2019年8月30日金曜日

吉川温泉 よかたん(2)

先日、青春18きっぷを購入して関西方面に行ってきた。
特に目的がある訳ではなかったんじゃが、まあふらりと出かけた訳じゃ。
足を伸ばしついでに吉川温泉 よかたん(よかわおんせん よかたん:兵庫県三木市吉川町吉安222:0794-72-2601:¥600:10:00〜22:00)という温泉に入った。
炭酸泉で有名な温泉。
実に久し振りじゃ。
ここに関しての前回ポストは何と2013年3月。
2013年と云うと富士市で単身赴任してた時期じゃから、兵庫県三木市にあるその温泉に行った訳でなく、更に前のそうじゃなあ今から15年位前じゃったか、宝塚で単身赴任しとる時期に行った事を思い出して書いておる内容じゃ。

何故か前回ポストでは書いとらんが、ここは上質な炭酸泉以外の件でも変な意味で有名な場所で、どういう事かというと、
  • ここは開設以来「家族風呂」があり大変な人気じゃった。
  • 2006年頃までよかたんの家族風呂は大人気のうち問題なく運営されとった。
  • その2006年頃、よかたんがある三木市の隣の市で家族風呂付きの温泉を開設する事になった。
  • 因みに開設の許認可は兵庫県が取り仕切っとる。
  • 兵庫県「家族風呂は混浴じゃ。混浴は県条例で禁止されとるから認可でけん」と主張し、いっかな認可しんかった。
  • 近隣市「いやいやあんた。ダメって云っても隣の市のよかたんじゃ大々的に家族風呂やっとるじゃろう。なんでうちだけダメなんじゃ?」
  • 兵庫県「おっとそれは知らなんだ。となるとあれじゃな。オタクんとこの風呂は当然認可でけんが、よかたんの家族風呂も直ぐに認可取り消しじゃな。有用な情報どうもありがとう。今日は楽しかったよ。じゃあまたな」
  • 三木市長「ぐぬぬぬぬぬぅぅぅぅ、県の野郎ぜってえ許さん。隣の市の野郎もワシのとこの温泉ダシに使いやがってFO!」
以後のよかたんの対応は以下の通りじゃ。
今回現場に行った限りの印象では、上記の通りのワシが妄想任せで書いた感じで家族風呂が運営禁止になった訳では決してなく、入浴を求める客が条例に定める条件内であることを確認した上で予約を受け付けているという感じのようじゃ。

またウェブサイトを見てみると、家族風呂には利用制限があることを明示した上で、
[利用制限について]
兵庫県公衆浴場法基準条例による
〈お問合わせ〉兵庫県庁 健康福祉部健康局薬務課薬務調整係 電話(078)341-7711(代表)
つまり、
県が勝手に制限しとるわけじゃから、制限内容についてはうちじゃなくて県に訊いてくれ
という姿勢じゃ。
まあ、という事で以後兵庫県内の「家族風呂狩り」が激しくなり、そのきっかけとなったのがよかたんというわけじゃ。

家族風呂が混浴とはこれ如何に、というのが正直なところじゃ。
例えば男女連れの2人とかじゃったらもしかして家族じゃないかも知れんが、小学生くらいのお子さんを連れた3人組でも入れんとなるとそれはどうじゃろうかと思える訳じゃ。
まっこと無粋な条例である事よ。

そのような事を思い出しながら久しぶりに入ったよかたんの炭酸泉は十数年前と全く同じく素晴らしいものじゃった。
感想は前回のポストと全く変わらずじゃったから、ちいと読んでくれれば有り難い。
一応書いとくが、炭酸泉と云ってもスーパー銭湯などでよくある人工炭酸泉の如く、入った途端にしょわしょわぶくぶく体中に泡が付くという感じでは決してない。
その系統の天然温泉と云えば例えば姫路にある竹取の湯(入ったことあるけどこのブログには未記載)が有名じゃが、よかたんのは入浴しても体にあわあわがじゃんじゃん付くという事はない。
しゃわしゃわ感は殆どないけっこうぬるめの薄濁のお湯じゃ。
しかしながらお湯の中の炭酸成分は極めて高い濃度であり、循環器系への効果は充分であるじゃろう。

兎に角素晴らしい泉質をしっかりと維持しとって、これは当然源泉の素晴らしさもそうじゃけれども、施設の維持管理についてしっかりと取り組んでおられる賜物じゃろうと思う。

