2012年8月26日日曜日

温泉に行かない日(103) 蛇蝎の如くシツコク復活した八扇乃湯

浜松に遠州浜天然温泉 八扇乃湯(浜松市南区松島町1690:053-426-8000)ってとこがあります。
一度行った事があり、その時の感想は簡潔に言って「二度と行くか」で、私の周辺や各種ウェブサイトでも結構多くの割合で「酷い施設」という評価を受けていたようです。
私も例に漏れず、正直な一文を@nifty温泉に寄せています。
投稿したテキストの著作権はいうまでもなく投稿先の@niftyが所有していますが、もともと私が書いたテキストだし、このブログは営利目的ではないので、一寸失礼して全文引用します。
投稿日:2010年9月11日
題 名:今更ながら行ってきました、が…
浜松近郊の温泉施設で唯一行っていなかったここに、今日思い切って行ってきました。
が、…

ストレートに書きます。

もう行かない。
うん、露天風呂は良かったですね。

でかくて、いい感じでした。
寛げる形の「端っこ」が沢山あり、ゆったり出来ました。
多分、20人くらい同時に入っても、ストレスなくゆっくり出来ます。

でも、ここで良かったのはそれだけ。
総体的にお湯に特徴はなく(天然温泉で美人の湯だそうですが)、内湯と超音波風呂は、入ったとたん忽ち鼻につく塩素臭に辟易しました。
長時間は、ちょっと無理です。露天風呂はほんの微かしか塩素臭がなかったのですが、内湯はバイブラなので、塩素が立ってしまっているのかもしれません。
浴場入ってすぐにある掛け湯ですが、故障していてお湯は底の方にほんの僅かしか残っておらず、マトモに使う事は出来ません。

小さなお子さんが無理に汲もうとして落っこちかけてましたが、大丈夫なのでしょうか。

で、掛け湯の代わりにシャワーを使ったのですが、シャワーヘッドの調整或いは清掃が行き届いていないせいか、ヘッドから出るお湯が拡散します。

安ビジネスホテルに泊まって使ったユニットバスについてる年期の入った古いシャワー、あの感じ。

カランは良くあるプッシュ式なんですが、1プッシュあたりの吐湯時間がだいたい4〜5秒くらいで、湯を浴び続けるには、あたかも瘧にかかったかの如く、ひっきりなしにプッシュしないといけません。

ミストサウナがありましたが、入口は「使用禁止」とマジックで殴り書きされたガムテープで×型に封印されており、使う事は出来ませんでした。

なんて言うんだろうか、要するに「おもてなし」の雰囲気・気持ちが全く感じられず、うらびれ感が色濃く漂う場所でした。
これで900円。
至近距離にある「しおさい竜洋」は人工温泉で料金はここよりとても安いですが、はっきり言ってここより遥かに良いです。
以上。
という訳で二度と行く事はなく時は過ぎ、そうこうするうちに2011年10月、この温泉は潰れてしまいました。
その時の公式サイトによれば、
「(2011年)9月21日の台風15号により、施設の損傷が甚大で復旧困難となり、閉湯する運びとなりました。長年のご愛顧に深く感謝申し上げます」
とのことでしたが私は、
「『顧客からのブーイングが甚大で』の間違いではないのか?」
等と勘ぐっておりました。
おまけにここは、コンプライアンス意識がない入浴施設にありがちな「水道料金のちょろまかし」もきちんとやっているんですね。
『浜松市上下水道部は1日、使用後の井戸水(温泉水)を不正に下水道に流して使用料を免れたとして同市南区松島町の「遠州浜天然温泉 八扇乃湯」に約1000万円の過料を科すなどの処分をしたと発表した』(2010年12月1日毎日新聞)[1]
まあ要するにこういう事です。
使用後の温泉とか雑排水は通常市の下水道管に流します。
当然、流す手前の所には排水メータが付けてあって、排水の量に応じて水道料を払う訳ですが、この温泉はメータをバイパスするような配管をして、水道料をちょろまかしてた訳です。
浜松市中区幸にかつてあった「極楽湯」(直営ではなく長野興産のフランチャイジー)も同じ事でアゲられて、その後廃業し、跡地にはいまじゃ頑固親父の手によりマンションが建ってしまってますがね。

