2012年6月23日土曜日

温泉に行かない日(93) 「原発再稼働に被災者の助言」という投書

朝日新聞というメディアの「声」というオピニオンページに関しては、屢々非常に悪い噂を聞きます。
「書き換えが酷い。主旨を全くねじ曲げて自社が持つ主張に合わせて強引に校正し、投書者の確認もろくに取らないまま掲載する」
という批判を良く耳にします。
「一応、書き換えを確認する電話連絡があるが、それは印刷にかける前の本当に寸前で、如何に抗議しても聞き入れられずそのまま掲載されてしまう」
というような類いの話は、Webをちょっと捜せば幾らでも出てくる事です。
私も、朝日新聞には多分大なり小なりそう言う体質はあると思います。

ただ、それを割り引いても、その内容に頷首させられる投書があったので、ctrl+c⇒ctrl+vではなく、記事を見ながらひたすら手打ちで転載します。
著作権は朝日新聞に帰属してるかもしれないけど、元は一市民の意見の発露だから構わず進めます。
朝日のようにねじ曲げないで、改行等も含めそのまま書き写します。
転載元は、朝日新聞2012年6月23日(土)東京本社版の声欄です。
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原発再稼働に被災者の助言
会社役員 斎藤 光一(福島県南相馬市 63)

大飯原発の再稼働が決まったと聞き、南相馬市民として一言周辺住民にアドバイスしておきたいことがあります。まず線量計を購入する。前日と違っているか知るだけですから精度は関係ありません。
間違っても行政が配布する積算線量計などに期待してはいけません。そして予備のガソリンは最低2缶買い置きしたうえで車は毎日夕方満タンにすること。1人が長時間運転しなくても済むように運転できる人も増やしておく。150キロ以上離れたところに避難できる場所を方向別に複数確保することはもちろんです。
複数のルートを調べ、できれば走って確認しておくのがよいと思います。高齢者とペットのいる人には体育館は避難場所とは言えません。避難は1年以上と覚悟し、必要な荷物はすぐに持ち出せるようにし、置いた荷物は盗まれると覚悟したほうがよいです。
一番大事なのは、原発から自宅の方向と距離を正確に把握し、毎日朝夕の風向・風速を確認、原発作業員の友人を複数持ち、何かあったら情報が届く体制を作っておく。
これが私と妻がこの1年で得たノウハウです。私たちが避難出来なかったのは、猫が私の足にすがりついて離れようとしなかったためです。
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このテクストは実践としてはもちろん、理念的にも非常に高い内容を持つ見識だと思います。
理念というのは実践を通じて高まるものだと考えるのですが、このテクストはまさにそれを具現しています。
投書者の実践は、放射能(放射線だったっけ?ヨメの怒りがなんだっけ?ヨメそのものがなんだっけ?ははは)から自らと自らの家族を守り、生き抜く為に必死に身につけた知恵であり、そしてそれをそのまま言葉にする事によって見事な原発批判、うーん違うな、もちろんそれもあるけど、それよりは無理強いをして原発を押し進めようとするために情報を隠し、嘘をつき、結果責任を取らず国民を欺くこの国(国政・自治それぞれ)への痛烈な批判になっている訳です。
また同時に、福島に住む住民として、いや、日本国民としての深い絶望も強く感じられます。

どうでしょう?
おおい町の皆様。
この投書者が書いている事は、最低限なすべき事だと思いませんか。
是非実践すべきですよ。
国からどんだけカネ貰っても、死んじまったんじゃあ、おしめえでしょう?
即死しないまでも、長い人生、放射能による病苦に苛まれながら生きるのは地獄でしょう?
貴方だけじゃない、孫ひ孫の世代までその影響は続いて消す事が出来ない。
これって、取り敢えずカネ貰ってる、おおい町の住民たちだけの話でもないですね。
放射能は「雨に溶け、風に乗って」[1]どこまでも飛んで行きます。
たぶん、原発の南東方面に住む人たちは、カネも貰ってないのに放射能の不意打ちを食らってシャレにならん位の被害を被るでしょうね。

もちろん、浜岡原発から比較的近い場所に住む私も、それは全く人ごとではないですね。
早晩、この原発も再稼働するだろうから、そうなったら早速Amazonで線量計を購入し、毎日数値を記録しようと思います。
浜岡原発から自宅の距離と方角を正確に把握し、観天望気のスキルも併せて鍛えて、もし線量計に異常値が認められれば天候を読み、よりましな方向へ逃げるという行動を即断すべきでしょう。
ただそれはあくまで「よりまし」であって、「ゼッタイ安全」ではないというのが現実なんですけどね、ははは。
一発事故れば、まあみんな死ぬでしょうなあ、わははははは。
その場合、出来れば即死がいいんだけど、まあ結局望み通りには行かなくて、筒井康隆の書いた「霊長類 南へ」みたいな状態で希望のないスラプスティックな逃亡劇を演じた挙げ句、バカみたいに野垂れ死にってとこが関の山。

[1]
浜田省吾:「A NEW STYLE WAR

温泉に行かない日(92) 毎週土日が休みだったら

このご時世、働きたいのにままならず苦悩の日々を送っている人が大勢いる事は重々承知してはいるのですが、私は運良く仕事にありつけ、安いながらも給料を得、糊口を凌ぐことが出来ています。
有り難いことです。
しかし、人間というのは欲望が人形(ひとがた)をして歩いているようなもので、人はみんなそれぞれのレベルでいろんな欲望を持っていると思います。
私の場合は表題の通り、「毎週土日が休みであったらなあ」というものです。
繰り返しになるけど、このご時世これって本当に贅沢な願望だと言う事はよく解ってるんですよ。
でも、思うくらいはいいでしょ。
言うまでも無くそれは、土日と2連休であったら一寸無理して遠方にある温泉に行けるのに、という願いの現れです。
流石に土曜は「半ドン」[1]なのですが、何だかんだで午後遅くまで自由になれないことが殆どで、実質的には休みは日曜日だけなんですよ。

別に大名旅行をしたいというわけではなく、全身傷だらけのスイフトに乗って土曜の朝早く出発し、ちょっと遠くへ出かけ、安い日帰り温泉に浸かってそのまま車中泊し、翌日帰宅するという程度の願いです。
事実、今の職場(現場系)の前の職場(本社系)の時は、殆どの土日は休みを取れたため(今考えると「本社系」の仕事は甘かったなあ…)、例えば星山温泉遠征とかはそんな環境の中で計画したり実施したりしてましたし、山梨県にある奈良田温泉及びその周辺への遠征も同じ感覚で計画してました。
しかしまあ、とは言っても、私は何処から何処まで行っても一介の勤め人から脱出することは出来ないし、そんな中で甘えることも出来ませんので、与えられた条件を最大に活かして温泉行きを計画するしかないですね。
で、遠出をした翌週の土曜日の午前中は惰眠を貪って午後から銭湯に行き、夜風に吹かれながら居酒屋でビール。
いいなあ。
夢みたいですねえ。