温泉銭湯コスパ算出表
泉質ポイント
3.5
風情ポイント
2.5
やぎさんポイント
0.0
入浴料
600
温泉コスパ
1.0


2019年8月27日火曜日

温泉に行かない日(390) 旧浜名湖かんざんじ荘に関する悲報、ではないが残念なお知らせ

筆者が「時間的秘湯」として有り難たがってきた浜名湖かんざんじ荘の件じゃ。
国民宿舎 ⇨ 遠鉄系リゾート会社による指定管理運営 ⇨ 儲かんないじゃん(by遠鉄)⇨ あっさり廃業
という、まあ何と云うかはっきり申し上げまして「廃退へのルート」を着実に進んできた浜名湖かんざんじ荘じゃが、昨年「株式会社 Re・lation」という救世主により復活への道筋が示されたんじゃ。
ここに関する前回のポスト(温泉に行かない日(364) 【朗報!】浜名湖かんざんじ荘に復活の兆しあり!)では当に今月「2019年8月グランドオープン」らしい事をお伝えしたところじゃ。

しかしながら残念ながらこの期待は延長となったようじゃ。

Copyright © Re·lation All Rights Reserved.

1年延長
じゃ。
延長の理由は「経年劣化修理のため」との事だが、これは何だかおかしな話じゃ。
経年劣化への対応を主眼として工事しとるのに、その工事が遅れたのが「経年劣化」とはこれ如何に?
わははは。
別の理由があると見る。

ワシが心配しとるのは、今回浜名湖かんざんじ荘のリノベーションを行うとのプレス向けリリースでは「インバウンド客」をターゲットにするというような事を書いておったが、不安なのは当にその一点で、正直言ってそれだけの要素で恐らく数億と思われる改修費を出すかい?と云う誰でも感じる不安じゃ。
はっきり云おうか。

「どこの国の人がどんだけ来ますか?」

大陸の人が静岡空港に来ても、大草山のてっぺんまではまあまあ来んじゃろう。
いま色々とまあそのえっとそのうトラブルになっとる近隣某国があるんじゃが(わかるじゃろ)、その某国の人も暫くは当然来んじゃろう。
その某国の西側に広々とした領地を持っとる別の某国の人も、どうじゃろうなあ。
来るかなあ。
来ても泊まるかなあ?
と云うような感じで冷静にマーケティングしてみたら、インバウンド関係イチオシではヤバいんじゃね?と云う感じになって止まっとるんじゃったら、それはそれである意味正解かも知れぬ。

嘗ての浜名湖かんざんじ荘は特に黄金週間や年末年始の予約を取るのが極めて難関だったと聞く。
抽選らしかったじゃよ。
予約を取りたかったのは当然ドメスティックの客じゃ。
もっと云えばそれら予約客は地元中心じゃろう。
かんざんじ荘はまあ安くはないが、高くもないと聞いた。
少しだけ節約した生活費を積み立てて親族で集まって、温泉ではないけれども広くてとても展望が良い風呂(特に風呂に浸かりながら眺める奥浜名湖の日没時の風景は絶対に最高じゃろうと想像する)にみんなで入り、さっぱりしてからみんな広間に集まってお酒飲みながら久しぶりにジジイやババアと話をして、話し疲れたらベッドではなく布団でみんなで寝て…
というドメスティックな感じを追求したほうがいいと思うんじゃけどなあ。
でもまあ「そんだけ云うんじゃったら、だったら代わりにオマエがカネ出して好きなようにすりゃいいじゃん」と思うでありましょう。
そりゃその通り。
スミマセン、出過ぎたことを書きすぎましたよう。

2019年8月15日木曜日

風の湯(1)

先月、8月に入ったら奄美に行くことが急に決まった。
奄美には仕事・プライベートで何回か行ったことがあり、あれは何年前になるんじゃろうか、ネイティブシー奄美(鹿児島県大島郡龍郷町芦徳835:0997-62-2385)というホテルに数日滞在したことは特に素晴らしい記憶として残っておる。
今回は奄美に居る知り合いを訪ねて行き、他の時間はテキトーにぼーっとするという特に内容がない旅じゃ。
出発日は2019年8月15日という、当に民族大移動中ど真ん中の時期。
以前にも書いたことがあるかも知れんが、ワシは飛行機がダイキライ、というか大変な恐怖感を覚えておってできれば乗りたくないと思っとる。
且つ、人混みがダイキライであり、黄金週間やお盆、年末年始などには絶対に出歩かないことにしとる。
今回はこの2つの悪条件がピタリと重なり合っており、気分としては楽しみであり、恐くもありというものじゃったが、結果としてその時期日本を直撃した台風11号により搭乗予定の飛行機が欠航。
自宅からセントレアの往復のみというバカンスに相成った。
ちなみに8月15日にセントレアから出発予定のANA便はすべて欠航で、JALも同様じゃったと思う。

