2013年2月17日日曜日

南栄湯(1)

豊電 南栄駅で下車。
目的地は南栄湯(愛知県豊橋市南栄町字空池127:0532-45-4851:¥400:営業時間等は本文参照)です。

ところで私は、温泉銭湯とかに出かける前にいろんな情報を仕入れるのが嫌なタイプなんですが、今回は例外で最低限の情報、つまり営業時間を人にお願いして調べてもらいました。
銭湯は一般的に午後からしか開いていないため、午前から時間を使うことは出来ません。
従って地元以外にある複数の銭湯を訪れる場合には、午後という限られた時間を出来るだけ有効に使えるよう、友人に依頼してWebで営業時間情報だけ確認して貰ってます。
自分でやるとついつい必要以上に事前情報を探しちゃって現場でのワクワク感が削がれちゃうからです。
で、そのやや古い情報によれば南栄湯の営業開始はどうも14時30分らしいとのことでした。
本日はもう一つ、15時から営業開始の銭湯に行く予定ですが、開始時間が早いこっちから先に行くのは自然だよね。

駅の到着は14時過ぎで、少し早いけどまあちょっと行ってみようかって感じで現地に行きました。
殆ど駅前と言っていいでしょう。
歩いて1分以内の場所に南栄湯はありました。
時間前なので当然暖簾は玄関ガラス戸の中にしまわれてます。
で、玄関当たりを観察していると営業案内が掲示されていて、それによれば営業開始はなんと15時30分から。
あちゃ~、あと1時間30分もある。
参ったなあ。
やっぱり情報が古かったんですね。
でも、こういうことも含めてが他都市での温泉訪問の楽しさでしょう、と自分を慰めたわけだ(^^ゞ
ちなみに定休は毎週火曜と金曜です。

しかし、それならそれでやることはある。
まず一つは、この界隈では少し有名なコンドーパンの探索であります。
南栄の辺りは古い市営住宅なんですが、それと同時に学生街でもあり(愛知大学)、安くて旨い食べ物屋が多くはないけど存在していて、コンドーパンもその中の一つと思われます。
こちらも駅から少し北に歩いたところにあって、大きな赤い看板が掲げられていました。
しかし残念ながら開いてませんでした。
日曜休みなのかな?
それとも別の所に店舗があるのかも知れない。
取り敢えず歴史を感じさせる赤煉瓦のパン工場を外から眺めて退却。
再び駅に戻り、駅頭に掲示してある町内書店街案内図(ほら、良くあるでしょ。退色すると殆ど現代芸術化しちゃう感じの案内看板)を眺めてると、看板の端っこの方になんと「昭南湯」なる表示を発見。
昭南湯
豊橋市南栄町(一部)商工案内図
昔は良くあったよね
© ill-health(ruephas) 2011/2013
昭南湯
上部真ん中の「真」の字の真下
「昭南湯」の文字が見えます
© ill-health(ruephas) 2011/2013
昭南湯?

事前調査(とはいってもiタウンページを一寸当たっただけですけどね)ではひっかからなかったし、「豊橋+銭湯」でググってもそのような名前の銭湯はヒットしませんでした。
で、この件については別ポストで書こうと思ってます。

そんなこんなで時間は意外に早く流れ去り、気づけば既に15時30分。
南栄湯に早速入湯であります。

この南栄湯、大変歴史のある銭湯のようですので、事前の想像では結構古風な、というか正直申せばボロい建物かと思ってたんですが、実際には意外に新しい感じです。
そして玄関先の暖簾。
く~っ、渋い暖簾です。
銭湯でよくあるのは石鹸会社提供(買ってるのかな?)の色鮮やかな暖簾で、あれはあれで気分が華やいできて素晴らしいのですが、ここ南栄湯の暖簾は小振りで厚めの生地を青染めにした非常に落ち着いたものです。
その暖簾をくぐり硝子戸をがらりとあけて入ると休憩用のスペースになっていて、そこにある番台はおばちゃんが一人。
料金を払い、右手にある男湯入り口から脱衣場に入ります。
開店間もなくして来たのですが、もう既に入浴しているお客がいるのは勿論、驚いたことにはもう湯上がりで着衣し始めているじいさんがいる。
はああ、鯔背ですなあ。
一番風呂に飛び込むように入ってさ~っと体を清め、浴槽で軽くあったまったらさっさと浴室を後にする。
この辺は立ち呑み屋での流儀とも共通していて、かっこいいですねえ。
そのじさまを横目に私はゆっくりと脱衣し、ゆっくりと浴室へ。
浴槽は主要浴槽、超音波(というか気泡浴)・電気・別室のラジウム風呂(森林浴風呂)・熱気浴(サウナ)とシャワー室のようなスペースで、これは豊橋や名古屋の銭湯に多くみられる構成です。
浴室内には4人程の先客がおり、めいめい体を洗ったり湯船につかったり銭湯を使ってます。
まだ昼の明るい日差しが浴室内にあふれていていい気分です。
私も体を洗って早速湯船に入りました。
そうこうしてる間にも次々お客が入ってきて、この銭湯結構混雑してます。
浴室の絵はタイル画で、遠くに山を望んだ川を筏流しが流れてる図。
銭湯ではお馴染みである刺青のおじさんも1人入ってきました。
やたらと腰が低い感じのおじさんです。
その腰低刺青おじさんも含め、常連客たちが世間話をしてます。