で、今日は土曜日。
で、矢張り仕事。
今帰宅して既に午後3時。
いまからどうしようかな?
明日はどうしようかな?
結局、ごろ寝になっちゃうんだろうな、しくしく。

[1]
土曜の午後休みの事を昔は「半ドン」と言いました(死語かな?)。
生半可知識なんですけど、博多どんたくの「どんたく」ってのはポルトガル語かなんかで「休日」を意味するらしいんですけど、その半分って事ですかね。

2012年6月17日日曜日

温泉に行かない日(91) 大飯原発運転再開の件

今回は衿を正して、というか、真面目に。
数年前、つまり福島の出来事が発生する前、世の右翼な人々は一般的には「原発賛成」という立場の人が多かった気がします。
ただ、フクシマ後には、左翼の人々と論拠を同じくするか異にするかは別にして「原発反対」の立場に変化する人も多くなってきました。
「SAPIO」等、右寄りな各種オピニオン誌のヘッドラインをつまみ読みしてもそれが伺えます(廃刊した「諸君」ならば、今の状況をどう断じていただろうか?興味があります)。
つまり、元来の原発賛成派を転向させる位の出来事だった訳ですよね。

で、私はどちらかと言えば大学時代より右に傾いていて、今も随分右側ですけど、原発については昔から何か胡散臭いものを感じていました。
思うんですけど、原発や原発関連施設を、福井だ福島だ大飯だ東海村だ浜岡だって、まあ失礼ながらはっきり言って経済的にシビアそうな寒村に建ててる時点でいかにも胡散臭いじゃないですか。
今回の大飯の件でも、福井で電気が足らないんじゃなくて、大阪とかの大都市で電気が足らなくなるから再稼働するんでしょ?
じゃあ、その大阪に作ればいいじゃないですか。
その方が送電コストもかからないし。
どうでしょうか、南港辺りにおっ建てれば冷却用の海水だって豊富だしね。
水族館とセットで、壮観ですよきっと。
なんで消費現場から遠く離れた寒村である大飯にわざわざ作るのでしょうかね。

東電だって同じかもです。
歴代政府も今の政治家も官僚も、原発についてはどんだけでも無条件で(元々はわたしらは払ってる電力料からの)カネをつぎ込む癖がある様なので、福島第一亡き後の電力不足については、どうでしょうここは一つ、まあ東京湾沿いのどっかに新原発を一発か二発作ってカバーすりゃあいいと思います。
湘南から逗子辺りの何処かに作れば東京にも近いし、斬新なデザインの建家にして新観光名所として売り出せば観光収入も確保出来るし一石二鳥でしょ。
地価は寧ろ上がると思うよ。
ゼッタイ安全で恰好いい建物が出来るんだもの。
地価には影響しないよね。
かっこいーぞ「湘南原発」。
勢いに乗って10号機辺りまで作ればもう万全ですよ。
そうすりゃ東京や神奈川の人たちも、
「自分達の地域で作った電気を自分達で使う。地産地消だね♪」
って納得だし、節電を気にする必要もなくガンガン電気使えて文化的じゃないですか。
わあ、湘南に原発。
今の技術のままでもゼッタイに事故は起きないらしいし、いい事ずくめですね。

思い切って国会議事堂の横とかに作ったらとも思います。
御所の隣とかね、いいアイデアじゃないですか、これ。
津波の来ない内陸部に原発。
こりゃ安全だ。
チェルノブイリという好例があるじゃない。
前例あるからやってやれん事はないでしょ。
なんかチェルノブイリって地名、遠い昔に聞いた事あるけど、私たちニッポンコクミンって最近1年半前のことも覚えてないくらい記憶力薄くなっちゃったくらいだから、詳しくは忘れちゃったけどね。
ガイコクに原発売り込む時だって、国会の真横に建ってるってことは相当な売り込み材料になります。
俺たち都会に原発作ってるんですよ~。
しかも国会議事堂の隣ですよ、凄いでしょ。
そのくらいバッチシ安全なんですよ、俺たちの売ろうと思ってる原発はね。
安心して買ってくれ。
買って俺たちに大儲けさせてくれ。
俺たち責任もってやってるもんね、ダイジョウブっすよ、がははは。
みたいな。

「今回の福島の事故で、原子力ムラの奴らが主張してきた『安全神話』は完全に崩壊した」
なんて論調がありますけど、全然違いますよ。
全然「崩壊」なんてしていません。
原発の機械売ってるヤツも、それ買って設置するヤツも、それらを後押ししてる奴らも、そいつらが作った電気を買ってるヤツも、原発で大もうけしているヤツも、そいつら全員、日本に原発を作ろうと考え始めた大昔のその最初っから「原発はアブねえ」と思ってるに決まってるじゃないですか。
だからこそ田舎に作ってるんでしょう。
そう、最初っから安全神話そのものが、実はないんですよ。
こんなアブねえものを東京や大阪に作って、裏でひっそり作ってるシナリオ通り原発が事故ったら…
うう、それは避けたいなあ。
事故ったらある程度の人間は死ぬだろうけど、1事故当たりの死人を減らしたり、経済的影響を抑えるには、人口の少ない田舎に作っておけばいい。
被害は田舎で負わせりゃいい。俺、ほうしゃのーなんかで死にたくねえし。
事故が起こったら俺らの代わりにその地元の人達に死んでもらって、その屍を乗り越えて俺たち大都市は生き残ればいいじゃん。
香典の先渡しとして、原発三法からのカネで田舎モンの顔を叩いておきゃあ、誰にも文句はねえさ。
そんな感じでしょ。

繰り返しになりますけど、最初っから安全神話なんて、実はないんですよ。
原発が安全なんて、この日本じゃだ~~~~~れも、本当に誰一人として思ってない。
最初っから「安全神話」なんて勿論、「安全」そのものさえない。
もともとないものは、崩壊のしようがないでしょう。

もううんざりだ。
こんなのうんざりだ。
なんでこうなるのか、なんでこんなバカなヤツらを選挙で選んでしまったのか。
なぜウソツキや信念のない人間が政治に関われるのか。
与党も野党も一日単位で発言がぶれる芯のない政治家ばかりで国会が埋め尽くされている現状に、右左の立場を超えて殆どの国民全員がうんざりしていて、
おま~ら、近いうちに一発かましてやるぜ。待ってろよ。
と考えてます。

