2019年7月30日火曜日

五十肩との戦い(3)

まあ最悪、この症状になれてしまえば多少不便でも日常生活は何とか過ごせるような気もする。
汗で濡れたTシャツを脱ぐ時とかスーツを着る時はやはり不便だし苦労もするけども、幸い右腕は健康じゃから着たり脱いだりすること自体は何とかなるし、はっきり言ってだいぶんに慣れてきた感もある。
自転車漕ぐのもクルマのマニュアルトランスミッションの操作も問題はないと思う。
症状的には、左腕を伸ばして前方に上げるというような動きは比較的問題ないんじゃけれども、横方向に上げるとか回すといった動きをするとかなりの痛みが発生してうまくできないというものじゃね。
助手席に置いた荷物を左手で取る事とかは難渋するが、まあまあ普段の日常生活の中では案外そのような動きが必要な事がなくて、PCのキーボードをパシパシ叩くにしろクルマのステアリングをグイと回すにしろ大抵腕は下の方に位置しとる。
じゃから、日常生活はなんとか行けそうと思う。

だけどもどうしてもこの五十肩を治癒させたいという理由があって、それはいつか再びドラムを叩きたいという欲望がそれじゃ。

TAMAのドラムセット(Starclassic Maple)
ザクっと計算してこのセットで70~80万くらい
シンバルをジルジャンにしたらもっと行くかな
買えね~!
Copyright © 2019 TAMA DRUMS All right reserved.
前にもチラリと書いたことがあると思うが、ワシは若いころバンドをやっておってドラムを担当しとった。
音符のヨミカキが出来ず、音階楽器も出来ないんだけれども音楽がやりたいとなると、手っ取り早い楽器は即ちドラム。
ドラムはむつかしいというイメージがあるかも知れんが、案外簡単なのである。
例えばエレクトーン(ヤマハの登録商標じゃよ)やエレキギターだと神経が12本必要じゃ。
つまり指10本分プラス両足2本分。
それに引き換えドラムの場合はその3分の1である4本あればなんとかなるのは自明の理じゃろう。
4本即ち両手両足分。
エレクトーンやエレキギターの3分の1の努力で何とかなるわけじゃ。
(冗談じゃよ。実は結構むつかしいです)。
そういうわけでドラムを数年やっておった。
上手くもないが下手でもなく、フュージョンの入門編くらいまでは何とかこなせとったように思う。
しかし最近ではあまりやっておらず、最近打楽器に触ったのは2年前に一宮でカホンを叩いた時くらい。
いつかまたフルバンドでドラムをやりたい。

右利きの人がドラム叩く場合、左腕は主にスネアを叩く役割をやっとる。
スネアとは小太鼓のことで、大抵は股の間の辺りにある。
普通の軽音楽を聞いとると3拍目にバンと鳴る打楽器が聞こえると思うがあれがスネアの音じゃ。
股で挟むような位置にあるスネアを叩くだけならば腕は降りとるわけじゃから多分何とかなるように思える。
しかし、時としてフィルイン(数小節だけやる即興的演奏。所謂「おかず」)のためにスネアより高い位置にあるタムタムを叩かねばならぬし、場合によっては左の上の方に位置するクラッシュシンバルを左腕でジャンと鳴らさねばならん時もある。
右手で鳴らしたシンバルをミュート(消音)させるのも多くは左腕の役目じゃ。
今の状態ならばそれらはとても無理じゃろう。
どうせやるならば、最初期のアナログリズムマシンのようにただただバスドラスネアハイハットだけを機械のように叩き続けるよりは、時としてきちんとフィルインを決め、左手でシンバルをジャンと鳴らすというような真っ当な叩き方をしたいものじゃ。
それに向かってきちんとリハビリをやっていきたいと思うとる。
頑張って治すので、Hくん、Nちゃん、Nちゃん、Fくん、いつかRuephas再結成しましょう。
お願いします。
特にHくん。
君はまともにギターを弾けるよう十分練習しておくように。

2019年7月29日月曜日

五十肩との戦い(2)

