2011年12月30日金曜日

温泉に行かない日(62) 今こそ鉱泉分析法指針を検討する

人類は分類整理する葦である。

って言いたくなるくらい、ホントに分けたり整理したりまとめるのが好きなんですよね、人間って。
オレは嫌いですけどね。
なので、温泉に対してお上の方々やなんかが、温泉みたいなものも含めていろんな分類分析をしてくれてます。
でもさあ、温泉に浸かる事ってのは極めて趣味的感覚的な行為なんで、浸かってるお湯に何が入っていようが湯温が何度だろうが、
「いやぁ~、ここのお湯はあれだな、薄く濁っててなんだかいい感じじゃん。温度もこりゃ~丁度いいわ、わはははは」
で済ませればそれで良く、入浴前、若しくは入浴中、あるい入浴後に、
「ふうむ、どーも感動が薄いと思ったら、メタホウ酸(HBO2) 5.5mg含有のみのギリギリ温泉だからか」
「あと0.5㎎少なけりゃタダのミズじゃないか」
「しかも温度は24.5℃ときた。道理で寒い訳だ」
等と化学的分析に基づいた訳の解らぬ感想を申し述べる必要はないのであった。

とはいえですね、知っておいて損はないです。
仲間や家族と一緒に温泉に行った時、さり気ない感じで、
「ほう…、ここのお湯はpH8.9もあるのか…。アルカリの強い温泉だから、きっとすべすべの美人の湯だよ。君、長めに入浴を楽しんでき給え、美人になって戻ってき給え」
なんて言えたら、あなたの株も多少は上がるかもしれないでしょ。
別に上がらんか…。

前回は「温泉法」で規定する温度と物質をまとめましたので、今回は環境省が定めている鉱泉分析法指針の主要項目をまとめて、少し検討してみましょうかね。
これは温泉法とは違って(というか温泉法より詳しく)温泉を分類したり定義したりしてるもののようです。
ざっと見てみると、温泉の板場とが玄関辺りに掲示してある分析表みたいなのは、どっちかっていうと、この鉱泉分析法指針に基づいてやってるみたいですね。
おもな内容を書き出してみましょう。
■泉温の分類■
分類湧出または採取したときの温度
冷鉱泉25℃未満
 微温線泉  25℃以上34℃未満
温泉34℃以上42℃未満(狭義の温泉) 
高温泉42℃以上

<検討>
やっぱりあれですよね、上司に命じられていやいやながら温泉分類作業に機械的に勤しんでいたお役人であったとしてもそこはそれ、彼も(カノジョかな?)日本人の端くれな訳ですわ。
矢張り心の何処かで、
「25℃の温泉なんて、そりゃあ温泉とは言えねえぜ!」
みたいな感情が心の底から沸き上がっちゃったんでしょうね、きっと。
「温泉」のところにある「狭義の温泉」との記載は、その心の叫びだよ。
温泉とはかくあるべし!との気高い思いであります。
で、私は確信しましたね。
その役人はワタクシ同様「ぬるめのお湯が好きな人物」ですよ。
私にとって「34℃以上42℃未満」の湯温というのは誠に好ましいのですが、一般的なヒトビトにとってはぬるすぎるでしょうね、この「狭義の温泉」は。

■液性の分類■
分類湧出時のpH値
酸性PH3未満
弱酸性PH3以上PH6未満
中性PH6以上PH7.5未満
 弱アルカリ性  PH7.5以上PH8.5未満 
アルカリ性PH8.5以上

<検討>
わたしは所謂「美人の湯」系統の温泉が好きです。
近所で言うと「あらたまの湯」「南アルプス赤石温泉白樺荘」「森林露天風呂」「接阻峡温泉会館」とかのお湯ですね。
アルカリ性に振れているお湯が、あの手のぬるぬるすべすべのお湯なんですね。
ただ残念な事に、「アルカリ性だと何でぬるぬるすべすべのお湯になるか」という化学的知見は持ち合わせちゃあいませんので、悪しからずご了承の程。

■浸透圧の分類(PH値)■
分類溶存物質総量および凝固点(氷点)
 低張性  溶存物質総量 8g/kg未満
氷点-0.55℃以上
等張性溶存物質総量 8g/kg以上10g/kg未満 
氷点-0.55℃未満-0.58℃以上
高張性溶存物質総量 10g/kg以上
氷点-0.58℃未満

