2021年10月29日金曜日

プロジェクト "山神社"(83) 久根神社 山神社

本日はちょっと興味深い山神社に行ってきた。

久根神社 山神社の参道石階段
© ill-health(ruephas) 2021

久根神社 山神社(くねじんじゃ さんじんじゃ:静岡県浜松市天竜区佐久間町佐久間102)というところじゃ。

浜松の天竜周辺は、今やその雰囲気は殆ど消えてしまっておるが実は鉱山で有名な所じゃったらしい。
嘗てはいくつかの鉱山があり大変に賑わっており、山の中には従業員用のアパートがたくさん建っていて、何と病院や映画館まであったとか何とかという話を以前誰かから聞いたことがある。
そんな諸施設の明かりで、夜中に山道を上り下りするのも難儀ではなかったという話も聞いたことがある。
またそんな鉱山設備の廃墟みたいなのが今なお残っておるという話も聞いたことがある[1]
ただワシは鉱山マニアでもないし、廃墟マニアでもないので聞いただけですぐに忘れてしまっておった。

さて先日、暇にあかせて例によりGoogle Mapで大山くん物件探索をしておったら偶然この久根神社 山神社というのを見つけた。
全く未知の山神社であったんで気にはなっとったんじゃが、本日時間があるので早速出掛けてみた。
天竜川沿いに通っとる国道152号線をじゃんじゃん北上し、水窪と佐久間の分かれ道のところにかかっとる大井橋を左に入って佐久間方面に進み2kmほど走ると、山側の擁壁に階段がある。

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階段の反対側にはちょうどよい退避スペースがあるのでそこにクルマを停めることは可能じゃ。
この辺の道は中央線が引かれた広い2車線道路なので、ここに停めても迷惑にはならん。
駐車ポイントのあたりにGoogle Mapsには何も目標物が無いので具体的にポイントを説明しづらいんじゃが、35.087179, 137.834305でGoogle Mapsで採用されておるPlus Codeだと「3RPM+VPF 天竜区、静岡県浜松市」になる。

(違法)駐車スペースと神社入り口階段の位置関係
写真は佐久間方面を向けて撮っとる
おっと、ワシの真っ黃っ黄のやつがおるな
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写真右側に見える苔むしたコンクリの階段をを登って行くと、神社に通じる山道に繋がっとる。
階段を登りきると、昔はあちこちでよく見かけたことのある「リスさんの山火事注意」看板があった。
下の方には「久根鉱山」と書かれておる。
この道で間違いないようじゃ。
しかし纏を持ったリスさんかぁ。
いやあ、懐かしいなあ。

下の方に久根鉱山と書かれとる
ところでなんでリスさんなのか?
この年になっても不思議じゃ
しかさんとかやぎさんではだめじゃろうか
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懐かしがりながら先に進むんじゃが、この道は山道とは云っても一部を除いてコンクリ舗装されておるので歩くに難儀を感じることはない。

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ただ余りヒトは通っておらん様子で、ところどころ木の枝や葉っぱが落ちとったり、コンクリの一部が割れておったりする。
山道と云うと途中案内もなく枝分かれしておって道を間違えることがあるんじゃが、この未知は九折ではあるが一本道で迷う心配はまったくない。
途中、嘗ては資材などの搬入出に使っておったと思われるロープウェイなどがあったりするし、

ケーブルは一部外れておる
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山道の山側はずっと石垣が組まれておったりする。
そんな道をグイグイ進んでいくとコンクリの道から右に枝分かれする未舗装の道があり、その地点には幟旗立てと思われる石柱が立っとる。

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おや、と思って周囲を見ると、道の上に何かの構造物が見える。

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ああ、あれが目的の山神社じゃろう。
ワシは早速枝分かれの道を進んでみた。
すぐに立派な石造りの鳥居に到達した。
それが冒頭の写真じゃよ。
再度載せておこう。

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山中にある神社の鳥居は設置するのが大変じゃから木造にしたり、新しく建て替える際にはアルミのポールを使ったりするケースが多いが、ここは立派な石造り。
帽子を脱いで一礼してから鳥居を潜り、かなり荒れて草木が降り積もった参道の石階段をのぼると、左手に手水舎がある。

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これもなかなか立派じゃが、いかんせん建屋の柱が傾いで潰れかけておる。
右側を見ると、何らかの建物(四阿じゃろう)の屋根が地面に落ちてしまっとるのが見える。

ああ…いかん…
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こちらもおそらく柱が腐って屋根が落ちてしまったんじゃろう。
ヒトが関わっておらんと、建造物はこのようになってしまうものじゃ。
そして更に数段の石階段を登ったその先に拝殿が見える。