ちなみに先日リハビリを開始した際、リハビリテーション実施計画書なるものを作成してもらった。
これを見るならばワシの全体的な評価は、関節可動域が制限されており、かつ筋力低下も見られるということじゃろう。
日頃普通にしとる限りでは筋力低下なんてまるっきり感じることはないんじゃけれども、プロが見ればオミトオシという事なんじゃろう。
ADL(日常生活動作)は全く問題はない。
最も安堵したのはやはり「コミュニケーション」が「問題ない」と評価されとることじゃ。
仕事をしとると「お前とは話が通じん」「何が言いたいかわからん」「言いたいことだけでなく資料の内容も不可解だ」などの罵詈雑言を浴びせられるときも珍しくない。
しかし本日、医療のプロからは「問題ない」とのお墨付きを得られたわけじゃから、今後ワシに罵詈雑言を浴びせる輩が湧き出たならば、この計画書を指し示して「お前の言っていることこそがおかしい」と反論することにしよう。
よし、自信をもって老後を過ごそうと思う。

2019年7月27日土曜日

温泉に行かない日(389) 茗荷が好きだ好きだ大好きだ

茗荷はいい。
茗荷が好きだ。
何にでも合う。
素麺、冷奴は勿論、普通の漬物、酢漬けと何でもござれじゃ。
案外いいのは、茗荷を数本小口に刻んだのに紫蘇の微塵切りを振りかけ、更に竹塩を振りかけたシンプルな一品じゃ。
白飯に合う、日本酒に合う、ビールに合う、そして何とウヰスキーのロックにも合う。
醤油ではなく竹塩というのがワシなりのポイントじゃと思う。
あとアレじゃ。
関西風の出汁の効いたあったかい素うどんに大量の刻み茗荷をぶち込んで食べてみなされ。
煮麺でも宜しい。
瞠目するに間違いないじゃろう。
すげえうめえから一度やってみなされるが宜しかろう。

世間では「茗荷を食うと物忘れが酷くなる」と云われておる。
何のそれしき。
既に物忘れが激しいワシにとってはそれは何の事でもない。
現状継続するだけじゃから怖いもんなしじゃわはははははははははははははは。
ざまあみろ。
じゃんじゃん食ってやるぜ。

一方残念なのは、茗荷は夏しか味わえんことじゃ。
しかしてそれも日本の夏の風景。
夏しか味わえんものは夏に味わう。
それがいいんじゃよ。
今も賞味期限切れギリギリで半額引きになった豆腐に大量の茗荷をぶちまけて、やはり竹塩で食っとる。
うめえなあ。

やぎさんも好きじゃが、茗荷も好きじゃよ。
あなたも今すぐ席を蹴ってスーパーに行って、茗荷買ってきて食べなされ。
茗荷が好きだ好きだ大好きだ。

2019年7月24日水曜日

五十肩との戦い(1)

先般ポストした通り、ワシは五十肩になってしもうた。
症状は左肩のみに発現していて、左手を前方に上げる分には問題あるもののまあまあ大丈夫じゃけど横方向に上げたり回転させたりというやや複雑な動きの場合は問題だらけという状況。
発症して、というか正確に言うと発症していることに気づいて、このままでは近いうちに到来する老人時代を健やかに過ごすことに深い危惧と憂慮を感じたワシは直ぐに近くにあるリハビリ専門病院に赴き、お医者さんに診て貰って写真を撮られたりぐるぐる回されたり伸ばされたりぐいと曲げられたり撫でられたり角度を図られたり「ふうむ」と云われたりした。
太い針の注射をブスリというのも2回やられた。
こういった様々な事をされ、ロキソニンテープのパチもんを患部に貼り、ロキソニン錠のパチもんを服用し、温泉銭湯に赴いた際にはお医者さんに云われた通り痛くない範囲で伸ばしたり回したりしてみた。
何にも変わらんかった。

