2015年4月26日日曜日

橘の湯(1)

激熱露天風呂がある弁天の湯を後にして向かったのは、車で1分ほどの所にある橘の湯(静岡県伊豆市土肥795-2:¥400:13:00~21:00:定休火曜)。
古い住宅街のような場所にあり、如何にも共同浴場って感じが強い佇まい。
情報では始まりは13時ということでしたが、着いた12時45分には暖簾がかかってもう開いてました。
建物の前に有る駐車場に車を停めて外にでると、その暖簾の向こうから「お〜い◯◯さ〜ん。シャワーと蛇口からお湯が出んぞお」と対処を訴え管理人を呼ばわる悲痛な叫びが外まで聞こえてきました。
すると、浴場とは別に建っている管理小屋のようなところから白いヒゲを蓄えたジイサンが足を引きずりつつ外に出てきて「よおしわかった。少し待っとれ!」と叫び返してなんかやりはじめました。
いきなりドラマチックな幕開けであります。
洗練された私はそれらの動向に関わりあいになることもなく、洗練された手つきで入浴券を購入し、エレガントな感じで白ひげジイサンに切符を渡し、おされな雰囲気で古びた湯屋に入って行きました。
脱衣場の壁面には達筆で読めない何かと達磨が書かれた書が飾ってあり、ガラス戸の向こうに見える浴室内壁面には牧水の歌が書かれています。
やや独特の雰囲気であります。
服を脱ぎ、もう不要ではあるけれども「オレはここが共同浴場で、そこでのマナーは最低限知っている」ことを示すために敢えて石鹸を手にとって浴室内に入ろうとした時、先客のジイサンがでかい声で「お〜い◯◯さん!お湯が出るようになったぞありがとう」と叫びました。
それはめでたい、よかったなジイサン達。

雄叫びおっさんに「こんにちは」と挨拶し、浴槽に満たされたMTMMな温泉でかかり湯をしようとすると、雄叫びが私に向かって低い声でぼそぼそと何か云いました。
何を云ったかわからなかったけど、雄叫びに対しては毛先ほどの敵意も無いことを示すために満面の笑みを浮かべ、しかし云っていることがわからないことを示すために少し首を傾け「?」という表情を作りました。
すると雄叫びが私に向かって低い声でぼそぼそと何か云いました。
何を云ったかわからなかったけど、雄叫びに対しては毛先ほどの敵意も無いことを示すために満面の笑みを浮かべ、しかし云っていることがわからないことを示すために少し首を傾け「?」という表情を作りました。
するとまた雄叫びが私に向かって低い声でぼそぼそと何か云いました。
何を云ったかわからなかったけど、雄叫びに対しては毛先ほどの敵意も無いことを示すために満面の笑みを浮かべ、しかし云っていることがわからないことを示すために少し首を傾け「?」という表情を作りました。

このままではぜんぜん埒が明かないため、浴槽の温泉に手を突っ込みながらこちらから、
「や。ここも矢張りちょっと熱いですねえ」
と喋りかけると、雄叫びの回路が再起動されたのか、
「うん。だから水入れてぬるくしてるよ。でもまだ熱いな。外のほうが良い湯加減だからそっちに入るといいよ」
と全く問題なく理解できる返事をしてくれたのは嬉しかったです。
雄叫びの提案に従い、外にあるやや小さめの露天浴槽に入りましたが、いやこれがまさしく絶対的に適温でございました。
浴槽の周りに生い茂っている笹や空を見ながら適温の温泉に入っているのは本当に安らぐ。
誠にいい具合。

ここも泉質に特徴はないけれど、ちょっと古びていて生活臭が感じられ、先ほど行った弁天の湯とは違って本当に地元の人のために有る共同浴槽なんだなと思いました。
程なく出て行った雄叫びの後には誰も入ってこなかったけど、隣の女湯からは婆さんと孫と思われる楽しそうな声がしきりに聞こえてきたし、私が帰り際にもお母さんと子供連れが女湯に入って行きました。
温泉銭湯ですね、羨ましい。
時間が早かったんでお客さんの数が少なかったんでしょうが、夕刻ともなれば近所の人たちで賑い、華やぐんだと思います。
弁天の湯と、この橘の湯、どっちが好きかというと、やっぱこっちの橘の湯かなあ。

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