2011年6月29日水曜日

温泉に行かない日(25) 詰まらない循環

詰まらない循環は人を無気力にさせるなあ、と最近つくづく思う。
なんだかんだで変に忙しく、それもひりひりするような多忙ではなく、生温くねちゃつく感じの忙しさであり、それは人を確実に無気力にさせる。
毎日そのねちゃつきは繰り返され、循環し、いつか気分は落ちて行く。

ひりつく忙しさを乗り越えた週末は、きっとそれと同じくらい、ひりつくような遊びが出来るんだろうな。
でも現実は残念ながら、ねちゃつくような、例えて云えば暖まったジャムのような忙しさなので、精神が停滞している。
精神が停滞すると遊びへの欲求も停滞する。
わたくしの場合で言うと、温泉の事が遠くに離れていく気がする。

今週末は遠くに出かけよう。
出来るだけ遠くの温泉へ。
ねちゃつき、それが循環して気持ちの悪い渦を巻いている僕の日常をどうにかする為にさ。

2011年6月22日水曜日

温泉に行かない日(24) 焦らずゆっくりと

行きたい温泉が沢山ある。
最近では温泉だけでなく、街にある昔ながらの銭湯にも興味が沸いている。
高名な温泉にも勿論行きたいが、最近は近場の温泉にも銭湯にも凄く魅力がある事が解ってきた気がする。
自分の近くにある入浴施設をしっかりゆっくり焦らず楽しもうと思う。
性急に楽しんでは、後が続かないからね。
おじさん度が高くなってきたからか、自分のすぐ近くにある入浴施設の魅力が偶然にも解ってしまったせいなのか、とにかく、焦っちゃだめだ、ゆっくりと、ゆっくりと、と自分に言い聞かせているのであった。

2011年6月21日火曜日

温泉に行かない日(23) 松乃湯攻略失敗、或いは仕事帰りの入浴考

仕事帰りにひとっ風呂入る、という事は意外にあまりやられていないのではないかと思う。
実はわたくしも余り経験がない。
わたくしの場合、風邪の引き初めの段階において、それを撃退するには何故か入浴が有効で[1]、仕事帰りに風呂に立ち寄るのはそんなときくらいだけである。
そうじゃない平時、仕事帰りに銭湯に足が向かない要因は、わたくしの場合以下の通りなような気がする。
  1. 着衣がスーツである
    しがないホワイトカラーのわたくしは、それに相応しいユニフォームを着用させられている。
    つまりスーツの事だけど、何となくその恰好で銭湯とかに行くのは憚られる。
    何でだろう?
    未だに理由は解らないけど、心理的抵抗があるのは事実。
  2. 通勤手段が車である
    この理由は、風呂には直接関係ないが、わたくしにとっては重要なファクターである。
    地方都市の場合、多くの勤め人は車通勤である場合が多いのだが、わたくしもそれに該当する。
    で、クルマの場合、風呂上がりの麦酒を楽しめないという酒好きな人間にとっては致命的な事象があるため、つまり、弱い自分から飲酒運転という人としてやってはならねえ事から遠ざけるという意味で、なかなか浴場に足を向けられない。
  3. 仕事が終わらない
    今週辺りはたまたま上がりが早いけど、平時にあっての終業時間は大抵の場合21時くらいであり、その辺の時間には銭湯は営業を終えている。
ということである。
これらに対して自分で自分に反論してみると、
  1. 意味がわからんわい
    スーツだろうが何だろうが行きたきゃ行きゃいいじゃん、別に。
    更に言うなら、これから秋まではCool Bizなんだろ。
    堅いスーツに比べりゃカジュアルじゃん。
    行けよ。
  2. 我慢すりゃいいじゃん
    そりゃお風呂出た直後に飲む麦酒は旨いよ。
    そりゃ認めるけど、だけどオマエも一応オトナだろ。
    我慢して帰って、家でがん飲みゃいいじゃねえか。
    別の良い方すりゃ、そんなに風呂好き酒好きならバス通勤すりゃいいじゃねえか。
    全ていいとこ取りなんて、ムシが良すぎるんだよ。
    まったく何が言いたいんだか…
  3. 普通の銭湯じゃなくてもいいだろ
    まあ、スー銭よりは街の小さな銭湯の方がいいに決まってるのは解るけど、例えばオマエ自分で「和合の湯」はおっけ、みたいな事書いてるじゃん。
    お湯に浸かりたけりゃスー銭でいいじゃねえか。
    なに銭湯のプロ気取ってんだ、素人のくせに、ったく。
という感じかな。