ANA357鹿児島行きが登場予定じゃったフライト
ワシのを含めて軒並み欠航
© ill-health(ruephas) 2019
飛行機が飛ばねば奄美に行くこともままならんわけじゃから帰るしかないんじゃが、まあただなんもせずにただただ帰るのもつまらんし何となく悔しくもあるんで、前から気になっとった風呂に一つ入ってみることにした。

それは風の湯(ふーのゆ:愛知県常滑市セントレア1-1 中部国際空港4Fちょうちん横丁:0569-38-7070:8:00~22:00:¥1,030)という風呂で、空港内にある。
空港内に風呂があるというのは結構珍しいと思う。
空港開設後暫くしてからオープンしたような記憶じゃが違うかも知れん。
この風呂についてはかなり以前にニュースかなにかで見かけたんじゃけど、もう物凄い混みっぷりであり入浴待ちが何時間、中に入っても芋洗い状況というものじゃったから「絶対行くか」と思っとった。
しかし今回は幸か不幸か、アタリマエの事ではあるが空港内にあまり客がおらん。
飛行機のランディングやテイクオフの様子を見ながらひとっ風呂浴びれるという珍しい風呂じゃから入浴客はおるじゃろうが少なくとも芋洗い状態ではないじゃろうとあたりを付けて、空港4階にある風の湯に行ってみた。
暖簾を潜って券売機で入浴券を購入した。
これが購入した入浴券じゃ。

大人女性じゃ
まいったか!
© ill-health(ruephas) 2019
特に他意はない。
ただただ間違って買ったものじゃ。
「大人女性」を買ったならば従業員が女湯に案内してくれるのではないかなる期待をしとったわけでは絶対にない。
絶対にな。
なお、券売機における男女問題についてはこちらもご参照めされい。

浴室に入ってみると驚いたことに誰もおらん。
多少の客はおるじゃろうと思っとったが誰もおらん。
これまでここに入浴した客は何千人何万人にもなるじゃろうが、自分以外に客が誰もおらんということはかなりレアじゃろう。
これはいい体験をした。
浴槽構成は大きなメイン浴槽、ジャグジー浴槽、ジェット浴槽、ドライサウナ、水風呂という具合。
外湯はないがウッドデッキがあって、椅子に座ったりしながら飛行機を眺められる。
本日はただだだっ広いスペースが見えるだけじゃけど。
泉質は水道局源泉じゃから感動もクソもない。
そこには期待しとらんかったが、塩素臭が立ちすぎていたことが残念ポイントといえるじゃろう。

メイン浴槽には何か黄色いものが大量に浮かんどる。
何かと思って近づいてみると大小のアヒルがぷかぷか浮いとる。
もちろんおもちゃのアヒルじゃ。
兎に角篦棒に大量のアヒルじゃ。
何じゃろうかと思ったが、これは8月末までの限定イベントで浮いとるアヒルは全部で何と2000羽。
しかも、この中に1羽だけ「眉毛アヒル」が紛れ込んでおり、それを見つけたならば手に握ってフロントまで行って見せるとソフトドリンクが貰えるということが壁に浴槽内の張り出されとった。
ワシは俄に色めき立った。
繰り返しになるが客はワシ一人。
誰の目も気にすることなく、眉毛アヒルの発見に集中することが出来る。
兎に角片っ端からアヒルをチェックし始めた。
案外簡単に見つかるのではとの期待もあったが、見ても見てもいくつ見てもいっかな見つからん。
しかし何とか見つけて写真を撮り、ソフトドリンクをタダで貰いたい。
仕事では絶対に見られない集中力と継続力を持って本当に粘り強く確認作業を続ける。
どうじゃろうか、開始後約30分経過した時点でひっくり返った状態で浮かんでおった小さなアヒルを見てみたら、何と!
そのアヒルには眉毛が書いてあり、お尻のあたりにMと書かれたアヒルをついに発見した!

