2021年8月1日日曜日

やぎさんが好き!(57) やぎさんの削蹄と全国山羊ネットワークと「会報 ヤギの友」

いつ頃からか然(しか)とは覚えておらんが、なぜかやぎさんがが好きになってもう何年も経つ。
富士市に単身赴任しとった頃、富士ミルクランド(静岡県富士宮市上井出3690:地番は偶然なのか?:0544-54-3690)に行って、屋根に登っとるやぎさんや、水色の籠の中にぎっしり詰まっておる産まれたてのこやぎさんを見て「うひひひひ、こりゃいいなあ」と思ったのが2017年4月じゃから少なくとも5年以上経つが、もっと前からやぎさんが好きじゃった気もする。

屋根の上から下界の様子を莞爾として眺める
つくしさん
© ill-health(ruephas) 2021 / 2017

どんだけ詰め込まれても眠いものは眠い
© ill-health(ruephas) 2021 / 2017

爾来ワシは暇がある時には、いやむしろ暇を作ってはほぼ毎週の如く近隣のやぎさんのところに行っては遊んだり、草をあげたり、頭押ししたり、頭突されたり、汗かいた腕をペロペロされたり、手をはむはむされたり、指をがぶりとされたりしては嬉しがっとる。
ただワシはあくまで「愛好家」の域を出ることはない。
実はやぎさんを飼いたいなあとは思っとることは思っとる。
いつかはやぎさんをぜひ飼いたい。
ただ、サラリーマンという身分に縛られとる限り毎日やぎさんのお世話は出来んし、やぎさんが病気になったときに対応出来んし、そもそもやぎさんを飼う土地が無い。
じゃから「愛好家」としての視線でしかやぎさんを見たことはなく、「やぎさんを飼う人」という視線はワシにはなかった。

以下、個人情報やそれに類似する事柄を書くんで、読んどる方にしたら隔靴掻痒な文章になっとることを事前にお詫びしとく次第じゃ。

先日ある伝手で、ある方とちょっとしたお知り合いになった。
その方は実際にやぎさんを飼っており、全国山羊ネットワークの会員でもあられるというワシのような遊び専門のド素人とは可成り格が異なる人じゃ。
全国山羊ネットワークの会員ということは、ワシとしては一度は是非読んでみたいと熱望しておる「会報 ヤギの友」をお持ちであると云うことじゃ。
更にその方の文章が今般掲載されたとの事。
僭越ながら「ぜひ拝読したいのですが」とお願いしてみたら、 
「今度知り合いのやぎの削蹄しに行くんですけど、そこまで来て頂ければお貸ししますよ」
と快諾してくれた。
ちなみに削蹄とは、文字通りやぎさんの伸びた蹄(ひずめ)をハサミを使って削る事じゃ。
そんな様子は見たこと無いので是非それも見たい。
ワシは「うひひひ」となり、お礼を述べて約束した時刻と場所に行ったわけじゃ。

現地に着いたが約束より少し早い時刻じゃったので、まだ誰も来とらん。
近くにあった自販機でお茶を購入しごくごく飲んでおると、1台のクルマが入ってきてそれっぽい人が降りてきた。
ワシは歩み寄って「はじめましてどうも。◯◯(ワシの名字)です。今日はどうもすみません。よろしくお願いします」とご挨拶した。
その方は物静かで、想像していたよりは大分にお若いように見受けられた。
以後、Aさんと表記しよう。
Aさんはワシに「会報 ヤギの友」が入った袋を「これです」と預けてくれた。
「ああすみません。ありがとうございます拝借いたします」とワシは受け取った。
すぐにでも読みたかったんじゃが本日も大変に暑く、ワシは既にもう汗みどろになっとる。
顎先からは大量の汗がぼたぼた滴っとるし、腕も手のひらも同様じゃ。
そのような状況で冊子を広げるならば、ワシの汗で湿って貴重な会報がぶわんぶわんになってしまうかも知れん。
じゃから帰宅まで我慢することにした。
やがて削蹄をやりますよ、ということになったためワシはAさんとやぎさんの飼い主さんに特別に了承を得て、やぎさん広場の中にある小屋の中に共に入っていった。
Aさんは流石に手慣れたもので、こやぎさんを横にして抱きかかえそのままの格好で台に寝かせて、肩甲骨のあたりを巧みに押さえつける。
少し違うがなんだかプロレス技のキャメルクラッチを思い出した。
勿論この場合は「ゴートクラッチ」じゃろう。

