たまたま京都に出張に行っていた友人から、九重湯(京都府京都市南区東九条南山王町28:075-681-3634:¥410:16:00~23:00:日曜定休:公式Websiteなし)についてのご報告を戴きましたので、今回はそれを紹介したいと思います。
堀川御池より九重湯を目指す。
地下鉄に乗って京都駅に戻って…と思って地下鉄路線図を見たら、なんとちょうど駅南に続く線ではないか。
これなら、京都駅の1つ南、九条駅で降りた方がよいか?と思い、Google Mapを確認。
が、まさに九重湯はちょうど京都駅と九条駅の真ん中あたりのようです。
悩んだ結果、道のりが楽しそうで運賃も安い京都駅で降りることに決定しました。
いざ、京都駅に着くと、まあ予想していたことなんだけど、どっちが八条口なのかさっぱりわからない。
そうしているうちにお土産やさんにフラフラと吸い込まれたり右往左往してようやく見つけた案内板を確認すると、現在地は思いっきり逆の北口側であることが判明。
まあよれならそれでむしろ清々しい、迷いなく真逆にいくだけだと、ズンズン歩き、ようやく駅南の地上に出たところ、目の前には先ほど地図で見た「京都アバンティ」。
おお、アバンティ!きみが目印だ、頼もしいぞ。
という事はだ、このアバンティの東側の道を南下していくだ、と先ほどまでの駅構内のウロウロぶりとは打って変わって地上に出てからは迷いなく歩みを進めることができました。
行くに当たって予め温/泉/週/記で確認した情報では、駅から5分ほど南下、とありましたが、実はワタクシ少々疑っておりました。
最寄り駅からまでバスで40分、と謳っている中古マンション広告のように(嘘つけ、40分なんかで着かすかい!)、若干の誇張があるのではと思っていたのです。
意図的でなかったとしてもね。
もうちっと遠いのではないかと。
が、ほんと5分足らず歩くと、第2のランドマークである交番が見えるではありませんか!
おお、交番だ、確か温/泉/週/記では交番の次の角を曲がると書いてあったはず…と思いつつ、ブログではなくGoogle Mapを見返すと、まさに交番の角を曲がったところにあることになっています。
その小路を覗けば、確かに青果店がネギだの白菜だのを商っており、昭和のかほりが漂っています。
まさしくこの道、と確信を持って進むこと約20秒、右手でやっている工事現場眺めて暫く歩き、営業中の旗をはためかせている精肉店を過ぎ…
って、あれ…?
まさか⁉︎
そう、そのまさかで、戻ってみた工事現場、そこが九重湯でありました。
今まさに、ショベルカーが入って建屋をバリバリと壊しており、よく見れば、敷地奥の方に浴場らしき空間が見えます。
手前にあるのはおそらくお湯のタンクでしょう。
作業している兄さんたちとは明らかに年齢も出で立ちも異なるおじさんが腕組みしてじっと見守っています。
年の頃、80歳近くでしょうか。
間違いないとは思いつつ、一応そのおじさんに、
「あのう、ここは九重湯ですか?」
と聞いてみると、
「そうだよ」
とのこと。
ああ、間に合わなかったか…
先月から解体しはじめたそうです。
おじさんは、
九重湯の4代目で、息子さんが継いで5代続いた古い銭湯だったこと。
NHKも2回くらい取材に来たことがあること。
有名人も結構きていたこと。
昔は床屋もやっていて、みんな散髪した後にお風呂に入ってそれで1セットだったこと。
だから年末なんかは床屋も銭湯も大忙しだったこと。
お湯は100メートルくらいボーリングして地下水を汲み上げていて、そのまま沸かすと鉱物で濁ってしまうので濾過してから沸かしていたこと。
九重湯の前の道はずっと行くと東寺にぶつかり、徳川時代からある古い道であること。
などを話してくれました。ううむ、そうか。
「私は入ったないんですけど、知り合いにいい銭湯だと聞いたので来たんですが…残念です。その知り合いは通りすがりに寄ったので、石鹸とか持ってなくて買おうとしたら番台のおばさんが九重湯って書いた桶を貸してくれたって言ってました」
と伝えたところ、
「ここはねぇ、京都駅近いでしょ?だから結構遠くから来た人もくるのよ。そんな人にさあ、石鹸代とかもらうの悪いじゃない」
と、江戸っ子ならぬ京都っ子の心意気を見せてくれました。
わたし、実家が店を廃業して工場解体した時泣けて泣けてしょうがなかった。
きっとおじさんも泣いただろう。
でも、もう今日のおじさんにはそんな湿っぽさはなくて、サッパリした様子でした。
現場は浴場の様子がまだわかるだけに痛々しい感じがして、長いことお疲れ様でした、と浴場(とおじさん)に頭を垂れて帰ってきました。
帰り道、すぐ近くの青果店の前を通った時に、おそらくそこのおばさんが、「目は痛いし、ノドはイガイガするし…もう」と、誰かにブツブツ言っているのが聞こえ、ちょっとわたしの湿っぽさも飛んだのでした。
でも仕方ないね、残念だけど。
1回でも入浴できたのは幸せだったと考えるしかないでしょう。
考えてみれば、1回入っただけの銭湯が廃業して取り壊されてしまったのはこれが2つめなのですが、繰り返すけど仕方ない。
レポートを書いてくれた方は写真を撮ってくれていました。
もう入ることの出来ない、今正に取り壊されつつある銭湯の姿なので、主義を曲げて掲載したいと思います。
photo © y/ill-health 2016
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コメントどうもありがとうございます。
貴方のコメントは世界とワシとあなたを救う。
たぶん。