実は今日、もし夕方から晴れて、且つ明日の午前中までそれが続きそうだったら、カイシャに置きっぱのチャリに乗って松乃湯に行こうと思っていた。スーツ姿ではあるけど(おまわりさんごめんなさい)風呂上がりに麦酒を楽しんでも帰れるし。

しかし、結局は行かなかった。
こんだけ書いておいてほんとに申し訳ないけど、行かなかった理由は、
「お風呂グッズを家に忘れた」
というものです。

「わたくしってホントにバカだなあ」と自分ながらつくづく思う梅雨の中晴れの夕方であった。
くすん。

[1]
知り合いの内科医も看護師も「風邪引いている時の入浴は禁忌」と口を揃えている。
従って基本的には避けた方が良い。

真似しない方がいいと思う。
わたくしの場合は特異体質ではないかと思うが、お風呂に入って沢山汗を流して、十分に水分補給をすると(酒はだめ)、そして妙な事にキャラメルを一粒舐めると、翌朝には何とかなっている事が多い。

2011年6月20日月曜日

山王峡温泉しらかば荘(2)

あれから約1ヵ月。
失われた硫黄の香りを求めて、わたくしは勇躍車に乗り込んだ。
行き先は言うまでもない。
静岡県西部エリアで最強との誉れ高い(とわたくしが勝手に定義している)山王峡温泉しらかば荘だ。
前回入湯時、あの素晴らしい硫黄の香りが失われ、そこらの入浴施設と変わる事のないMTMM状態に陥ったこの温泉に驚き、悲嘆の涙に暮れたものであったが、これは多分、今般この国を襲った不幸な自然災害の地政学的影響なのだろうと思い、暫く時をおいてどうなるか様子を見る事にしていたのだった。

しらかば荘の日帰り温泉客対象の営業は、毎週土日の11時から15時に限られている。
その11時に間に合うよう、9時30分頃出発した。
この温泉は、時々浴槽の調子が悪く休んじゃう事があるので、ここは抜かりなく現地に電話し、本日は営業する事を確認した。
天竜川左岸を通る通い慣れた道を快速で駆け抜け、予定通り11時を数分過ぎた辺りで現地に到着した。

いつものオヤジさんに400円也を支払い、早速浴室に向かう。
脱衣する前に辛抱たまらず、浴槽への引き戸を開ける。

どうだ?

ん?



やた!

硫黄!

一ヶ月前には失われたと感じていた硫黄の香りが浴室を満たしている。
「水」と書かれた札が貼ってある蛇口(源泉が出ます)を捻ると、正に新鮮な硫黄の香りが鼻をくすぐる感じだ。
「湯」と書かれた蛇口も捻り、早速「自分で全て調整可能な掛け流し状態」を作り出す。
硫黄の香り。
(お下劣な表現で誠にもって申し訳ないが)臑毛やお○ん○んの毛にはしっかりした泡付き。
開け放した窓の外から流れ込む山の空気と白倉川のせせらぎの音。

何もかも元通りだ。
とても安心した。
以前通り、1時間入っていても誰も来ない素晴らしい浴槽に身を委ね、浴室の壁に美しく反射する水面の光をうっとりしながら眺めていた。

何もかも元通りだ。
とても安心した。

全てが素晴らしい浴室を惜しみながら後にし、付近にある水窪ダムまで走って、ロックフィルダム独特な不思議な風景の中で、用意したお結びを3つほど食べた。
とっても美味しいお結びだった。

2011年6月18日土曜日

和合の湯(3)