ほれどうじゃ!
眉毛アヒルじゃ!
まいったか!
© ill-health(ruephas) 2019
急いで体を拭き、眉毛アヒルを握りしめて更衣室に戻り、素早く着衣してフロントの中の人に眉毛アヒルを突き出すように見せつけて、
「やりました!30分かかって遂に見つけました!」
と誇らしげに叫んだじゃ。
したらばフロントの中の人は、
「わあ凄いですね。見つけた人を見たの私初めてですよ」
と返事をしてくれた。
さてワシは大人じゃから、自らソフトドリンクを要求するといったヤボはやらない。
暫く少し話をしとると中の人が、
「しかし残念ですねえ、お子さんがいらしたらソフトドリンクのプレゼントがあるんですけどねえ。お一人ですよね」
「(??。一体どういうことじゃろう?)」
「はは、は、ははは。そ、そうですよねえ。うんうん残念だ。残念ですねえ。うん」
状況が全くわからぬままワシは中の人と調子を合わせるしかなかった。
アヒルを返却し、外に出て掲示されとるポスターを見てみた。

ちいとばかり見にくいが…
© ill-health(ruephas) 2019
よく見ると、ソフトドリンクプレゼントと書いてあるあたりに緑色のテプラが貼ってあり、そこには、
<※入浴利用の幼児。小学生対象>
なる冷酷な一文が印字されておったよ。
くそう…。

泉質ポイント
1.0
風情ポイント
2.0
やぎさんポイント
0.0
入浴料
1,030
温泉コスパ
0.3


2019年8月12日月曜日

プロジェクト "山神社"(40) 富士市周辺における山神社の偏在

前回・前々回と山神社について書いとって、またもや山神社の話で恐縮じゃ。
そして更に、Japan Knowledge絡みの話でこれまた恐縮じゃ。
Japan Knowledgeなる存在をワシはこれまで全く知らんかったんじゃが、これはそもそも何かと思いJapan Knowledgeサイトのトップページを見たら、
ジャパンナレッジとは
辞書・事典を中心にした知識源から「知りたいこと」にいち早く到達するためのデータベースです。日本語や歴史を深く掘り下げて知識を得られる辞典から、英語だけにとどまらない各外国語辞書や東洋文庫などの叢書まで、あらゆる項目の一括検索が可能です!
ということじゃった。
このデータベースの利用は勿論有料で、個人利用の場合1,620円/月から
研究者ならば大変便利なサイトだとは思うが、市井に生きるしがないリーマンなワシにはあまり用の無いサイト、いや違う、正直に書くが、毎月1,620円払う余裕のないワシは会員になりたくてもなれないというのが正直なところじゃ。
しかしながら、Japan Knowledgeの中の人がそのデータベースをネタにして書くブログについては無料で読むことができ、前回・前々回と引用しとるのはそれじゃ。
引用したブログは本日現在までに157本も書かれておる日本全国「地名」をゆく!というシリーズのうちの一本じゃ。
このシリーズをひっくり返しておれば、もしかして大山くん関係の事を地名や社名をキーにして書いておられる人が居るかも知れんと思って見ておったら、何と、前回紹介したのの僅か3本後に大山祇神社について書かれておったことを発見した。
第135回 偏在には訳がある?(3)がそれじゃ。
内容的にはあくまで社名としての「大山祇神社」をキーにして、同社の新潟県における偏在について論を展開なさっておるというものじゃ。

そもそもワシが「山神社」に興味を覚えたのは、今から7年位前に静岡県富士市で単身赴任を始めた時、富士市内を走っとるとやたらめったら山神社という名前の神社があって不思議に思った事が始まりじゃ。
山神社という神社は全国的に広く分布しておるが、Google Mapを使って山神社を細かく拾っていくとやはり富士市及びその周辺での集積っぷりが半端ないことがわかる。
なぜそうなったかを今も知りたいのじゃが、それを系統立てて解説してくれる資料は今まで見つけられんかった。

これはもしやと思い、少しワクワクしながら読み進めたんじゃけれども、残念ながらワシが興味のある山神社や大山くんについての簡単な記載はあるものの突っ込んだ内容のものは見当たらん。
まあそうじゃろう。
繰り返しになるが、同ブログは論の建て方として「大山祇神社」という神社の分布の新潟県における偏在について検討しとるんじゃからねえ。

