湯谷温泉に行きだしたのは多分2004年の冬くらいじゃったと思う。
前年まで宝塚という街に単身赴任しておったんじゃけども思ったように働くことが出来ず、心身とも疲れ果てて所謂「心の風邪」に罹って本拠地に戻り、3ヶ月ほどお休みを貰っておった時期がある。
その時関わってくれた看護師が、
「休みは目一杯取って切り上げることは考えないこと。仕事のことも一切考えないこと。あと、外に出たくなったらどんどん出たほうが良いよ。そうしてればそのうち仕事がしたくてしたくてたまらなくなるから」
と助言してくれたもんじゃからそれをそのまま忠実に実行することにした。
最初の数週間は安定剤とか入眠剤の影響でとにかく眠くて部屋に引きこもっておったけども、そのうち服薬のコントロールが上手く行きだすと規則正しい生活リズムに戻り、それに伴って少しづつ外に出るようになった。
散歩に出たり、近所の川に云って慣れぬ手付きで鯊を釣ったり、前から興味があったWebサイト構築のためにHTMLを独学しておったが何れにも心を惹かれず、そのうちハタと思いつき温泉に出かけることにした。
宝塚時代には既に温泉銭湯に入るのが趣味で、中でも武田尾温泉(兵庫県西宮市塩瀬町名塩4205-1:当時は確か¥1000)というところがお気に入りで暇があれば通っておった。
近隣のスー銭に行くのは如何に無神経なワシとて流石に憚られたし、どうせ行くなら武田尾温泉っぽいとこが良いと思い探してみると、すぐ隣の愛知県に湯谷温泉というものがあると解った。
ワシは早速出かけて、湯谷温泉郷の一番南側、鳳来寺山パークウェイ入り口すぐ横にある松風苑(愛知県新城市豊岡滝上64−3:0536-32-6058:のみ可:のみ時間は概ね11:00-15:00:¥1000/h)がお気に入りの場所になって、それこそ毎週、下手すると何日か連続で通うようになった。
当時は800円で時間制限もなく、他のお客さんと一緒になることも殆ど無くて気忙しくなく、ゆっくり時間を過ごすことが出来た。
日帰り温泉を楽しめる温泉宿は他にも幾つかあり、そちらの方にも入ってみたりした。
良くも悪くも何時行っても余りヒトがおらず、ワシ個人としては有り難いんじゃけども「これで良く経営できるなあ」という心配も同時に覚えたものじゃしそれは今も変わらん。
そうこうするうちに2ヶ月が経過し、その頃から暇で暇で仕方なくなり、看護師さんが云った通り仕事に行きたくてたまらん状態にまで回復し、無事復職できることに相成った。
全てとは云わんが、湯谷温泉がワシを助けてくれた部分は大きいと今でも思っとる。
現在、武漢ウイルスのおかげで各地の観光地がやられてしまっておる様子じゃけども、湯谷温泉は今どんな感じなんじゃろかと気になったので行ってみた。
前回行ったのは2019年7月で、まず大きく変化したのは湯谷温泉駅の駅舎がなくなってしまったことじゃろう。
過去に駅舎を撮っておらんかと探したが見つからなんだ。
今このようなことになっておる。
左手にある自販機のところからホームに行ける しかし、駅舎が消えるとは… © ill-health(ruephas) 2021 |
青いクルマが停まっておるが、その辺りの砂利だけが少し青っぽいじゃろう。
そのへんが嘗て駅舎があった部分じゃ。
今は見ての通り月極駐車場となっておる。
ううむと唸りつつ、宇連川西側の通りをぶらぶらすることにした。
以下、箇条書き的に状況を書いていこうと思う。
【鳳液泉の足湯】
無料の足湯じゃがやっており、じいちゃんと孫が足湯を楽しんでおった。
何よりじゃろう。
© ill-health(ruephas) 2021 |
本当は全景を撮りたかったが、右の方にじいちゃんと孫がおったため撮れなんだ。
【田舎茶屋まつや】
ここでは数回飯を食ったことがある。
本日は「元気に営業」しておって(ほれ、良く食い物屋に架かっておるじゃろこの手の表示)、表には客が何組がおったな。