本日はわたくし、重大な決意を持って和合の湯に望んだ。
即ち「韓国あかすりとは何か」なる疑問を実体験を通し解決しようと思い立ったのだ。
何だか、面白いように垢がぽろぽろ取れるという噂を耳にしていて、確かにそれは面白そうだ。
また私はアトピー気味でやや肌が弱く、お風呂で体を洗う場合2回に1回はタオルを使わず、素手で行う(勿論石鹸は使うけど)。
だからひょっとして一般人より大量の垢を出せるかもしれない、なる期待もあった。
「どれだけ大量の垢をこすりとれるかが男の器を決めるのだ」
等と言う今となってはさっぱり意味の分からない思い込みがワタクシを支配さえしていた。

本日土曜日、午前の仕事を終え、一旦帰宅してから着替えて午後2時過ぎに和合の湯に出かけ、震える手で千円札3枚(たいへん巨額な投資だ、わたくしにとっては)を券売機に投入し、出てきた切符をなくさないよう大事に握りしめ、韓国あかすり専用受付カウンターに歩み寄る。
気持ちはうわずっており、そのため微かに足が震えているのが自分でも解る。
未知の体験に怯え、多分そのときのわたくしの顔は蒼ざめていたであろう。
緊張のため掌は少し汗ばんでおり、3000円もするあかすり切符は少し湿っていた。
そして遂に、受付の瞬間がきた。
運命の時だ。





……。
おかしい。
受付には誰もいない。

通りがかった職員にわたくしは訊ねる。
「あかすりの受付人はいないのか?」
「おきゃくさぁん。韓国あかすりは4時半からですょ〜」

わたくしは3000円もするのにすっかり湿ってよれ切ったあかすり切符を職員に返却してカネを払い戻してもらい、和合の湯自慢の炭酸風呂に普通に大人しく浸かり、露天の岩風呂に普通に大人しく浸かり、暑さ(熱さ)を感じたため水風呂に普通に大人しく浸かり、普通に大人しく和合の湯を後にしたのだった。
それだけの話ですわ。
詰まらん話ですまんかったのう。

2011年6月17日金曜日

温泉に行かない日(22) しらかば荘は復活したか?

前回入浴してから約ひと月、週末は山王峡温泉しらかば荘に行こうと思っている。
前回来訪時、あの硫黄の何とも言えない良い香りが弱まって、MTMM[1]状態になってしまっていたので残念だったが、あれから一ヶ月、多分復活したと信じたい。
楽しみと同時に不安を抱えつつ…。

[1]
Mushoku Toumei Mumi Mushu(無色透明無味無臭)。

2011年6月15日水曜日

温泉に行かない日(21) イメージする温泉

わたくしの年代な人が、そうだなあ大学とかに入った頃って、まだスーパー銭湯とかは世の中に存在してなくて、娯楽的にお風呂に行こうっていうと、有名だけど高い温泉旅館か、町の銭湯に行くしかなかった気がする。
二十歳の頃には温泉や銭湯なんて全く興味がなかった(当時ロック大好き音楽人間であった私は、温泉及び温泉が好きだと公言する人間を寧ろバカにしていた。ロックという基準で温泉を見ると、単なる「じじい」という見方しか出来なかった)が、そんな私にも「温泉」と聞くとある共通な(つまりステレオタイプ的な)イメージがあったし、皆さんもそのはずだ。

どんなイメージかというと、町から少し(というか、だいぶ)離れた所にあって、理想的には山の中。
廻りには生い茂る林。
その木々の間から立ち上る温泉の湯気。
そこを訪れた一人旅の男が、誰もいないその温泉にゆったりと浸かり、柔らかで素晴らしい時間を楽しむ。

みたいな…

或いは辺鄙な漁師町の外れにあって、そこに住む人たちに大事に守られてきた温泉。
夕刻には漁師達やその子供達が楽しげに語らいながらお湯にひたり、さっぱりしてから沖で上がった魚を刺身にして美味しいお酒を楽しんでる。

