2014年11月30日日曜日

あやめ湯(1)

久しぶりの投稿でございます。
10月中旬に長岡南浴場に行ってから今日まで、全く温泉銭湯に行ってなかったというわけではなく、熱海で清遊(この書き方、昭和っぽくて好き)した際、ホテル水葉亭に泊まってそこの温泉を楽しんだり、近くの玉の湯に行ったりしてはいたんですが、いろいろあって書けませんでした。
最近は長岡の共同湯が気に入っていて、先週末にあやめ湯(静岡県伊豆の国市古奈72-1:055-948-3840:¥300:6:30~9:00:13:00~21:30:定休毎月20日:駐車場3台)という共同湯に行ってきました。




長岡にはいくつかの共同湯があり、その幾つかには既に入っているのですが、営業時間が少し窮屈なのが難点で、昼過ぎからとか夕方からというのが多いです。
その中にあってこのあやめ湯は朝風呂をやってるし、午後も早めに始めてくれるので自由度が高いのがいいところ。
とか何とか書いておいて何なんですが、実は当日は狩野川の対岸にある、めおと湯の館(市営高齢者温泉交流館)に行きたかったのです。
が、行ってみたらまさかの設備点検中で臨時休業。
次善の策として選択したのがあやめ湯というのが正直なところであります。
しかし結果としては大正解でした。
午後の部が始まるより少し前につきましたので、減った小腹を慰めるために近くにある煙草屋で惣菜パンとお茶を購入し、まだ閉まっているあやめ湯の前にあるベンチに座って食べながら待ってますと、常連さんと思われるおっさんおばさん達がぽつり、ぽつりと集まってきました。
定刻になると暖簾をもって横山やすしのような眼鏡をかけたおっちゃんが現れ、
「お待たせしました〜」
と云いながら戸口にその暖簾を掛けて開業であります。
中に入ると、長岡の共同湯ではお馴染みの券売機が置いてありましたが、入浴のみは300円、休憩付きは800円。
う〜むどうしようと一瞬悩みましたが思い切って休憩付きを選択。
お金を投入して券を買い、脱衣室に入って服を脱ぎ浴室に入ります。
入る前に番台にいるおっちゃんに、
「ここのお湯、熱いですか?」
と問うと、
「うーん、まあそこそこかな」
と、何故か関西のイントネーションで返事。
返事した後に、何故か口元にごく薄い笑いのようなものが浮かんでいたのがちょっと気になりましたが、「そこそこ」くらいであればまあ大丈夫だろうと高をくくりました。
浴室に入ると、中はとてもきれいな感じ。
陽がはいって明るいし、清掃は行き届いているし、浴槽に満たされているお湯は澄明でキラキラしてます。
桶はケロリン、いいね。
早速カランの前に座って体を頭を洗い、さて浴槽を愉しむかとケロリン桶で浴槽のお湯を汲んだんですが、まあみなさんの想像通り、ベリー熱いお湯であります。

ベリー熱い。

繰り返す。
ベリー熱い。

なにがそこそこだ、あのおやじ。
しかしもう仕方がない、ここまで来て「篦棒に熱いから入らずに帰りました」などというのは許されるものではないですから、最高に気合を入れてかかり湯をし、激熱浴槽に挑みました。
しかしいくら気合を入れたところで、ざぶ〜ん!というわけには矢張り参りません。
感覚としては、1秒に付き1㎜というペースで極めてゆっくりゆっくり入ります。
本当は湯口から離れた比較的ぬるそうに思われる箇所に行きたかったんですが、その特等席は既に先客たる常連さんにオキュパイトされており、止む無く湯口の真ん前という最高に熱そうなところで挑戦。
痺れるような感覚が下半身を覆っていきます。
腰まで浸かるのに、冗談ではなくて数分掛かったかな。
あまりの熱さに声さえ出ない。
痺れがきつくなってきたためこれはいかんと一旦出ることにしましたが、洗い場に立って下半身を見ると腰から下が真っ赤っ赤。
荒い息を吐きながら気持ちを鎮め再度挑戦。
次こそは肩まで浸かる決意と気合であります。
慣れたのか、気合と決意のおかげか、次は何とか肩までつかれましたが熱いことには変わりなく、数分たった時点で限界が訪れ、一旦退却。
板場に戻って天井吊り下げ型の扇風機をオンにし、回転する扇風機に合わせて自分もぐるぐる回りながら涼んでいると、番台から関西弁横山やすしおっちゃんがこっちに近寄ってきて洗面所を指さし、
「これな、蛇口から源泉が出んねん。いいか、見とけよ」
というや蛇口を全開にし、やがて蛇口から流れ出る水が熱い温泉に変わるとそれを手で掬いました。
「熱いんや、これ」
そんなのアタリマエだろうと思い、この横山やすしは一体何をしたいんだろう、オレに何を見せたいんだろうと訝りながら更に横山さんを注視していると、手のひらに掬った源泉をおもむろに口に近づけ一気飲みしました。
「不思議なんや。手で掬ったときには熱くてたまらんのに、飲んでみると普通に飲めるんや。不思議や。あんたもやってみ」
確かに不思議に思える。
蛇口から噴出する源泉を手のひらにすると確かに熱い。
で、横山やすしと同じように手のひらから源泉を飲んでみると確かに普通に飲める。
微かに温泉臭がする源泉です。
うーむ、不思議だ。

とその時は思いましたが、今考えてみりゃ別に普通のことですよね。
逆に考えれば、我々人間は熱いラーメンをはふはふ云いながらも食べられるでしょ?
でも、浴槽の大きさの丼に盛られたラーメンの中に入れって云われたら、そりゃムリでしょ?

要するに、この横山おっちゃんがしゃべるとなんかそういう感じになっちゃうんですよね。
最低限の着衣をして、2階にある休憩室に上がって休憩。
この空間も何か凄く素敵というか落ち着くというか、旅館の休憩室でだらだらしてる感じというか。
テーブルを見ると、近所にある寿司屋とか蕎麦屋のメニューがおいてあり、それじゃなくても持ち込みもOKみたいです。
少しだらだらしてからもう一回下に降り、熱いお湯を再度堪能してから帰りました。
帰りしな、横山やすしさんに、
「関西出身なんですか」
と訊くと、
「うん、三重県」
なるほどね。
「にいちゃん。ここはいいお湯やからまたおいで」
「朝6時過ぎからやってるけど、事前に電話してもらって今日みたいに休憩室付きの券を買ってもらえば、午前の部が終わる9時過ぎてもここに居てもらってええんや」
「わしがちょこっと掃除する間はあかんけど、それが終わったら午後の部が始まるまでは浴槽は貸し切りで使えるんや、ええやろ」
「勿論、持ち込み自由。朝から来てひとっ風呂浴びて、お酒飲みながらだらだらして夕方までおっても800円。たまにはそんな時間もええで」

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