2011年12月29日木曜日

温泉に行かない日(61) 今こそ温泉法を検討する

以前から時たま書いている通り、私は泉質とかに関する科学的知識は皆無です。
だからどっかの誰かが、
「何チャラカンタラナトリウムナントカ泉って、やっぱ素晴らしいよなあ」
とか感極まって言ったとしても、その言葉の意味は全然分かりませんのでさくっと聞き流すだろうし、温泉分析表とかはっきり言って一切見ないです。
それとも関係していると思うのだけど、私、実は「温泉」の定義を知らない。
個人でやってる系の温泉サイトなんかだと例えば「メタホウ酸で規定」みたいな書き方してて「カッコいいなあ」と思うのだけど、その意味は全く知らない。
何となく、
「入浴業界の方針かなにかで、メタホウ酸なる物質が一定割合以上含まれていれば温泉って決まってるんだろうな。メタホウ酸ってことはあれかね、やっぱホウ酸みたいなもんか?もし俺がゴキブリだったらたまったもんじゃねえな
とは思ってました。
で、調べてみたんです。
驚いた事に「温泉法」なる法律があるのですな[1]
人類ってなんでもかんでも法律にするんだな、まじで吃驚したわ。
その第二条に温泉の定義がしてある。
(定義)
第二条
 この法律で「温泉」とは、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、別表に掲げる温度又は物質を有するものをいう。 
へええぇ、お湯とかお水だけじゃなくて、水蒸気やらガスってのも「温泉」なんだ… 
初めて知った。
水蒸気はまだ解るけど(蒸の湯みたいなとこがあるからね)、ガスってのは何か怖くて浴びる気になれないよ
温水って何度以上の事なのかな?
と思って別表見たら、
「温泉源から採取されるときの温度が25℃以上」
ってある。
意外に低いんだねえ。
例えば寒い地方で、泉源から何とかかんとかギリ25℃の「温泉」が沸いててさ、だけど浴室が結構離れている場合、真冬に「非加熱源泉掛け流し状態」なそれに入るのは結構修行ですよねえ。
凍えてチアノーゼ状態になるのは間違いないね。
やっぱ例えばさあ「浴槽の湯口で38℃以上」とかじゃないと現実的じゃないよね、と素人にはそう思える。
「温度又は物質」という事は、どっちかでいいんだ。
例え0℃の水でも、何かが入ってれば「温泉」(=温かい泉ってことだよね)なんですなあ。
日本語って不思議で懐が深いですな〜。
ところで「物質」って何だろう?
何が入ってればいいんだろうか?
ということで「別表」に定める「物質」を書き写してみます。
なお、実際の条文の表記は例えば「一、〇〇〇ミリグラム」みたいに漢数字を使ってるけど、これじゃあ全然解りにくいので「1,000㎎」というようにアラビア数字と単位表記に書き換え、かつ表組にしてみました。

■別表に定める物質(左に掲げるもののうち、いづれか一)■
物質名含有量(1kg中)
溶存物質(ガス性のものを除く)総量1,000㎎以上
遊離炭酸(CO2)250㎎以上
リチウムイオン(Li+)1㎎以上
ストロンチウムイオン(Sr++)10㎎以上
バリウムイオン(Ba++)5㎎以上
フエロ又はフエリイオン(Fe++,Fe+++)10㎎以上
第一マンガンイオン(Mn++)10㎎以上
水素イオン(H+)1㎎以上
臭素イオン(Br-)5㎎以上
沃素イオン(I-)1㎎以上
ふつ素イオン(F-)2㎎以上
ヒドロひ酸イオン(HAsO4--)1.3㎎以上
メタ亜ひ酸(HAsO2)1㎎以上
 総硫黄(S)[HS-,S2O3--,H2Sに対応するもの] 1㎎以上
メタほう酸(HBO2)5㎎以上
メタけい酸(H2SiO3)50㎎以上
重炭酸そうだ(NaHCO3)340㎎以上
ラドン(Rn)20(100億分の1キユリー単位)以上 
ラヂウム塩(Raとして)1億分の1㎎以上

<検討>
ふうん、いろいろあるんだ。

「ストロンチウム」ってのは何か原発関係で最近ちょくちょく耳にする固有名詞だねえ。
いかにも強そうな(それも何か邪悪な強さだよ)感じがするな。 

「ラドン」とか「ラヂウム」ってのは銭湯方面でも使用してますよね。
これは特に、爺婆がシンパシー感じる系のヤツだな。
じんわり体に効くんだろうなたぶん。
「ラウム」はもともと「radium」なんだからやっぱ「ラウム」よりは正しいし、そもそも「ラジウム」より「ラヂウム」の方が昭和っぽい趣きがあってよろしい事よ。
ラヂウムってラジオ(ラヂオ radio)と語感が似てるんですけど、やっぱなんか関係あるのかね?

「重炭酸そうだ」の「そうだ」ってのもいいね。
多分「Soda」「ソーダ」「曹達」の事なんだろうけど、字面だけ見ると、
先生:「これは重炭酸ですか?」
生徒:「そうだ!そうです!その通りです!」
先生:「(感涙にむせび)…お前ら、お前ら良くも、良くもここまで成長してくれたなあ…」
みたいなシーンを思い浮かべてしまうよ。
バカですねオレも。
ひらがななので、可愛い感じっすよね。

「溶在物質(ガス性のものを除く。)総量1.000㎎以上」ていうのは改めて見ると凄い定義だね。
ってことはさ、お湯1kgあたり兎に角何でもいいんで何かが1,000㎎以上とけてりゃ「温泉」ってことか。
という事は、その辺の泥水でもおっけなのだろうか?
流石に多分それはないだろうけどねえ。

「ヒドロひ酸イオン」とか言われても、やっぱよくわかんないなあ。
語感だけでいくとさあ、それが豊富な温泉に入ったら、何だか背中やチンチンの先や指の先のさかむけとかに酸が染み込んでひりひりする様な気がするのは俺だけかね。

リチウムイオン1㎎以上ってのも面白いなあ。
上手くやれば「発電温泉」みたいな事が出来るのかもね。
その浴槽に入るとさ、銭湯に良くあるデンキ風呂より人に優しい感じの電気で体と心を柔らかくほぐしてくれる訳。
それとかそこに夜行くとね、露天風呂をぼんやり幽玄な感じで照らす灯りがあってさ、それには、
「この灯りは、当温泉に豊富に含まれるリチウムを活用して発電しているものです」
とか書いてあったりしてさあ、凄いよな。
あとはそうですね、再来年あたりホンダから出るかも知れないEV[2]は実は、
「今度ウチから出すEVに搭載しているバッテリーは、あの有名な『○○温泉』のリチウムイオン泉を原料に開発しました!」 
とかね。
温泉マニア達は、もう間違いなくこぞって買うだろうな。 

まあ兎に角面白いねえ。
今後はもう少し温泉分析表をきちんと見てみるかな。

[1] 
温泉法ってのの他に、鉱泉分析法指針ってのが環境省から出てます。
これについては更にいつかきっとまとめます。 

[2]
2012年1月22日追記
この部分は単なる思いつきというか適当というか、そんな感じで書いた要するに偽ニュース的な感じだったんですが、昨日の朝日新聞によると今年ホンダはEV・ハイブリッドに可成り注力するとの事で、その部分においては嘘が真になった形です。
「温泉成分リチウムバッテリ」はもちろん違いますよ(笑)。
しかも他社は連合してエコカー開発に取り組む事が多いけど、ホンダは独自開発に拘るとの事。
ホンダファンとしては、誠に嬉しい頼もしいニュースです。

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