みたいな…

勿論ご存知の通り、このような温泉は21世紀を10年も過ぎた今じゃ存在しない事は、全国民が知っている事だ。
ふた昔前くらいにはひょっとしてそんな所もあったかもしれないし、そんな所であった温泉も今では集客に血道をあげる観光施設になってしまったのかもしれない。
私たちがイメージする温泉というのは、夢の又夢であって、死ぬまでに実現出来ない幻なんだろうと思う。

と、思いつつ、なんだかんだと言っても「山の上にある静かな温泉」に行きたいと望み、二十歳の頃には存在していなかったWebの世界で、今日もわたくしは行きたい温泉の情報を集めているのであった。

2011年6月12日日曜日

和合の湯(2)

わたくしの年代な人が、そうだなあ大学とかに入った頃って、まだスーパー銭湯とかは世の中に存在してなくて、娯楽的にお風呂に行こうっていうと、有名だけど高い温泉旅館か、町の銭湯に行くしかなかった気がする。
二十歳の頃には温泉や銭湯なんて全く興味がなかった(当時ロック大好き音楽人間であった私は、温泉及び温泉が好きだと公言する人間を寧ろバカにしていた。ロックという基準で温泉を見ると、単なる「じじい」という見方しか出来なかった)が、そんな私にも「温泉」と聞くとある共通な(つまりステレオタイプ的な)イメージがあったし、皆さんもそのはずだ。

どんなイメージかというと、町から少し(というか、だいぶ)離れた所にあって、理想的には山の中。
廻りには生い茂る林。
その木々の間から立ち上る温泉の湯気。
そこを訪れた一人旅の男が、誰もいないその温泉にゆったりと浸かり、柔らかで素晴らしい時間を楽しむ。

みたいな…

或いは辺鄙な漁師町の外れにあって、そこに住む人たちに大事に守られてきた温泉。
夕刻には漁師達やその子供達が楽しげに語らいながらお湯にひたり、さっぱりしてから沖で上がった魚を刺身にして美味しいお酒を楽しんでる。

みたいな…

勿論ご存知の通り、このような温泉は21世紀を10年も過ぎた今じゃ存在しない事は、全国民が知っている事だ。
ふた昔前くらいにはひょっとしてそんな所もあったかもしれないし、そんな所であった温泉も今では集客に血道をあげる観光施設になってしまったのかもしれない。
私たちがイメージする温泉というのは、夢の又夢であって、死ぬまでに実現出来ない幻なんだろうと思う。

と、思いつつ、なんだかんだと言っても「山の上にある静かな温泉」に行きたいと望み、二十歳の頃には存在していなかったWebの世界で、今日もわたくしは行きたい温泉の情報を集めているのであった。

みよし湯(1)

幼稚園の頃は、父親の勤務先にあった社宅に住んでいた。
その社宅は岐阜市内の繁華街近く(岐阜市真砂町の辺り)にあり、小学校に上がる寸前まで暮らしていた。
もう40年以上も前のこと故、その頃の記憶は可成り薄れて来ているけど、ぼんやりと覚えてる事もある。
社宅前で幼稚園バスを待っていたら虹が出て綺麗だった事、近所にあった地方百貨店の地下にあったラーメン屋が旨かった事、暑い中窓を開け放して扇風機を全開にし焼き肉をした事、等々。
銭湯の記憶もその一つ。
社宅には確か共同風呂があったと記憶するが、近所にあった銭湯にも行っていた。
(子供の目から見れば)大きな浴槽、浴室内の照明が浴槽のお湯にきらきらと反射し綺麗だった事を妙に覚えている。
それ以来、このトシになるまで銭湯に行った事はそう多くはなくて、次に示す程度だ。

