ちょいと前からやぎに異常なまでに惹かれるようになっとるため、どっかこの辺にやぎスポットはないかとGoogle様に「豊橋 やぎ」だったか、そんなキーワードでお伺いと立てたんじゃけど、その結果気になるブログが見つかった。
個人のブログのようじゃが、そこには「やぎ天国」みたいなことが盛んに書かれておる。
そのやぎ天国は豊橋市内の大村というところにあって、ユニクロ大村店に近いらしい。
豊橋で「大村」というと無論あの例の「大村洋品店」が思い出されるわけじゃが、今回は多分関係ないじゃろう。
場所の名は「Maui」というらしい。
豊橋にMauiがあるわけじゃな、成る程。
老津神社を後にして国道23号線を快走し、程なくして大村の辺りまでたどり着いた。
さっきの個人のブログにはMauiの近くには「仏教系の建物が近くにある」と書かれておったのでそれをランドマークとして探しておると、豊川放水路の近くになんか立派な寺院のようなものがある。
寺院とはあれにちげえねえ、ならばこの近くにMauiとやらはあるにちげえねえと睨んで辺りを見回すと、遠くの豊川放水路の堤防に沢山、相当沢山の白やぎが放し飼いにされとるのが見えた。
へ?
放し飼い。
クルマに乗っとったんでその遠景を撮影することはままならんかったが、兎に角相当数のやぎが堤防の斜面を歩いとる。
思わず「わああ、すげえ!」と車内で叫び、焦る気持ちを抑えつつそっちの方にクルマを向けると、すぐに牧場のようなものが見つかった。
結構広いその牧場の端っこにはひつじさんが一匹おったが、牧場向かいの堤防には紐に繋がれたやぎが何匹かおる。
そしてその更に先には、さっき見たやぎさんの大群が野に放たれとるのがわかる。
駐車場にクルマを入れて地面に降り立つと、そこにはハイジの爺さんそっくりなヒゲを生やしたやはり爺さんがおった。
ワシを見るなり、
「おう。やぎの餌やりに来たんか。餌やるか」
と問いかけてきたんで、
「え、はい。餌あげてもいいんですか」
と問い返すと、
「ああ、今日はあまり餌やりの人がこんかったから、やぎを堤防に連れて行って草を食べさしとる。あそこに行って餌やってくれ。餌は200円」
殆ど下働きの人扱いなんじゃけど、不思議と全く嫌な感じはせんかった。
財布から200円取り出してハイジの爺さんに差し出すと、木箱から小さめのキャベツを取り出し、包丁で4つくらいに切り分けて、
「これを1枚づつ剥がしてやってくれ」
とキャベツをステンのボウルに入れてワシにくれた。
ワシとしてはもう一刻も早くやぎさんの餌やりがしたいので、ハイジ爺さんに礼も言わず早足でやぎさんの群れ方面に向かったよ。
群れに近づいて来たため、
「ほーれ、やぎ。ほーれ。餌を持ってきたよ〜、餌をあげるからこっちにきたまえよ。ほーいこれやぎさんよ」
等と声掛けをしてみたが、すべてのやぎさんはもう無心に堤防の雑草除去作業に勤しんでおり、ワシには目もくれぬ。
うむ、やはり一見さんには厳しい世界なんじゃろうかと思いつつ、ワシは更に群れにぐいと肉薄した。
そしてボールからキャベツの葉を1枚ちぎってやぎさんに差し出すやいなや、
がんっ!
という強い衝撃をケツに感じた。
「誰じゃコラぁ、ワシのケツをどつくのは誰じゃ!」
と思いつつ後ろを振り向くと、そこには立派な角をはやしたちょっと体がデカいやぎさんが立っており、そいつは巧みにワシの前に体を回しこんでワシの手からキャベツを奪い取り、剰えボウルに入ったキャベツを隙のない眼で狙っておった。
よしわかった、あげるから。
更に1枚千切り、そいつにやろうとすると知らぬ間にワシの横に忍び寄っとった別の大型やぎさんがそれをひったくってむしゃむしゃ食い始めた。
ハッとして周りを見渡すと、先程あんだけワシのことを無視しとったやぎさんたちがいつの間にかワシの周囲を固めており、もう我も我もとワシの持っとるキャベツを狙っとる。
大量のやぎさんがわらわらとワシに近づいてきて、ワシを囲んどる。
「よおしはいはい。いいよみんなにあげるからね。たくさんあるから焦んなくて大丈夫。だから、ほれ、順番順番、じゅんばんだよ。でも先に小さいやぎさんからあげようかな〜」
等とへにゃらけた声で皆をなだめつつ、群れの中にいた生まれて間もないと思われるちっちゃいやぎさんにキャベツを差し出したその時、
「っってえええ!!」
さっきのとは別のデカいやぎさんが、そのデカさに似合わぬ俊敏さでもってワシの前に走りより、勢い余ってその蹄でワシの足を思いっきり踏んづけつつ、ちっちゃいやぎさんにあげようと思っとった葉っぱを横取りしていったのであった。
蹄、結構マジで痛かった。
そいつは首に黄色と黒のプラ製チェーンを巻いており、周囲におる別のやぎさんを威嚇して頭突きをカマして追い払い、明らかに一攫千金を狙っとる。
その凶暴さ、及び黄色と黒の鎖により、ワシはヤツのことを「阪神」と名付けた。
阪神は執拗にワシに纏わりつき、少しでも多くのキャベツを口にしようとしておるため、少し走って逃げて、ちっちゃいやぎさんが集まっている辺りに行ってその子達にキャベツをあげとった。
ワシの周りを囲むちっちゃめのやぎさんを眺めたりなでなでしながら目尻を下げて、
「おう、やっぱ子やぎは可愛いのう」
等とニヤニヤしながら脳天気に餌をあげとったら、
ばきっ!
ぐへっ!
太もも後ろ側にまたもや強い衝撃を受けた。
強烈なやぎさんパンチであった。
阪神級の体のデカさのまた更に別のやぎさんが、ワシの太ももを前足の蹄でキックしたのであった。
かあ!こいつら、金の亡者ならぬキャベツの亡者じゃ。
ならば良し、ならばこちらにもやり方というものがある。
こちとら人間じゃ。
やられっぱなしで済むと思うなよやぎさんどもめ。
反撃しちゃる!
と思いつつ、知恵のある人間たるワシは、取り急ぎそいつから逃げ出したのじゃった。
まさに「三十六計逃げるに如かず」じゃ。
まあしかし、逃げても逃げてもやぎさんたちは追っかけてくるからねえ。
その後はキャベツがなるなるまで「ぐへっ」「いてててて、いてて」「かあ!お口で指をはむはむするな、くすぐったいじゃん」「がんっ」「どかっ」という感じでやぎさんたちを戯れておった。
まあ少し冗談っぽく書きすぎたんだけど、まっこと楽しい場所じゃった。
そうだなー、1時間以上はやぎさんに巻かれとったなあ。
200円払えば沢山のやぎさんたちに囲まれて楽しい時間が過ごせます。
帰りしな、ハイジの爺さんはワシに、
「いやあ、あんた十分に楽しんだな。200%はもとを取ったわ。また来いよな」
と声をかけたのであった。
是非皆様、一度行ってみてはいかがでしょうか。
場所は「豊橋 Maui」で検索してみてください。
以下は、珍しくも写真集でございます。
© ill-health(ruephas) 2018 |
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© ty 2018 |
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コメントどうもありがとうございます。
貴方のコメントは世界とワシとあなたを救う。
たぶん。