あと、そこのどぜう。
こそこそ身を隠しやがってこのやろう。
今日、新宿駅前辺りで、
「大飯原発はワタクシどぜうの全責任で、本日無事再稼働する事と相なりました」
ぐらい言ってみたらどうでしょう。
談話だけで済ませやがって、ノダという男は全くケツの穴のちいせえオマンコ野郎ですね。
ムカつくオカマ野郎。
ノダ君は今後、国会で何か喋るときは必ず、
大飯原発再稼働について生涯全責任をもっているノダですが
を枕詞にするようお願いします。
無論、議事録にもそれを残すようにしてください。
で、国会の建物正面には、
「大飯原発の再稼働を責任もって決定したのはワタクシ、野田なノダ」
と未来永劫刻み込んでおいてください。
これまた無論、大飯原発の建家にも同じ事書いておいてくださいね。
「事故はゼッタイに起きません。起きたら私、ノダは直ぐさま切腹します」
とかでもいいね。

原発に通じる福井県道241号線には、100mおきにノダと西川福井県知事を激しく讃えるアーチを作っておきましょう。
おおい町と福井県民が、未来永劫その二人の名前と優れた業績を忘れないように。
「まんせー!どぜうと西川知事。我々が遊んで暮らせるのも貴方達のおかげです」

「わたしらは全国民から『福井県民・おおい町民は金目当てで原発再稼働した』と思われていますが、我々福井県民はそれを甘受し永代耐え忍び、尊敬するソーリとチジに一生ついて行く覚悟です。臥薪嘗胆って感じですかね、あははは」
とでも書いておけばいいのではないでしょうか。
ソーリの顔写真も載せておけば、よりGoodですね。

ノダという脳不足男は折にふれて「責任」とか「決断」って言ってますけど、自分が存命中に大飯原発が事故ったら(意外に確率高いんじゃないかな)、獄門打ち首にされてもいいってくらいの決意がなけりゃ「全責任をもって」なんて言えない筈です。
自分が死んでから事故ったら、可愛い子供や孫や親類縁者すべてから全財産を補償の為に捧げます(そんなんじゃ足りないですけど)。
くらいな気合いは是非欲しいと思います。

兎に角ですね「ワタクシ総理が全責任をもって」って言うんだったら、事故った時にあんた自身がどんな責任を取るのか具体的に教えてください。
実はそんなこと特に全然考えてないんでしょ。
そうでしょノダ。
取り敢えず「責任」とか言ってりゃ、なんか上手く行くって思ってるだけでしょう。
万が一何か考えているとしても、それを言った瞬間、
「なんだ、お前の責任の取り方ってその程度かよ。そんなんじゃあとても再稼働なんて許せねえな」
ってなるに決まってますしね。

そんな曖昧あやふやな感じで、アブねえ原発[1]が再稼働して行くんですね。
日本って、面白い国だね、笑える。

[1]
「危なくない」と言う事に関する明確で科学的なエビデンスが提示されない限り、それはつまりアブねえってことですよ。
これって、バカでもわかる理屈じゃないでしょうか。
で、我々はそのエビデンスを未だ手にしていない訳です。
だから、反対してるんだよね。
最近、西川知事と同じ様な立場の首長の一部、例えば新潟県刈羽村の品田村長とかが、
「安全な原発なら使っていいのは当たり前」
とか言ってますが、本質的にはその発言は正しいですね、全面賛成。
だからこそ、俺たちパンピー全員が納得出来るまで、その「安全」とやらを納得出来るまで証明してくれよ、という事です。
今までそれを見た事もなけりゃあ聞いた事もないから私らパンピーはビビってるんです。
それが解らないのかなあ?
政府がどんだけ安全だって言っても、そもそもその政府そのものが能無し過ぎて一番あぶねえという事が私たちをビビらせてるんでしょう。
たかが知事風情が短時間原発の建屋の外から現場を見て、その後に超当事者である(そのくせいざ事が起こったら、間違いなく一番最初に当事者能力を完全に失うであろう)関電のエラいヤツに偏ったセツメイを受けただけで、
「うん、この原発は安全だね」
って自信もって言えちゃう状況、それが私のきんたまを限界まで縮み上がらせる程の恐怖を感じさせるんです。
私らの生殺与奪権を、考えが浅すぎる中央・地方の政治屋に握られているのがムカつくんだよね。

一方で、現状をしっかり認識して発言している真っ当な首長も少なからず存在します。
中でも例えば、
  • 静岡県の川勝知事
  • 浜岡原発地元4市長(石原御前崎市長・西原牧之原市長・松井掛川市長・太田菊川市長)
  • 茨城県東海村の村上村長
等の存在は貴重です。
残念ながら大阪の橋下くんの好感度は赤丸急下落してしまいました。
また、元磐田市長として実績のある鈴木望氏が主宰する「原発県民投票・静岡」(浜岡原発再稼働の是非を問う住民投票条例の制定を目指しています)の運動は、原発立地県の住民が自ら原発の是非を判断する運動として注目すべきだと考えます。

2012年6月16日土曜日

温泉に行かない日(90) 思いがけなく嬉しい出来事

ありがとう!
本当に、思いがけなく、嬉しい出来事!

温泉に行かない日(89) 最近悔しかったこと

今は去ること約4年前、2008年の2月頃なんですけど、バカをやっている友人たちと「空也上人成り切りプロジェクト」っていうのをやろうとしてました。
なんでかと言うと、丁度その辺りの時期に京都の六波羅蜜寺(京都市東山区五条通大和大路上ル東:075-561-6980)に出向く所用があって、空也上人の像をこの目で見たんですけど、その時思ったのが、
  1. 意外に小さいなあ
  2. 意外にリアルなデザインだなあ
の2つの感想。

1.については、この空也上人だけじゃなくて、仏像って一般的には教科書やウェブに載ってる写真だけを見ると結構デカく見えるんですよね。
で、実際に目の当たりにすると小さくて吃驚したりする。
でも、その点についてはそれだけですけどね。

2.については、頭の中で思考が次のように展開していきました。
リアルじゃん⇒
リアルってのはつまり人間の実際の姿に近いってことじゃん⇒
近いってことは真似が出来るってことじゃん⇒
オレでも出来るかも知れないじゃん⇒
やってみる価値アリじゃん
で、京都から帰ると早速会社の仲間に「空也上人成り切りプロジェクト」の開始を伝えたわけです。
なにが「やってみる価値アリ」なのか、今日の私にはさっぱり解らないんですか…