■行った記憶のある銭湯■
名称住所等営業状況情報感想等
名前失念S運輸岐阜支店(つまり我々親子が住んでた社宅)のあった岐阜市真砂町から幼稚園児が歩いて行ける範囲のどこか不明幼い頃の記憶では、湯船からお湯がじゃんじゃんOFしていたので、当時は循環なんてさせてなかったのかねえ?
名前失念阪急今津線小林駅から徒歩10分くらい東の方にいったあたり不明立派な建物で料金は篦棒に安かった筈
名前失念JR別府駅から至近の何処か不明年期がはいった建物だった
いうまでもなく温泉銭湯
蒲田温泉東京都大田区蒲田本町2-23-2 ハイツ志摩1F
03-3732-1126
JR蒲田駅から徒歩10分
営業中東京銭湯でよく見られる典型的な熱い黒湯で温泉銭湯
何かの時に京浜東北線で蒲田駅を通過中に南の方を見たら偶然温泉櫓が目に入り、辛抱たまらず現場に行ったという経緯です
焼津黒潮温泉元湯 なかむら館静岡県焼津市駅北1-14-7
054-628-4397
営業中元旅館で今はお風呂だけの営業形態
温泉銭湯
名前失念名鉄柴田駅から徒歩範囲の何処か不明大学時代に一度いった銭湯が柴田駅近くにある
人生で初めて893さんの芸術的な背中を間近にみた場所として記憶している
    くらいのもの。
    上から2番目の阪急今津線小林駅から徒歩10分のところにある銭湯には、単身赴任時代一度きりしか行った事はないのだけれど、それがきっかけになったのかその後急激に温泉に開眼、傾斜するようになり、比較的至近距離にあった武田尾温泉元湯(兵庫県西宮市塩瀬町名塩4205-1:0797-61-0234)に通い始めたのだが、こちらの銭湯に通い詰める事は何故かなかった。
    そんな中、昨日みよし湯(静岡県浜松市中区曳馬6-5-30:053-471-3844)という銭湯に行ってきた。
    いつぞや、土曜日だかのカイシャ帰りに、東名高速浜松北バスストップから高速バスに乗ろうと思い、そのため遠州鉄道曳馬駅から電車に乗ろうと歩いていたら偶然見つけた銭湯だ。
    それ以来いつか行ってみたいと思っていたのだが、中々機会を得られなかった。
    今回は、みよし湯の筋金入りの常連客Kさん(みよし湯評論家)に導かれ、念願の来訪・入湯が叶った。

    Kさんの車に乗せてもらい、夕方5時過ぎに到着したのだがその時点で台く5〜6台くらい停められそうな駐車場は略いっぱい。
    車を何とか空きスペースにねじ込み、青色をベースにした鮮やかな暖簾をくぐり板場へ。

    うーん!懐かしい。
    そこいらにあるスーパー銭湯とは、ヤッパリ格が違うなあ。
    時間の経過によって生まれた重厚感が空間を支配している。
    古色蒼然という言葉があるが、ここは正に「古色燦然」という感じ。
    そして「銭湯」と言われて皆がイメージするエレメントは漏れなく揃っている。
    番台・番台に積まれた販売用の石鹸やタオル・20円で動く肩揉み機、10円で使えるドライヤー・天井でぐるぐる回ってる扇風機・男女の板場を区切る低い壁(馬場さんだったらむこうを見渡せるかも)、古い木製のロッカー、等々、等々…。
    番台で300円払い、常連さんに黙礼して裸になり、硝子戸を開けて早速浴室に入る。
    入り口近く右側に整然と積み上げられた黄色いケロリン桶(小型=関西サイズ[1])を手にとり、ざばざば掛け湯をし、浴槽に入る。
    私にとってやや熱めに感じるお湯には、子供の頃の記憶通り光がきらきらと反射し綺麗だ。
    ベスト入浴人数が6人程度の浴槽は少し独特の形で、深くなった中央部分の両脇に電気湯と気泡湯が配置されており、また腰掛ける部分も高低が付けられているため、便利だ(たぶん書いている意味が全然解らんと思うが、実際に行って体験すれば解るよ)。
    板場と同じく、男女浴室を区切る壁は低く、夫婦で行った場合、秘技「オーイ出るぞぉ!」が使えそうだし、女湯を覗こうとする不埒なオヤジがいた場合、むしろ女性軍がケロリン桶や石鹸で撃退しやすい高さとも言える。
    で、低温のお湯が好みの私は、10分も入っていると流汗淋漓、頭がだんだんふらふらしてきたので、一旦浴槽から出て、お水で手首と首筋を冷やし、血液が冷えたら入浴し、という事を数回。
    頭のてっぺんからつま先まですっきりした所で体を拭いて板場に戻り、扇風機と団扇で火照った体をさまして、みよし湯を後にしたのであった。
    ちなみに入浴中、わたくしはふらふらになった時間帯を含めてずっとにやにやしていたけど、その表情はお気に入りのお風呂に入った時に必ず出る癖である。