一昨日、半日休みをとって病院に行ってきた。
「どうです、あれからお変わりありませんか?」
まるで久しぶりに偶然あった旧友同士の挨拶じゃ。
お医者さんはワシの左腕をぐるぐる回したり伸ばしたりぐいと曲げたり撫でたり角度を図ったり「ふうむ」と云ったりした。
「リハビリしましょう。今日からやります」
ふうむ、藪から棒だな。

暫く待って、リハビリの部屋に案内された。
篦棒にデカい部屋であり、多くの人と多くの職員がわさわさわさわさリハビリに励んだり指導したりしとる。
椅子に座っとったら若いおねえさんセラピストがワシの方に歩いてきて、
「担当の〇〇です。よろしくお願いします」
と挨拶した。
「体の状態をいろいろ確認したいので、あちらのベッドの方まで行っていただけますか」
その後、立ったり座ったりぐるぐる回されたり伸ばされたりぐいと曲げられたり撫でられたり角度を図られたり「ふうむ」と云われたりした。
その後かなり長い時間をかけて、痛みのある肩の部分にマッサージのようなことをしたり、その周辺を撫でたり押したり、ここ押したときの痛みは死にそうなくらい痛いのを10としたらどのくらいの痛みですかとか訊ねられたりした。
「死にそうなくらいの痛みは感じたことないです」
「まあそれでも、イメージ的にはどうですか」
「この間肩にやられた注射の時以上に痛いです」
「ふうむ」
などという会話を交わしたりした。
時間にして1時間くらいじゃろうか。
「さて今日はこれで終わりです」
と言って、肩を伸ばすような運動をやって見せて、
「毎日この運動を空いた時間にやってみてください。伸ばすのは痛くなる寸前で止めてくださいね」
と申し伝えられた。
この運動を続けてどうなるか様子を見てみよう。

2019年7月17日水曜日

温泉に行かない日(388) 決意表明撤回!/本日以降酒のツマミには

ネバネバしたものや魚を交える。
即ち、マグロの山かけ(バリエーションとしてはオクラ・納豆・めかぶ等)を加えることとする!
ネバネバしとるのは概ね血液に良いと云われとるからじゃ。
反面酒を止める気はサラサラない!
以上じゃ!

2019年7月15日月曜日

【祝復活!】松風苑(4)

長らく休業しとった松風苑(愛知県新城市豊岡滝上64-3:0536-32-6058:0536-32-1578:のみ可:のみ時間は概ね11:00-15:00:¥1000:¥800ポイントカードあり♪)じゃったが、先般3月に「5月過ぎには再び営業開始します」との情報を現地で確認しとった。
5月過ぎてもいろいろ多忙であって(多忙の内容は主にやぎさんじゃけれども…)湯谷温泉になかなか行けなかったが本日海の日のお休みを利用して訪れてみた。
途中国道257号線を時速30km未満のスピードで走る老婆の軽自動車に苛つかせられたんじゃが兎に角何時も通り1時間弱で湯谷温泉に着いた。
これまた何時も通り利修仙人の足湯がある駐車場に真っ黄っ黄のスイフトくんを停めてクルマを降りると、前回までは見られなかった幟旗が何本も立てられておる。
ランチのご案内や日帰り温泉をやっとることがそれぞれに書いてある。

いやあ、営業しとるぞ!
© ill-health(ruephas) 2019
うむ、やっと復活したようでこれは朗報じゃ。
短い坂を登って玄関に入ると人感センサーの作用により自動的にピンポンが鳴った。
すると中から料理人のような格好をした人が出てきた。
こう書いても誰もわからんじゃろうけれども、富士市水戸島にある素晴らしい料理屋である角山 新富士店(静岡県富士市水戸島164-1:0545-63-5172:定休第5週を除く毎週月曜:営業時間要確認だが基本11:00〜21:30)のS店長に似た人じゃ。
本人よりやや小型にしたような感じの人じゃ。

