2012年8月23日木曜日

温泉に行かない日(101) きゅ~ちゃんが壊れた

10年前、宝塚で単身赴任していました。
車も一緒に持って行ったのですが、流石に関西の土地勘は薄いため、思い切ってカーナビを購入しました。
ALPINEという会社のDVDナビで、型番に「099」という数字がついていたんで、そのナビのことを私は個人的に、
「きゅ~ちゃん」
と呼んでました。
価格は20万円ちょっとでしたので、決して安い買い物ということではなかったけど、実装しているCPUのスペックが他のものよりずいぶん良くて、非常に素早くリルート計算をしてくれたり、標準で光ビーコンの受信機(オプションだと大抵2万円前後します)がついていたりで、個人的にはまあまあ満足な製品でした。
ただきゅ~ちゃんは、時々ちょっと理解に苦しむ道を案内してくれたり、ルート上にうどん屋などを見つけると、
「ルート上、およそ2㎞先に、うどん屋を発見しました!!」
と嬉しそうに叫んだりとかの妙な癖もありましたけど、まあ概ね「いい子」で人間的でもあり、機械なんだけどちょっとした愛着を感じてました。

きゅ~ちゃんのおかげで、関西方面のいろんな知らない温泉とか観光地なんかに安心して疲れることなく訪れることができました。
ちょっとばかり寄り道しても、きゅ~ちゃんが元の道へ誘導してくれるので行動の幅を広げられた感じですね。
大仰に言えば、きゅ~ちゃんは私にとって、関西に関する知見を広げたり深めたりするためにすごく役に立ったやつなんです。

数年前ですかね、やはりきゅ~ちゃんに道案内をしてもらってどこかに行ってた時、出し抜けにシステムが止まってしまいました。
関東方面のどこかを走っていた時で、私には東の土地勘は本当に全くないためナビなしでは走ることが出来ず、急遽最寄りのコンビニに車を停め、地図ディスクを何回も出し入れしたら何とか回復しました。
その後、同様のトラブルが何回か発生するようになった事と、購入時の地図ディスクが確か2003年度版と古く、道なき道を走る頻度がだいぶ増えてきたので、Yahooオークションで2005年度版地図ディスクを安価で購入し使うようになりました。
そうしたらトラブルの頻度はぐっと減り、快適に使える状態に復旧しました。
ということで、新しくなった地図(といっても2005年度版)でもって、わたしはきゅ~ちゃんに道を教えてもらいながら、星山温泉や倉見赤石温泉等、未知の温泉に行きました。

いつの間にか時は流れ、ALPINEの099シリーズは製造中止となり、きゅ~ちゃん専用の地図ディスクも2007年度版を最後に更新が停止されました。
しかし私のきゅ~ちゃんはまだまだ全然お達者なので、2005年度版の地図を2012年の今まで使って、新東名が走り出した今月まで快適に使い続けていました、が…

先々週のこと。
いきなり、何の前触れもなくきゅ~ちゃんが動かなくなってしまいました。
ちょっと機嫌を損ねて止まっちゃうことはあれから何回かあったのですが、兎に角DVDを何回か出し入れすれば機嫌は直っていたので、今回もいつもの如く地図ディスクを出し入れしてみたんですが、全然動きません。
DVDを古いのに変えてみてもやっぱりダメ。
出し入れしている最中も、しばらくは「地図ディスクが不正です」だったっけな、そんなエラーメッセージが返ってきてたんだけど、そのうちそれさえも出なくなってうんともすんとも言わなくなってしまいました。
慌てて、メーカ純正のDVDドライブクリーナを買って、ピックアップレンズの掃除をしてみましたが状況は変わらず、本格的に壊れてしまったようです。

……

ううう。
いきなりすぎるなあ、これ。
でも、カーナビなしの生活にはもう戻れない体質になってしまった、つまり私の「読図能力」や「知識とカンで進むべき道を判断する能力」が低下してしまったため、やむなく買い換えることにしました。

一昨日の夜、近隣のオートバックスに行き、乏しい予算内で購入できる製品を品定めし、付け替えてもらいました。
1時間ほどたって完成の連絡が入り、ピット内に停めてある車に行くと、車から取り外されたきゅ~ちゃんが、コンクリートの床に無造作におかれていました。
普段はダッシュボードの上に設置した小さなモニタしか目に入らなかったんだけど、実際のきゅ~ちゃんはこんなにも多くの部品で構成されていたのに驚きました。
こいつらが一生懸命協力して、俺をいろんなところに連れて行ってくれた訳か…

つい先週まで元気に道を教えてくれたり、うどん屋やそば屋が2㎞先にあるという無駄な情報をを大きな声で教えてくれてたのに、いまはもうなんか、ゴミみたいになって地べたにおかれてます。
オートバックスの店員さんに新しいナビの基本的説明を受けている間も、放り出されたきゅ~ちゃんが気になって、新しいナビをかったとい嬉しさをあまり感じないほどでした。

ひとしきり続いた店員さんの説明も終わりました。
あとはもう帰るだけです。
でも、一旦車から降りて、地べたにおかれているきゅ~ちゃんの所まで行ってモニタをぽんぽんと叩き、
「わるいなあ、ながいあいだありがとうなあ、それじゃあなあ」
と心のなかで声をかけてからお店を後にしました。

きゅ~ちゃん、ごめんね。



きゅ~ちゃん
きゅ~ちゃんのモニタ
もう10年以上も経つ製品なのに
今の基準でも問題なく通用するデザインだと思う

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