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メインの拝殿があり、奥には本殿がある様子じゃ。
そして拝殿の左右には木製の祠がある。
まずは本殿にお参りじゃろう。
お賽銭を扉の隙間から賽銭箱に向かって投げ入れ(いやあ、外したヨ)、帽子をとってお参りした。
そして頭上を見上げると、真っ黒い扁額のようなものがかかっておる。
珍しく鉄製の扁額で、黒く錆びておる
おそらく嘗てはきれいな鉄板で、神社名が鮮やかに認められておったんじゃろうが今は真っ黒。
ワシは何が書かれておるかじっと見てみたが、暫くすると何とか読めた。
白い文字の右書きで「山神社」(社神山)と書かれておる。

やあ、うっすく「社神山」と書いてあるな
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よし。
これでメインのデカい建物が山神社確定じゃ。
となると、左右にある祠のどちらかが「久根神社」ということになる。
まず左側の祠にお参りした。

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そして覆っている屋根の中入り祠をよく観察してみたら「招魂殿」と書かれた扁額があった。

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この名前からすると恐らくじゃが、久根神社の開発運営などに伴い命を落とした方々を慰めるところじゃろうと思う。
右側にある祠は赤く、お参りしてから失礼して中を見てみたら狐の焼き物があったので、多分倉稲魂命を祭神とする神社じゃろう。

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もしかしてこれが「久根神社」かもしれん。
その赤い祠の更に右側にやはり傾いだ物置のような建物があり、中にはお神輿や電飾などお祭りグッズが入っておる。

主にはお神輿の部材が入っとる
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© ill-health(ruephas) 2021

嘗てはこの小屋に入っとるものがすべて表に出され、にぎやかにお祭りが行われたんじゃろう。
小屋の周りを見ると、空になった一升瓶やビールの缶が結構散乱しとる。
ざっと見回しただけで一升瓶が5〜6本、ビールの空き缶は数知れずという数量感じゃ。
探せばもっと多く散らかしてあるに違いない。

© ill-health(ruephas) 2021
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その中にキリンラガービールの空き缶があった。
余り見たことがないデザインじゃが、これがどの時期に販売されとったかがわかればこれがいつ頃捨てられたのかがわかると思い調べてみた。
iPhoneに入れてあるGoogleアプリは大変便利で、画像を元にして色々世界を検索してくれる。
上の写真を元に検索してみたら、何と一つ引っかかった。
「30年前の貴重なキリンラガービール缶。大好きな能登へ行った時に売られていた品」
とある。
この商品は10ヶ月前に出品されているので、記載が正確ならば約31年前のもののようじゃ。
今から31年前というと1990年。
久根鉱山が閉鉱したのは1970年じゃから、時間軸は全然一致しない。
もしかすると、閉鉱後も暫くは鉱山関係者が時折この神社に集ってはお祭りをして旧交を温めておったのかも知れない。
ただ、1990年というと閉鉱後すでに20年経過しとる。
皆年取ってきて集うのがむつかしくなり誰も来なくなり、その後この神社も荒れ果てていったのかもしれんなあ。

さて、参拝終えて山を下ると、反対側の天竜川側に何かの設備や貯水池のようなものが基の間から見える。
何じゃろうと思って調べてみたらここは公益財団法人資源環境センター久根事業所(静岡県浜松市天竜区佐久間町佐久間2)というところじゃった。
一般に鉱山からは閉鉱後も有害物質を含む坑廃水が半永久的に流出するそうで、久根鉱山から流れ出る坑廃水対策のために2001年にこの事業所が開かれとるとのことじゃった。
そう云えばさっき参拝した山神社の近くには何かの貯水池があり、そこだけ真新しい監視カメラのようなものがあって(写真失念)池の方を監視しておる。

草原に見えるが草が生えとるのは池の底
監視カメラはこの写真でいうと右上にあって池を見とる
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「こりゃあなんじゃろうなあ」と不思議に思ったんじゃが、これももしかして資源環境センターの業務の一環なのかもしれんなあ。
閉鉱しても、このような形で地元に関連しとるということがなんか不思議な気もしたなあ。

あ、あと久根鉱山に関しての地元伝説じゃが、江川卓の親父が古河の社員でこの久根鉱山で働いとったらしい。
そんでもって子供の江川卓も付いてきておって、このへんで野球のボールを投げたりしとったらしいが、ホントか嘘かはワシにはわからん。

[1]
これらはいずれも天竜区下平山にあった峰之沢鉱山の話で、今回行った久根鉱山のことではないじゃよ。


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貴方のコメントは世界とワシとあなたを救う。
たぶん。