これがウワサのS店長じゃ
© 2015-2019 株式会社 角山 All Rights Reserved.
角山の常連しかわからん比喩を繰り出してすまんかった謝る。
「いやあ、長いことお休みだったんで早く復活しないかと思ってたんですよ」
「それはどうもありがとうございます」
「お風呂お願いします」
「はい。今日は女湯にご案内します」
をほ!
ただまあいろんな温泉に行くと、旅館や温泉場の都合で女湯を案内されることは偶にあってそう珍しいことではない。
掛川の倉真赤石温泉などは案外普通に女湯を案内されたりする。
女性が入っとらんのであれば女湯でも男湯でも特に構わんわけじゃが、両者の違いがわかるのは面白い。
「露天の方は源泉を入れていまして少し熱いかもしれません。熱かったら水道水でぬるくしていただいて構いません」
暑がり(熱がり)ワシである故やや身構えたが、しかし多少熱いからと云ってもそんなもったいないこと絶対するもんか。
女湯と書かれた赤くて大きな暖簾を潜って浴室に入った。

いつもは左
本日は右
某社のカップ饂飩に見えるのはワシだけか?
© ill-health(ruephas) 2019
少し古めの旅館や温泉などと同様、松風苑の場合は女湯は男湯のほぼ半分くらいの大きさじゃった。
ちょっとした変化としてはシャンプー・リンス類が以前よりやや高級化しておることが挙げられる。

高級そうに見える
しかしワシはこの手の話に詳しくはない
普通なのかもしれん
© ill-health(ruephas) 2019
もしかして女湯だけかもしれんが。

内湯は普通のお湯、即ち水道局源泉のお水を沸かした浴槽で、露天の方は温泉。
恐らく露天は非循環ではないかと思われる。
当然先ず入るのは露天じゃろう。
露天風呂はお握りのような三角形のフォルムで、最大4人ベスト1人という小振りなものじゃ。
内湯でシャワーを浴びてから内湯の浴槽は素通りし露天に入ろうとした。
とその時、旅館の真下を走っとる飯田線湯谷温泉駅のところにある踏切がこんこんこんと鳴り出した。
そう、この松風苑のいい所は上質な温泉や宿のその風情だけでなく、飯田線の汽車を露天から眺め下ろすことが出来るという事じゃ。
多少なりとも鉄分が多めの温泉好きであらばこの組み合わせは最強じゃろう。
湯谷温泉の泉質も鉄分が入っとるし。
こちらからは汽車に乗っとる人がよおく見えるが、向こうはまさか全裸の初老に見下されとる等とは想像もしとらんじゃろうと思ってワシはニヤリと北叟笑んだ(変態ではありません)。
汽車を一本見送ってから改めてかかり湯をし直して源泉が満たされた岩風呂に入った。
調理人の人が云うほど熱くはなく普通に入れる。
ワシでも5分位は浸かっておられる程度の温度。
決して広くはない浴槽じゃけれども、幸いなことに入浴客はワシだけであり、無論手足は充分に伸ばせる。
誠にのびのびとした気持ちになれる。

温泉に入りながら脇を見るとこんなものが飾ってある。

盛夏入道(遠藤 研二氏 作)
© ill-health(ruephas) 2019(写真)
芸術作品じゃな。
男湯にはこんなものあったかなあ?
なかったような気がする。
普段入れない女湯に入るとこのようなちょっとした発見があって面白いものじゃ。
このように芸術作品の説明書きを読んだり飯田線汽車の客を見下ろして再びニヤリと北叟笑んだりと、1時間弱温泉に出たり入ったりして楽しんで一旦浴室をあとにした。

最前もちいと触れたが、湯谷温泉のお湯には鉄分が含まれておるが、同時に塩分も入っとる。
そのせいか多少ぬるめの温度であっても浴槽から出たあと暫く経っても汗が全然引かん。
しかし構わぬ、脱衣室には扇風機があるはずじゃから風速を最強にして体を冷やせば宜しいと思っとった。
しかし、確か男湯に設置してあった筈の扇風機がここ女湯にはない。
汗は止まる気配を全く見せん。
これは困った。
仕方ないのでまた内湯に戻り、シャワーから水を噴出させて頭から浴びて体を冷やし、冷え切った状態で再度ざばりと源泉に入ってすぐ出て体を拭いた。
松風苑さん、女湯にも是非扇風機をお願いしたいです。