IPメッセンジャーによる熱い話し合い(業務時間中)の結果、私が空也上人になり、そのプロデュースを当時の私の部下であるB君、空也上人の口から出てる6体の小さな仏像の作成及び口に咥えたときの支え担当にかつて私の部下であったCさんという強力豪華な布陣で対応するというアウトラインが決まりました。
また、このプロジェクトでは「可能な限りリアルな空也上人に成り切る」という基本方針が定められ、成り切る私には全身に黒茶色いペイントを施し、頭髪も整え、襤褸襤褸の法衣の様なモノを纏い、6体の仏像が串刺しになったハリガネを口に咥えて六波羅蜜寺の前で写真を撮る、という行動方針も策定されたたわけです。
で、可能であればそれをデイリーポータルZに投稿する事を考えたいというアイデアも出ました。
或いは少し方向性を変えて、探偵!ナイトスクープに「私を空也上人に成り切らせて下さい」という依頼をかけるという形で実現しても良い、とかみんなで夢想していたわけです。
だけど、そんなバカなことを実行する時間がなかなか捻出することが出来ずにいるうちに時は流れ、今日に至りました。

と・こ・ろ・が・で・す・な。

昨日の朝、出社して始業までに少し時間があったのでデイリーポータルZを眺めていたら、私の好きなイラストレーターであるべつやくれい(Twitterはこちらさんが、不届きにも空也上人の口から出てる仏像なるものを発表しているじゃああーりませんか。

うう゛
先を越された。
「こんなバカな事を思いつくのは我々だけだ」なる意味のない自負を持ってたんですが、その意味のない自負はべつやくさんの手により完全に砕かれてしまった訳か。
我々は思いついてプランまでしたのですが、べつやくさんは剰え実行までして、6体の小さな仏像が串刺しになった棒を銜えた状態で山手線に乗るという、とても大人とは思えない行動までしている…

負けた。
悔しい。

さらにそんな傷心の私に追い打ちをかけるように、同じデイリーポータルZのライターである江並紀行(えなみのりゆき:Twitterはこちら)さんという人物が露天風呂のある賃貸生活なる投稿をしているじゃああーりませんか。
実は私のアパートのベランダには余り使わない狭い部分があって、夏にはそこから遊園地の花火が(遠くてちっちゃいけど)見えるので、「それを眺めながらビール片手にここで露天風呂に入れたら最高だなあ」と以前から思っていて、大きいプラスティックケースの様なもので風呂を作れないか画策していたのです。
「露天風呂のある賃貸生活」では、私が想定していたのと殆ど同じ方法で露天風呂を作っていて、またもや先を越されてしまった訳です。

以上2点。
これが私の「最近悔しかったこと」です。
しかしあれですね。
大人になってもみんな馬鹿な事を思いついたりやらかしたりするんですね。

2012年6月14日木曜日

あらたまの湯(1)

かなり久しぶりにあらたまの湯(静岡県浜松市浜北区四大地9-92-1:053-582-1126:¥600:平日9時~21時:土日祝8時~21時:定休第一月曜日)に行って来ました。

元々ここは浜松市(浜北市時代かも知れない)の設置だったんですが、指定管理者制度で運営を民間委託しています。
温泉の素性は決して悪くなく、ぬるすべ美人の湯系。
循環システムを導入していますが、一部の浴槽は「源泉掛け流し」を標榜しています。
私の勤務先の会社はかつて、ここの運営受託者と若干の関係があり、たま~にタダ券を貰えたりして嬉しかったんですけど、数年前に管理契約が変わったみたいで他社に変更となり、そのささやかな役得もなくなっちゃったのが、まあ残念ですねえ。

施設のバランスは良く、入浴・食事・休憩・買い物全てを楽しめるし、外に出れば足湯(これが比較的Goodだったりするんです)や温泉スタンドまであって、正にフル装備ですね。
そういう意味では安心して使えるため、私は開設当初からのお得意さんではあるのですが、時として川根温泉顔負けの混み具合を見せるため最近はちょっと足をむけてませんでした。

大規模だし混むので、地元のジジイやババアと偶発的な会話をする余裕が無いのと、せっかくいい源泉を持ってるのに、その湧出量に比べて明らかに大仰すぎる規模の施設で、要するにお湯がへたっていて、それが残念。
もう少し上手いお湯の使い方すればいいのに。

ただ、上にも書きましたけど、足湯はなかなかGoodです。
恐らく源泉をそのまま使っているように思われます。
加温は、浴槽の縁付近に通してあるお湯の通ったパイプでやっているようで、コンディションは結構いい感じです。
ただ如何せん、浴槽の深さが浅く、足首の少し上までくらいしかないのが惜しい。
もう少し深くしてくれれば、足湯としては上々の部類に入ったんですけどねえ…

2012年6月10日日曜日

鳳液泉の足湯(1)

翡明に来たついでに、2008年に湧出した湯谷温泉7号泉の配湯開始記念に作られた足湯である鳳液泉の足湯(愛知県新城市豊岡:0536-32-1252←湯谷温泉旅館組合:¥0:9時-18時)に行きました。
言い伝えに寄るとそもそも湯谷温泉ってのは、鳳来寺の利修という坊さんが見つけた温泉らしく、その坊さんはこの温泉に浸かる事で人智を越えたパワーを会得し、空中高く飛び上がるなどインド人も吃驚な荒技を村人に見せつけていたスーパー坊主らしかったです。
この坊さんのパワーは留まる事を知らず、309歳まで生きたとか(ニュースソースにより385歳との情報もありますけど、もう309歳も385歳でもどっちでもいいや)。
鳳液泉っていうのは、その坊さんが名付けた源泉の名前らしいですね。
実際に入ってみましたが、薄い黄土色の熱いお湯で、いかにもご利益がありそうな感じ。
足湯とは言え、加熱のみの源泉掛け流しであります。
足湯の浴槽はお世辞にも広いとは言えず、ベスト足湯人数は4人くらいって感じかな。
でも、その4人がきゅっと縮まってこの小さな足湯に入っていれば、自然に会話も弾むかもね。
浴槽脇にある岩の上には、その309歳まで生きたスーパージジイである利修さんの像が錫杖を携えて屹立してて、
「おいお前ら。ちゃんと礼儀正しく足湯を楽しめよ。ふざけたことしくさったら、この錫杖で喉突いてやるから覚悟しとけよ」
と言わんばかりに我々を見てます[1]
まあきっとこのジジイ、錫杖を地面に突き刺して温泉を吹き出させたんだろうね。
20分も入ってると、上半身がほかほかしてきていい感じです。
タオルで足を拭き、靴下と靴を履き足湯を後にしました。
で、その場で飛び上がってみましたが、特に以前とは変わらない高さくらいまでしか飛び上がる事は出来なくて少し残念でした。
なお、タオルを持参していない場合は、JR湯谷温泉で無料で貸してくれるとの情報を以前どっかのサイトで見たような気がするのですが、足湯の周辺でタオルを売ってるっぽい店は皆無であります。
取り敢えずは湯谷温泉旅館組合(0536-32-1252)に電話したら、ひょっとしたらタオルの調達方法を教えてくれるかも知れません。

