2020年1月26日日曜日

温泉に行かない日(425) チャリティ・アート・タンブラーを買ってきた

昨日「明日(つまり今日じゃね)は日曜日でかつ風呂の日」とはしゃいでいた割には意外にも風呂には行かず、ワシはクルマで静岡市に向かった。
何しに行ったかと云うと、JAGDAつながりの展覧会Part2 チャリティ・アート・タンブラーというイベントを見に行った。
JAGDAというのは「公益財団法人 日本グラフィックデザイナー協会(Japan Graphic Designers Association)」の事で、ちょっと長いが引用すると、
JAGDA(公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会)は、1978年、戦後日本のグラフィックデザインの礎を築き、東京オリンピックポスターをはじめ数々の名作を残した故・亀倉雄策らを中心に設立されました。現在、約3,000名の会員を擁する日本で唯一のグラフィックデザイナーの全国組織です。その活動は、年鑑の発行、展覧会やシンポジウムの開催、デザイン教育、公共デザインや地域振興への取り組み、国際交流など、多岐にわたります。これらの活動を通して、JAGDAは日本のグラフィックデザインの発展と、コミュニケーション環境の質的向上に大きく寄与してきました。これからはさらに幅広い視野をもって、領域も国境も超えたダイナミックなデザイナーの活躍を支援していきたいと考えます。(公式サイトより)
というような活動をしておるらしい。
今回のイベントは、JAGDAが行っておる活動の一つとして行われておるようで、昨年2月に東京で始まって全国を巡回し、1年掛けて静岡まで廻ってきたらしいと後で知った。
何でもいろんなデザインのタンブラーがたくさん展示されておって好みのやつを購入できるとのことじゃ。
先日ぼお〜っとテレビを見とったら、たまたまこのイベントが静岡の産業振興センターとかいうとこでやっとるというニュースに触れ、なんか面白そうだなあと思って行きたいと思っとったわけじゃ。
しかしニュースはあっという間に終わってしまったので詳細はわからんかった。

会場はわかったため、まあ行けば判るじゃろうてと出掛けて、会場のCCC - 静岡市文化・クリエイティブ産業振興センター(静岡市葵区七間町15番地の1:054-205-4750)近くのコインパーキングに真っ黄っ黄のスイフトを停めて早速中に入ってみた。

会場入口じゃ
ワシには全く相応しくないシャレオツな雰囲気
明確な目的なければまず入らないじゃろう
© ill-health(ruephas) 2020
見ると決して狭くはない会場いっぱいにタンブラーが並んどる。
極めて大量のタンブラーが並んどる。

これは2階の様子で、入口がある1階も同じような感じ
なかなかの壮観と云って宜しかろう
© ill-health(ruephas) 2020
一体これは何じゃろうか?
確かテレビでは、何か障害を持った人がデザインしたタンブラーがどうのこうの…と云っとったのは何となく覚えとるんじゃけど、それよりは何と云うかテレビに映されとったそれら台紙のデザインが結構ポップと云うかおしゃれというか、どっちかって云うとそっちに興味を惹かれたというのが正直なとこじゃ。

早速それぞれのタンブラーを眺め始めた。
しかしこれは膨大な数の作品群じゃ。
会場におらっしゃった担当の方によれば「全部で151作品あります」。
なんだとお、151だぁ?
これはいけません。
ワシはもっと軽く考えておった。
多くてもせいぜい20とか30くらいなもんで、10分も品定めをすれば簡単に勝負は着くと考えとったがそれは相当甘い見込みであった。
さらに担当の方は、
「障害のある方が書いた絵を元に、JAGDAに所属する作家がタンブラー台紙のデザインをしてまとめてるんですよ」
なあるほど。
なかなか考えとるな。
兎に角これだけ膨大な数の作品があればワシ好みのデザインがきっとあるはず。
多少の妥協も必要なく、心から気に入った作品に巡り会えるはずと思い極め、可成り真剣にそれぞれを眺め始めた。
その途中の仔細はくだくだしければ省くが、まず気に入ったのはこれじゃ。

ルチャリブレ感満載な謎のデザイン
ミル・マスカラスを思い出したあなたは
ワシ同様のジジイと見た
© Máscara Contra Máscara
© 小林勝彦
© ill-health(ruephas) 2020(Photo)
マスカラス(覆面のことじゃ)を被ったルチャリブレの闘士を彷彿とさせるデザインが圧倒的な迫力を持って否応もなくワシの目に飛び込んできた。
そいつはこんなマスクをかぶっとるのによく見るとスーツ姿じゃ。
なんだこりゃ。
近づいてよく見てみた。
タンブラーの脇にはデザインの素材となった、アーティストによる原画が添えられており、これがそれじゃ。

こ、これは…
この絵の作者はもしや…
もしかして彼の申し子か!?
© Máscara Contra Máscara
© ill-health(ruephas) 2020(Photo)
赤マスクと黒星マスクをつけた2人の男の顔が描かれており、赤マスクの男は、
面白いことを言ったつもりなのに
と独白しており、もうひとりの黒星マスクの男がその独白を受けてか、
ま、いっか…
とつぶやいておる。
このヘタウマな感じの画風と、意味のない(あるいは寧ろ意味が深すぎる)テキストを添えるこのメソッド。
これはまさに沢野ひとしの再来と申し上げていいじゃろう。
ルチャリブレのマスクをつけた男が思い切って面白いことを云ってみたが、全くウケずにスベった冷徹な事実。
仲間の黒星マスクがそれを忖度し、赤マスク男に成り代わって「ま、いっか」とつぶやく。
異様な格好をした二人の男を取り巻く関係、環境、心境。
それらすべてを絵とデザインのみの力で浮き立たせている構成の妙。
これは素晴らしい。
この二人は明日からどのように歩み、どこを目指していくのか気になる。
したがって買わねばなるまい。

