2020年2月29日土曜日

温泉に行かない日(431) 温泉卵の奥は深い…

ワシは大学時代、愛知県の内海海岸にあった某レストラン厨房でアルバイトをしておって、それがきっかけになって料理が好きになった。
そのレストランは可成り有名な料亭旅館の出店であって、旅館の跡継ぎの長男(KO大学出身の包丁人)が店を取り仕切っておった。
この人は忙しい中ワシの如き若造に本当に丁寧に調理の基本を教えてくれて、その結果玉子丼の作り方、その玉子丼に使う出汁の作り方、本当に美味しいカレーの作り方とそれをベースにした廉価版(即ち原材料費を上手いこと間引いて、だけどもまあまあ美味しいやつ)の作り方、パンの切り方(案外難しい)、ラーメンの湯切りの仕方、チャーハンの作るときの中華鍋の煽り方、玉ねぎの切り方、鱧への包丁の入れ方等などを付け焼き刃ながら可成り効率的に習熟し、更には面倒な客への対応方法や社長(つまり長男の親父じゃね)の効率的な騙し方なども合わせて学ばせていただいた次第じゃ。

背景としてはこのような事があったわけじゃ。
まあその後調理人になるとか管理栄養士になるといった進路は取ることもなく、ちょっと料理が好きな平凡なリーマンとして過ごしてきた。
数年前まで静岡県富士市で5年弱ほど単身赴任しとったが、上記の通り料理調理に対する抵抗感が皆無でむしろ好きであり、幸か不幸かアパートの立地が郊外で近隣に飲食店が見当たらなかったことも手伝って、土日の殆どは勿論下手すると早く帰った平日なども安物の包丁を使って、簡単なものを作って食べとった。

土鍋で炊いたご飯とか、ニガウリを使った美味い漬物とか色々作ったが、中でも思い出深いと云うか思い入れがあるのは温泉卵じゃな。
ワシはもともとアトピー持ちで、今はほぼ問題ないがやはり基礎的にはアレルギー体質は残っておるようで、生卵や未加熱の牛乳を飲食すると大抵の場合お腹を下す。
卵かけご飯が大好きなワシじゃけど食べられるのはその後の対応が取れる場合、即ち食後半日ほどの間、すぐにトイレに駆け込める環境が確保できる時のみに限定されておる。
生卵による腹下しの原因は白身のタンパク質じゃけど、加熱すれば腹を下すことはないと云われとる。
実際、硬くうでた卵を食べても何の問題もない。
そのような意味では、白身だけ加熱されて白くなり、じゃけど黄身はほぼ生のママという温泉卵は、卵かけご飯が好きなワシにとっては救世主のようなものじゃと思われた。
それに気づいたワシはスーパーに行って安売りの温泉卵を贖って早速食してみたが、ワシのイメージとは違う。
仮に生卵を0、うで卵を10とした場合、温泉卵と銘打って売っとるものはまあ良くても6、多くは7〜8であり、要するに白身はガチガチで黄身にも結構熱が入っとるわけじゃ。
こんなものでは卵かけご飯は出来ん。
ワシのイメージとは即ち、白身部分はふわとろ状態、黄身部分は殆ど生のママ。
これじゃ。
このような状態で売っとる温泉卵は無いと思い極めたワシは、仕方なく自分で理想の温泉卵を作るに至ったわけじゃ。
土鍋を使ったり、冷蔵庫から出して暫くおいて常温にしてから作ってみたり、使うお湯の量を減らして半分浸かるくらいでやってみたり、時間を短くしたりいろいろ試行錯誤してたどり着いたのがこれじゃ。

https://cookpad.com/recipe/2892230

ワシが2014年頃Cook Padに投稿したレシピじゃが、全てはここに書いたつもりじゃ。
これに従うならば、そこそこ高確率で「白身部分はふわとろ状態、黄身部分は殆ど生のママ」の温泉卵を作ることができるじゃろう。
しかしやはり、料理の奥は深い。
こんな単純なものであっても奥は深い。
使う鍋の厚み、卵の大きさや新鮮さ、室内温度、恐らく10秒単位での加熱時間などで結果は驚くほど大きく変わる。
これはいいじゃろう!と自信を以て殻を割ってみると、殆ど生卵だったり逆に市販レベルに固まってしまっておったり…
まあ、そこがまた面白いと云えるんじゃけどもね。

© ill-health(ruephas) 2020
因みにこれは昨夜作って酒のツマミとしたものの写真じゃ。
やや加熱が足りない仕上がりじゃったが、まあまあ合格じゃろう。
  • ミルクパンを使用(Cook Padに載せている鍋より鍋肌は厚め)
  • Mサイズの卵を常温に戻さずすぐに調理
  • 加熱時間は7分(Cook Padでは12分としておる)
基本的に厚めの鍋の場合、薄いやつより熱が逃げないので短めの時間にするのが良いという傾向はあるじゃヨ。

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コメントどうもありがとうございます。
貴方のコメントは世界とワシとあなたを救う。
たぶん。