクッキーになって美味しそうなんじゃないか。
これ絶対ありです。

しかし本日の目的はどんぐりコーヒーを試飲することじゃから、調理役を会長からワシに交代し、菜箸ではなく木べらを使ってできるだけ細かくしつつ乾燥焙煎作業を進める。
その手付きを見て、(多分会長の娘さんかなと思われる)女性が、
「いや〜、なんか手付きがいいですね」
と褒めたりするので更に気合いをいれて作業を進める。
暫くすると会長から、
「うん。これくらいでいいじゃろ」
との許可が降りたため作業を終了、あとは(多分会長の娘さんかなと思われる)女性にバトンタッチ。
暫く待っておると(多分会長の娘さんかなと思われる)女性が、
「は〜い。出来ましたよ〜」
と言いながらコーヒーカップを2つ持ってきてくれた。

おほっ!これまんまコーヒーじゃん!
© ill-health(ruephas) 2018
ぱっと見、全くコーヒー。
ただ、コーヒーよりは若干色が薄く、濃いめ麦茶という色合いかな。
さあ、早速頂くことにしよう。
一口すすってみた。
「ん。こりゃいかん」
とワシ。
会長も同じく、
「うーん。これは…。これはいかんな」
同じ感想の言葉。
「そう。これはあれですよ、単なるすごく美味しい麦茶ですよ。えっと、何かが抜けすぎてますね。なんだろ?」
「うん。パンチ力がない。今朝のあの凄さはどこに?確かに単なる美味しいお茶だね」
そう、ホントに美味しいお茶に仕上がってます。
「これはこれで多分、冷やしておいてお風呂上がりに飲んだらすごく美味しくていいですよ」
「でも、コーヒーではない」
「そう、コーヒーではない」
両者意見は一致し、再起を期すことに決定した。
帰るためにクルマに乗り込むワシに向かって(多分会長の娘さんかなと思われる)女性が、
「絶対美味しいコーヒーにしますから、近いうちに来てくださいね」

うん、来週には素晴らしい紅葉になると会長も云っとるし、そう、早速来週に再訪することとしよう。
赤く染まった山を眺めながら美味しいどんぐりコーヒーをいただければ、きっと最高の気分になれるだろう。