    その後、みよし湯の近所にあるこれまたKさん行きつけの焼き鳥屋(大将は明るくてエロで、つまりいい方だ)で乾杯。
    風呂上がりの麦酒と焼き鳥が美味しいおいしい。
    ちなみにKさんは酒が一滴も飲めない体質とのことなのだが、何故かそこにはKさんの名前でキープされた焼酎のボトルが…。
    Kさんってちょっと摩訶不思議な人物である。

    とにもかくにも全く楽しい、上々な一日であった事よ。
    摩訶不思議なKさん、有り難うございました。

    [1]
    ケロリン桶には関西型と関東型の2タイプがあり、前者は小さめ、後者は大きめ。
    関西では関東より多めに掛け湯をする風習があるらしいため、桶が大きいと重いし、お湯も勿体ない為、関西では小さめの桶になったとの事。
    関西型は大阪や京都等の限られたエリアでしか見られないとの情報もあるのだが、中部に立地するここみよし湯では何故か関西型。
    詳しくはここここをご参照の程を。
    ちなみにケロリン桶はネットでは販売していない。
    しかしLoftで手に入るので、欲しい人は銭湯から盗むんじゃなくてちゃんと買ってね。
    筆者もそうして関東型を入手し、入浴グッズ入れとして活用している。
    ロフトで買ったケロリン桶
    それだけでも様になるが、可愛い石鹸箱や温泉地で購入した
    タオル等を組み合わせて銭湯や温泉に行けば
    もうそれだけであなたは注目のヒト(なわけない)
    (C)ill-health 2011

    2011年6月5日日曜日

    焼津黒潮温泉元湯 なかむら館(1)

    11時過ぎに車に乗り込み、セルフのガススタンドで給油をしてから、例によって国1バイパスに乗り約1時間30分、取り敢えずJR焼津駅に到着。
    焼津というと漁港の町、大漁旗をはためかせた漁船が海上を埋め尽くし、威勢のいい漁師達が闊歩し、住む人は誰もが毎日かつをのたたきを食べて大声で笑いながら酒飲んで盛り上がってる、みたいな妙なステレオタイプ的イメージを持っていたのだが、実際に行ってみると全然そんな事はなく、駅前もその周辺も大変静かなもので、元々そうだったのか町が衰退しているのかは解らない。
    Webでの情報によれば、目的の焼津黒潮温泉元湯 なかむら館(静岡県焼津市駅北1-14-7:054-628-4397)には2台分の駐車場しかないとの事だったので、焼津駅北にある市営駐車場に車を放り込み、そこから5分程歩いて目的地に向かった[1]

    ところでこの温泉施設の名称だが、正式名称がいまいち解らない。
    わたくしが最も信頼を置いている温泉情報サイト日帰り温泉へ行こう! 愛知県刈谷支部によると「焼津黒潮温泉湯元なかむら館」、iタウンページGoogleプレイスページなんかだと、単に「なかむら館」、他にWebをちらほら見ていると「湯元なかむら館」「元湯なかむら館」「焼津黒潮温泉 元湯なかむら館」などまさに百花繚乱状態であり、どれが正しいのだろうと思う。
    一応ここでは、玄関の硝子戸に書いてあった「黒潮温泉元湯 なかむら館」Web上での表記が最も多いように思われる「焼津黒潮温泉元湯なかむら館」を元にし、現場の玄関の硝子戸の表記に順して「焼津黒潮温泉元湯 なかむら館」としておこう。