温泉から出てロビーに戻ると、先ほど出迎えてくれたS店長似の調理の人がおった。
いろいろお話をさせて貰ってわかったことは、
  • 今の所はまだ完全に復活していなくて宿泊を取れるようになるのは暫く先になりそう
  • 男湯もまだ完全には復調していないため女湯にお通しした
  • このような状況なので先客が出るまで次のお客さんをお待たせすることがあり、待ち時間が長くなるとお断りされてしまうことがありチャンスロスになっている
  • 新しいオーナーは中国の人
  • その新オーナーは、安くて美味しいランチメニューを出すための研究の一環で浜松餃子をいろいろ試食してみたが特に感銘は受けなかったらしく「俺が作ったやつのほうが絶対うまい」と云っていた
  • そんなに自信あるのであればと思って、オーナーの作った餃子を食ってみたが浜松餃子との有意な違いは感じなかった(笑)
  • 自分はもともと和食の出なので、ゆくゆくは和食の定食などを提供したいと思っているんだけど経営が軌道に乗るまでは兎に角お客さんに安く楽しんでもらえるようにこのメニューで頑張りたいと思っている
などなど。

今までの松風苑とはバージョン違いと云うか別の方向性を持って進み始めたようじゃが、調理の人のお人柄もなかなか素晴らしいし、是非また来ようと思う。
因みに現在のところのランチメニューはこんな感じです。

© ill-health(ruephas) 2019
今度は少し遠回りして飯田線に乗って、ビール飲みながらこれ食おうと思います。

泉質ポイント
4.0
風情ポイント
3.0
やぎさんポイント
0.0
入浴料
1,000
温泉コスパ
0.7

2019年7月14日日曜日

やぎさんが好き!(16) 花桃の里ガーデン

今日も今日とてCafe de Clarkに行ってマサオと諭吉に会ってきた。
曇っていたんじゃが雨は降っとらんかったので、マサオ諭吉が見える外のベンチに席を取り、美味しいアイスコーヒーを頂きながら、そしてその合間に時々やぎさんやねこさんにちょっかいを出しながら楽しんでおった。
適当な時間となったので帰ることにし、マサオ諭吉にサヨナラを伝えてCafeのお姉さんにお金を払おうとしたら、
「花桃の里にはもう行きましたか」
と云われた。
Clarkから船明方面に戻ると左手にある道の駅の事じゃが、クルマや自転車で何回か訪れたことがある場所じゃ。
最近はClarkに直行してしまうので暫く寄ったことはない。
「行ったことありますけど、なんかあるんすか」
「道の駅から更に奥の方に行って山道を暫く行くと、道の駅とは別に『花桃の里ガーデン』(リンクは道の駅 天竜相津 花桃の里のサイト:静岡県浜松市天竜区相津152(地図から住所検索のデータ:GoogleのPlus CodeはWR77+94 浜松市、静岡県):053-923-2339←道の駅 花桃の里の番号で現地には多分電話なし)ってとこがあってそこにめすやぎさんが2匹いるんですよ」
「へえ!ホントですか。知らんかったなあ」
「可愛くてねえ。おとなしくてねえ。マサオとはまた違った感じなんです」
「頭突きますか」
「頭突かないです」[1]
よし行こう。
今からすぐ行こう。

Cafe de Clarkからクルマで5分くらい走ると左側に道の駅が見えてくる。
その道の駅の奥にある第2駐車場にクルマを停めて、さてどっちじゃろうと周囲を見渡すとこんな看板が出ておった。