<検討>
これらは、スポーツドリンクとかでよく使う、あの「アイソトニック」とかいう言葉の仲間ですな。
等張性(アイソトニック)ってのが、なんて言うんですかね、体液の濃さと同じくらいって事らしくて、それは体に浸透しやすい状態らしいです。
ポカリスエットとかはこの等張性な飲み物なんでしょうな。
高張性(ハイパートニック)ってのは等張性なお湯よりさらに体に浸透しやすいってことなんだろうね。
川根温泉 ふれあいの泉(静岡県島田市川根町笹間渡220:0547-53-4330:入浴のみ¥500:9:00-21:00:定休は原則第一火曜だが要確認)の露天風呂には確か「当温泉は高張性(ハイパートニック)で体にいい」みたいな事が(誇らしげに)書いてあった様な気がします。
ということは、ここの温泉さえ飲んでおきゃあポカリスエットはいらん、と。
ところで多くの温泉が低張性(ハイポトニック)らしいです。
お風呂に入ると手とかがしわしわになるじゃないですか。
あれは低張性という性質が犯人だと聞いた事がありますが、残念な事になぜそうなるのかの知見については一切持ち合わせちゃあおりませんので悪しからずご了承の程。

■療養泉の定義(1)■
物質含有量(温泉1㎏あたり)
 溶存物総量(ガス性のものを除く)  1,000㎎以上
遊離二酸化炭素1,000㎎以上
Cu2+1㎎以上
総鉄イオン(Fe2++Fe3+)20㎎以上
Al3+100㎎以上
H+1㎎以上
Rd111Bq以上

■療養泉の定義(2)■
分類含有量(温泉1㎏あたり)
塩類泉溶存物質量(ガス性物質を除く)1g/kg以上 
単純温泉溶存物質量(ガス性物質を除く)1g/kg未満
かつ湯温が摂氏25度以上
 特殊成分を含む療養泉  特殊成分を一定の値以上に含むもの

<検討>
たまにこの「療養泉」って言葉を聞きますけど、ここで定義されてたんですねえ。
これによると源泉の温度が25℃以上か、上の療養泉の定義(1)に記載したものが1つでも当てはまれば「療養泉」って名乗れるらしいっす。
じゃあ、まあ多くの温泉がその温度により「療養泉」を名乗れると思うんだけど、余り聞きませんね、なんでだろう?
この「療養泉」って概念は、温泉業界にとってあまり重要性がないのかなあ。
療養泉を名乗る温泉では、私はとうえい温泉(愛知県北設楽郡東栄町大字下田字花田21:0536-77-0268:¥600:10:00-21:00)ってとこに行った事があるけど、消毒用塩素の香り高い(笑)どーって事ない温泉でした。
あれじゃあ近所にある銭湯の方がずーっといい感じだよなあ。
要するにどんな温泉であっても、お湯の使い方が上手いか下手かが一番のポイントであって、単純に「療養泉」だからってあんまり有り難たがる必要はないんじゃないかな、と思ったりします。

塩類泉と特殊成分を含む療養泉の内訳についてもまとめてみましょうか。

■塩類泉の内訳(温度不問)■
名称内容
二酸化炭素泉温泉水1kg中に遊離炭酸1g以上を含む温泉
炭酸水素塩泉アルカリ性の湯
重曹泉・重炭酸土類泉に分類される
塩化物泉温泉水1kg中の含有成分が1g以上あり、陰イオンの主成分が塩素イオンの温泉
硫酸塩泉硫酸塩が含まれる
苦味のある味
芒硝泉・石膏泉・正苦味泉に分かれる
 
■特殊成分を含む療養泉の内訳(温度不問)■
名称内容
含鉄泉温泉水1kg中に総鉄イオンを20mg以上含む温
水中の鉄分が空気に触れて酸化するため茶褐色を呈する
含アルミニウム泉アルミニウムを主成分とする温泉
旧泉質名は明礬泉・緑礬泉など
含銅-鉄泉銅及び鉄を含む温泉
水中の金属分が空気に触れる事によって酸化するため湯の色は黄色である
含鉄泉同様炭酸水素塩系のものと硫酸塩系のものがある
硫黄泉温泉水1kg中に総硫黄を2mg以上含む温泉
白濁して卵の腐ったような臭いがある
酸性泉多量の水素イオンを含有する温泉 多くの場合遊離した硫酸・塩酸などの形で含まれる 刺激が強く殺菌効果が高い
放射能泉温泉水1kg中にラドンを3ナノキュリー(111ベクレル)以上含む温泉
これらが放つ放射線は人体に悪影響を及ぼす可能性は小さく免疫細胞を活性化させるのでむしろ体に良いのではないかと考えられている

<検討>
ふーん。
成る程、さっぱりわからん。

まあここまで一所懸命にまとめてみましたが、なんだか訳分かんなくなってきたし疲れた。
Macに文字を打ちこむ指も震えが出てきた。
うん、じゃあ銭湯に行って体を休めるかな。
別に温泉じゃなくてもいいんだよね、はははは。

0 件のコメント:

コメントを投稿

コメントどうもありがとうございます。
貴方のコメントは世界とワシとあなたを救う。
たぶん。