2020年11月3日火曜日

やぎさんが好き!(35) 釜炒り茶 柴本

先日の夜、帰宅後に酒飲みながらテレビを見とると、牧之原市の茶農家のことを伝えとった。
この手のブログには政争の具になるようなことは控えるべきじゃとは思うが、そのニュースの本幹は要するに、リニア新幹線によるトンネル掘削によりお茶を育てるのに必要な水が枯渇するから反対するというもので、まあその件についてはそれぞれの判断に任せるべきじゃろうとは思う。
ちなみにワシは、鉄分が高めであるのにも関わらず反対じゃ。
あんな宙を飛ぶような浮足立った電車に乗れるもんかい。

閑話休題。
そのニュースをぼぉ〜と眺めとると、なんだかしろやぎさんが茶畑のような場所で歩いとって、べへいとなきながら何かを食っておるではないか。
ワシは盃に満たされた酒を口に運ぶという作業を一旦中断しその画面に見入った。
なんでもその茶農家の方は「やぎさん農法」というのを実践しとるらしい。
やぎさんという単語を聞いて気持ちが焦っておったんで詳しいことは聞き取れんかったが、その茶農家の名前だけは何とかわかった。
釜炒り茶 柴本(かまいりちゃしばもと:静岡県牧之原市勝俣2695:080-5295‐7196:駐車は少しシビアでお店の下にある道路横のスペースに停めていいみたいです) という名前のお茶屋さんのようじゃ。
ワシはすぐに行こうと心に決め、ニュースを見たその翌日には真っ黄っ黃のスイスポくんを駆って牧之原に急行したわけじゃ。
現地近くに行き、なんとか駐車スペースを見つけ出してクルマを降りると「大地の茶の間」と書かれた掲示物が置いてある。
その中には小さくやぎさんが描かれておる。
お、これはいいぞと思い、店があると思しき坂の上に行くと、釜炒り茶の幟旗が何本か立っておる。
しかし人影はない。
庭先には電気式の呼び鈴が置いてあり「御用の方はこの呼び鈴のボタンを押してください」と書いておるので、ワシはボタンを押してみた。
しばらくするとお宅から女の子が出てきた。
ワシは、
「えっと、ここでお茶買えるんですか」
と訊ねると、
「え、はい、えっとちょっとまってください」
と一旦引っ込み、年配の女性を連れてきた。
ニュースで見た店主さんは結構若く見えたが、それからするとこの方は多分お母様と思われる。
「実はネットで見かけましてね。美味しいお茶が欲しくて来たんですよ」
とお願いすると、
「いやあ、種類も値段も全部知っとるからお売りすることはできるんですけど、どうせ買うならいろいろお茶のことを聞きながらのほうがいいでしょう」
と云われてなるほどなあと思いました。
お母さんは表に出てくる前に電話で店主さんを呼んでみたらしいんじゃが、電話には出てくれんかったらしい。
売らないことが素晴らしい対応になることもあるんじゃな。
ワシが再訪すればいいだけのことじゃ。
「ああなるほど、わかりました。なら改めて伺います」
「すみませんねえ」
「えと、あと、これもネットで書いてあった『やぎさん農法」というのが気になりまして」
「ああ、やぎさんね」(こう云ったあと何故か笑ったんじゃが何でじゃろうか?)
ワシは少しく力を込めて返事をした。
「はいそう、それです。やぎさんです」
そう、問題はやぎさんじゃ。
「大抵はここの少し西側の青い建物の横か、下の田んぼにいますよ」
と教えてくれた。
お母さんには丁寧にお礼を申し述べ、ワシはまず少し西側に行ってみた。
青い建物の横には小さいお茶畑に囲まれた空き地があって、いかにもやぎさんがいる雰囲気はあるが実物はおらん。
じゃあ次は下の田んぼを確認すべきじゃろう。
下に行ってみたが、周りは田んぼではなく牧之原らしいお茶畑ばかり。
田舎の人はクルマで行くべき距離の場所を説明するときに「下の田んぼ」という云い方をすることもあるので、多分少し遠方なのかもしれんと思った。
これは駄目かもしれん。
とは云っても、諦めきれん。
茶畑がある辺りの逆側(西側)に行くと、視界の端に刈り取ったあとの田んぼが見えてきた。
「お!」
と思いそっちの方に小走りでかけていくといた。
年甲斐もなく「あ!おったおった」と叫んでしまったほど嬉しかった。
叫ぶワシに気づいて、2匹のしろやぎさんはこっちをじーっとこっちを観察しとる。
こっちをじっと見ながら「べへい、べへへい」とないておる。
こりゃいいなあ。
ワシは田んぼの畦道を荒らさないように歩いてやぎさんたちの近くまで行った。

田んぼの草をもりもり食べとるな
© ill-health(ruephas) 2020

おっぱいがあるとこ2匹ともめすやぎさんじゃ。
食欲旺盛なしろやぎさん(ザーネンですかね)で、このこたちが美味しいお茶生産を支えとるな、えらいぞと思って頭を撫でようとしたら、
「こらこら他人が安易に手を出すんじゃないよ」
と言わんばかりに素早く軽く頭突かれました。
上の写真の角がない方がやや攻撃的で、角がある方が気持ちが柔らかいように見える。
もちろんどっちがいいとか悪いとかという話ではなく、やぎさんそれぞれの個性じゃからどっちでもよろしい。
名前こそわからんやぎさんたちじゃけども、牧之原のお茶づくりを支えてほしいもんじゃと思ったよ。
また行くぞお。
今度はやぎさんデザインパッケージの釜炒り茶も買って帰ろう。

© ill-health(ruephas) 2020

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たぶん。