む!確かにヤギと書いてある
© ill-health(ruephas) 2019
花桃の花の下にしろやぎさんが2匹おる絵が書いてある。
赤い矢印が上を指しとって「徒歩8分」と書いてある。
矢印が指し示す方向を見やると結構な坂道が続いておる。
こりゃいかん、今日は蒸し暑いしそもそも苦労が大嫌いなワシとしては歩いていくのは勘弁、クルマで行こうと思ったが、看板を更によおく見ると「トイレはありません」「駐車場はありません」と書いてある。
くう、ならば仕方あるまい。
歩いていこう。
雨で濡れて苔むして滑りやすくなっとる坂道をコケんように(細かいギャグじゃよ)気をつけながらえっちらおっちら登っていくと、ここが花桃の里ガーデンですと書いた看板がある。
ちなみにじゃが場所の名前に付いとる「花桃」というのは中国が原産のバラ科植物で、3〜4月にきれいな花が咲くそうじゃ。

wikipediaより
今は7月で花の時期は過ぎており周辺には誰もおらん。
やぎさんの雰囲気も今の所感じられん。
ただ立っておっても埒が明かんので、もう少し奥の方に入って行くと軽トラが停まっとって誰かが何かの作業をしておる。
そしてその人の横にはやぎさん小屋があって、白くて小さめのやぎさんが2匹おるではないか。
ぐはあ、くっそかわいい。
遠目から見ても可愛さが溢れとるのがよっく分かる。
早くナデナデしたい。
早速その人に声をかけてやぎさんの件を訊ねようと近づいていったんじゃけども、急坂を登って来た結果、ワシは流汗淋漓状態であり如何にも怪しい状態じゃ。
顎から項からシャワーを浴びたが如く汗がじゃんじゃん雫となってぼたぼた落ちておる。
ほれ、想像してみなされ。
極めて大量の汗をダラダラ流しつつ、遠くから近づいてくる今まで見たことがない初老。
初老の癖にスヌーピーの傘を差し、スヌーピーのメッセンジャーバッグを担いどる意味不明で小柄な初老。
ワシが逆の立場じゃったら兎にも角にも薄気味悪いと感じるじゃろう。
汗をさっぱりしたいんじゃけども、まずいことにフェイスタオルはクルマに置き忘れてしまっとる。
少しでも怪しさを減殺しようと頭をブンブン左右に振って汗を吹き飛ばそうと試みたが、当然殆ど効果はなく依然として汗ダラダラ怪しい姿のままその人に声をかけてみた。
「こんにちはあ」
その人は農作業っぽい服を着たおねえさんで、ワシが心配したほどワシに対して怪しさを感じてはいないようで一安心した。
いや、充分感じていたんじゃけど、大人として敢えて目を瞑っただけかもしれんな。
「こんにちは。ここ、どうやって知ったんですか」
「いやえっと、古民家カフェのおねえさんからですね…」
「ああ、Clarkですか。マサオいるとこですね」
「そうですそうです」
「やぎ好きなんですか」
「そうなんですよ。このトシになって急にやぎさんが好きになって」
「へえ。そうなんですか」
地図作ったりしてですね」
「どっかに出したりしてるんですか。ブログとか」
「はあ、まああれですね。ブログとかInstagramとかですね」
会話しつつも、目はどうしてもやぎさんを追いかけてしまう。
かなり広い土地に柵が設置されとって、その中にやぎさんがおる。
柵にはこのような掲示がしてあった。

ちいちゃんとむぎちゃんじゃよ
後ろにちらりと見えるはどっちじゃろうか
© ill-health(ruephas) 2019
白いほうがちいちゃんで、すこおし薄茶色がかった色をしとるのがむぎちゃんじゃ。

© ill-health(ruephas) 2019
おねえさんはペレット状の餌をちいちゃんとむぎちゃんにあげてから、更にはまだ青い実が付いたままの花桃の枝をバサリと投げ入れると、ちいちゃんむぎちゃんはバリボリバリとその実を美味そうにかじっとる。

何もしとらんときはかわいい顔なんじゃが
花桃の実を食すときはやや変顔になる
しかしそれがまたかわいいんじゃ
手前がむぎちゃんで向こうがちいちゃん
© ill-health(ruephas) 2019
「少しだけなら柵の中に入っていいですよ」
うほ!本当か!
これは有り難い。
入り口をいそいそと入って行って早速ナデナデしたよ。
「首とか背中を撫でると気持ちいいみたいですよ」
なるほど、云われた通り背中とか首筋を撫でてあげると動きをピタリと止め、気持ちよさそうにしとる。
やめるとバリボリバリを再開する。
ナデナデすると静止する。
なかなかおもしろい。