と思っておったら、すぐ近くに同じ作風のタンブラーを発見。
これじゃ。

またでおったなマスカラスめ!
© Máscara Contra Máscara
© 本多り子
© ill-health(ruephas) 2020(Photo)
見ればまたもや同じ作者の作品。
詳しく見てみよう。

当然作者が同じじゃから作風はおなじじゃが
仕上げた人が違うから雰囲気も異なっとる
© Máscara Contra Máscara
© 本多り子
© ill-health(ruephas) 2020(Photo)
中央に白黒マスクを着けた男の顔がでんと居座っとって、その回りをサル顔をした謎の男が振りまかれとる。
そして中央の男はまたもや謎の言葉をつぶやいとる。
すなわち、
あー、明日休みたい
誠に魂の一言と云わざるを得んじゃろう。
ちなみに原画はこんな感じじゃ。

© Máscara Contra Máscara
© ill-health(ruephas) 2020(Photo)
もしかしてこの白黒マスク男はワシ同様のリーマンなのか?
実際ワシはこの白黒マスク男のようなことを毎日毎日感じておる。
「あー、明日休みてえなあ」
場合によっては金曜日の夜にも習慣に従い間違って、
「あー、明日休みてえな」
と思ったりしておる。
この作品が余りに自分の生き写しである事に気づいたワシは、これも購入候補に付け加えることとし作品番号を紙にメモして他の作品を眺め始めた。

強力2作品による神をも恐れぬタッグ
これならアントニオ猪木も
決して打ち勝てんじゃろう
© Máscara Contra Máscara
© 本多り子
© 小林勝彦
© ill-health(ruephas) 2020(Photo)
そんで次に気に入ったのがこれじゃ。
台紙入りのタンブラーの写真を撮影したんじゃけども、白地にシルバーというデザイン故に上手く撮影が出来んかった。
従って台紙になる前の元絵を紹介するじゃ。

何故かすごく気に入ったのじゃよ
ワシこういうの好きじゃ
© 吉村昌記
© ill-health(ruephas) 2020(Photo)
ワシはどっちかって云うとさっき紹介したようなでかい絵が一発でんと押し出してくるようなやつより、このようなシーケンシャルな感じのデザインが好きなのが元来の性格じゃ。
それぞれはシンプルに書かれたコーヒーカップやイカやタコやズボンや鳥などなんじゃけどそれぞれが微妙に面白くて、同じシャツでも微妙に違っておったりする。
気に入ったんで購入候補にしたんじゃが、正直いくつか引っかかったことがある。
それは上の写真で云えば3枚あるうちの一番下の紙の一番下の列、左から4ケめのパーツじゃ。
これはほれ、あれじゃ。
ほれ、国民的に大変有名なあのアニメキャラに酷似しておることは否めんじゃろう。
あと同様に気になるのは、真ん中の紙の上から3列目、左から4ケめのパーツ。
ミッ◯ィー、若しくは、うさ◯ちゃん、と呼ばれるある有名なキャラに似ておる。
いやあ、でもこれはまあセーフじゃろう。
あと、日本語で云えば「優勝者」という名前のスポーツ衣料メーカーのロゴのようなデザインとか、音訳すれば内規という名前のスポーツ用品メーカーのロゴに似たやつとか、何かギリギリな感じのやつが少しく存在する。
しかし心配は御無用じゃ。
安心召されい。
作品を仕上げたデザイナーの手により、それらギリギリ系のパーツは巧みに処理、すなわち上手いことオミットされており何の心配もない。
なかなか気の回ることじゃと感心した。
しかし万が一これらが本作品に採用されとったとしても、これを咎めるような野暮な会社ではないとは思うじゃ。

更にワシはしつこく他の各作品をよおく観察してみた。
どれもこれもそれぞれに趣があり、面白く、デザイン的にも結構完成度が高いと感じたが、その中でもこれが気に入った。

打って変わって抽象的な作品
© 平田貴子
© 赤沼明男
© ill-health(ruephas) 2020(Photo)
絵の具と色鉛筆で書いた感じの抽象的で柔らかい色彩のデザインの上に「The answer is blowin' in the wind」(答えは風に舞っている)と書かれている。
ワシはず〜っと前にも書いたことがあるんじゃけど、空とか海とか、広くて抽象的な風景が好きで、この作品はその雰囲気が感じられるような気がする。

これら4作品を候補として選択したワシはさんざ熟考したが結果として、

  • 面白いことを言ったつもりなのに
  • ギリギリな感じのやつが少しく存在するシーケンシャルデザインのやつ
  • 抽象的な色彩の上にThe answer is blowin' in the wind

の3作品に決めた。
冒頭書いた通り、障害を持つ人が書いたとかどうだとかはワシにとってはあまりというか全然関係なく、単純にと云うか純粋にというか、ワシが面白いとか気に入ったとかいうように感じて気に入った作品を満足して購入できたというのが正直な気持ちじゃな

価格は3作品 + 専用タンブラーのセットで¥1500(税込)。
実際にはここに紹介できんかったものの、他にも5〜6作品欲しいものがあったんじゃが、この組み合わせでしか購入できんかったのは残念至極じゃ。
週明けたら早速事務所に持っていって普段遣いを始めようと思っとる。

因みに支払った金額については、製造原価を差し引いたいわゆる「粗利」を日本パラリンピアンズ協会に寄付されることは申し添えねばなるまいよ。

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コメントどうもありがとうございます。
貴方のコメントは世界とワシとあなたを救う。
たぶん。