    到着したのは13時30分頃だった。
    Web情報では、営業開始は13時とか14時とか諸説があるのだが、到着時点では既に開いていた。
    正解が13時なのか、本当は14時開始なのだけど今日はたまたま早く開いたのかは解らないけど、まあどうでもよいことだ。
    お昼ご飯を食べ終わったくらいには、まあ大抵は開いているとでも覚えておけば良い。

    店の方が誰もいなかったので声をかけると、奥から品の良さそうなご婦人が出てきた。
    挨拶し、料金400円を払って早速浴場に入る。
    女湯の方には既に先客がいるとみえ、世間話らしい会話がしきりに聞こえてくる。
    男湯の方は、貸切状態(まただよ。わたくしが行く温泉は何故こんなにも客がいないのだろう)。
    浴槽はなんて言うんだろう、きちっとしたスクェアな感じの形状で、ベスト入浴人数は3人くらい。
    一部が浅くなっており、腰湯状態で寛げる感じ。
    壁面から鉄パイプを突き出させてあるだけの無骨な吐湯口からは、少量ながら温泉が注ぎ込まれており、同等の量のお湯が浴槽の縁から静かに流れ出ている所謂掛け流し。
    見るからに、まことにいい感じである。

    掛け湯をすると、成る程確かに可成り熱いお湯だ。
    熱いは熱いけどしかし、静岡市の山の中にある口坂本温泉浴場(静岡市葵区口坂本652:054-297-2155)の内湯程には熱くない感じだ。
    ぬるめのお湯が好きなわたくしでも、何とかなるくらいの湯温だ。
    浴槽に身を沈め、お湯を手にすくって、噂に違わぬ塩辛くて強い苦みがする温泉を味わいながら、
    「うん、熱めのお湯も中々いいじゃないか」
    …等と思っていられたのは最初の5分だけ。
    それを過ぎるとしきりに汗が噴き出し始め、その量は尋常ではなく、10分過ぎる頃には頭がぼーっとしてきた。
    これはいかん倒れるぞ、と感じたため一旦浴槽から出て、洗面器に水を溜め、それにタオルを浸して首の後ろ側と手首を冷やす。
    落ち着いたらまた浴槽に身を沈め、またぼーっとし、浴槽を出て手首と首筋を冷やす。
    それを、そうだなあ、4回くらい繰り返して温泉を楽しんだ。

    で、結論。
    いい温泉を、近場でまた見つけちゃった。

    [1]
    実際には、建物の玄関すぐ脇にある3台分(2台だと余裕、車庫入れが上手い人ばかりであれば3台分)のスペースの他に、建物すぐ裏(JRの線路側)に数台分(3〜4台分くらいかな)と、JRの路線と反対側徒歩数秒の場所に可成り多くのパーキングスペースを確保しているので、車で来ても全然問題なし。

    温泉に行かない日(20) 優柔不断者の行動計画

    昨夜は急遽思いついて、浜松駅近くにあるLa-Jann静岡県浜松市中区田町330-11:053-457-1006いうスタンディングバーで少し飲んだ。
    その時点では、次の朝(つまり今日の事)は早く起床して、伊豆方面の温泉へ出向く気満々だったのだが、蓋を開けてみると起床時間は8:30、片道4時間以上の旅程をこなすには少々遅すぎるため、朝食のカレーを食べつつ、新聞を読みつつ、どうするかぼんやりと考え始める。
    行った事のない温泉で、かつ片道1時間程度の場所をいろいろさがしていた所、焼津に温泉がある事を思い出し、調べて焼津黒潮温泉元湯 なかむら館(静岡県焼津市駅北1-14-7:054-628-4397)が適当であろうと結論し、出かける事に決めた。
    しかしながら、営業時間が13時(14時との情報もあり)のため、結果としてもう少しゆっくり出来る。
    という事で、昨夜読みかけの「第二阿房列車」(內田 百閒:うちだ ひゃっけん)<著者名の4文字目が化けている可能性有り。門構えに月>を少し読み、それから出かけて、夕方までには帰宅するプランだ。