やぎさんに跨って巧みに抑え込むAさん
© ill-health(ruephas) 2021

そうするとやぎさんは案外大人しくそのままにしておる。
もっと激しく「べへへいべへへいべへへへへ〜〜〜〜い」と抵抗するかと思ったんじゃがそういう事は意外にもなかった。

このようにおとなしくしておる
こうなる前はちょっとした騒ぎにはなっとったけど
© ill-health(ruephas) 2021

その後(多分専用の)ハサミのようなものを使って前足から蹄を削っていった。
削ると云うよりか「切る」という感じに見えた。
Aさんは作業しつつ飼い主さんに、
「お1人ではなかなかこうは行かないでしょうから、1人が押さえ込んで1人が切るという感じのほうがいいかもしれません」
などと伝えておる。
Aさんは蹄を切りながら作業のポイントというかコツというか必要性を飼い主さんに教えてくれとる。
例えばこの写真でいうと、

© ill-health(ruephas) 2021

上の部分はほぼ切り終えた蹄で、下の方はこれから手入れするわけじゃ。
で、下の部分をよおく見ると、先っぽの方に小石が挟まっとるのがわかるじゃろう。
「これ、結構痛かったりするんですよ。こういうのは取ってあげないとダメなんですよ」
また、やぎさんの場合足の裏全体が全部硬いわけれはなくて、真ん中辺りは柔らかくなっとるのもわかった。
切るのは周囲の硬い爪のような部分と後ろの踵に当たる部分が中心で、真ん中の部分は削らん。
柔らかいところには血管や神経が通っとるのでということじゃった
飼い主さんが「痛くないんですか」と聞くと「大丈夫です」。
「深爪とかあるんですか」「ありますね。気をつけてください」
といった具合の問答じゃ。
「野生のやぎはどうしてるんですかね」
ワシは「仲間同士で削り合ってるんです」とか云うギャグっぽい答えを期待しとったんじゃがそんなことは当然なく、
「野生のヤギは岩場とか走り回りますんで、自然に削れるんですよね」
作業の様子を見ておった飼い主さんが「いやあ。こりゃあオレ怖くて出来んわ」と云っとったが、ワシも全く同感。
やぎさんの脚がビクッと動いて間違って真ん中のところを切ってしまったらやぎさんに悪いなあと思うし、「深爪」というのはどの部分をどこまで攻め込んだ状態かよくわからんしなあ。
「概ね1ヶ月ごとに削蹄しますので、数をこなすしか無いですね」
まあそりゃそうじゃろう。
この飼い主さんとてひと月ごとにAさんに来てもらうわけにもいかんじゃろうし、蹄を削るためにやぎさんを押さえ込むことで体調の変化に気づけるかもしれんしねえ。
Aさんはこのような感じで1時間ほどかけて何匹かのやぎさんを削蹄していったわけじゃけども、他のやぎさんたちが心配げに削蹄されとるやぎさんをじっと見つめておったのがなかなかおもしろかった。

さて後は、やはり「会報 ヤギの友」の件じゃろう。
こういった感じのA4サイズの冊子で、例えば最新号である第44号は全133ページで厚さも1cm弱位ある大変立派なものじゃった。

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内容も盛りだくさんで、研究者や獣医師等による専門的な論文や一問一答といったものから、教員による学校におけるやぎさん飼育の報告、やぎさんミルクの栄養についての報告等が書かれとる。
メンバーにやぎさんがおるロックバンドの記事もある。
研究誌と同好会誌をミックスしたような中々愉しい構成になっておる。

ワシはその中からAさんの記事を見つけ、ゆっくり拝読させていただいた次第じゃ。
ちなみに全国山羊ネットワークの個人会員の年会費は3000円。
しかもこの会費について、全国山羊ネットワーク規約の4項では、
「ただし、会費滞納が3年経過した時点で自然退会とする。」
などと書かれておる。
おいおいこれじゃあ実質年会費1000円じゃよ、大丈夫ですかと誰もが思うような規定になっておる。
太っ腹と云うかなんというか…

まあ兎に角この年会費じゃったら財布も大して傷まんし、ヤギの友も送ってくれるし、今は武漢ウイルスにより中々開けんようじゃが基本は年1回「全国山羊サミット」なる大規模なイベントをやっておって、そこにも参加できるしといい事ずくめのように思える。
今週にでも入会しようかと思っとる。

あ、そうじゃ。
第44号の裏表紙にはこんな可愛いやぎさんイラストが描かれておったよ。

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コメントどうもありがとうございます。
貴方のコメントは世界とワシとあなたを救う。
たぶん。