2013年2月1日金曜日

潮彩きらら 赤穂温泉 祥吉(1)

かなり以前の宝塚時代ですが、夕日が綺麗だという話を聞いてのこのこ出かけたのが赤穂は御崎海岸です。
無粋な私のことですので、夕日なんてのは10秒ほど眺めたらすぐに飽きると思ったし、そもそも温泉に入らなきゃ、出来れば立派なところではなく限りなく怪しそうなところに、ということで入ったのがここでした。
その怪しさ満点な旅館(かな?)についてはいずれ再訪したときに詳しく書きますが、それはもう兎に角怪しく、非常に私好みだったので未だに覚えているわけです。
で、今回はそういった怪しさ爆裂な感じでは無く、大変清潔感があり、食事も旨く良い温泉が有り、従業員の方も凄く好感が持てるという処の話です。

それは、潮彩きらら 赤穂温泉 祥吉(兵庫県赤穂市御崎2-8:0791-43-7600:¥1500:食事+温泉セット各種)です。
大阪から新快速に乗車し西へ。
途中、複々線で快速と並走しぶち抜くというような関東ではゼッタイにお目にかかれない鉄的に興奮するシーンを味わいながら途中駅の姫路着。
大阪姫路間は正に優良線区で、スピードに乗った非常に快感を伴う乗り心地で素晴らしいのですが、姫路を過ぎると一気に一昔前のローカル線の雰囲気に転じます。
それまで当たり前だったロングレールから通常のレール長になり、複線が単線と化し、速度が緩んでがったんごっとんと左右に揺れながら走りますが、それでも新快速のバッジは外さない。
まあこれは鉄系のブログじゃないんで余り書きませんが、そんな感じで終点の播州赤穂駅着。
南口の階段を降りるとお宿の車が待っててくれます。
良く有るマイクロバスじゃなくて、エスティマ。
乗った客は私だけ。
よし、いいぞ。
お宿の上得意になった様ないい気分。

お宿に到着し、待っていた従業員の方にドアを開けて貰って車を降りて。
何だか八代の松濱軒に訪れた時の内田百閒な気分。
百閒先生になったかのような気持ちで心の中で(えっへん)と言いながら悠々とした感じに見えるように悠然と車から降り立って、温泉より先に食事処へ。
温泉も愉しみだけど、牡蠣料理を味わう為に朝飯も抜いたんだから。
席に就くと、品のいい笑みを浮かべた仲居さんが注文を取りにきてくれます。
その仲居さんはホントにホントに愛想が良くて、ずっと笑顔で対応してくれました。
料理の事を書く前にこれを書くのは、ホントにその笑顔に癒されたからであります。
笑顔で愛想良く対応してくれるだけで、同じ料理でも味が違うと思うんだな。
その素敵な仲居さんの給仕で、素晴らしい牡蠣料理を堪能致しました。
味も量も全てが私にJust Fitで、酒も旨く、全てを美味しく頂いた後でさらに僅かな空腹を感じるという誠にベストでリッチなお食事でした。
さて、お風呂に入りましょう。




お風呂はお食事どころからエレベータで降りた所に有ります。
お宿に行った日は平日で他にお客は余りおらず、お風呂も最初から最後まで私だけの貸切でした。
脱衣し、浴室へ。
普段と同じように掛け湯をして、特に入念に下半身を清めてから先ずは内湯へ。
一人でゆったりと入れるのは嬉しいですが、最近は下町の混み合った銭湯に慣れてきているので、勿体ない感じもあり。
貧乏性。
少しあったまってから、露天へ。
露天からは海を見渡せます。
当日は残念な事にやや曇天であり、青空を望むことは出来ませんでしたが、広々とした海を眺めながら一人湯船を楽しむのはやはりいい気分。
その後、露天の端っこにあるお一人様用浴槽へ。
これは最近各所で時々見かける、抹茶茶碗を超巨大化した瀬戸物の浴槽です。
広々さが味わえるお風呂に来て、わざわざお一人様用の狭いのに入る事もなかろうといつも思うのであまり入る事はないのですが、折角だしと思って入ってみました。
ところが…、これが備後!
ちゃう、ビンゴ!
お湯が他の浴槽と全く違う。
注がれているお湯を少し口に含むと、他の浴槽では余り感じられなかった可成り強い苦みと塩辛さが感じられ、濃厚です。
多分、これは源泉を非加水で加熱しただけの源泉掛け流し。
浴槽の機械的なシステムには全く無知なので間違ってるかも知れないんですけどね。
逆に言うと、これで加水しているとすれば源泉はどんだけ濃いんだ、という事です。
これはいいぞ。
という訳でそのあとは最後までその狭い源泉茶碗浴槽(狭いと言ってもそれは他の大浴槽に比べればの話で、手足は充分伸ばせるし、狭い分掛け流し感が強いぞ)を味わい続けてました。
うん、いいぞ。
ここ祥吉、いいぞ。
凄く満足度が高いぞ。

語彙が貧困で、素晴らしい、とか、非常に満足とかしか表現出来ないのが辛いですけど、でも仕方がない。
素晴らしい。
非常に満足。
温泉の泉質だけで云えば、ここ以上の場所はよそにも沢山有るけれど、温泉の風情に含まれるのは泉質だけじゃないからさ。
払ったお金以上の見返りは有り余る程ありますよ。

誠によい気分でお宿を後にし、近くにある伊和都比売神社(いわつひめじんじゃ:兵庫県赤穂市御崎2:0791-42-3547)の周辺を散策し、駅へ送ってくれる車の発車時間が迫ってきたためお宿に戻ろうと道を歩いていると、近くの駐車場から出てくる軽自動車が一台。
運転席には一人の女性が坐っていて、こちらに向かってしきりに手を振っている。
うーん、私このあたりに知人友人はいないのだがなあと訝りながら目を凝らすと、その女性は何と先程の愛想のいい仲居サン。

自宅への帰路、私を見つけた彼女は先程と同じか、いやそれ以上の笑みを満面に浮かべながら手を振ってくれていたんです。
こんなに嬉しい事は有りません。
本当に気持ちがいいお別れでした。

0 件のコメント:

コメントを投稿

コメントどうもありがとうございます。
貴方のコメントは世界とワシとあなたを救う。
たぶん。