凱旋紀念門自体はもう何回も見とるので他になんか見るものはないかと周辺を彷徨いておると、観光案内のようなものにからくり人形館(静岡県浜松市北区引佐町渋川23:053-545-0452)と書かれておるのに気付いた。
何じゃろうかと思い行ってみると、そこには小奇麗な建屋があった。
これがどうもからくり人形館のようじゃ。
手入れがされて小奇麗な佇まい © ill-health(ruephas) 2019 |
その一部を書き写してみよう。
人形は全部で9体。舞台の中心に立つ「招き」「鬼」の人形はマリオネットで動き、本物に近いやわらかい動きを見せます。衣装、鬼の面、小道具など、すべて本物を模写し、限りなく本物に近づけました。とある。
これを毎日、10:30・12:30・15:00・17:30の4回(恐らく時計じかけで)見せてくれるという。
隣接するトイレ内における公演案内掲示 © ill-health(ruephas) 2019 |
これならば、お好み焼き さわ田でやぎさんと遊んでお好み焼き食べてから来れば丁度いい頃合いじゃろう。
で、第2回公演が始まる10分前の12時20分くらいにからくり人形館に舞い戻った。
恐らく見物客がわんさか集っとるんじゃろう、座るスペースは確保できるじゃろうかという予測というか心配は呆気なく外れそこには全く誰もおらず、結果的には見物客はワシのみ。
むう、これはもしやこの手の施設でよくあるパターン、即ち「何等の掲示がないままの放置プレイ、実はもう動いていません」状態かと思い思わず身構えたが、その心配をよそに定刻の12時30分ちょうど、先ほど書いたような内容の放送がからくり人形館から流れ始めた。
なかなか快活な調子の解説じゃった。
期待はいや増す感じじゃよ。
快活な解説放送がひとしきり続き、そしてそれが終わると左右にあるガラス面の永谷園色の幕が静々と開き始め、続いて中央部の木製の扉も左右に開いていった。
おお!
遂に公演開始じゃ!
シンセサイザーによる重厚感溢るる音楽が何処からか流れ出し、左右の永谷園色の幕及び中央部の木製扉は全開状態となった。
左手の窓の中には白装束のおっさん人形が座っており、左右の手を交互に頻りに振って太鼓を叩いておる。
人形だけあって全く以て正確なタイミングで腕を振り続けておるが、シンセサイザーが奏でるパーカッションのリズムとは必ずしも一致していない。
しかしそれは恐らく気のせいじゃろう。
実はワシは嘗て、ロックバンドの太鼓叩きをやっとった時期が数年あったが、このおっさん人形の如き正確なリズムキープ能力ははっきり云うがなかった。
羨ましい限りじゃ。
右手の窓の中には矢張り白装束のおっさん人形が2人座っとって、ひとりは鉦のようなものを叩いており、これも左のドラマー人形と同じく時計のように正確なリズムで音を刻んでおる。
もうひとりは気持ちよさそうに体を左右に揺らしながら横笛を奏でておる。
すっかり音楽に陶酔しながらプレイしとる。
まっこと見事なグルーブ感であることは否めん。
しかし残念ながら左側のおっさん人形と同じく、シンセサイザーによる重厚感溢るる音楽とのシンクロ性は認められんかった。
何故じゃろうか。
両脇を固めるバンドから真ん中に陣取る主役に眼を移してみた。
回転する円形のステージの外側には、ややへっぴり腰気味でヒョットコのようなお面を被ったり、頭の後ろ側に装着した剽軽そうな3人のおっさん人形がぐるぐる回っとる。
真ん中の部分には火焔を形容しとると思われる円筒形の赤いパーテーションがあって、その中には赤鬼さんと青鬼さんと思われる3人の人形がおって、矢張りぐるぐると回っとる。
円形ステージに居る6人の人形には、何れも天井に装備されとる主に歯車により構成された何らかの機構と何本かの糸でもって接続されており、恐らくそれにより「本物に近いやわらかい動きを見せ」てくれるんじゃろうと思われ、ワシはワクドキ胸熱状態でその瞬間を待っておった。
シンセサイザーによる重厚感煽るる音楽は流れ続け、ドラム担当と鉦担当は正確なリズムを刻み続け、横笛のおっさんはますますグルーブ感に溺れていき、真ん中の6人はぐるぐる回り続けておる。
シンセサイザーによる重厚感煽るる音楽は流れ続け、ドラム担当と鉦担当は正確なリズムを刻み続け、横笛のおっさんはますますグルーブ感に溺れていき、真ん中の6人はぐるぐる回り続けておる。
シンセサイザーによる重厚感煽るる音楽は流れ続け、ドラム担当と鉦担当は正確なリズムを刻み続け、横笛のおっさんはますますグルーブ感に溺れていき、真ん中の6人はぐるぐる回り続けておる。
シンセサイザーによる重厚感煽るる音楽は流れ続け、ドラム担当と鉦担当は正確なリズムを刻み続け、横笛のおっさんはますますグルーブ感に溺れていき、真ん中の6人はぐるぐる回り続けておる。
シンセサイザーによる重厚感煽るる音楽は流れ続け、ドラム担当と鉦担当は正確なリズムを刻み続け、横笛のおっさんはますますグルーブ感に溺れていき、真ん中の6人はぐるぐる回り続けておる。
しかし回っとるだけで、天井に装備されとる主に歯車により構成された何らかの機構による「本物に近いやわらかい動き」をいっかな見せてはくれん。
いやいやいや、クライマックスはまだ残っとる。
最後になったらほれ、演劇の大団円のような感じになって、大盛り上がりのうちにすべての人形が歯車の作用に寄って踊りだし、素晴らしいエンディングを見せてくれるに相違ない。
これについては疑うべくない。
当然の帰結であろう。
そのうち、重厚感煽るる音楽は、楽曲終了っぽい感じのコード進行に移行してきて、気が付くと左右の永谷園色の幕及び中央部の木製扉が静々と閉じ始めた。
「え?」
「ん?」
「え?」
幕も扉も完全に閉まり終え、重厚な音楽が途絶え、周りは完全なる静寂に包まれた。
「え?」
「ん?」
「え?」
へっぴり腰の3人、赤鬼青鬼3人組、及びバンド3人組は完全に向こう側の世界に消え去ってしもうた。
ワシは現実に引き戻され、その現実はただ、冷たい風が吹くだけの世界じゃった。
ワシは現実に引き戻され、その現実はただ、冷たい風が吹くだけの世界じゃった。
え?
何だって?
全部嘘っぱちの話しじゃろう、って?
云っとくが、ワシは生まれてこのかた一度も嘘をついたことはないぞ。
よしわかった、証拠を見せてやろう。
月末を迎えた貴殿にまだパケの残量があるならば、これら2つの動画を見るが良い。
こちらからは以上じゃ。
未編集無修正の見づらい動画で悪かったな。
謝るわい。