非常に痛いらしくて、勤め先の近くにある総合病院の口腔外科に通ってその親知らずを抜くか何かしているらしい。
確かに親知らずは大変に痛いし、治療も大変に痛い。
その男はスリムな長身で馬面ではあるがまあまあかっこいい顔をしており、マラソンさせればサブ3、いつもスタイリッシュである上に、今日11月22日すなわち「いい夫婦の日」(けっ!)に婚姻届を出しに行くという大変に恵まれた男である。
でも、そんな恵まれた男にも親知らずは容赦無く訪れる。
私自身はスリムでもなくスタイリッシュでもなくマラソンさせれば恐らくサブ12くらいだし、腹も出てるし禿げかかってるし、要するにかっこよくもないため、内心ざまぁと思ってる訳だ。
しかし、可哀想だとは思う。
ところで私の隣に座ってる女性も、かつて親知らずの脅威に脅かされた事があると先日語ってくれた。
次第に成長する親知らず。
いずれ歯茎を突き破り、近隣のカタギな歯の健全な生活を激しく乱し、長閑で平和な口腔内を混乱に陥れるに相違ないと密かに恐怖したと云う。
何だか痛みも感じてきたらしい。
なんとかしなければ…!
しかし口腔外科に行くのは嫌だ。
肉体的に痛そうだし、その病院は勤めてる会社の指定病院ではないので財布も痛そうだ。
口腔外科以外の方法を何とかみいださねば。
彼女は大変にアタマが切れて仕事も早く、クレバーとしか言いようがない才女なのだが、親知らずにも誠に彼女らしく極めてクレバーな方法で対応し、脅威から見事に脱する事に成功したと云う。
もし、あなたに親知らずという厄災が訪れたら、彼女のメソッドを迷わず見習いクレバーに対応して欲しい。
そのメソッドとはこうだ。
まず、親知らずとは何かと云う点を確認したそうだ。
成る程。
敵を知らずんば戦略も立てられまい。
その結果把握したのは、
「親知らずとは、親も知らない間に生えてくる歯」
という事実であった。
この時点で彼女は、勝利を確信したと私に熱く語ってくれた。
彼女はおもむろに電話を手にし、母親に電話した。
「あ、かあさん?あたし。あたしさぁ、最近親知らずが生えてきちゃったの。じゃあね」
それだけ伝えるとすぐに電話を切ったと云う。
このことにより、「親知らず」は「親知った」に変化したわけだ。
親知らずは痛くて厄介だが、しかし既に彼女の口の中には「親知らず」は存在しない。
あるのは「親知った」だけだ。
「親知った」が痛いと云う事実はこの世界には存在しない。
従って彼女はその瞬間から痛みの恐怖から解放されたのだ。
事実、その後「親知らず」改メ「親知った」はその成長をピタッと止め、痛みも無く、誠に健全な口腔内環境が維持されていると云う。
私の前に座ってる新婚男にも是非伝えたいという。
誠に優しい女性だなあ。
0 件のコメント:
コメントを投稿
コメントどうもありがとうございます。
貴方のコメントは世界とワシとあなたを救う。
たぶん。