ここ半年の間、自分の基準の中では非常に多忙であったんじゃが、兎に角1日自宅以外の場所で出来るだけ静かに過ごす時間が無いと心身が持たんと切実に感じたから、休みを取ったんじゃ。
雨の中クルマで走り、Clarkに向かう最後の狭い山道を登ると、その道のど真ん中にマサオと諭吉(どっちもやぎさんで、前者が兄貴分、後者が弟分)が陣取っておって落ちておるミカンをむしゃむしゃ食べとった。
ワシのクルマに気づくとこっちをじっと眺めるが逃げる様子は見られん。
むしゃむしゃしとる。
仕方なく少しづつクルマを進めていくと、食べかけのミカンを口にして空き地の方にゆっくりと移動していった。
全く脳天気なやつ共じゃ。
目論見通り店内に客はおらん。
店のお姉さんに、
「今日はゆっくり長い時間粘りますので」
と声をかけると、
「どうぞどうぞご自由に、昼寝もしていって大丈夫ですよ」
と返事をくれた。
「無論、それも本日の主目的です」
で、渡されたメニューがこれ。
手書きのメニューじゃヨ © ill-health(ruephas) 2020 |
写真は2枚あるメニューの2枚めじゃが、矢張り注目すべきは「マサオコーヒー」じゃろう。
「なんじゃこりゃ」と思ったら、横にちゃんと「マサオコーヒーってカフェオレの事だメェ〜」と書いてある。
云われてみればマサオはよく見ると、真っ白ではなくて薄い茶色というかまさにカフェオレ色をしとる。
今後は諭吉にまつわるメニューも開発してほしいものじゃ。
1枚めは主にフードメニューでパスタが加わっとった。
迷わずマサオコーヒーを注文し、縁側の席に座って鞄から本を取り出した。
池波先生の本を再読したくなった 残像に口紅をは何となく持ってきた © ill-health(ruephas) 2020 |
後ろにデンと座っとるのは梅太郎という名前の犬じゃが、2019年11月当時はこのような仔犬じゃった。
無垢な仔犬感がパネェ © ill-health(ruephas) 2020 / 2019 |
Dog Yearとはよく云ったもんじゃなあ。
おねえさんから出された熱いマサオコーヒーを啜りながら早速鬼平犯科帳(5)を読み始める。
ここは書評目的のブログではないんで内容などは書くつもりは無いんじゃが、そう云えば以前の一時期「長谷川平蔵がやってきたこと年表」のようなものを作ってみたら面白いかもなあと考えていたことを思い出した。
まあ今風に表現するならば「鬼平タイムライン」じゃな。
鬼平犯科帳は文庫本で合計24冊も出版されとるシリーズであって、基本的には短編中心じゃから本当に沢山のストーリーが存在しとる。
それだけ沢山の仕事を鬼平はやってのけているわけじゃ。
あと、ワシらも誰でもそうじゃが、常に幾つかの仕事を並行してこなしておる
鬼平とて云ってみればマジメな勤め人じゃから、一つの仕事を始めたら終わるまではその仕事だけしかやりません、ということにはなりませぬ。
あるストーリーの中には例えば「寛政元年の初夏といえば、長谷川平蔵が〔夜鷹殺し〕事件にかかわり合う前のことだが……。」という記述(「女賊」ニの冒頭)があるんじゃが、そのような時に鬼平タイムラインで簡略にその顛末との時軸が見れれば何となく便利で面白いかもしれないわけじゃ。
誰かそういったものを作ってくれとらんかなあ。
物語に没入し読み続けておると、表で「からん」という音が響いた。
「ん」と思って音の方を見やれば、東屋の中にマサオと諭吉が入り込んでおって雨宿りをしとった。
「カラン」という音はマサオと諭吉の首輪についとるベルの音じゃ。
出来るだけイノセンスな雰囲気を 醸し出すべく努めるマサオと諭吉 © ill-health(ruephas) 2020 |
我が物顔でカウンターテーブル上を 闊歩する諭吉と それを眺めてニヤリと黒幕顔をする マサオ © ill-health(ruephas) 2020 |
二人してゆっくりと東屋を後にし、雨の中どっかに歩いていった。
ああそうじゃ。
いい忘れておったがこの書き方からもわかるじゃろうがマサオも諭吉も放牧状態じゃった。
基本的には普段紐で繋がれとるが、午前中を中心にこのように放牧されとることも多い。
放牧状態にあるやぎさんというのは案外見られない風景じゃと思うから、興味がある人は午前から行けば高い確率で見れるじゃよ。
そのうちお昼になって、地域に設置されとる広報用スピーカーから鐘の音が響き渡った。
本読んどるだけなのに腹は減る。
ワシがここで昼を認めるときは大抵ダムカレーを注文する。
Clark名物のダムカレー オクラと椎茸がソースに入っとって 誠に美味い しかもかなりボリューミー ご飯とカレーの間にあるクラッカーを抜けば 放流体験も味わえます © ill-health(ruephas) 2020 |
これじゃ。
にんにくがやや強めに効いていて 美味しかった © ill-health(ruephas) 2020 |
料理の味を言葉で示すなんぞは野暮の骨頂と思っとるがまあ一応書くならば、美味かったです。
現実無理じゃが、これにビールがあれば最高じゃな。
美味い昼飯を食べたら、ほらやっぱり予想通り眠くなって来た。
ワシは縁側から奥にある大きなソファに席を移し、イネムリすることにした。
依然として他の客はおらんから、このようなことも平気の平左じゃ。
雨の音と、店内に響くJazzを聴きながら目をつむるとすぐにぐうと寝てしまった。
どうもそのまま2時間ほど眠りこけていたようで、起きたら15時過ぎになっとった。
ワシは居眠りするとたまさか涎を流している時がある。
人様のソファをワシの涎で汚しておらんか確認したが幸いそのようなことはなく安堵した。
雨はまだ降っとるがそれでもだいぶんに弱まって来た。
マサオと諭吉はどうしとるじゃろうと気になって彼らのお家に行ってみた。
すると彼らはワシの接近を素早く気取り、このような体勢を取ったのじゃった。
いやあ、我ながらいい写真じゃあ © ill-health(ruephas) 2020 |
いいものを見せてもらったよ。
という事で、閉店時間の16時が近づいてきたんでワシは帰ることにした。
持ってきた本を鞄に戻しておると、間際にワシ以外のお客が現れた。
結局、この日の客は無駄に長居をし続けたこのワシといま来た男性合わせて2人だけの様子。
店的には商売上がったりで大変じゃろうけど、ワシ的には大変素晴らしい1日を過ごせたわけで望外の幸せじゃった。
1000円ちょっとでこの空間と時間と美味しいものが手に入ったわけで、だけどもいつでもこう出来るとは限らん。
云えば僥倖だったわけじゃが、まあよい。
素晴らしい1日じゃった。
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コメントどうもありがとうございます。
貴方のコメントは世界とワシとあなたを救う。
たぶん。