2020年7月11日土曜日

温泉に行かない日(450) 職場装着可能顔当ての臨界点を探る

一時期大儲けをするべく活動して結果大損こいた紙製顔当て転売野郎をあざ笑うかのごとく、最近は布製顔当てが可成り一般化されてきておる。
当に百花繚乱とも云うべき布製顔当て風景が街には溢れとる。
半年くらい前までであらば着用するに憚られる意匠の布製顔当てであっても、最近は全く普通のこととして皆が着用して街を歩き、客先に訪問さえしとる。
最近は取引先の皆さんも厳重な対策を施した上で儂の事務所に来訪知ることも多い。
当然皆様顔当てをなすっとるが、単純明快な白ばかりではなく、取引先と協業しとると思われる多少奇抜な意匠の布製顔当てをしとる者もおる。

ところで儂は一応勤め人で、組織から金を貰ろうて糊口をしのいでおる。
じゃから、その組織の明文的な就業規則は勿論、支配された雰囲気世論に反することなく恙無く勤めること、これが非常に肝要じゃ。
定年になったら「大過なくこの日までこれました」と云う最高に詰まらん一言を放って渡された花束を塵芥箱に投げ捨て、一人夜の街に消えていくというのが一般組織人としての最高の終わり方じゃろう。
このような状況を踏まえ、この組織で大過なく勤めるために問題ない意匠の顔当てはどのへんなんじゃろうかというのを今回は探ってみようと思う。

装着危険度は5段階で、0は全く問題ない意匠のもの、5はこれを装着して出勤すれば来週からは自由な身になれるという最高に危険なものという段階判断をして行こうと思う。
紹介の順序は危険度順とかでは全くなく、順不同じゃからいきなり危険度最高の5が出るかもしれんしどうなるか自分でも全くわからん。

1.普通の紙製外科手術用顔当て

© ill-health(ruephas) 2020
寧ろ今日日は「こんなつまらん顔当てしとるやつは創造性に欠けとる」と謂れもない判定をされる可能性もあると見た。
したがって判定はまさかの、
【装着危険度】2

2.体操服用生地顔当て

© ill-health(ruephas) 2020
体操服用生地・通気性及び乾燥性に富む・立体縫製により息苦しさは可成り減殺されておる。
しかも安い。
「単純な紙製野郎」との誹りを回避することも可能であり、これはなかなかの優れ物であると判断できるじゃろう。
【装着危険度】0

3.大多福(おたふく)福助顔当て[1]

© ill-health(ruephas) 2020
儂が属しておる組織の役員が装着していたもの。
大多福福助[1]なる奇抜な意匠素材を用いておるが、それを小さく連続させることで案外柔らかい印象になっとる。
この男にしては好選択と云って宜しかろう。
儂もなかなか気に入って、入手経路を確認して是非欲しい一品じゃ。
【装着危険度】0

4,護謨製顔当て

© ill-health(ruephas) 2020
これも上記役員が装着していたもの。
素材は護謨であり、そこに若干の淫猥さを感じざるを得まい。
護謨製顔当てでどうやって息をするんじゃとの疑問もあろうが、良く見ると口が当たる部分に小さな穴がたくさん開いとる。
口元部分以外の通気性は0じゃから頬のあたりは汗で気持ち悪いことになろう。
何れにせよ装着する価値はまったくなく、後先考えずこんなもんを買った男は莫迦と断ぜざるを得ない。
この役員は明日以降確実に組織内で無慈悲な鉄槌が下され、その後恙無く粛清されるであろう。
しかし上記3.の大多福顔当てを儂に無償で譲ってくれるならば、非力ながら粛清から逃れるための手助けをせんでもないぞ。
大多福顔当てを儂に早く寄越しなされ。
【装着危険度】4

5.安倍之顔当て

© ill-health(ruephas) 2020
もはや説明不要。
ある意味金字塔的意味を持つ顔当て。
これを付けて取引先に行くような粗忽な営業担当は、取引先から出入り禁止食らうこと必定。
従って、
【装着危険度】5

