「Aさん!会社のいろんな部署から『Aさんの最終勤務日はいつだ?!』『なんだって?もういないんだって?』『挨拶に来てくれると思ってたのに』『何も云わないで来なくなるなんて』とか電話がじゃんじゃんかかってきてたんですよ」と、少し怒ってような声で教えてくれました。
おれ、個人的に異動にともなっていろんな部署に挨拶に行くってダサくて嫌だったんで、実はやんなかたんですね。
それ以前に、社内で私を頼ってくれる人なんて僅少に違いなく、寧ろ、
「あの野郎、やっとここから消えてくれたか。せいせいしたぜ。ケッ!」と思っている職員が大半の筈ですので挨拶なんて必要ないと思ってたんですが、意外にそうでもなかったようです。
ですので、そのラフな身なりのまま社内奥深くずんずん侵入し、やはりどうしてもここだけは行かねばといういくつかの部署にお伺いし、ご挨拶して来ました。
そのうちの一部署では、なんでか知らぬが全員スタンディングオベーション状態で、これは昔ロックバンドをやっていた時代にもなかった快挙であります。
その上バラの花束までいただき、誠に過分なことです。
その花束を抱えて一旦会社の建物を出て、道を挟んで向かいに建っている商店のおばちゃんのとこに行きます。
私、このおばちゃんとは妙に仲がよく、見かけたら遠くからでも投げキッスを交わし合う程度に親密であります。
年齢は存じませんがどうでしょう、まあ、ご高齢であることは確かです。
普通のおばちゃんに見えますが実はそうではなく、会社社長であり、うちの会社の重役連中もこのおばちゃんを見ると頭を下げるといった隠然たる影響力を持った、まあ言えば、女版「秋山小兵衛」のような存在。
だけど私はそういうことにこだわらないタイプなので、単にこのおばちゃんがなんとなく気に入っているというだけで会うたびに投げキッスをしてるわけです。
スーツのままでね。
このおばちゃんに取り敢えずのお別れのご挨拶をして、おばちゃんからは選別代わりのチョコレートを5こも貰い、別れがたい感じだったんですがなんとか別れを告げて帰宅しました。
その後は普段通り家呑み。
そして就寝。
あすは引越し業者への荷物引渡しの日です。
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コメントどうもありがとうございます。
貴方のコメントは世界とワシとあなたを救う。
たぶん。