因みにブログの中には、
「結局のところ、新潟県における「大山祇」の偏在要因は見つけることができず、中越(とりわけ魚沼)地方、下越地方で盛んであった一般的な山の神信仰の一柱として「大山祇神」を奉祀していたことが主因ではないか、との推定にとどまりました。(下線はワシ)
なるものがあり、これはワシが「富士市における山神社のインフレーションの原因」として今も妄想しとる内容と同じようなものじゃ。
ワシの妄想とは即ちこれじゃ。
大昔にはそこら中に山の神様を祀った石祠があった。
富士山周辺にそのような石祠がたくさんあるのは、地域住民が抱く富士山への思いを考えれば割合納得出来る話なような気がする。
普段皆さんはその祠のことを「山の神様」のような一般名詞的な感じで呼ばわっとったんじゃが、ある日仕事か何かで少し離れたところに行ってきた吾助くんが、「あっちのほうじゃとワシらが『山の神社』って呼んどるような石祠に『山神社』ってかっけー名前つけとるぞ!」なる情報をもたらしたわけじゃ。
また別の日に別のとこに行って帰ってきた弥助くんが、「おい皆の衆。あっちの方の山神社に祀ってあるのは『大山祇命』って神様で、あのでっけえ三嶋大明神のとこの神様じゃそうじゃよう!」。
これらを聞きつけた皆の衆の行動は想像に難くない。
今も昔も日本人は最新(祭神)トレンドに流されやすい国民じゃ。
要するに皆の衆すべてが我も我もと石祠を勝手に「山神社」と命名し、その中の人を勝手に「大山祇命」としてしまった。
どうじゃろう。
なかなかありそうな筋立てじゃろ。
じゃから、山の神様を祀る祠や小さな神社が富士周辺に集積しとるのは富士山の影響で、それらがやがて山神社となり中の人が大山くんになっていったのは、当時の富士市民が他地区のパンピーに比べてかなり祭神・最新トレンドに敏感じゃったからじゃ。
どうじゃろう。
完璧な筋立てだと我ながら思うんじゃけれども、どうじゃろうか?

2019年8月11日日曜日

プロジェクト "山神社"(39) 静岡県にある筈の羽山神社・羽山社は果たして何処に

前回のポストで、静岡浅間神社の境内社に麓山(はやま)神社があり、その境内に「伊丹市 葉山 ◯◯」(氏名ですな)と刻印された石柱が何本か寄進されとるが、何か関連があるんじゃろうか。
というような事を書いた。
麓山・葉山。
読みは同じ「はやま」であり、なんか関係ありそうだと思うのはワシだけではあるまいと思う。
直ぐに調べられるのはやはりネットの世界じゃから早速調べてみた結果、Japan Knowledgeのサイト内に第132回 葉山・羽山・麓山、そして端山というブログページを見つけた。
内容的にかなり高尚、かつワシ自身あまりオツムが良くないため正確な要約は出来んが、全体としては麓山神社系列の神社は東北地方に数多くあるのに、その御祭神である少彦名命の方は日本全国にまんべんなく祀られており、その食い違った偏在っぷりが面白いということが書かれておるように思う。
内容を少し抜粋すると、
  1. 端山・麓山というのは「山なみの中で、人里近い低山。端近い小山。奥山や深山に対していう」意味である事
  2. 東北地方南部の「麓山・麓山」には葉山神社(葉山社)・羽山神社(羽山社)・麓山神社(麓山社)を祀っているところが多くある事
  3. 葉山信仰は農耕神(田ノ神)と端山を媒介とした祖霊神(山ノ神)の両方の性格をあわせもっているらしい事
  4. 葉山神社(葉山社)・羽山神社(羽山社)・麓山神社(麓山社)は圧倒的に南東北(および周辺)に偏在していて近畿・中国・四国では確認できない事
  5. 一方、葉山神社(葉山社)・羽山神社(羽山社)・麓山神社(麓山社)の祭神であることが多い少彦名命は日本全国まんべんなく祀られている事
というような事が書かれておって、その3.の考証の中で実際の数をあたっており、その結果も併記されておる。
即ち、羽山神社・羽山社については、
  • 北東北2(岩手2)
  • 南東北18(宮城5・山形1・福島12)
  • 中部1(静岡1
  • 九州3(福岡1・佐賀2)
あるとの事じゃった。