「梅はなんか華やかさがないなあ」
「おお、やっぱ桜がいいわ。ありゃあ華がある」
「梅は小さくて地味だからのう」
「それにしても隕石[1]、凄かった」
「爆発したな」
「うん爆発した。わしな、家のパソコンでYouTube何回もみたけど(!)[2]、確かに爆発しとった」
「うん、なんか宙を飛ぶと『しゃ~~~~っ』て感じで火が付いて爆発するんだ(断言!)」
「爆発もするわな。ありゃ物質じゃないから」
「うん。物質じゃないからな」

は?物質じゃない?じゃあなんだ?あれは霊体か何かか?

「でも何かロシアにばっかり落ちるのう」
「おう。大昔にやっぱりシベリアに隕石が落ちて来て今でも大穴があいとるらしいと子供がいうとった」
「神様はよく見とる。ロシアは悪いことばっかりやっとるから」

成る程、そのような強引な考え方もアリだなと私は心の中で深く頷き、全くその通りだと思いました。
でも一方で、それが正しければ中国とか北朝鮮には最低でも毎年数個の隕石が落ちてもおかしくないはずだがなぁ…?
とも思いました。

「なんせ気を付けんと、何処から何が落ちてくるかわからん、桑原桑原」[3]
「日本は悪いことやってないから大丈夫(???またしても断言!)」

わたしゃあ銭湯そのものも勿論大好きですが、ホントはこういう年寄りたちのめちゃくちゃっぽい話を聞くのが好きなんです。
銭湯だと心が少し緩むからなのか、この手の無茶話が聞ける確率が高いようです。
じいさんたちのそんな理論不整然話をBGMに、心地よく湯船につかっていると瞬く間に時は過ぎ、体もゆだって来たため浴室を後にしました。
で、体を拭いていると、脱衣場にいた別口のじいさんたちがやはり話をしている。

「国府宮の裸祭りが終わったら春が来るんだ」

確かにその通りですが、なぜ豊橋のじじいが国府宮で季節の到来を比喩するんでしょうなあ。
この辺りなら先日終わった鬼祭りが普通なのになあ。

「厄年には国府宮の裸祭りに行くに限る」
「あの男達の裸から湯気が出ているの見るとなぜか気持ちが高ぶって、厄払いできるんだ」

こいつ。
なんだか、ある危険な方向性の趣味嗜好を持つおやじなのかな?
このオヤジ、もしかして危険か?
などと馬鹿なことを思いながら、シックな藍色暖簾をくぐって、次なる銭湯に向かいました。

[1]
この銭湯ツアーの前々日、日本時間で2013年2月15日の昼過ぎ、でかい隕石がロシアのチェリャビンスク州という所で空中爆発・落下して大騒ぎになった件。
ロシアは車載カメラの普及率が結構高いため、非常に多くの映像がYouTubeにUPされました。
爆発の原因について「あれはUFOの仕業」などという話がまことしやかに流れてたりして未だに盛り上がってますな。
ちなみに何故ロシアにおいて車載カメラの普及率が高いかというと、日本のように事故が発生した際の証拠映像とするためではなく、悪質で腹黒な官憲に対抗し、自らの身を守るためというのが一番大きな理由だそうです、はははは。
中国・ロシア・北朝鮮と、共産圏はまったく腐りきってますな。

[2]
この発言は後から入ってきた腰の低い刺青おじさんによるものであることを慎んでご報告いたします。

[3]
これは人の姓ではありません。
昔の日本には「桑の木の枝は尖っているから、雷は落ちてこない」という言い伝えがあり、雷が光りだしたらみんな自分に落ちてこないように「桑原桑原」と唱えながら逃げていったのですが、そっちの桑原です。
現在では死語に近いけど、使い方としては「(何かに対して)用心しなきゃ」的な意味で使われることが多いようです。 

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