2014年3月14日金曜日

壱の湯(1)

年も改まり早くもひと月経つとは、嗚呼、時の流れの早く儚きことよ。
…なんて思う風流人ではなく、只只漫然と人生を無駄遣いしてる私ですから本日も朝から最低限の家事のみこなし、場合によっては午前中から酒でも飲んでやるか等という乱暴な気分にならんかったこともないんだけど、まあそれはそれとして、折角だから温泉にでも出かけましょう。
と決めてからが私は長い。
私は温泉好き、かつ出不精(最近は別の意味で「でぶ症」だがあんた、何か俺に文句でもあるのか、おい)で熱いお湯が苦手というスーパーダブルトリプルバインドな人格を持っているため、物件をなかなか決められない訳ですな。

うん、しかし私は今や富士市に住まう人。
富士といえば、行こうと思ったら山梨にも伊豆半島にも熱海にも行ける好適地。
事実、山梨方面や熱海方面にはばんばん乗り込んでいるではないか。
そうだここは一発そろそろ伊豆進出の好機かもしれぬ、そういたしましょうそうしましょう。
伊豆だ。




とは云っても、あんまり遠くはヤだというのは正直なところであります。
で、一応行政区分的には沼津になっている所であれば精神的にも楽だろうと考え、行くのは壱の湯(いちのゆ:静岡県沼津市戸田大中島1007:¥300:0558-94-4149<観光協会の番号かもしれません>:10:00~22:00:定休火曜<祝日の場合は要問合せ・8月は無休>)です。
沼津とは云っても、伊豆半島に十分食い込んだ戸田にある日帰り施設です。

現地到着は午前10時すぎ。
カーナビに従って行きましたが、最後数百メートルは訳のわからん道を案内されてやや難儀をしましたがまあ順調な道のりでした。
十分なスペースを持つ駐車場があり、敷地の端には、あれはなんて云うのか温泉櫓が立っています。
車を停めて平屋の建物に入ると、比較的若いおねいちゃんが受付してて少し驚きました。
こういう感じのとこって、理由はないけどなんか無意識的に爺婆が受付してるようなイメージがあるじゃない。
そのギャップが驚きの原因なんですけどね。
料金を払い板場に行きましたがそこにはだあれもいない。
ただし、浴室には先客がいるようで、ざばざばと湯浴みする音がしきりに聞こえます。
とっとと服を脱ぎ浴室に入りました。
内湯のみの露天なしで、大きな浴槽が一つのみ。
最大10人 ベスト5人って感じ。
カランは9基あって全てにシャワーが付いてます。
こういうタイプの温泉らしく、当然石鹸はありません。
大変シンプルな「基本に忠実」って思わせる構成です。
桶はケロリン桶で、すなわちここは地元の人が普段使いする「温泉銭湯」であることを意味します。
先客はひとりでした。
明らに場慣れしてて「地元感」がばりばりであります。

さてお湯は当然温泉。
源泉51℃と書かれてましたが、これは泉源での温度でしょう。
この熱さですので温度調節のために加水してます。
まああとは塩素殺菌も施しているようですが、浴槽の端からは結構な量のお湯がオーバーフローしています。
「源泉掛け流し」の学術的な定義は知りませんが、私みたいな素人に云わせりゃあこれは「源泉掛け流し」と断じても別に差し支えないと思います。
よし入るぞ、とかけ湯をすると、加水しているのにも関わらずそのお湯のまあ熱いこと熱いこと。
ほとんど苦行な感じで掛かり湯をして、湯口からできるだけ離れた所を選んで、非常にじわじわ時間をかけて入浴。
ほんま熱いわ。
修行している気分で何とか肩までお湯に入りました。
浸かってお湯を観察しましたが、ぱっと見MTMMで特徴ある泉質には感じませんでした。
結構がんばったけど2分が限界…
ふひゃあ、等と意味不明なうめき声のようなものを発しながら一旦浴槽を出て涼まないと倒れてしまう。
どんな構造になってるのか、湯口側の天井から外気が吹き下ろしてくるので、そこで十分に涼んで、持ち込んだ固形石鹸で体を洗い、うまい具合に体がクールダウンしてきたんで再度浴槽へ。
もう2回目なんでだいぶ慣れてきたのか、さっきよりは長くお湯に浸かってられました。
そのくらいのタイミングで先客は浴槽を後にしたので、以後は基本私の貸し切り状態になりました。
ふふふ、幸せ。

浴槽に入り、体が火照ってきたら天井から降ってくる(という感じなんです)冷たい空気を体に浴びてクールダウンし…、ということを何回か繰り返してましたけど、これこそが私の温泉必勝パターンであります。
そうこうしてるうちに浴槽のドアが開いて、これまた地元民と思われるお客が入ってきました。
痩せ型ちょび髭やや遊び人風年齢不詳なおっちゃん。
勿論常連なんでしょう。
そのちょび髭遊び人は掛かり湯をしていかにも慣れた(言い方かえれば江戸っ子っぽく粋な)感じでさくっと浴槽に入り、すぐに出て洗い場で体操してます。
そういやあさっきまでいた先客も体操してたな。
なんか銭湯とか温泉で体操する人って多いけど、なんでだろうね。
俺も時々しますけどね。

私はここまでの路程と時間のもとをとろうという貧乏性な理由で、熱いのを我慢して出たり入ったりを何回も繰り返してた訳だけど、ちょび髭はそんな貧乏ったらしいことはせず、彼が浴槽を後にしたのは私と同じタイミングでした。
板場に出ても汗は中々引かず、扇風機の下でふうふう云っていると、私のことを素人の新参者と看破したらしいちょび髭が私に、
「あんた。ここはいいだろ。暖まってなかなか湯冷めしない。いいお湯なんだ」
と声をかけてきました。
自分が通ってる温泉を普通に自慢できることって、素直に素晴らしいよな。
ここは準ジモ専の温泉銭湯。
こういう場所が生活圏内にあるのは幸せな事だと思うなあ。
ちょび髭が篦棒に羨ましい、と思いました。


2015年4月25日追記)
風のウワサで、どっかに移転して妙に近代的になっちゃったと聞きましたが詳細未確認。

0 件のコメント:

コメントを投稿

コメントどうもありがとうございます。
貴方のコメントは世界とワシとあなたを救う。
たぶん。