2012年6月23日土曜日

温泉に行かない日(93) 「原発再稼働に被災者の助言」という投書

朝日新聞というメディアの「声」というオピニオンページに関しては、屢々非常に悪い噂を聞きます。
「書き換えが酷い。主旨を全くねじ曲げて自社が持つ主張に合わせて強引に校正し、投書者の確認もろくに取らないまま掲載する」
という批判を良く耳にします。
「一応、書き換えを確認する電話連絡があるが、それは印刷にかける前の本当に寸前で、如何に抗議しても聞き入れられずそのまま掲載されてしまう」
というような類いの話は、Webをちょっと捜せば幾らでも出てくる事です。
私も、朝日新聞には多分大なり小なりそう言う体質はあると思います。

ただ、それを割り引いても、その内容に頷首させられる投書があったので、ctrl+c⇒ctrl+vではなく、記事を見ながらひたすら手打ちで転載します。
著作権は朝日新聞に帰属してるかもしれないけど、元は一市民の意見の発露だから構わず進めます。
朝日のようにねじ曲げないで、改行等も含めそのまま書き写します。
転載元は、朝日新聞2012年6月23日(土)東京本社版の声欄です。
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原発再稼働に被災者の助言
会社役員 斎藤 光一(福島県南相馬市 63)

大飯原発の再稼働が決まったと聞き、南相馬市民として一言周辺住民にアドバイスしておきたいことがあります。まず線量計を購入する。前日と違っているか知るだけですから精度は関係ありません。
間違っても行政が配布する積算線量計などに期待してはいけません。そして予備のガソリンは最低2缶買い置きしたうえで車は毎日夕方満タンにすること。1人が長時間運転しなくても済むように運転できる人も増やしておく。150キロ以上離れたところに避難できる場所を方向別に複数確保することはもちろんです。
複数のルートを調べ、できれば走って確認しておくのがよいと思います。高齢者とペットのいる人には体育館は避難場所とは言えません。避難は1年以上と覚悟し、必要な荷物はすぐに持ち出せるようにし、置いた荷物は盗まれると覚悟したほうがよいです。
一番大事なのは、原発から自宅の方向と距離を正確に把握し、毎日朝夕の風向・風速を確認、原発作業員の友人を複数持ち、何かあったら情報が届く体制を作っておく。
これが私と妻がこの1年で得たノウハウです。私たちが避難出来なかったのは、猫が私の足にすがりついて離れようとしなかったためです。
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このテクストは実践としてはもちろん、理念的にも非常に高い内容を持つ見識だと思います。
理念というのは実践を通じて高まるものだと考えるのですが、このテクストはまさにそれを具現しています。
投書者の実践は、放射能(放射線だったっけ?ヨメの怒りがなんだっけ?ヨメそのものがなんだっけ?ははは)から自らと自らの家族を守り、生き抜く為に必死に身につけた知恵であり、そしてそれをそのまま言葉にする事によって見事な原発批判、うーん違うな、もちろんそれもあるけど、それよりは無理強いをして原発を押し進めようとするために情報を隠し、嘘をつき、結果責任を取らず国民を欺くこの国(国政・自治それぞれ)への痛烈な批判になっている訳です。
また同時に、福島に住む住民として、いや、日本国民としての深い絶望も強く感じられます。

どうでしょう?
おおい町の皆様。
この投書者が書いている事は、最低限なすべき事だと思いませんか。
是非実践すべきですよ。
国からどんだけカネ貰っても、死んじまったんじゃあ、おしめえでしょう?
即死しないまでも、長い人生、放射能による病苦に苛まれながら生きるのは地獄でしょう?
貴方だけじゃない、孫ひ孫の世代までその影響は続いて消す事が出来ない。
これって、取り敢えずカネ貰ってる、おおい町の住民たちだけの話でもないですね。
放射能は「雨に溶け、風に乗って」[1]どこまでも飛んで行きます。
たぶん、原発の南東方面に住む人たちは、カネも貰ってないのに放射能の不意打ちを食らってシャレにならん位の被害を被るでしょうね。

もちろん、浜岡原発から比較的近い場所に住む私も、それは全く人ごとではないですね。
早晩、この原発も再稼働するだろうから、そうなったら早速Amazonで線量計を購入し、毎日数値を記録しようと思います。
浜岡原発から自宅の距離と方角を正確に把握し、観天望気のスキルも併せて鍛えて、もし線量計に異常値が認められれば天候を読み、よりましな方向へ逃げるという行動を即断すべきでしょう。
ただそれはあくまで「よりまし」であって、「ゼッタイ安全」ではないというのが現実なんですけどね、ははは。
一発事故れば、まあみんな死ぬでしょうなあ、わははははは。
その場合、出来れば即死がいいんだけど、まあ結局望み通りには行かなくて、筒井康隆の書いた「霊長類 南へ」みたいな状態で希望のないスラプスティックな逃亡劇を演じた挙げ句、バカみたいに野垂れ死にってとこが関の山。

[1]
浜田省吾:「A NEW STYLE WAR

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たぶん。