バリボリバリ
© ill-health(ruephas) 2019
いやあ、ほんとにかわいい。
動物の写真を撮るのは一般にむつかしいが、特にやぎさんは常にうろうろぴょんこぴょんこ動くので特にむつかしいと思う。
そんな写真でよければ以下をご覧いただければ、かわいさを感じてもらえるじゃろうと思う。

© ill-health(ruephas) 2019

© ill-health(ruephas) 2019

© ill-health(ruephas) 2019
ひとしきり遊んでから帰ることにした。
「また来ますね」
「ぜひいらしてください。ブログとインスタもお願いしますね」
はい勿論書きますとも、上げますとも。

[1]
2019年7月22日 追記
実際にはむぎちゃんは頭突きします。
ちいちゃんに頭突きかましておっぱらっとった。
やはりやぎさんは頭突きくらいやってくれないと盛り上がりません。

2019年7月7日日曜日

温泉に行かない日(387) 醒ヶ井のお手製とび太くんは表と裏の顔を持つ

幼少の砌より両親や先生から「裏表のある人になっては決していけません」と云われ続けて五十有余年。
実際大人になってみると、軽く裏表のあるナニモノかになってしまったのは残念じゃけれども寧ろ今こそ皆に問いたい。
あんた、絶対裏表がないか?
と。
総理大臣から俺等の如きパンピーまで、派手地味はあるにせよ裏表を必ず持っとるはずじゃ。

さてこの間の週末のことじゃ。
在来線を乗り継いで滋賀県の醒ヶ井というところに行った。
醒ヶ井というのは日本で最初に養鱒場ができたことや、清流でしか育つことがない梅花藻で有名な旧中山道の宿場町じゃ。
この時期咲き始めた梅花藻を見たのは当然じゃけれど、それだけでなくヴォーリズ設計の旧醒井簡易郵便局を見学したり、名神高速道路にめちゃくちゃ近接しとることで一部マニアに名が知られとる加茂神社に参拝したり(残念ながら大山くん物件ではない)、毛髪よ少しでも復活せよ!と心より念じつつ梅花藻ソフトを食べたりしながら街道筋をぶらぶら歩いとると、日本全国どこにでもある「子供飛び出し注意」の看板が沢山設置されとることに気づいた。
その手の看板としては当然とび太くんが圧倒的に有名なわけじゃけども、残念なことにモノホンはちいとばかり高価なのが難点。
従いまして予算がない御町内の場合は大抵お手製看板で何とか駕いどる例が多い。
とび太くんはとび太くんで大変に可愛く事実ワシ自身もファンで、クルマにもとび太くんのお守りをぶら下げとるし、事務所の机にも犬に尻を齧られてズボンが破れとるとび太くん(猛犬注意タイプ)を飾っとるくらいなもんじゃが、各地で見られるお手製とび太くんもそれはそれで味わい深いものじゃ。
ここ醒ヶ井も予算が逼迫しとるらしく(失礼)、街中に溢れとるとび太くんは誠にハンドメイド感溢れなかなかに味わい深いもんじゃと思いながら見とった。
ところがじゃ、無邪気に遊び回り走しくり回っとるだけの純粋な存在であるお子さんを単純に表現しとるだけと思っとった醒ヶ井とび太くん。
裏と表のデザインが違うことに気づいた。
ワシは今の今まで、未来を背負う純真なとび太くん及びお手製には裏表はあるはずがないと思っとった。
しかして実際にはこれら醒ヶ井とび太くんには画然と裏表があり、人間の奥深さを強く思い知らされた次第じゃ。
ほれ、これらを見なさるが宜しい。

Aくん表
© ill-health(ruephas) 2019

Aくん裏
© ill-health(ruephas) 2019
いつもはにこやかなんじゃけれども、実際には冷静に世の中を観察しとる風に見えるA君である。

Bくん表
© ill-health(ruephas) 2019

Bくん裏
© ill-health(ruephas) 2019
表は何か利発そうな雰囲気が漂っとるが、恐らく出かける前にお父さんからベタなオヤジギャクをカマされたのか苦笑いを浮かべとる。
その場ですぐに苦笑いを浮かべたならば、お父さんがハートブレイクすると判断したんじゃろう。
となるとやはり結局利発なお子さんと云えるかも知れん。