[1]
この足湯にお菓子の食べかすを捨てたり、廻りに煙草の吸い殻をまき散らしたり、利修さんの立ってる岩にガラス瓶をぶつけたりするバカ野郎がいるようです。
そういう基地外の人は、利修坊主の必殺真空飛び膝蹴りを顔面に食らって再起不能になりなさい。

モリトピア愛知(1)

翠明では素晴らしい露天風呂を楽しみましたが、1500円という比較的高価格の入浴料だった為、懐事情がちょっと悪化しました。
当初の計画では、昼飯は松風苑の近くにある「田舎茶屋まつや」で蕎麦でも喰おうかと思っていたのですが、安価に済ませたいのと、どっちみち店内が満室だったため、名号温泉うめの湯の近くにあるサークルKで食料調達して、愛知県民の森で(愛知県新城市門谷字鳳来寺7-60:0536-32-1262)食べる事にしました。
森の中で食べるお弁当であれば、さぞ旨いだろうと計算した訳ですね。
で、早速現地に赴き、川のほとりにあるベンチに腰掛け、川を泳ぐ名もない小さな魚の大群(いや、ホントに大群なんですわ)に「じゅーたんばくげき!」とか言いながら石を投下しつつ(大人げない)、お稲荷さんとかを食べてぼーっとしていますと、園内放送が。
「本日、モリトピア愛知内の大浴場を時間延長し16時まで営業しております。是非ご利用ください」
ん?大浴場ぉ?

そうか。
公式サイトを見てもらえば解る通り、ここは若人(わははは、わこーど。死語だ)の為の研修施設。
自然に親しみ、ハイキングをし、バンガローやテントに泊まって自らを鍛える場所ってのが本来の姿らしい。
ハイキングを楽しんだ後には、やっぱ仲間とお風呂に入らなきゃね。
ということで、大浴場があるらしいのですね。
据え膳喰わぬは男の恥という言葉もあるし、大浴場があるならば、入らない訳には参らんだろう。

という事で、小魚へのじゅーたんばくげきは急遽中止し、早速大浴場のあるモリトピア愛知(施設そのものは宿泊施設:以下は入浴に関する情報:11時〜15時:¥400)という建物に向かいます。
フロントで入浴料を支払い、日帰り入浴客専用のサンダルに履き替えて階下に降り浴室へ。
脱衣場・浴室ともに大変大きく清潔で、洗い場のシャワーは10基。
残念ながら露天はありませんが、浴槽の脇には大きな窓が設えられていて外の風景を眺めながらお風呂に浸かれます。
浴槽もかなり大きく、ベスト入浴人数は10人程度で、物理的にはもっと同時に入る事ができます。
当然の事ながら温泉でなく、水道水を沸かしているだけなのですが、塩素臭は程々で顔を顰める様な感じではないです。
お湯は言うまでもなく清潔澄明なのですが、どうせ水道水の沸かし湯なのだから、入浴剤とかを使って特徴出したらいいのにな、とも思いました。
40分程はいってたんですが、殆どの時間はだだっ広い浴室空間を独り占め♪
出る間際にジジイハイカー達が大挙としてやってきましたけどね。

うーん、温泉に拘らなくて、街中の銭湯はちょっとハードルが高いと思うヒトには結構穴場かもですね。
営業時間が少し短いのと、浴室内の換気がやや悪く、暑がりな人にはちょっと辛いかもという点がやや難かな。
でも、まあ安いしのびのび出来るし、いいとこですね。

翠明(1)

かつてのポストで「湯谷温泉の翠明という旅館に玉砕覚悟で日帰り湯をお願いしたら意外にもOKだった」というような事を書いたのですが、どうも記憶が薄れてきたため、比較的近い距離でもあるし、今日行ってみようと思い立った訳です。
前回行ったのは何年前かも思い出せないくらいの可成り前で、それだけ時間が経過すると状況も変わっているかもしれないと思いつつ車で湯谷温泉に出かけました。
日曜日の午前中、道は全く空いていて、1時間もかからず湯谷温泉に到着。
温泉街の一番西側、鳳来寺山パークウェイ側にある駐車場に車を停め、足湯を楽しんでから宇連川(板敷川)にかかる歩道専用の赤い橋を渡り対岸へ。
ほどなく現地に到着し、フロントで料金1500円を払って貸切露天風呂へ。
貸切露天は別棟にあり、一旦外に出る必要があります。
脱衣場で裸になり、露天になっている浴槽に早速入ります。
うんうん、前回訪問時はあまり温泉に興味がなかったからか、泉質に関する記憶が全くなかったのですが、改めて見るとうす濁りの誠に風情ある湯です。
加熱のみの源泉掛け流し。
すごいすごい。
浴槽は貸切風呂にしては可成り大きく、普通に3〜4人は入れそうな程。
お風呂は宇連川に突き出る様な形で作られていますが、山の中腹という感じであまり眺望はありません。
しかし木々の間からは宇連川と、対岸の湯谷温泉駅を発着する飯田線の列車を垣間みる事ができるし、何より川の音が素晴らしく、体を癒してくれる感じですねえ。
湯温は41〜42℃くらいで普通の人には適温かな。
私にとっては「やや熱」ですが、浴槽脇には木製のベンチがありますから、湯疲れしたらそこに腰掛けて休む事も可能です。
結構通っていた松風苑が結構MTMMな感じ[1]ですので、他の宿屋の泉質も同じ様な感じかなと思っていたのですが、少なくとも湯谷温泉7号泉は上記の通り非常に良い泉質である事が実感出来て満足でした。
まあ、入浴料が1500円という高価格のため、そんなに頻繁に訪れる事は難しいと思いますが、例えば冬のお休みの日、一寸贅沢な日帰り温泉を楽しみたい時とかにはいい場所じゃないでしょうか。
ちなみに、ここの浴槽からは川や対岸の様子が見て取れますが、逆に対岸からこの浴槽を発見する事は少し難しそうな事だと思われますので、女性の方も安心して温泉や風景を楽しめると思いますよ。
宇連川を挟んだ対岸
旧グランドホテル鳳陽跡地付近からとった
翠明の写真
この中に
翠明の露天風呂が写ってますけど
どこにあるかわかんないでしょ?
© ill-health(ruephas) 2012

[1]
かと言って、この松風苑が残念なお風呂かというとそんな事は全くなく、なかなか湯冷めしないいいお湯ですね。
念の為申し添えます。

2012年6月9日土曜日

温泉に行かない日(88) 原発賛成!

