中を見るとやぎさんに餌をあげとる写真が載っておってそこには「長福寺にはヤギがいた!おそるおそるエサをあげる」とのキャプションが付いておる。
餌をあげとる小学生は完全にへっぴり腰状態で少し笑える写真じゃ。
2017年とちょっと古い記事じゃが、単純なワシはすぐさま席を蹴って菊川にある長福寺(ちょうふくじ:静岡県菊川市中内田3344:0537-36-1826:駐車場なし)に飛んだわけじゃ。
お寺じゃから参拝者用若しくは檀家さん用の駐車スペースはあるじゃろうと呑気に考えとったが意に反し、ワシの見る限りそのようなスペースは見当たらんかった。
仕方無しにお寺の前の道でご近所さんの通行に支障がないスペースをなんとか見つけ出してそこに違法駐車した(スマンことじゃ謝るワイ)。
門は開け放たれておって、早速境内に入るも人の雰囲気は余り感じない。
小道を暫く進むと目の前に広場が現れて、そこにやぎさんがおった。
いやあ、イキナリで実に嬉しい。
やぎさんは地面に生えた短い草をしきりに食べておる。
真っ白で中型のやぎさんじゃ。
やぎさんの近くには人がしゃがんでおって、広場の草取りをなさっとるようじゃ。
炎天下の草取り故、可成りカジュアルな格好をしておられたが、流れ出る雰囲気はまさしく住職さんのもので間違いあるまい。
ワシは住職さんに近づいて「スミマセン。ここ長福寺にやぎさんがいると聞いてやってきました」とご挨拶すると軽く頷き「どうぞ」とワシに見学の許可を与えてくれた。
改めてやぎさんを見やれば、体の大きさに比してやや頭が大きい感じじゃ。
立派なひげと角 やや無愛想な感じのやぎさん via Instagram © ill-health(ruephas) 2020 |
厚めのコートを纏ったひつじさん 早く毛を刈ってもらいなされ via Instagram © ill-health(ruephas) 2020 |
もっとたくさんおるんじゃがワシが近づくと みんなそろりそろりと逃げ隠れてしまう 住職さんに「烏骨鶏の卵って美味しいんですよね」 と云うと、ワシをやや警戒したように見つめたのが 印象的じゃ via Instagram © ill-health(ruephas) 2020 |
ワシはなんだか嬉しくなって、やぎさんやひつじさんの頭をなでたり広場に積んであったまだとりたてのフレッシュな笹の葉をあげたりして喜んでおった。
そうすると矢庭に住職さんがワシに近づいてきて、
「いやあ、こいつなあ、なかなか人に懐かんでなあ。我が道を行くって感じなんだよ」確かに笹の葉をあげれば食べるが、ワシ自体のことは気にしていないと云うかニヒルと云うかそんな感じはする。
「このやぎさんの名前は何ていうんですか」ワシは寺の境内で、本当に久しぶりに大笑いした。
「うん。洒落で『皐月』って名前にした」
「いい名前ですね、皐月。でも洒落?洒落って?」
「『皐月』って何月のことか知ってるでしょ」
「はい。5月ですね」
「うんそう、5月。で、それを英語で云うとどうなる?」
「えーっと、May(メイ)ですね……。あ!わかった」
「わかったか」
「わかりました。わははははは」
この住職、隅には置けん人じゃ。
「ここでは前に犬を飼っとってね」そりゃそうだよな。
「はい」
「その犬は『ワン』と名付けた」
「へ?なんですって?わん?」
「うん、ワン。でね、ここには小学生がよく来てそのワンと遊んどったんだけど」
「はい」
「ある日近所の婆さんたちがその子供らに『この犬の名前は何ていうの』と訊いたんだよ。それで『ワン』だよって答えたら婆さんが『ワンは犬の鳴き声でしょ。名前を聞いてるのよ』って怒っちゃってね。あはははは」
なかなかおもしろい住職さんじゃなあ。
ワシは胸熱になりながら更に訊ねた。
「あのひつじさんの名前は何ていうんですか」やはりか。
「ああ、べーと啼くから『べー』」
半ば予想通りじゃったが、本当に付けたんだ全くもう。
やぎさんを飼い始めたきっかけは何でも、いたちや鳥が烏骨鶏を狙ってくるので、それを防御するためだそうで、粗奴らはこれら大きいやつがいるとビビって近づかんらしい。
あと、アオダイショウよけでもあるとおっしゃられとった。
ひつじさんのべーちゃんは最近飼い始めたそうで、一般にひつじさんはやぎさんより大人しいため最初のうちは皐月ちゃんに攻め込まれることが多かったそうじゃが、最近は反撃の姿勢を見せるようになり、たまさかにはお互い頭突きをカマしあう程度にまで成長してきたとのこと。
ならば良しじゃ。
この大きな広場で仲良く暮らしていってほしいものじゃ。
いつでも無愛想なわけではないよ たまさかにはこのようにニヤリとなさる © ill-health(ruephas) 2020 |
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コメントどうもありがとうございます。
貴方のコメントは世界とワシとあなたを救う。
たぶん。