© ill-health(ruephas) 2021 |
【旧 お食事処 ゆかわ】
ここはこのへんでは珍しい混浴をやっておった貴重な温泉じゃったが、既に廃業しとる。
復活すれば嬉しいなあと思ってはおるところじゃ。
このご時世、一旦撤退するとなかなか復業は厳しいものがあるんじゃろう。
そういう意味では、松風閣は珍しいケースなのかも知れん。
【旧 グランドホテル鳳陽】
こちらも2011年12月より前に廃業して今は更地になっとる。
湯谷温泉郷で唯一つまとまった空き地であり、解体工事直後は地元の生コン業者が跡地利用するかとの話もあったが有耶無耶になったようであり、勿論今も空き地のままじゃ。
© ill-health(ruephas) 2021 |
【はずグループ各館】
各館とも旅館部門は営業しておって、駐車場には他府県ナンバーのクルマも散見された。
このグループの旅館はどこも何だか敷居が高くて、中に入って「日帰りやってまっか?」と訊ねる勇気はワシにはなかったよ。
はず別館 中の人に見つからないかとビビりながら撮影 © ill-health(ruephas) 2021 |
【Hoo!Hoo!】
ここは新しく出来たお洒落なゲストハウスで、カフェも併設しとる。
前に1回利用したことがあるが、玄関先には無料の足湯もある。
© ill-health(ruephas) 2021 |
こういった場所があと幾つか出来たら、旧来の湯谷温泉郷のイメージを変えて若い人が来るきっかけになるんではなかろうかと密かに期待しとる次第じゃ。
しかし、玄関右手にある足湯には湯は張られておらず、玄関引戸を見ると3月7日まで臨時休業するとの掲示がなされておった。
© ill-health(ruephas) 2021 |
【旅荘みつい】
ここの露天風呂も仲々いいため、これまで数回伺っておる。
本日は外から見る限り、旅館自体がお休みしておるのかどうかはわからんかった。
ただ、隣にある専用駐車場には何台か停まっておったので多分営業自体はしとると思う。
右のクルマは県内ナンバーじゃった © ill-health(ruephas) 2021 |
【旅館ひさご】
ここは営業しておったが、無情にも「日帰り温泉お断り」の掲示がしてあった。
コロナの影響だと思いたい。
© ill-health(ruephas) 2021 |
【湯谷観光ホテル 泉山閣】
このホテルの大風呂は大変いいと思っとる。
全面ガラス張りで宇連川が見下ろせる内風呂と、その隣には半露天風呂があり長い時間楽しめる。
ホテルは営業しており、有り難いことに日帰りも以前と同じく受け入れてくれているようじゃ。
© ill-health(ruephas) 2021 |
【蓬莱ゆ〜ゆ〜ありいな】
最後はここじゃ。
ここは湯谷温泉唯一の日帰り温泉専用施設で、プールも併設しとる。
ただし、個人的になんとなく積極的には入りたくないという感じの施設であり、その理由はワシにも解らん。
ただし、ここもちゃんと営業しておって、地元のジジババが大挙として押し寄せておったな。
地元のジジババはこういった気軽に来れる温泉が何よりじゃとは思うので、頑張って営業してほしいと思っとる。
ただし、3月7日までは受付時間を通常より切り上げ、19時としとるようなので訪れる人は気をつけられたい。
本日は以上のことが解った。
基本的にはどの旅館も宿泊部門は継続しており、お客もそこそこ来ておる様子じゃった。
見かける人の数はむしろ普段より多かった(駅からゆ〜ゆ〜ありいなまで歩いても、誰一人として見かけんことが普通にある)。
湯谷温泉の各温泉旅館には是非何とか頑張って欲しいし、これまで通り日帰り客にも門戸を開けておいてほしいと願う次第じゃ。
ゆ〜ゆ〜ありいな近くの橋からの 宇連川の様子(手前が上流の南側) 本日はこの右側の通りを歩いた © ill-health(ruephas) 2021 |