2015年4月29日水曜日

プロジェクト "山神社"(5) 日吉・山・浅間神社

山神社に興味を持った経緯については以前書きました
来訪記については、Facebookで書いたりしてましたが、FBでは短文に留め詳細については今後こっちで書こうかなと考えています。
本日は、田子浦小学校の少し西側にある「日吉・山・浅間神社」。

この神社は、富士市中央図書館で調べた資料では存在していましたが、Google Mapとかで見ると、神社があるはずの場所は住宅地となっており、こりゃあ造成にともなって「廃社」になってしまっているのだろうなと考えていました。
奇しくも丁度一年前の2014年5月には車で実際に現地を車で訪れているんですけど、矢張りそこには地図通り比較的新し目の住宅が建っており、こりゃもうダメだなと諦めて勝手に「廃社」と断じてしまいました。
ところが先日、矢張り宅地開発で多分「ダメだろう」と思い込んでいた別の山神社に行ってみたら、祠だけはなんとか少し離れた別の場所に移動して生き延びていたケースが有ったため、もしかしたらこっちも少し別の場所でなんとか存続しているのではと考え、となると周辺を歩き回る可能性が高いので車ではなく、今回は徒歩で自宅より20分の現地に訪れました。
現状は当然昨年と全く変わっておらず、神社が有るはずの場所は袋小路状になっており、神社存在の感じは微塵も感じられません。
近所を少しウロウロしていると、自宅の手入れをしているおっちゃんが居たため、
「スミマセン、昔あの住宅の辺りに神社がありませんでした?」
と訊いてみると、
「いや、そっちじゃなくて向こうっかわ。その道をくるっと回って向こうに回ればあるよ」
とのこと。
おを!あるんだ!
期待に胸を躍らせ教えられた通りに行くと…、ありました!
© ill-health(ruephas) 2015
山神社に限らず神社一般に良く見られる形態である「地元コミュニティ拠点一体型神社」です。
つまり、鳥居の奥には「下川成公会堂」という集会場があり、それが拝殿を兼用しているようです。
神社によっては行政により設置された絵馬型の由緒書きのようなものがあったりするんですがここにはそれがなく、それどころか明神式鳥居の扁額(額束、が正しい用語)には何も書かれておらず、境内には神社の名称や祭神を示すものは一切なし。
至近距離に違う神社が複数存在することは別に珍しくもないため、このままではこの神社が「日吉・山・浅間神社」で確定というわけには行きません。
取り敢えず、境内の片隅にある古びた祠が神様の居場所だと判断してそちらに参拝し、そのあと拝殿に相当する「下川成公会堂」の中に何か手がかりが無いかとガラス窓よじ登って中を覗いたり写真を撮ったりしていると、向かいに有る家の住人が、
「なにしてるの?なんか中に用事があるの!?」
と声をかけてきました。
この狭い祠に3人住まいか
ちょっと同情
© ill-health(ruephas) 2015
内心(うわ、やべっ!)と思いながらオッサンを見ると、笑いを浮かべては居ますがその表情の下にははっきり「不審者」を見る不信がにじみ出ています。
「えっといやそのボクこの神社に参拝しに来たんですけど神社の名前がわかんないんで調べようかとあのその別にボク不審者じゃないですスミマセン」
殆どの不審者は自分のことを「不審者じゃない」って云うんですよね。
オッサンはまだ完全には私に対する警戒心を解いているわけではなさそうな雰囲気ですが、
「もしあれだったらここの鍵を借りに行ってやろうか?」
「いやあのその別にそこまでのことは無いんですスミマセン」
「そうかいいのか」
「はい、いいです。ところでスミマセン、この神社の名前知ってます?」
「え?名前か?名前は知らんな、知らん。わはは」
と胸を張って答えるオッサン。
(え〜マジか?!自分ちの目の前に建ってる神社の名前も知らんのかいこのオッサン)
と内心毒づいていたんですが、そのオッサンは神社のことは華麗にスルーし、
「それよりこっちの方に、一部では凄く有名な地蔵がおる。目だか歯だかに凄く良く効く地蔵があるから行くか?」
その地蔵の名前を訊こうかと思いましたが、このオッサンの先ほどの発言を思い出してやめました。
知らないに決まっている。
だいたい目だか歯だかってなんだ。
しかしせっかくのお誘いなんで案内してくださいとお願いすると、そのオッサンは他人の敷地であると思われるところをすたすたと先導してくれました。
そして明らかにひとんちの庭の中を横切り、そこにいた女性に、
「あんた誰だ見かけん顔だな。え?ああ、◯◯さん(その敷地の住人)の親戚か。じゃあちょっと◯◯さん呼んでくれ」
と声を掛けて、地蔵まで案内してくれました。
現物を見ると地蔵尊ではなく明らかに観音像です。
© ill-health(ruephas) 2015
頬杖をついた感じの造形ですが、膝元には眼鏡も供えられている。
成る程確かに歯だか目だかこれではわかんないです。
そのうち◯◯さんがやってきてこの観音さんの説明をしてくれました。
基本的にはこの観音さんは目の病気に効くんですけど、頬杖ついたその姿が歯痛を想像させるためそっち方面にも効くとされていること、◯◯さん自身は最近足が痛いため、治るようにと観音さんの足を擦ってお願いしている、等の話です。

で、もしかしたらこの人、神社の事を知っているかもしれんと思って、
「あっちに神社があるんですけど、神社名とかご存じですか」
と訊いてみたら、
「あれは、日吉神社と浅間神社、それと山神社が合祀された神社ですよ」
と答えてくれた。
やった!
これで確定、廃社の憂き目には遭っていなかったようです。
「実はあの神社は、もともとそこのキリスト教会の横の駐車場辺りに有ったんですよ。道路からちょっと奥まったところね」
「ある時この辺りに住んでる人が私の土地に勝手にその神社移しちゃったんですよ」
「え?どう云うことですかね?」
「今あの神社あるところは私の土地なんですよ。住人が勝手に測量して土地ならして、勝手に移しちゃったの。お父さんは引っ込み思案な人で文句言わないんですよ」
「困っちゃって、静岡県神社庁に掛けあったり議員さんにも相談してみたんですけど上手く行かなくて」
「でもやっぱり神様のことでしょ。なくすわけも行かないしもう諦めちゃってね」
「ほんとに勝手なんですよねこのへんの人はもう」
へえ、面白い話ですね。

何故「地元の人が勝手に移しちゃったのか」の理由についてはよくわからないんですが、恐らく元々の場所が奥まっていたため参拝するのに少し不便で、便利な所に移したといったところが真相でしょう。
しかし人の土地を勝手に測量し、そこに土地所有者の断りもなく神社を勝手に移しちゃうなんて凄え話ですよね。
でもまあ、オレ的には大山くん(大山祗命の個人的愛称)が何とか生き延びてくれていて篦棒に嬉しい訳です。

【日吉・山・浅間神社】
初参拝:2015年4月29日
所在地:静岡県富士市中丸363−5
Map Code:72 200 135
主祭神:大山咋命(おおやまくいのみこと)
主祭神:大山祇命(おおやまづみのみこと)
主祭神:木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)
創建時期:不詳
社格:無格社(15等級)

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たぶん。