Cくん表
© ill-health(ruephas) 2019

Cくん裏
© ill-health(ruephas) 2019
Cくんも例に漏れず表はにこやかな少年じゃ。
しかし裏の顔はこれは何があったんじゃろうか?
ムッツリしとる。
口をへの字に曲げとる。
少し怒っとるようにも見える。
何か不快な思いを抱いとるんじゃろうが、通りすがりに過ぎんワシには何があったのか想像もできん。
嫌なことは早く忘れるが宜しいとアドバイスしておいた。

Dくん表
© ill-health(ruephas) 2019

Dくん裏
© ill-health(ruephas) 2019
電信柱の影に身を潜めて微笑みながら周囲を観察しとるDくんじゃが、この子は関西弁で言うところの「いちびり」なのは間違いない。
あの微笑みから一瞬にしてこの変顔じゃ。
将来はM1優勝間違いなしじゃろう。
あるいは任天堂スイッチを徹夜でやっとって寝不足かも知れん。
子供は早めに寝るが吉じゃとアドバイスしといた。

他にはこんなのもおる。

Eくん表
© ill-health(ruephas) 2019

Eくん裏
© ill-health(ruephas) 2019
ああ!
これはいかん!
表を見た時「この子は年季が入っとる。とび太くん一筋30年といったところか」と思ったんじゃが、それ以上の年季のようで裏はすっかりのっぺらぼうになってしまっとる。
街に新規とび太くんを増設する予算をこの子の補修にまわしてほしい。
これを是非お願いしたいと思った。
因みにワシはこのタイプを「経年タイプ」と呼称することに決めた。

Fちゃん表
© ill-health(ruephas) 2019

Fちゃん裏
© ill-health(ruephas) 2019
この子も「経年タイプ」に分類してよかろう。
さてお気づきの方もおられると思うが、Eくんまでは被っとる帽子に「K」と書かれておる。
しかしFちゃんの帽子には「S」と書かれておる。
表を見たときには「これは男の子じゃろう」と判断したんじゃけど裏を見るとこれは確かに女の子。
女の子には「S」と書くのかも知れん。
K及びSが何を意味するのか、なんの略なのかは諸兄ご推察の通りワシにはさっぱりわからんちんなんじゃよ。
知っとる人がおったら誰か教えてください。

鱒と梅花藻で有名な醒ヶ井なんじゃけど決してそれだけではなく、これこの通りまた別の魅力が満載じゃ。
中部地方からも関西方面からも案外近い場所にあるし、中部地方からじゃったらJR東海が販売しとる青空フリーパス(PCサイトなのでモバイル端末ではちいと見づらいよ)を使えばかなり安く来れる。
たまには鈍行の旅をして醒ヶ井まで来てゆっくりした一日を過ごされるのもいいじゃろうよ。
自転車でゆっくりのんびり走るのも良いかもしれんなあ。

ちなみに醒ヶ井駅前の風景はこちら。

仏像とエロ本満載の白ポストのコンボ
© ill-health(ruephas) 2019
今では既にレッドデータブック入りしていると思われる白ポストと古いタイプの郵便ポスト(丸ポスト)がある。
中学生のころ大抵の駅前には白ポストが設置されておって、何とか中身を出せんものかと官憲や駅員の目を盗んでしきりに取り組んだものだった。
最近はとんと見かけんが、ここではまだまだ健在の様子。
収蔵されとる各種図書の回収の瞬間をぜひ目撃したい。

そしてそのような邪悪な書籍を保管する白ポストを守るように立っておるのが霊仙三蔵という業界では有名らしい人の像。
説明書きがあったので少し読んでみたがむつかしすぎてよくわからず途中から諦めた。

以上、醒ヶ井の勧めであった。