大飯原発 再稼働へ

首相、安全策を強調
福井県、同意へ手続き

野田佳彦首相は8日夕、首相官邸で記者会見し、関西電力大飯原発3・4号機(福井県おおい町)について、
厳しい表情で再稼働への決意を語る
野田総理
=8日午後6時7分、首相官邸
 「関西電力、いや国内にある全ての電力会社を守るため、再稼働すべきというのが儂の判断だ。
てか儂、実は脳味噌ないんでそのへん詳しく知らんが、俺より少し脳味噌があるけーさんしょーのヒトがそう言っていたからまず間違いないっしょ。
儂としては『再稼働に対する責任に関して、政府ではなく、その権限を持つ地元自治体にあることを明確にした上で再稼働の手続きを進めた」って言えって言われたからそう言うけどね。
安全だ危険だって愚民が騒いどるから、まあ一応儂を含め原子力のゲの字も知らん4人が酒のみながら10分くらいかなあ、ちょっと話し合ったけど、万万が一にも事故が起こる可能性はないということにしといた。
世の中、シロだクロだってはっきり決められることばっかりじゃないだろ。
曖昧でいいんだよアイマイで。
知ったかぶりの地質学者が、大飯の下にはカツダンソーとかいうナマズが住んでてアブねえって言ってるらしいが、そんな根も葉もない事いうから無知な国民がビビるんだよ。
馬鹿な国民を不安にさせないよう、そういう情報は隠したり否定しにゃならんのにな。
まあどっちみち、考えても儂らには分からん話だ、わはははははは。
え?フクシマダイイチ?なにそれ、わからん。
責任って言葉の意味しってるかって?
おまえバカか。
さっきから言ってるじゃん。
儂、脳足りんだから日本語も政治もよくわからんって
まあ所詮どぜうだしな、わはははははは
と表明した。
原発マネーへの予感に笑みを
抑える事が出来ない
西川知事
一方、大飯原発が立地する福井県の西川一誠知事は、
「未来のガキどもがどんな目に遭おうと関係ない。
今を生きるわしら福井県民には、兎に角電源三法交付金が必要なんだ。
それ以外のカネを稼ぐ方法、儂ら知らんしな、あははは。
しかし国策として原発を推進する以上、儂らがカネをもらうのは当たり前だろ。
てか『貰ってやっている』というのがホントの所だが、やるというものを断る事もないっしょ
まあ、再稼働にかかる責任は儂らにではなくどぜうにあるが、そのどぜうが再稼働をしろって言ってるんだろ。
だから動かしてやるんだよ。
今や未来の日本なんて関係ねえ。
カネさえ掴めりゃ文句ねえ。

原発マネー賛成♪
フクシマダイイチ?なんだそれ
とコメント。
再稼働同意手続きを進める意向を示した。

また、この動きについて東京電力前社長の清水正孝氏は、今や懐かしいノーパンしゃぶしゃぶ屋で食べ物としゃぶしゃぶ屋の女性従業員を満喫しながら、
今回の再稼働について熱く語る
盗電元社長 ドヤ顔清水
「関西電力の話ではあるが、今回決定された大飯原発再稼働は、儂ら盗電にとっても誠に喜ばしく謹賀に耐えない。
なぜかって?
電力カイシャの社員を救おうと奔走する国と自治体。
その意気やヨシ!
儂ら電力会社を全力で守ってくれることがこれで分かるだろ。
嬉しい話じゃないか。
鼻薬が効き過ぎているくらい効いてるな。
これであれは、今後も安心して儂ら電力会社は原発で大儲けが続けられる。
カイシャが儲かりゃ儂らも儲かる。
国民もどぜうも官僚も脳無しの馬鹿だから『原発やめりゃあデンキが止まって病人死ぬぜって』ってちょっと脅しゃあすぐにビビってころっと寝返る
まあ、それでいいんだけどよ。
日本人は馬鹿だから、俺らはまっやく仕事しやすいってわけさ。
え?なに?
フクシマダイイチ?
しらんな。
どっかガイコクの地名か何かだったっけ?

あ、『何か』の方か。
わるかったな、そっち方面に疎いんだ、おれ」
と語った。

こういった皆様方が奔走して頂いた結果、めでたく大飯原発は再稼働され、この夏の電力不足はなんとか回避出来る見通しがたった。
それだけでなく、安全で安価なパワーソースとして、未来永劫に渡って原発を稼働、更には新規建設出来るめどがたった。
原発賛成!

2012年6月3日日曜日

倉真赤石温泉(6)

早速屋上に登ってみると、前々回来た時より設備・装備が充実している感じ。
前々回はビニールハウスの中に家庭用ポリバスが2ケ放置されているだけだったのですが、今日はなんだかいろいろな物が設置されてます。
早速再び素っ裸になり、湯(というか、冷泉ですね)が満たされた木製浴槽に慎重に入ります。
いきなりドボンと入って、心臓マヒでも起こしたら大変だからね。

足を差し入れた先から、臑毛に(ごめんね汚くて)細かい泡が付き、それはどんどん成長して行きます。
それを観察しながらゆっくりと肩までつかり、手足を伸ばします。
浴槽の木の香りに混じって、はっきりとした硫黄の香りが感じられます。
そういやあ以前会長が、
「炭酸泉でかつ硫黄泉ってのは静岡じゃあ多分ここだけだよ」
って言っていた事を思い出しました。
暫く入っていると、肌にまとわりつくぬるつきも感じられました。

おい、これってひょっとしたら凄い温泉かな。

入ってたら足音がして、会長が下から上がってきました。
「どうだい、気持ちいいだろう」
「うん、もう最高ですね」
「そうだろ。これに入ったら、もうやめられんわ。わははははははは」
確かにその通り。
特に今日は正式開業前の特別入浴。
非加熱無加工源泉掛け流し。
完璧。

お手製のシステム、会長が自ら薪で沸かす、周囲に散乱する建築廃材。
これは何となく、かの星山温泉を彷彿とさせる状況です。
入浴料1050円は、これまで妥当な金額だと思っていましたが、これからはもう違う。
入浴料1050円は、これからは激安であります。

暑い夏の夕方、よお~く冷えたビールを片手にここに入ったら、きっと極楽だろうな。
沈んで行く夕日を眺めながら、その後広がる星空を見上げながらここに入ったら、もう何も言う事はないだろうな。
ああ、早く夏がこないかな。


屋上露天風呂の全景
前回なかったすのこ状のものや
木の浴槽らしきものが見える
© ill-health(ruephas) 2012

木製の手作り浴槽
奥にももう一つ、計2槽が実装されている
© ill-health(ruephas) 2012


浴槽ツインターボ状態
左に見えるのは会長のおみ足
奥にあるのは会長100%手作りの水車模型
使用目的不明
© ill-health(ruephas) 2012
泉源から汲み上げた源泉を
これで沸かす
熱源は薪で、つまりco2対策はばっちり
© ill-health(ruephas) 2012