八扇乃湯の場合、未払使用料500万円と1015万円の過料を科せられたそうで、だから素直に、
「罰金払うくらいだったら潰して逃げ切るか、という判断をしたんだろうなあ、セコい奴らだなあこいつら」
思って納得してました。

ところが驚いた事にこの温泉(本当は「この似非温泉」と書きたいのですが)今年2012年4月26日、なんだか知らんうちに再開していました。
同施設サイトのトップページには誇らしげに、
「なお、今後もより多くのお客様にお気軽に親しんでいただくため、入館料と休館日を次ぎ(「ぎ」はママ)のように変更いたしました」
とあったので、
「お。これは大東温泉並みの大幅値下げに踏み切ったか?」
と少し期待して更に先を読むと、旧料金¥900に対し新料金は¥800と、僅か¥100の値下げのみ。
なんじゃこりゃ。
この程度では値下げしたとはいえないなあ。
この程度では「お気楽に親し」む事は出来ないなあ。
その他、浴室・浴槽・泉質などは旧サイトの情報から一切変わっていないため、実情は何の変化もないものと思われます。

ま、地元民でもあるし、怖いもの見たさで今度再訪してみようとは思います。
良い方に変化して、オレを吃驚させてほしいものですが、期待薄ですな。
ところでここの経営者、水道の過料1015万円、ちゃんと払ったのかねえ?
再訪した時に訊いてみるかな。

[1]
この毎日新聞の報道で真に注目すべきは水道料金のちょろまかしなんかではなく、
「使用後の井戸水(温泉水)」
と書かれた部分でしょう。

井戸水。
わはははははははのは。
「温泉水及び加水用の井戸水」とかじゃなくて、主は「井戸水」で、「(温泉水)」はあくまでなんですなあ。

「使用後の井戸水(温泉水)」って表現は読み方によっちゃあ、
「わしら水道局は、あくまでこの施設の奴らが井戸水をじゃんじゃん流した事について過料を払わせたいだけだよ。え?温泉?なにいっとるの。彼らは温泉なんて少しも流してないよ。だってわしらプロで、施設の配管とかぜ〜んぶ確認したけど、あの構造じゃ排水の中に温泉なんて含まれてる訳ないよ。だって浴槽に泉源からの配管が来てねえんだもん、わはは」
というふうにも読めて実に楽しいね。

ちなみに公式ウェブサイトにある温泉の泉質効能ページの中には、
「加温、放流、巡回(ママ。お湯が「巡回」かよ。お巡りさんじゃあるまいし全く。循環の間違い)濾過あり」とは書いているけど、「加水」とは一切書いてないね。
嘘ついてる訳。
泉質に影響している様な事してる場合、例えば加温・加水・循環濾過・塩素殺菌・入浴剤の添加なんか事だと思うんだけど、そう言う事をやってる場合はきちんと表示すべきだったと思うんだけどなあ。
「マグネシウムの含有量が日本トップクラスを誇る名湯」
なんて書いてるけど、まあ確かに泉源での源泉はそうかもしれないね。
だけど「井戸水」で大量に希釈された状態ではどうなのかな。
わたしゃあ、もう猛烈な割合で井戸水使ってると思うよ。
でもどこにも書いてない。
こういう部分が見え隠れするから、俺ここが嫌いなんだよな。

2 件のコメント:

