クルマの車外温度計は37℃を中心に概ね36℃と38℃の間を行き来しておって、なんじゃい全く、9月の中旬というのにこの殺人的な気温は。
天竜市街地では常に38℃と云う体温より高い外気温であり、敬老の日なのにジジババたちは大丈夫じゃろうかと気になる。
国道きわにある駐車場には2台のクルマが停まっており、国道から山道に切れ込み上がった所にあるお店の前の駐車場にも既に3台クルマが停まっとる。
ところで目的のマサオくんと諭吉くんじゃけど姿が見えん。
最近はお店のすぐ脇に繋がれとることが多いんじゃけども、姿が見当たらん。
おかしいなあと思って店の下にあるマサオと諭吉のお家の中を見てみたら、2人揃ってへたり込んどった。
まあこれは仕方あるまい。
何せこの気温じゃもの。
そもそもやぎさんはどちらかと云うと涼しい場所を好むと聞いたこともあるし。
店内に入るとその台数通りのお客がカレーを食べたりコーヒーを飲んだりしとる。
ワシが行き出した時よりもどうやら口コミがだいぶんに広がっとるようで、今日も満席に近い状況じゃったけど、店主のお姉さんは混んでいても空いていてもその動きにいい意味で変化はなく、落ち着いて客を捌いとる様子に好感が持てる。
店主のお姉さんがワシに向かって、
「マサオくんなんですけどね、今朝なんか変な咳をしていて元気がなくて、自分から小屋の中に入って出てこないんですよねえ」
とちょっと心配そうに話しかけてきた。
「やぎが夏風邪引くとは聞いたことないし、まあこの暑さだからバテてるんじゃないですかね」
余りに暑いためアイスコーヒーを注文し、直ぐにまたマサオくんと諭吉くんの小屋に舞い戻った。
「へいマサオ。元気がないようじゃなあ。大丈夫かい?」
と声を掛けてみたが、マサオくんはただ力なく微かに首を振るばかりで本当に元気がない。
いつもであらばワシを見かけるや直ぐ様数歩後ろに下がり、その数秒後には頭突きをカマしてくるんじゃが…。
諭吉くんの方はマサオよりだいぶんに若いからか比較的元気で、外に生えとった草を一枚ちぎって差し出すと口を近づけてもぐもぐはしてくれる。
しかしやはりいつもの威勢の良さは見られん。
ワシは心配になった。
一旦お店に戻り、テーブルに用意された美味しいアイスコーヒーを半分くらい頂いて再びやぎさんたちの小屋に行ってみた。
「へい諭吉。マサオくん。小屋の中は日陰じゃけども風が通らんから寧ろ暑い。ここは一番表に出て草でも食べるが宜しかろう」
と声を掛けて表に出るように仕向けてみると、まず諭吉くんが表に出てきて、マサオもその後に続いた。
表に出て草をもぐもぐやり始めたのを見てワシは少し安心した。
いつもより元気はないが何とか草を食べるマサオ 目に力がない… 暑さに負けるなマサオくん © ill-health(ruephas) 2019 |
まあこれならば大丈夫であろう。
諭吉くんもマサオくんと同じく草をもぐもぐしとったが、暫く見とったらマサオくんがいきなり諭吉くんに頭突きをカマした。
もしかしてマサオくんが好物で後で食べようと取ってあった草を諭吉くんが食べてしまったからかも知れん。
「おいマサオくん、諭吉くん。数少ない仲間同士じゃから仲良くせにゃあいかん。マサオくん。もし頭突きがしたいのであらば、ほれ、このワシにぶちかましなされ。ほれやりなされ」
とたしなめた結果、以後は仲良く草をもぐもぐしとった。
しかしワシに頭突きをカマすことはなかった。
暑いからじゃろうな。
仲直りの結果、お互い干渉することなく 草をもぐもぐする中のいい2人 仲良き事は美しき哉、じゃよ 後ろに見える赤い屋根がCafe de Clarkじゃよ © ill-health(ruephas) 2019 |
人様にとってもやぎさんにとっても、この暑さは全く体に毒じゃなあ。
早く涼しくなって、マサオくんや諭吉くんが元気に飛び跳ねることを見たいもんじゃ。
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コメントどうもありがとうございます。
貴方のコメントは世界とワシとあなたを救う。
たぶん。