沸かした温泉はここに一旦貯留し
左右2つの木製浴槽に分配するシステム
© ill-health(ruephas) 2012


倉真赤石温泉(5)

本日は日曜日。
8時過ぎに起床し、昨日行ったみよし湯のポストを2つ書いてから、先だってより気になっていた倉真温泉に入ろうと思い、車に乗って国1バイパスで掛川に向かいました。
実は倉真温泉のある場所には何回か来た事があるのですが、何故か入浴する事がありませんでした。
今日こそは何とか入ってみようと決心していたのですが、いざ現地に到着すると何となく風情を感じる事が出来ず、結局はその場を後にしてしまいました。
倉真赤石温泉郷の略図
このうち左下にある松永荘は廃業
翠月はのみ不可
© ill-health(ruephas) 2012
今度は知り合いと行ってみようと思い、その足で至近距離にある倉真赤石温泉に向かいました。

シビアだけど既に通い慣れた感が出てきた最後の山道を抜けると、温泉前の駐車スペースは4台の車で埋まっちゃっていて、さらに他府県ナンバーの車が狭い空間で右往左往してます。
新東名効果なのか千客万来状態。
何とか向きを変えようと細かく前進と後退を重ねている割には何の効果も見いだせていないその車の脇に、鈴木修会長[1]が立っていていろいろ指示してますが、車の親父はパニックに陥り切っていて何も聞こえていない様子。
二進も三進も行かずもがき苦しむ車の親父に私は、「もう少し上にいったら駐車スペースがあるからついてきな」
と言ってそいつの脇をすり抜け、親父の車を従えて更に奥に向かいます。
親父の車にはヨメが同乗しており、開け放った車の窓からヨメの怒号が私の車にまで聞こえてきます。
「なんでこんな田舎の温泉に入んなきゃ行けないの。車置く場所もないじゃない全く」
とか何とか。
噂を聞いたかネットでの記事を見てきたのか、親父とそのヨメは情報と現実の落差に激しいショックを受けているようで、こんな奴らと一緒に風呂入るのはやだなあと思って駐車場に着いたら、親父夫婦は車を降りる事なくUターンしてそのまま帰っちゃいました。
うん、あんたらの様な粋がわからぬ人は早めに帰って饂飩でも喰って寝なさい。

車を降り、温泉までの山道をぶらぶら歩いていると会長が下から歩いてきて、
「あれ、さっきの人たちはどうしたの」
と聞くので、
「ああ、なんかやんなっちゃってそのまま帰ったみたいですよ」
と答えたら、
「いいや。今日は少し混んでるからここがイヤな客にはさっさと帰ってもらった方がいいね、あはははは」
と流石に大人物であります。
「で、例のあの屋上露天風呂どうなりましたか?もう完成したんですか」
「うーん、あともう少しなんだけど、一人でやってる事だからなかなか。今は晴れてるけど今日も朝からさっきまで雨でね、作業出来なかったんだ」
実は今日あたり、上手く行けば屋上露天に入れるかな、と少し期待していたのです。

みよし湯(6)

宿酔いとのシビアな戦いに最後のケリを付けるため、残れる力を振り絞り、みよし湯に行ってきました。

宿酔いへの対策としては、一般的には、
  • 水分を取って兎に角、寝る
  • 塩水・味噌汁等を飲む
  • 運動して汗をかく
  • お風呂に入って汗をかく
等が高名ですが、そのうち「兎に角、寝る」「塩水・味噌汁等を飲む」は完了し、運動嫌いの私としては「 運動して汗をかく」のは嫌いなので、最後に残った「お風呂に入って汗をかく」を、どうせだったら好きな銭湯でしたいなあと思ったからです。

午後まで寝てたら少しながら食欲も出てきた。
私は拉麺が大好きで、自分では1日3食365日全て拉麺でもぜんぜんおっけだと思ってるんですが、流石に今日は喰う気にはなれず、結局近くにあるかっぱ寿し浜松泉店(浜松市中区泉2-2-53:053-478-0971:午前11:00<日・祝は午前10:25>〜午後11:00:最終入店(ラストオーダー)午後10:30)に行って、お寿司数皿と味噌汁を食した後、15時少し前にみよし湯に着きました。
みよし湯には何回か来てますが、開く前の時間に着いたのは初めてです。
既にじいさんが数人、あたかも10時前のパチンコ屋のようにドアの前に行列を作ってて、一寸吃驚しました。
恐らく「一番湯マニア」なんでしょうなあ。
待つ間もなく時間は15時となり、私も自動ドアをくぐってお金を払い、裸になって浴室に入りました。
午後もまだ半ばの時間帯。
浴室内には広い窓から入ってくる光でとても明るく、透明感の溢れるなかなかいい雰囲気です。

ただし、その透明感溢れる空間にいるのは全員肌の弛んだおじさん、或いはしわくちゃのジジイであります。

体を洗って浴槽に入り、心の中で「ふんふんふん」等という感じの鼻歌を歌ってだらけた表情をしていると、いかにも高橋留美子の漫画に出てきそうな雰囲気の、痩せて眼鏡をかけて禿げたジジイがよろよろ入ってきて、私の坐ってる縁の部分から浴槽に入ろうとしてきました。
少し足腰が弱っている様だし、私の横でこけられても寝覚めが悪いやと思ったんで、そのジジイにニコっと笑いかけて、ジジイの為にスペースをあけるために反対側の縁に移ってあげました。
そのジジイの様子が気になった(というか、おもろそうと感じた)私は、観察する事に決めました。

そのジジイは可成り厳しい表情を浮かべながら慎重に浴槽の縁に手をかけ、慎重に縁をまたぎ、慎重に浴槽に足を入れ、慎重に身を沈め、慎重に坐ると、慎重に廻りを見回していました。
そこでやっと緊張が取れたのか厳しい表情が薄れ眉毛の両端が下がり、きりっと結ばれていた口元がだらしなく緩み、私の方を見ました。
そして、さっきまでの慎重ぶりが嘘のように軽やかな感じで私の方の縁っこまでやってきて隣に坐り、私にこう訊ねました。
「おにいちゃん[1]。あんたも眼鏡掛てるな。度数はどのくらいかの?」

町の銭湯ではいろんな世間話が飛び交うもので、私も何度か見知らぬヒトに語りかけられたりしましたが、それらは大抵、
「おう。あんま見いひん顔やな。この辺か」
「いまから雨振ると思うか?」
などという無難なものであり、今回のようにいきなり技術的・哲学的質問を投げかけられる事は全く想定外でありました。