6.本田宗一郎顔当て

© ill-health(ruephas) 2020
本田宗一郎ものづくり伝承館(ほんだそういちろうものづくりでんしょうかん:静岡県浜松市天竜区二俣町二俣1112:053-477-4664:10:00〜16:30:定休月火)で売っておった顔当て。
あの本田宗一郎が意匠化されており。このような顔当ての他手拭などとして商品化されとる。
さてこのように一つの意匠をどんと大きく全面に押し出したようなものだと、意外に眉を顰められる事が多い。
ただし、基本の色が伝統的な藍色という落ち着いたものであることと、「地元が誇る著名人を模した顔当てをして何が悪い」という開き直った説明により案外許容されたというのが実際装着した結果じゃ。
ただし、浜松市南区にある高塚駅近辺ではこの顔当ての装着は禁忌であることは云うを俟たぬ。
ちなみにこの顔当ては表裏両用使用可能であり、裏側はこのような感じとなっとる。

© ill-health(ruephas) 2020
【装着危険度】3

7.本田技研工業社製原動機付自転車顔当て

© ill-health(ruephas) 2020
これもまた本田宗一郎ものづくり伝承館で買い求めたものじゃ。
本稿は今回事情により片仮名英字を使用できないためこの原動機付自転車の正式な名称を書けないんじゃが、わかるじゃろう。
ほれ、あれじゃ、蕪じゃよ。
この顔当ては流石に着用が憚られ、職場ではまだ着けとらん。
従って現段階では、
【装着危険度】4
との判定じゃが、しかし上記本田宗一郎顔当てを毎日着用せしめ、周囲の注意力を次第に弛緩させることが出来れば、1ヶ月程度で、
【装着危険度】2
程度に抑え込むことは充分に可能と考える。
なお繰り返しになるが、浜松市南区にある高塚駅近辺でこの顔当てを装着するならば鈴菌組の一族郎党により血祭りに挙げられるので避けたほうが無難と云えよう。

8.革命顔当て〔革命前夜版〕

何か革ヘンに旁が命という一文字漢字に見えてきた
© ill-health(ruephas) 2020
これは先日職場で極めて苛ついた件が発生した際、その怒りに任せて作成した貴重な顔当てじゃ。
この組織には今こそ革命が必要じゃ!
今のままでは未来がないじゃ!
と自分勝手に思い込み、昼休みにへにゃへにゃ丼に入った豚骨味即席麺を啜りながら作成した次第じゃ。
素材は部下の男が洒落で贖った3枚110円の中華製顔当てで、包装紙に大人用と明記されとるのにも関わらず、安倍之顔当てよりも更に小さいのが最大の特徴じゃろう。
さて問題の意匠じゃが、文字の色こそ赤と派手目の選択じゃが、書体は極めて礼儀正しいかっきりしたものであり過激さは微塵も感じられない。

写真の一部を已む無く修正しております
© ill-health(ruephas) 2020
この写真の男は儂の関係者であり、要するにこの超小型顔当てを買った当人でもあり、不埒にも讀賣巨人軍の愛好者という男でもあるケシカラン!
儂が作った革命顔当て〔革命前夜版〕の破壊力を確認するため実装させた際の貴重な写真じゃが、これを見る限り「案外行けるんじゃないですか」感がある。
礼儀正しく心優しい革命家といった風情じゃ。
とは云え、儂は残りの職業人生を恙無く大過なく終えていきたい。
そういった意味で、
【装着危険度】4

8.革命顔当て〔革命実行版〕

© ill-health(ruephas) 2020
あまりに礼儀正しく折り目も正しそうな革命顔当て〔革命前夜版〕に失望した儂は、革命に迫力破壊力を加えるべく、翌日昼にへにゃへにゃ丼に入った味噌味即席麺を啜りながら更に意匠に手を入れた。
その結果爆誕したのがこれじゃ。
名付けて「革命顔当て〔革命実行版〕」じゃ。
「革命」という文字からば〜っと光と気合に満ち溢れる意匠になった。
ただ、ば〜っとしとる光のうち左側の上から三本目のやつに心の迷いが透けて見える。
意匠を変更したものの、革命顔当て〔革命前夜版〕とあんまり印象は変わらん。
やせ衰えた貧乏学生がひょろひょろしながら動員されたから仕方なく革命を唱えておるような印象じゃ。
この顔当てを装着することにより「此奴、左傾ぎな危険人物」と思われるよりは「こんな弱っちい程度の革命しかできん情けないやつ」と思われ小馬鹿にされる危険性のほうが遥かに高い。
そういった意味で、
【装着危険度】5

[1]
先日、有識者により、
「これは大多福ではなく福助。常識の範囲内ですよね」
なる温かいご指摘を受けました。
たしかにそのとおり。

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コメントどうもありがとうございます。
貴方のコメントは世界とワシとあなたを救う。
たぶん。