伊丹市に住まうの葉山さんと麓山神社系列神社の関連について想像させる内容は全く書いておらんし、それどころか麓山神社系列神社は関西には存在しないとの事なので、解明に向けての材料は皆無と言わざるを得ん。
残念じゃ。

それとは別に、ワシはやはり上記のうち3.に着目せざるを得ない。
これは大山くんに似たご神徳じゃ。
大山くんは誠に多種多彩な業務を各方面から請け負っておるんじゃけども、その一つやはり、春になると普段住んどる山から降りてきて田んぼを始めとする農業関係を取り仕切り、秋になって上手い事いったら莞爾として微笑みつつ山に帰るという大事な業務じゃ。
しかも静岡浅間神社境内社の麓山神社は御祭神を大山くんとしとる。
これは気になる。
更に、羽山神社・羽山社については静岡に1社あるとも書かれておる。
もし県内に羽山神社があって、その御祭神や建立の経緯などがわかれば何かのヒントになるかも知れんが、ワシは寡聞にして静岡県内に存在する羽山神社・羽山社を知らん。

Googleで羽山神社 静岡で検索かけてみても、Google Mapで静岡県近辺の羽山神社を検索かけてみても芳しい結果は得られんかった。
Japan Knowledgeの執筆者は(データ化された?)「日本歴史地名大系」を全文検索かけた結果を書いているようじゃけども、一般的なネットの世界では見つけることができん。
更にシツコク各方面を検索しとると、川根本町というところに白羽山之神社(静岡県榛原郡川根本町水川866-5)を見つけた。



羽山之神社。
下線部分に引っかかったのかも知れん。
山之神社というのも気になる。
しかしまあ偶然の一致じゃろうとは思ったが、一応調べとこうと思いまたもやネットの世界に頼ってみたがこの神社に関する情報は皆無。
まあ写真が何枚か見つかったので皆無というのは言い過ぎじゃと思うが、文字情報は一切なしというのは事実じゃ。
各都道府県にある神社庁によっては神社データベースの充実に注力し、それを積極的に公開しとるところもある。
岐阜県神社庁など結構多くの神社庁はかなり詳しく神社情報を公開しとる。
じゃが、ワシが住まう静岡の神社庁は神社情報公開に関しては全く興味がないらしく、社名以外何の情報も得られない。
最低、正確な鎮座地と御祭神くらいは書いとけよ静岡県神社庁。
お前ら仕事しろよ全く。
という為体じゃから静岡県神社庁からの情報収集は諦め、浜松市立中央図書館に行って収蔵されとる資料をあたってみたが、白羽山之神社は想像するに恐らく社格が低いため記載はない。
一番詳しい「静岡県神社志」でも、記載があるのはまあまあ村社までで、無格社の記載は殆どない。

ということで、以上つらつら書いたんじゃけども結果としては、
  • 静岡県にある羽山神社は見つけられんかった
  • 白羽山之神社という類似社名の神社は見つけたが多分関係ないじゃろう[1]
  • 麓山神社と伊丹市の葉山さんの関係を匂わせる資料は見つけられんかった
  • 要するに知りたいことは何もわからんかった
ということじゃねえ。
取り敢えずは以上じゃ。
くそ。
残念じゃ。

[1]
この神社の近隣には白羽山があり、順当に考えれば普通に山神社系列の神社であると思われます。

2019年8月6日火曜日

プロジェクト "山神社"(38) 麓山神社

8月3日は、静岡市文化会館に行って山下達郎のLive「Performance2019」を聴いてきた。
無論素晴らしい内容で幾らでも書くことがあるんじゃがまだツアー中ということもあり、今は控えようと思う。
網の世界を検索するとセットリストを公開しておる莫迦が多いことに驚かされるが、趣味が悪いと思う。
ツアー終了までは控えるが宜しかろう。

さて当日はクルマで赴き、会場近くにある24時間700円の駐車場に停めておいて、暑い中静岡浅間神社(静岡県静岡市葵区宮ケ崎町102-1:054-245-1820)に立ち寄った。
主目的は当然浅間神社ではなく(まあムスメじゃから一応そっちもちらっと参拝はしたが)本丸は境内社である麓山神社(はやまじんじゃ:静岡県静岡市葵区宮ヶ崎町103:054-245-1820)じゃ。
云うまでもなく大山君(大山祇命)が祭神で、神様業界では間違いなく大山くんより遥かに大物である日本武尊を脇に控えさせておる。
うむ、いいぞ。

