Instagramの情報と噂により、浜北にある醤油屋さんにどうやらやぎさんがおるとのことじゃった。
それは明治屋醤油㈱(めいじやしょうゆ:静岡県浜松市浜北区小松2276:053-586-2053:平日8:00〜18:00・土9:30〜16:30:日曜定休:数台なら駐車OK)というところで、この辺の道は山神社やそれこそやぎさん関係でちょこちょこ通るんじゃが、浜北に醤油を醸造しとる蔵があるなんて初めて知った。
場所は小松というところで、田舎ではなく郊外と形容したほうが相応しく、住宅や店舗がそこそこあるような感じの街並みじゃ。
勿論やぎさんがおるから行くんじゃが、そんなところにある醤油屋さんという事自体にも興味が湧いたので、やぎさんがおらんでも多分行ったと思う。
現地に近づくと、やぎさん広場によくある金網の柵で囲われた広場があり、その中にしろやぎさんの姿も見えた。
ワシは嬉しくなって「やあ、おるなあ」と思わず声が出た。
大きな蔵の横にある駐車スペースに真っ黃っ黄のスイスポを停めてやぎさんの方に歩み寄った。
© ill-health(ruephas) 2021 |
やあ、しろやぎさんが3匹じゃ。
皆、思い思いに寛いだり草を食んだり周りを眺めたりしとる。
そして皆おとなしそうな感じじゃ。
ワシは当然の如く先ずは金網の間から手を差し出して「べへへい」と呼ばわってみた。
すると、一番大きくてピンクの首輪をしたやぎさんがワシの方に静かに寄ってきて、差し出した掌をぺろぺろし始め、最後に軽くカプリと噛んだ。
うひひひひ、かわいいのう。
ややニヤリ気味になりながら寄ってきたしろやぎさん 手前にあるのはかつて醤油醸造に使っとった 貯蔵瓶じゃろうと思われる © ill-health(ruephas) 2021 |
ここのやぎさんに限らず一般的にやぎさんの皆さんは、何故か人の掌とか腕をぺろぺろする時には決して強く噛むことはない。
たま〜に噛む事はあるが、大抵は今回の如く軽く噛む。
ワシは改めてそこらの草を引きちぎってあげてみた。
蔓性の長〜い草じゃったので、食べきるのに少し時間がかかる。
しゃくしゃくむしゃむしゃばりばり食べて、ついでにワシの手をぺろっとして、最後に軽くカプリとする。
大変に可愛い。
そうこうしとると、他の2匹もこっちに寄って来てくれた。
滑りやすい瓶の上を小器用に歩いてくる 少し小さいしろやぎさん ちょっと滑りかけとった © ill-health(ruephas) 2021 |
草を差し出すと、皆嬉しそうにして食べてくれる。
青い葉っぱだけではなく、枯れた落ち葉もまるでポテトチップスのような音を立てて美味そうに食べる。
草や落ち葉を食べるついでにワシの腕をぺろぺろするのは、ピンク首輪のやぎさんだけのようじゃ。
ワシは心で「うひひひ」となりながら、3匹に順繰りに手当り次第草をあげて喜んでおった。
首を伸ばして木の葉を食べようとしとるのもおる。
必死にぐ〜っと首を伸ばして 木の葉を食べようと試みるしろやぎさん 風があったのでお髭が棚引いておるな © ill-health(ruephas) 2021 |
しかしその試みは失敗に終わり、その結果このような澄ました格好して誤魔化そうとしておる。
© ill-health(ruephas) 2021 |
片脚を折り曲げて茶色の瓶へ粋な格好で乗せ、寛いだ雰囲気を醸し出しておるようじゃ。
人で例えるならば差し詰め、オープンカーに乗ったおっさんが窓枠に腕を掛けておるような感じと云えばよいじゃろう。
長い時間遊んだワシはやぎさん広場を後にして、敷地内の店舗に行ってみた。
歴史のある建物のデザインをうまく利用した店舗 © ill-health(ruephas) 2021 |
時間の経過を感じさせる風格・風情のある建物の一角に店舗がある。
奥の方に若くて短髪の(多分)ご主人がいらっしゃって忙しそうに立ち働いておられる。
ご主人に一言ご挨拶をした後品定め。
社名の通り元々はお醤油の蔵元として明治時代に始まったんじゃが、少し経ってから「高嶺ソース」というのも製造販売始めたそうじゃ。
まずはお醤油じゃが、有名な蔵なんかに行くと四合瓶でしか売ってなかったり、しかも結構高かったりするんじゃがここはそんな感じではなくて、いろんな種類のお醤油を0.15L程度の小さな瓶で売っとる。
じゃから好みに合わせて異なる種類のお醤油を買うことが出来る。
しかも小瓶なので、使い切る前に消費期限になることもない。
価格も妥当というか、安い。
無論、四合瓶でも売っとるよ。
ワシは「ひとてま醤油 再仕込み 150ml」「さしみしょうゆ 200ml」「高嶺ソース ウスター 300ml」を買ったんじゃが、1000円でお釣りが来たくらいの値段じゃった。
あと欲しいと思ったのがうちのおしょうゆキットというやつ。
これを買えば何と自宅で自分自身がお醤油を作れるという 。
今日は買わなんだが、近々買ってやってみようと思う。
店を出る前にふと天井を見上げると、レトロなデザインのぶら下げ照明が4つかかっておる。
4つの照明器具の真ん中に「やままん」という屋号をデザイン化したマークが取り付けてある。
公式サイトよりキャプチャ © Meijiyashouyu.,Ltd All rights reserved. |
見えないところでのさりげないお洒落は大人っぽいと日頃思っておるので、こういうのを見つけると「やあいいなあ」と感じてしまう。
その点ワシ自身はガキな初老じゃとつくづく思うわけじゃ。
帰りしな、会計をしてくれた店の方に、
「ところであのやぎさんたちの名前なんですか」
と訊ねると、
「…、えっとですね、実は名前ないんです。つけてないんですよ」
とどこか恥ずかしそうに小さな声になって教えてくれた。
「3匹とも大人しくていいやぎさんですよねえ」
「ええ、そんなんですよ。ピンク色の首輪をしたやぎがおかあさんやぎで、あとの2匹はこどもなんです」
ああそうか。
顔つきや体つきが似とるのでそうではないかあとは思っておった。
名前がないやぎさん。
ま、これはこれでいいじゃろう。
なんせ日本の小説界で一番有名なねこさんには名前がないくらいじゃから別にかまわんよねえ。
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コメントどうもありがとうございます。
貴方のコメントは世界とワシとあなたを救う。
たぶん。