さらに私を困惑させたのは、ジジイの質問にある「眼鏡の度数」という言葉であります。

確かに我々は時々「また近眼が進んじまってよう、眼鏡作り替えて少し度数上げたわ」などという会話をたまにしますよね。
しかしそれは例えば、
「前回作成した眼鏡の度は3.42度であったが、その間の視力の低下がこれだけあって、それをこのマイプニッツ係数を用いた計算に当てはめると3.46度、つまり前回より0.04度あげる事にした」[2]
等と言う事実を基準にしたものではないよねえ。
だからそうでしょ、あなた。
もし友人にさあ、
「お、眼鏡買えたじゃん。かっけーじゃん。フレームもいい感じだけど、レンズの方、度数どんだけ上げたんだよ?」
って聴かれたら、返事出来ないでしょ?
私もそのジジイに度数を言われてどのように答えればいいものが困惑してたんですけど、まあ裸眼視力を言うのが適当だろうと考えました。
しかし実は私、自分の裸眼視力を覚えていない。
なのでジジイに、

私(以後、A):
うーんたしか、0.01とか何とかって言われたような気がしますね

じじい(以後、J):
近眼か?

A:
そうですね、近眼です。
でも老眼も来てるから朝テレビのニュース見ながら新聞読む時は困るんですよねー。
眼鏡かけたり外したり。

J:
わしもそう。
近眼。

A:
へえそうなんですか。
近眼なんて、何か若いですねえ。

J:
ちょっとにいちゃんの眼鏡貸してくれ。

A:
(眼鏡を外してジジイに渡しながら)いいですよ。
掛てみてください。

J:
(顔を顰め)う。
にいちゃん。
これキツいな、もうちょっこし[3]弱くならんかな。

A:
弱くならんかなって、そんな事いったって、だってこれは僕の眼鏡だから。
今おいくつなんですか?

J:
もう90だけどなあ。
儂のこの眼鏡なあ、戦争の時つくった。
先の戦争の時。

A:
戦争?
先の戦争って、朝鮮戦争とかってことですか?

J:
違う。
大東亜戦争んとき。
だからもう60、いやあ70年も前か。
流石にツルはかえとるけど、玉はそのときのまんま。

A:
ほんとですかあ。
すごいですね。
物持ちがいいんだねえ。
あと、昔のものは最近のものと違って、長く持つようにキチンと作られてるんだろうねえ。
じいさんも視力が下がってないってことですよね。
これからもきっとこのまんま行けますよね。

J:
(表情がもの凄く不安そうに激変して)そう思うか?
儂はずっと見えてたいんだけど、最近白内障って言われて薬を指してるんだけど…
見えなくなるのがこわいんじゃけどなあ。

A:
ダイジョウブですよ。
お医者の言いつけ守ってしっかり薬を続ければだいじょうぶですからね

こんな会話を少しばかり楽しんでから、ジジイより先に出てきたんだけどね。
でも不思議な時間でした。

眼鏡の玉(レンズ)って、果たして70年も持つものなのかなあ?

フレームだけは変えているとすれば、フレームに合わせる為にレンズを少しずつ削っている筈で、でもジジイの眼鏡のレンズは充分に大きかった。

私はそのジジイに担がれたのか、ジジイの話はマジだったのか、そのジジイと語り合った事自体が白昼夢だったのか、そもそもそのジジイそのものがマボロシだったのか…?

[1]
ジンセイを大きく「青年期」と「老人期」に分けるとすると、私は問題なく後者に属するものですが、そのジジイなんかに言わせりゃあ私何ぞはまだハナタレなんでしょうなあ。

[2]
当然この部分、当然全部嘘ですからね。
マイプニッツ係数などというものはこの世に存在しないから、ググる必要はないからね。

[3]
「もうちょっと」と「すこし」のハイブリッド。

温泉に行かない日(87) 宿酔い

私はカイシャでのシノギは数字業であります。
日本の数字業界においてはカイシャを問わず概ねどこも4〜5月が書き入れ時であります。
従って、例えば総務業界とか、企画業界とか、営業業界など通常の業界であれば4月に行われる春の定期異動等も、うちのカイシャの数字業界では書き入れ時が一段落着いた6月実施がスタンダードであります。
通常、6月等という端境期に動くヤツは「お、なんかこいつヒトとしての道を外しやがったのかな」との視線で見られがちですが、違いますので。
それが王道であります。
逆に、数字業界人でありながら敢えて4月に異動なんかさせられたりしてるヒトは、これは間違いなく「いらん子人事」、しかも可成りの問題を抱えたヤツと見て差し支えないでしょうな。
という訳で、一昨日の6月1日の金曜日には定期人事異動に伴う歓送迎会が執り行われ、歓送迎会をする以上は痛飲する訳で、深夜過ぎまで呑んでんでまれてんで、結果脳髄を酒浸りにさせ、記憶を喪失せしめ、いつ如何なる手段で帰宅したのか記憶もないままにはっとして起床おばすれば自宅のベッドで6月2日の朝6時。
普通に出勤日であります。
そこはそれ、サラリーマンのド根性を見せて敢然としてぬっと起き上がる。
今の所は嘔吐感はないものの直ぐにそれに襲われる事これ必定。
それに備えて濃いめの味噌汁を椀に用意し飲み干してからシャワーを浴び終え、洗面所で歯を磨いていると予想通り宿酔に伴う吐き気が襲来。
先程食した味噌汁をあられもなくエロエロと吐き戻してから口を清めたのちスーツを身に着け、(これってもしか飲酒運転的にヤバい?)との疑念を抱きつつ車に乗り込み、何時もより若干早めに出発。
途中車のなかでも吐き気に襲われ、コンビニのトイレに飛び込みえづきますが、吐くものはすでに胃には何ら残っておらず、体から出るのは苦い胃液と涙ばかり。 
なんとかかんとか事務所に到着して執務を開始しましたが、私をしつこく襲い続ける強い吐き気は如何ともし難く、結局部下に謝り倒して10時過ぎには途中退社、再びベッドに転がりこみ昼過ぎまで爆睡。
もう、あれですよね。
中年も過ぎ老年一歩手前なんだから呑み方も変えなきゃな。
もっと落ち着いて、洗練した方法でお酒を楽しまなきゃな。

まあ、どんな酒のみも素面ん時にゃあ、誰もがそう思ってるんだよね。
素面ん時はね。
だけど一旦酒盛りが始まればおじさんのクセに先頭に立って、
「古今東西魚の名前は!?」
等と盛り上がったりしてるわけです。
中年ってバカだよねえ、全く。

その後昼過ぎには起き上がり、軽くご飯食べてから、まだしつこく体内に居座り続けるアルコールを完全に退治するため、みよし湯にいきました。