  1. 温泉の設備をしているものですが、
    この文章の記述を補足させていただきます。
    加水に関係なく、循環させている温泉はすべて残留塩素量が
    保健所の条例でさだめられています。よって濾過装置の出口で塩素を添加されています、
    このあたりをギリギリまで塩素添加をすくなくすることはできますが、あまり少なくすると今度はレジオネラ菌の問題もあり、さらに入浴者の数で塩素が消費されますので、多くの入浴者がいれば添加が多くても
    塩素の臭いはすくなくなります。とくに静岡はレジオネラの事故もあり厳しく、抜き打ち検査があり、
    その場合は塩素を多くしてしまうものとおもわれます。このあたりのオペレーションは熟練を要します。
    におわない程度にコントロールする技術は微妙な
    さじ加減できまります。
    排水料金のコトは 下水局に聞けば詳しくおしえてくれますが。排水量を測定しているわけではありません。
    あくまで くみ上げた井戸水、あるいは温泉水をメータで測定しています。ですので この温泉(八扇の湯)が加水をしていなくて、すべて温泉汲み揚げで加熱、循環濾過をしているとも読めます、
    スパー銭湯、温浴施設などは 温泉と同時に 井戸水をくみあげているケースがほとんどです。水道ではコストがひきあわないので、 井戸水は 洗い場、便所、洗濯などの雑用水に使用されます。ですので新聞の記事では、温泉、井戸水という記述になっているのではないかとおもわれます。
    ほとんどの温泉で 加温している場合は循環濾過しています。(加温して掛け流しではボイラの燃料が膨大になるためしない、)
    だからといって 加温、加水していますとは いわないでしょう。不利になりますしね。
    ただ加温せずに 掛け流しの場合は 胸をはって
    掛け流しですといいますが、その場合でも加水はいわなくてもいいです。なぜなら源泉の温度が高い場合は加水しています。奥飛騨温泉がそうです。
    かなり水を加えないとはいれる温度になりません。
    逆の場合は 大きな声で
    言う規則はありませんので、いわないだけです。
    ところがマスコミあたりが 鬼の首を取ったように
    すこしでも加水、加温をしていると 温泉にあらずなどという論調であおり、一般人もその尻馬にのってしまうということは きちんと温泉を維持管理している
    人にとっては 大変お気の毒な状況とおもいます。
    そのあたりを きちんといわないで一方的に加水しているから駄目というと日本の温泉はほとんど温泉でなくなります。

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  2. ふうん、なるほど。
    現場をよく知る技師ならではの大変参考になるコメントです。
    私の知識不足も補っていただいてありがとうございます。
    素直に感謝いたします。
    ポストした文章の中に一部思い込みで間違ったものがあるかも知れないということですね(要するに加水の部分)。
    今後は感情に任せたテキストはなるべく控え、少し裏を取ってから書くように努めます(が、感情に任せた書き方をするのが私の持ち分だと思ってるのですぐには直らないかもしれませんが)。

    ところで私は個人的に「すこしでも加水、加温をしていると 温泉にあらず」というようなことは全く思っていません。
    コメント氏の記載と同様、そんなこと云ってたら山奥にいって自ら掘り当てた温泉しか「温泉:と呼べなくなってしまいます。
    そんなバカなことは思ってません。
    源泉の維持や衛生、或いは入浴に適した温度ということを考えればそういうことをやるのは当たり前ですし、このブログの他のポストを読んでいただければ分かる通り、加水・加熱・循環濾過してても、そのことをはっきり書いていて、かつ風情がたっぷり(つまり、おもてなしの雰囲気が充分に感じられる)なら全然OKだと思ってます。
    一方で源泉掛け流しを標榜していて、でもおもてなし感が全く無い温泉はいくつかありますけど(店主が威張ってる蕎麦屋みたいな感じ、或いは清掃も何もなく、ただ汚いだけみたいな)、そういうところには「二度と行くかボケ」と思ってしまいます。
    図らずも、ポスト本文中に、
    「至近距離にある『しおさい竜洋』は人工温泉で料金はここよりとても安いですが、はっきり言ってここより遥かに良いです。以上。」
    と書いたとおりです。

    このポストで私が言いたかったのは要するに、公課をちょろまかすような企業はダメダメでしょうということと、入浴客が直接使用する設備が全くメンテナンスされず放置されたままで、客を迎え入れる感情が全く感じられなかったのが嫌でした、ということです。

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コメントどうもありがとうございます。
貴方のコメントは世界とワシとあなたを救う。
たぶん。