    わたくしは、はっきりと低温の湯が好きなのだが、ここのお湯はかなり高温だそう。
    かつ、わたくしはすこしアトピー気味なので食塩泉は苦手なのだが、ここのお湯は可成り濃い食塩泉だそう。
    そんなわたくしがここの温泉に浸かってどんな感想を抱くのかが、自分でも興味津々。


    そのことも含め、優柔不断ぶりでは人後に落ちない私が、プラン通りの行動が出来るのかどうなのか、結果は今夜。

    2011年6月4日土曜日

    温泉に行かない日(19) 温泉行く前に家でシャワー

    初めての温泉に出かける時には、大抵シャワーを浴びてから行くことにしている。
    今やそこら中に出来ているスー銭や設備が整った最近の温泉施設なら、そんな事は不要だが、年期の入った古い温泉に出かける時は、特にそれを励行するようにしている。
    何でかというと、昔ながらの温泉では「石鹸使用禁止」の場合がままあるから。
    化学的なことは全く疎いのだけれど、泉質によっては石鹸の成分と仲が悪く、汚れを落とす為の石鹸が逆に汚れになってしまうことがあるらしい。
    うーんよくわからない話なんだけど、こういう事って、その温泉が持つ永い歴史の中で事実として証明された事なんだろうから、理屈が解んなくても納得せざるを得ない気がする。

    で、お湯に浸かる前に石鹸で体を洗えないとなると、汚い体でお湯に入るのを防ぐ為には、家でひとシャワー浴びといた方がいいだろうと言う事です。

    私の行った事のある温泉で、公式に「石鹸使用禁止」な温泉は2つあって、一つは平山温泉龍泉荘、もう一つは寸又峡温泉美女づくりの湯。
    どっちにも、壁には「石鹸使用禁止」の掲示がなされていて、どこにも石鹸は置いていないので、ご注意の程を。

    ところで、これに関連しての事なのだけど、やっぱり入浴マナーの事は書きたい。
    世の中には、あまりに常識はずれなことをしでかしてる客が意外に多く、その余りの腹立たしさで温泉に浸かってる至福感が虚空にぶっとんで行ったのは数度ではない。
    何となくの傾向なんだけど、若い男は案外きちんとしたマナーを持っている。
    むしろ、わたくしと同じか若しくはそれ以上の世代に属する男達にビックリするような常識はずれが多い。
    とにかく、世にゴキブリのように蔓延る糞バカオヤジ達に告ぐ。
    最低限はこれを守ってくれ。
    1. しっかり体を洗ってから湯船に入れよ
      敢えてはっきり書くけど、特にケツの穴や金玉は念入りに洗ってくれ。
      超人的宇宙的にまで不潔なオマエのウンコやションベンが溶け出した温泉なんかに、誰が入ろうと思う?
      そんなんに浸かるくらいだったら死んだ方がマシだ。
    2. タオルや手ぬぐいを湯船にいれるなよ
      こんなアホらしい事を言わせるなよコラ。
      あ、バカかオマエ!浴槽ん中でタオル絞るなよおい。
    3. 吐湯口から出てくるお湯を頭から被るなよ
      見ろよ。
      オマエのその禿げ散らかしたドタマから抜けた汚ねえ毛髪が湯の中で踊ってるじゃねえか
    4. 騒ぐな!

    このくらいは、最低守りましょうよ、皆さん。
    因にわたくしの場合、まったく体を洗わないまま浴槽に入ってきたバカがいたら、抗議の意を示す為に大きな声で「汚ねえなあ」と直接本人に吐き捨てて、直ぐさま温泉から出るようにしている[1]
    まあ、そういうやつに限って、そんなこと1mmも気にしないんだろうね。

    (*)
    この辺りはやや言葉が乱暴だが、それはリチャード=スターク(ドナルド=E=ウェストレイク)の名著「悪党パーカー」シリーズの主人公、パーカーの言葉を参考にして書いた為だ。
    うろ覚えだが大意としては、
    「敵を攻撃する時にはその攻撃と同じ程度にすればいい。敵が怒らせるつもりだったら、こっちも怒らせればいい。殴るつもりだったら殴ればいいし、殺すつもりだったらこっちが敵を殺せばいい」