くう、肝心要の大山祇命が見えん…
御神徳は諸願成就という
ベリーざくっとしたもの
なんでもござれの大山くんらしい
© ill-health(ruephas) 2019

この神社は広大な静岡浅間神社の境内の中でも最も高い場所に建立されており、併せて164段もの石段を登っていかなくてはならん。
普段ならばそのような難行苦行は絶対にしない人生を送っとるわけじゃが(大金を積まれた場合はこの限りに非ず)、大山くんが待っとるとあらばそうも云ってはおられん。
石段の一番下のところには遙拝所が設けられておるがそれは見て見ぬふりをして、というか寧ろうらやまし気に見つめながらじわじわと石段を登っていった。

石段の下にある極めて簡易な遥拝所
できればここで済ませたい心を
ぐっと抑えるよ
© ill-health(ruephas) 2019
しかし長くて厳しい石段じゃ。
五十肩の痛みを我慢しつつ一段一段登っていく。
心の中で「六根清浄六根清浄」と唱えながら登っていく。
汗が禿頭を伝って顎まで滴る。
驚いたのは、スポーツウェアを着た男がその石段を駆け上がり駆け下りという事を繰り返しておったことじゃ。
明らかに体に悪い行動じゃ。
健康に宜しくない。
窘めようと思ったがまあ人それぞれじゃから捨て置いた。
なんとかかんとか164段の石段を登りきり、漸く麓山神社に辿り着いた。
これじゃ。

こんな大邸宅に二人住まいとはなかなか贅沢
まあたまさかにはこんな感じも宜しかろう
© ill-health(ruephas) 2019
多くの大山くん系神社は「傾いだ石祠」であり、ワシとしてもそれに慣れとる。
しかしてこの神社の立派さときたらどうじゃ。
最初は別の神社じゃろうかと思うたくらい堂々とした神殿じゃ。
早速参拝して、ああ良かったなあ大山くん、ムスメの庇護下とは云えこんな素晴らしい住環境を与えられてよかったなあと内心感激した次第じゃ。
大山くん物件に参拝した時には、神社のぐるりを確認することにしとる。
云うまでもなく今回もそうしたが、その結果更に驚いた。
これじゃ。

へ?この神社、もしかして東照宮?
© ill-health(ruephas) 2019
何と素晴らしい装飾じゃろうか!
写真ではこの素晴らしさは全く伝わらん(から、このブログでは温泉銭湯そのものの写真を載せてない)。
当に「見たけりゃ自分の足で行って自分の目で見りゃいいじゃん」状態であり、嫌味でもなんでもなく本当に見に行ったほうがいい。
しかしながらダメ元でもう一枚写真を載せておく。

ぜひご自身の目ン玉で現物をどうぞ
© ill-health(ruephas) 2019
参拝も終えた事とて帰ることにしたんじゃけど、参道の左右に何本も立っとる石柱の寄進者の名前を見るとその殆どに「伊丹市 葉山◯◯」と刻まれておった。
葉山、麓山。
何か関連があるんじゃろうか?
葉山といえば神奈川の葉山が思い浮かぶが、真逆の場所と云っていい伊丹に葉山一族がおり、その一族が静岡浅間神社の境内社たる麓山神社に寄進しとる。
葉山、麓山。
ちいと調べてみようとは思った。[1]

いやあ、いずれにしても素晴らしい大山くん物件じゃった。
これならばあの厳しい石段を克服した甲斐があったというものじゃなあ。
しかし、こんな素晴らしい大山くん物件を見た後でも馬鹿な事をやりたい気持ちが抑えられない初老であった。

お日様を背にしたらシェーするに限る
© ill-health(ruephas) 2019
[1]
麓山神社の社名その他について考察されているサイト(Japan Knowledgeの「第132回 葉山・羽山・麓山、そして端山」)を見つけましたが、伊丹の葉山さんとの関係については書かれていませんでした。
また、麓山神社系列の神社は東北地方を中心に広がっており、関西方面では殆ど見られないということも書いてありました。
これは残念。
ただし、麓山神社系列神社と山の神・田の神との関連についての記述があり(麓山神社系の祭神の多くは田んぼ関係山関係での存在である少彦名命で、静岡浅間神社の境内社にも少彦名命を祭神とする境内社があります)山や田んぼ共に深いかかわりがある大山君との関連を想像させてくれます。

2019年8月12日 追記)
この脚注に関してもう少し詳しく書いたものをポストしました。